塩野七生 『ローマ人の物語21,22,23 危機と克服』 新潮社 上中下巻 2005

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さて、『ローマ人の物語21,22,23 危機と克服』塩野七生著(新潮文庫)上中下巻2005。

ネロ帝の暗殺によって断絶したユリウス・クラウディウス朝後の混乱期と、
ヴェスパシアヌス帝によって始まりドミティアヌス帝の暗殺とネルヴァ帝の即位で終わった
「フラヴィウス朝」時代をえがいたシリーズ第8段。

この時代に生きた歴史家タキトゥスが『同時代史 (Historiae) 』の中で、
口を極めて混乱と無秩序、ローマの危機を唱えているように混乱期だった。
ただ著者は、この次に登場する五賢帝が偉かったからローマは最盛期を迎えたのであって、
それ以前は皇帝も含めてダメだったとするとするタキトゥスの史観に疑問を投げかけている。
これまでのローマ史の中でも危機と克服の繰り返しがいくつもあり、
この時代も危機を克服して新しい時代の道を開いていったとする視点で書かれている。

読んでいて特に印象深かったのはローマ生まれでもなく元老院階級でもないのに、
混乱期をおさめて皇帝になったヴェスパシアヌスの数奇な運命だ。
傑出した才能もなかったとされるのに、様々な運命の巡り合わせやムキアヌスに代表される協力者に恵まれて、
ローマ皇帝になった経緯をかいま見ると、人間どこでどうなるかわからないというのをあらためて感じてしまった。

また、巻末の「付記」ではこの時代を代表する文人として
『エピグランマ (Epigramma) 』で有名なマルティアリスの一生を紹介している。
皮肉で思わずぷっと笑わせる数々のエピグラムを生み出したその生涯がわかっておもしろかった。
同時代に『エロクェンティア (eloquentia, 弁論術大全)』をまとめたクィンティリアヌスと共に、
この二人は今でも引用句でよく出てくる二人なので、その背景がわかって興味深かった。

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2005 11/12
歴史、政治
まろまろヒット率3

追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・

『ローマ人の物語1,2 ローマは一日にして成らず』

『ローマ人の物語3,4,5 ハンニバル戦記』

『ローマ人の物語6,7 勝者の混迷』

『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』

『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』

『ローマ人の物語14,15,16 パクス・ロマーナ』

『ローマ人の物語17,18,19,20 悪名高き皇帝たち』

『ローマ人の物語21,22,23 危機と克服』

『ローマ人の物語24,25,26 賢帝の世紀』

『ローマ人の物語27,28 すべての道はローマに通ず』

『ローマ人の物語29,30,31 終わりの始まり』

『ローマ人の物語32,33,34 迷走する帝国』

『ローマ人の物語35,36,37 最後の努力』

『ローマ人の物語38,39,40 キリストの勝利』

『ローマ人の物語41,42,43 ローマ世界の終焉』

『塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック』

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