歌野晶午 『葉桜の季節に君を想うということ』 文藝春秋 2007

「何でもやってやろう屋」を自称して様々な仕事を掛け持ちする主人公は、線路への飛び込み自殺を図った女性を助ける。
同時期に、元探偵である経験を買われて、家族の不審死と霊感商法との関連性を調査するよう友人から依頼される。

…「伏線回収もの」が読みたくて手に取った一冊。
読んでみると、確かに伏線回収は秀逸で、散りばめられたepisodeや現在と過去の事件が最後に一本化されていくのは、感銘を受けた。
特に、謎解きが終わってから表題の意味が分かる、いわゆる「タイトル回収」は、これまで読んだ中でも指折りだと感じた。
(「タイトル回収」ものが好き)

上品な表題の割には、出だしからキツめの描写に食傷気味になってしまうなど、この本のすべてが好みだった訳ではない。
ただ、下品な描写でも強調される「何でもやってやろう屋」な主人公の姿勢は、現在47歳の自分には刺さるものがあった。
自分を見つめる時に、これから先もきっとこの本のことを思い出すだろうと感じる。

そうした読後感から、まろまろヒット率5を付けるミステリー小説&恋愛小説。

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2022 12/11
ミステリー小説、恋愛小説
まろまろヒット率5

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