塩野七生はよく研究者から叩かれるけどその半分くらいはヒガミ節だと思う、
らぶナベ@安藤忠雄や小澤征爾に対する批判と似たものを感じます(^^)
勉強のために勉強しても仕方ない・・・とまでは言わないけど、
“歴史を学ぶ”と”歴史から学ぶ”はちょっと違ってもOKなはずさ、がんばれ七生!
さて、そんなこんなで『ローマ人の物語6,7 勝者の混迷』上下巻
塩野七生著(新潮文庫)2002年初版。
『ローマ人の物語』シリーズ第三段。
ポエニ戦争後、地中海の覇者となったローマの改革に取り組んだ
グラックス兄弟(第一章)、マリウスとスッラ(第二章)、ポンペイウス(第三章)を中心に
内乱と混乱の約100年を取り上げている。
内容は第一段『ローマは一日にして成らず』の時代に確立された、
政治体制の制度的疲労に対する取り組みの紆余曲折がメインとなっている。
こういう政治改革の話ではやはりローマ史は古典ではないだろうか。
(そういう意味でこの本も政治学カテゴリに追加)
ただ、純粋な物語としては前二作に比べてやはり迫力が落ちる。
どうしても『ハンニバル戦記』と『ユリウス・カエサル』との間の
“つなぎ”的印象を受けてしまった。(前後作に比べて分量も少ない)
そういうわけでこの本を読み終えて「さぁ、いよいよカエサルだ!」
っと意気込んでいたが文庫化されているシリーズはここまでだった(>_< )
次の文庫化は来年まで待たなくてはいけないようでちと残念。
以下、チェックした箇所・・・
○直接民主政の欠陥の一つは、容易に投票場に来られる人の意見が
より多く反映されるところにある。
<第一章 グラックス兄弟の時代>
○(元老院制を維持するために行ったスッラの独裁について)
「理」を理解する人が常にマイノリティである人間世界では、
改革を定着させるにはしばしば、手段を選んではいられないのである。
<第二章 マリウスとスッラの時代>
○優れた能力に恵まれた人はしばしば、前段階で成しとげた事柄を定着させることで、
現に解決を迫られている事柄への打開の出発点とする。
<第三章 ポンペイウスの時代>
この本をamazonで見ちゃう
2002 10/13
歴史、政治学
まろまろヒット率3
追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・
『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』 ☆
『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』 ☆