塩野七生 『ローマ人の物語29,30,31 終わりの始まり』 新潮社 上中下巻 2007

長い名前の人と出会うたびに僕もミドルネームを持とうかと思う、まろまろです。

さて、『ローマ人の物語29,30,31 終わりの始まり』塩野七生著(新潮社)上中下巻2007。

五賢帝による最盛期が終わり、衰退の時代が始まるローマをえがいたシリーズ第11段。
シリーズ最初の『ローマ人の物語1,2 ローマは一日にして成らず』で問いかけられた、
「高度な社会制度と繁栄をもらたしたにも関わらずなぜローマは滅んだのか?」に対して、
いよいよ答えが出てくる巻に入った。

この本ではローマ衰退の開始を五賢帝最後の皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスから始めている。
マルクス・アウレリウス・アントニヌスはストア派の影響を受けた哲人皇帝として『自省録』を書き残していることでも知られている。
思い返せば僕もちょうど産学協同事業の代表を務めていた時に『自省録』を読んだことがあった。
その時には矢面に立つプレッシャーと闘いながら進んでいく姿に同じリーダーとして共感を覚えた。

そんなマルクス・アウレリウス・アントニヌスについて著者は、
その高潔な人格だけでなく、リーダーとしての功績に冷静に判断を下している。
特に一番印象に残ったのが・・・
「マルクスが傾倒していた哲学は、いかに良く正しく生きるか、への問題には答えてくれるかもしれないが、
人間とは(略)下劣な動機によって行動に駆られる生き物でもあるという、人間社会の現実までは教えてくれない。
それを教えてくれるのは、歴史である」
・・・と著者が指摘している点だ。
確かに僕も今年は善意の衣をかぶった悪意と接する機会が多かった。
そうした下劣な動機からいかに行動や不行動、発想が生み出されていくのかをかいま見た年でもあった。
哲人でない人間は何かを生み出すことさえできない、でも哲人でありすぎてはいけないのだろう。
(だから功績のある純粋な哲学者は社会から距離を置いた人間ばかりだ)

その他にも、優先順位が決められない時に重要なのは「実施の速度と、実施する際に迷わないこと、の二事」と述べている点。

「十人の人間を前にして、道理を説くだけで納得にもっていくことは、むずかしいことではない。
だが、これが百人になるとむずかしくなる。千人になると不可能だ」などと述べている点も印象に残った。

また、衰退期に入りつつある時代をえがいているだけに、全体的なトーンが物悲しいものになっている。
この悲しげなトーンが今後ますます色合いを増していくのだろうかと思いながら読み終えた。

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2007 12/10
歴史、政治
まろまろヒット率3

追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・

『ローマ人の物語1,2 ローマは一日にして成らず』

『ローマ人の物語3,4,5 ハンニバル戦記』

『ローマ人の物語6,7 勝者の混迷』

『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』

『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』

『ローマ人の物語14,15,16 パクス・ロマーナ』

『ローマ人の物語17,18,19,20 悪名高き皇帝たち』

『ローマ人の物語21,22,23 危機と克服』

『ローマ人の物語24,25,26 賢帝の世紀』

『ローマ人の物語27,28 すべての道はローマに通ず』

『ローマ人の物語29,30,31 終わりの始まり』

『ローマ人の物語32,33,34 迷走する帝国』

『ローマ人の物語35,36,37 最後の努力』

『ローマ人の物語38,39,40 キリストの勝利』

『ローマ人の物語41,42,43 ローマ世界の終焉』

『塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック』

ジョン・エイジー、わたなべしげお訳 『フェリックス・クルーソーのふしぎなえ』 福武書店 1992

まろまろ@三重県松阪市に行く用事ができたので近鉄電車の3日間乗り放題の券(週末フリーパス)を購入、
12月22日~24日は近鉄沿線を中心に移動しているので東海の方々よろしくお願いします(^_^)v

さて、『フェリックス・クルーソーのふしぎなえ』ジョン・エイジー著、わたなべしげお訳(福武書店)1992。

パリの街にやってきた絵かきのフェリックス・クルーソーの絵は、実物と同じように動き出す。
クルーソーの不思議な絵は大人気となるが、その絵によって様々な騒動が巻き起こる・・・

原題は“Incredible Painting of Felix Clousseau” (1990)。
なぜフェリックス・クルーソーは不思議な絵を描くことができるのか。
その理由を最後の1ページで表現するラストがとても印象的な絵本。
読み終えると思わずアッとなる一冊。

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2007 12/9
絵本
まろまろヒット率3

宮部みゆき 『火車』 新潮社 1998

まろまろ@実はクレジットカードは持たないようにしています(^_^)v

さて、『火車』宮部みゆき著(新潮社)1998。

休職中の刑事は、親戚から失踪した婚約者の捜索を依頼される。
消えた婚約者を追いかけながら、刑事は現代社会の抱える地獄と、
それから必死で逃れようとする女性の痕跡を発見していく・・・

初めて読んだ宮部みゆき作品。
読んでみると、失踪者の痕跡を追いかける推理小説(ミステリー小説)としての面白さに加えて、心理描写に迫力を感じた。
特に、失踪者の痕跡からその状況や心理を予想していく場面には、何度かハッとさせられるところがあった。

また、幸せになりたいともがきながら、簡単に手に入る錯覚に溺れてしまった人たちと、
それに関わる人々の中に見え隠れする善意と悪意の絡まりも印象深かった。

そして、まるで叙事詩のようなラストは賛否両論があるらしいけど、僕にとっては納得いくものだった。

この本が書かれた時と今とでは、法制度や情報技術などがかなり違ってきているけれど、
それらを差し引いてもミステリー小説としての迫力は十分に感じられる一冊。

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2007 12/5
小説
まろまろヒット率4

George Orwell "Animal Farm" Penguin Books 2000 (orignal first published 1945)

maromaro@as just a song, I like “L’Internationale” (The Internationale) :-).

“Animal Farm” written by George Orwell Penguin Books 2000 (orignal first published 1945).

There was a farm which was possessed by masters of human being.
One day, animals on the farm did revolt against human masters.
Animals got the farm by themselves and found “Animal Farm” of the animals, by the animals, for the animals.
“Animal Farm” had equal and ideal principle and it seemed like a utopia nation for animals.
Animals, however, started power struggles and changing principle by themselves…

This book is one of the most famous novels of George Orwell.
The story said how revolution`s ideal is disrupted by revoluters themselves.

It is mainly modeled after the Rossian Revolution.
But history proves any revolution proceed through as like “Animal Farm”.
I have felt melancholy but could not deny tha sad story when I have finished reading :’-( .

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2007 12/3
小説、洋書、English
まろまろヒット率3

annotation; this readingdiary was assisted by maropro.

リサ・キャンベル・エルンスト、藤原宏之訳 『ステラのえほんさがし』 童心社 2006

初めて会う人にはよく「もっと太っている人だと思ってました」と言われる、
まろまろ@ごはん日記をつけることが今話題のレコーディング・ダイエットになっているんでしょうね。

さて、『ステラのえほんさがし』リサ・キャンベル・エルンスト著、藤原宏之訳(童心社)2006。

ステラは図書館から借りた絵本をなくしてしまう。
その絵本は今日の5時までに返さなくてはいけない。
町中の人たちを巻き込んだ大捜索がはじまる・・・

原題は“Stella Louella’s Runaway Book”(1998)

行く先々でその本を絵本に取った人たちと巡り合い、彼らを引き連れて探してく話だけど、
絵本を手に取った人がそれぞれ自分の好きなシーンを語っていくのが印象的な一冊。
(どんな絵本なんだろうっと想像するのが楽しい)

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2007 12/2
絵本
まろまろヒット率3

サー・ジェームズ・ジョージ・フレーザー&メアリー・ダグラス&サビーヌ・マコーマック、内田昭一郎・吉岡晶子訳 『図説 金枝篇』 東京書籍 1994

100年後くらいに今の占いやスピリチュアル、オーラなどのポピュラーさがどう評価されるのかちょっと興味がある、まろまろです。

さて、『図説 金枝篇』サー・ジェームズ・ジョージ・フレーザー著、メアリー・ダグラス監修、
サビーヌ・マコーマック編集、内田昭一郎・吉岡晶子訳(東京書籍)1994。

イタリアにあるネミの村には、森の王と呼ばれる祭司がいた。
その祭司の地位は、聖なる樹の枝(金枝)を折って現職の祭司を殺した逃亡奴隷だけが引き継ぐことができた。
なぜ聖なる樹の枝を折ることが必要だったのか?
なぜ祭司を殺すことが必要だったのか?

宿り木信仰や祭司殺し、王殺しの風習は世界中の”未開社会”(この本の用語)に共通して見られるものとして、
膨大な類似例を比較研究しながら人類に共通する思考パターンにアプローチする・・・

・・・人類学、民俗学、宗教学、神話学、魔術考察などの古典とされる本で、
原著”The Golden Bough”(1936)は全13巻、約1300000語にわたる超大作。
ただ、今となっては正確性に欠けるものや誤解のある部分も明らかになっているので、
そうしたものを省いて金枝編のエッセンスを抜き出してイラストや写真を加えて再編したものがこの本。
コンパクトに要約したといっても二段組みで約400ページもあったりする(^^;
去年の夏に一緒に仕事をした人からオススメされた本で、
フレーザーに対する批判とその反論も載せられているのでこの本の位置づけもわかるようになっているのが便利。

読んでみると、著者は「人間の思考法は呪術的→宗教的→科学的という変遷を経ている」と主張している。
そして「科学と呪術は、あらゆる事象の根底にある基本原則としての秩序を信じるという点で共通している」、
「呪術の根底にある秩序は、観念が生み出した秩序を、誤った類推で敷衍したものにすぎないが、
科学が自明の理とする秩序は、自然現象そのものを忍耐強く厳密に観察した結果」というスタンスで書かれている。

生々しい王殺しや生贄の風習の詳細な紹介と、その意味を解明しようとする内容は単純に読み物としておもしろい。
また、第6部で「身代わり」について詳しく書かれているのも興味深かった。
「自分の罪や苦悩を何かほかの存在に転化して代わりに背負ってもらえるというのは、未開人にとってはごくありふれた考え方」
という身代り思考は身代わりにされる方はたまったものじゃないし、
差別を生み出すものでもあるけれど、それは人間の自然な心理かもしれないと感じた。

また、フレーザーは19世紀の学者なので”未開社会”や”未開人”という言葉を頻繁使っているけれど、
占いや前世、霊やオーラ、スピリチュアルを信じる人の多い現代もそういう意味では”未開社会”ではあると感じた。
(それが人間の自然な観念かもしれない)

以下はその他でチェックした箇所(要約含む)・・・

○タブーを犯したら恐れていた厄災が必ず訪れるとすれば、そのタブーはもはやタブーではなく、道徳または常識の教えとなる
<第1部第3章 共感呪術>

☆共感呪術(共感の法則)-類感呪術(類似の法則)
           -感染呪術(接触の法則)
<第1部第3章 共感呪術>

☆呪術-理論的呪術(疑似科学としての呪術)
   -実践的呪術(疑似技術としての呪術)-肯定的呪術(魔法)
                    -否定的呪術(タブー)
<第1部第3章 共感呪術>

○厄除けの祭りの共通点
1:直接追放も間接追放も意図は同じ
2:決まった時期に行われる場合はたいてい間隔は1年
3:決まった時期に行われる場合はたいていその前後にハメをはずして騒ぐ時期がある
4:神格を持つ人間か動物を身代わりにする
<第6部第2章 身代わりについて>

○神が自然に死ぬのを待っていたら当然老いて衰弱していくので、その前に殺してしまうのは、
神の活力を若々しい力のみなぎったまま永遠にとどめようとする手段にすぎない
<第6部第4章 身代わりについて>

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2007 12/1
人類学、宗教
まろまろヒット率3

向山淳子+向山貴彦 with studio ET CETRA・たかしまてつを 『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』 幻冬舎 2001

まろまろ@実家にいる猫のホームズ(推定17歳以上)もかなりビッグファットキャットです。

さて、『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』向山淳子+向山貴彦 with studio ET CETRA著、たかしまてつを絵(幻冬舎)2001。

英語で論文をつまみ読みするだけでなく、ちゃんと英語の本も通読していこうと本を探していたら、
ペーパーバック紹介サイトなどでよくオススメ本として紹介されていたので手に取った英語の解説書。

英文の仕組に注目した解説本なので英文法の本に分類されているけど、
「言語は生き物で、本来はルールも文法もなく、慣例のみが存在するもの」として、
教科書的な文法ではなく小説などに出てくるアレンジの読み取り方なども解説している。

「英語を聞き取れないのは、発音が分からないからでも速度が速すぎるからでもなく、その文を見たことがないから」、
逆に「英語を聞き取ってもらえないのは、発音が悪いからではなく、文を切るところ(息継ぎの場所)がおかしいから」
というスタンスで英文を読みこなすことが上達の近道だとしている。

読んでみると例文に連続性があって、全体を通して一つの物語(big fat cat)になっているのが特徴的。
その物語がけっこうおもしろいので、最後は英文法だけでなく物語として読み終えた充実感がある。

また、イラストも充実しているので内容がイメージしやすかった。
特に化粧品(冠詞)と接着剤(前置詞)はどうしても日本語には訳せないし無理に訳すと変になるけど、
英語のニュアンスをつかむためにはイメージできるようになる必要がある。
そこで、たとえば・・・
“a”と”the”はその単語にスポットライトをどう当てるかの違い
→”a”=ぽつんとしたスポットライト
→”the”=華やかなスポットライト
・・・とイラストで紹介しているのは、なるほどと感じた。

「言語を学ぶ魔法の手段はありません。でも、言語自体は魔法です。時間も距離も越え、人と人をつなぐ人類最大の発明品です」
とする著者の姿勢に共感を持った一冊でもある。

ちなみに「世界一簡単」とあるけれど、本当に初心者には難しいので中級者以上にオススメ。

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2007 11/30
語学、英語
まろまろヒット率3

司馬遼太郎 『人間というもの』 PHP研究所 1998

まろまろ@ほとぼりがさめつつあるので(w石原さんとの対話記出来事メモにアップしました。

さて、『人間というもの』司馬遼太郎著(PHP研究所)1998。

司馬遼太郎の作品の中から名言、格言と思われるものをテーマにそって抜き出した名言集。
手に取ってみると昔読んだ作品でも忘れている一節もあったし、その一節のためにこれから読みたいと思うものもあった。

中でも心に響いたのが、「陰気な舞手は(略)たとえたくみに舞ってもひとびとはその巧みさよりもその欠点に目がゆく。
逆に陽気な舞手ならば、(略)少々下手に舞っても、観衆はその陽気にまどわされ、つい欠点に目がゆかず、長所にのみ目がゆく」
『新史 太閤記』
→これは以前、『新史 太閤記』を読んだ時にもメモをした一節。
確かに暗くやれば小さな欠点でも目立つけど、明るくやれば欠点も愛嬌になるというのは真実だとあらためて感じた。

そして、「わけ知りには、志がない。志がないところに、社会の前進はないのである」
『菜の花の沖』
→今年はわけ知りの人たちと多く会う機会があったけど、確かにわけ知りの人が何か新しいものをつくったのを見たことがない。

また、「歴史上の人物で宣伝機関をもっていたひとが高名になる。
義経は『義経記』をもち、楠木正成は『太平記』をもち、豊臣秀吉は『太閤記』をもつことによって、後世のひとびとの口に膾炙した」
『坂の上の雲』
→著者の言う宣伝機関とは物語のことだけど、物語として後世に語られる人物が影響を残せるんだろう。

他にも、「人は、その才質や技能というほんのわずかな突起物にひきずられて、思わぬ世間歩きをさせられてしまう」
『ある運命について』

「世の中が変化すれば、変化したそのときを境にそれ以前を昔というのだ。歳月ではない」
『城塞』

「人間、思いあがらずになにができましょうか。
美人はわが身が美しいと思いあがっておればこそ、より美しくみえ、また美しさを増すものでござりまする。
才ある者は思いあがってこそ、十の力を十二にも発揮することができ、
膂力ある者はわが力優れりと思えばこそ、肚の底から力がわきあがってくるものでございます」
『国盗り物語』

・・・などが胸に響いた。

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2007 11/21
名言集
まろまろヒット率3

国際通貨研究所 『外国為替の知識 』 日本経済新聞出版社 2007

まろまろ@趣味は健康と長寿なので126歳まで生きようと思っています(^_-)

さて、そんな『外国為替の知識 < 第2版>』国際通貨研究所編(日本経済新聞出版社)2007。

日経文庫シリーズの外国為替の基本的な解説書。
為替の知識は普段から市況や経済ニュースで触れているものだけど、漏れや誤解があるといけないし、
前に読んだ『為替がわかれば世界がわかる』が中立的では無かったので、
教科書的な手堅い本を読んで自分の知識を体系化させようと手に取った一冊。
ちょうど今年、大幅に改版したという鮮度も選んだ理由の一つになった。

内容は知識の体系化のために読んだこともあって、特に目新しいと思うことは無かった。
ただ、購買力平価説は単純過ぎる欠点はあっても長期的な分析では欠かせないことや、
チャート分析は相場が新しい展開をする時はあまり意味がないというのは、
忘れがちになりやすいけれど重要な点だとあらめて思った。

また、世界最大の外国為替市場は今もぶっちぎりでロンドン市場だけど、その理由の一つにロンドン市場の取引時間が・・・
・アジア・中近東の金融市場の遅い時間
・ヨーロッパの金融市場と同じ時間
・ニューヨーク市場の早い時間
・・・とそれぞれ重なっているという地理的な要因を指摘しているのは面白かった。

他にも、COFFEE BREAK(コラム)で紹介されていた”A trend is a friend.”という格言は語呂が良くて気に入った。
本当にそうなれれば理想だけど(^^;

読んでみてあらためて思ったのは、外国為替はとにかく複雑な取引や計算が多い。
グローバル化が進む現在の世界経済の結晶が為替市場と言えるけど、
そもそもEUROのように統一通貨があればそんな面倒なことはしなくていい。
歴史的な視点に立てば、20世紀初頭の現在は世界の市場が統合に向かって緊密化する過渡期であるとも言える。
僕は126歳まで生きるつもりだけど、生きている間に世界統一通貨&市場を見ることになるのか、それとも別のシナリオを見るのか。
また長生きの楽しみが一つできた(^_-)

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2007 11/20
経済、投資
まろまろヒット率3

司馬遼太郎 『城塞』 新潮社 1994(新装改訂版)

まろまろ@堂島ロール初体験です。

さて、『城塞』司馬遼太郎著(新潮社)1994(新装改訂版)。

関ヶ原の戦い後、天下を取った徳川家康は大阪城に残る淀君と豊臣秀頼の排除を目論む。
外交と謀略を使って大阪城方を追い込んでいくのだが・・・

大阪冬の陣と夏の陣をクライマックスに、それまでの政略過程も詳細にえがく長編歴史小説。
この本は1971年初版の全三巻を、上下二段組み861ページの一冊に新装改訂したもの。

『関ヶ原』の続編的な位置を占める作品なので読んでみたけれど、まず繰り返しの記述が多いことが気になった。
繰り返しは司馬作品の特徴で、それが魅力の一つだけど、この作品に関しては枚数かせぎかと思うほどくどく感じられた。

そう感じが原因の一つには徳川家康が徹底的に悪役としてえがかれていて、その政治性の高さに陰険な印象を受けるからだろう。
でも、だからといって徳川方と対する大阪城方も迷走するばかりで、どちらも感情移入できずもやもやしたものが残った。

思うに、この作品から感じるこうしたもやもや感や割り切れない感覚こそが、大阪の陣の表現でもあるのだろう。
戦国時代から続いた動乱の時代が正式に終わったことは、自立した英雄たちよりも小物タイプが生き残る時代でもある。
そういう時代がはじまったんだという著者なりの歴史の視点が折り込まれていると感じた作品。

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2007 11/17
歴史小説
まろまろヒット率3