アンソニー・ギデンズ、松尾精文ほか訳 『社会学 第5版』 而立書房 2009

渡邊義弘@石垣島から名古屋に引越しました。

さて、アンソニー・ギデンズ、松尾精文ほか訳 『社会学 第5版』 而立書房 2009。

社会学が扱う下記の22のテーマについて解説している。

第1章 社会学とは何か?
第2章 グローバル化と、変動する世界
第3章 社会学の問いを発し、その問いに答える
第4章 社会学における理論的思考
第5章 社会的相互行為と日常生活
第6章 社会化、ライフコース、加齢
第7章 家族と親密な関係性
第8章 健康、病気、障害
第9章 社会成層と階級
第10章 貧困、社会的排除、福祉
第11章 グローバルな不平等
第12章 セクシュアリティとジェンダー
第13章 人種、エスニシティ、移民
第14章 現代社会における宗教
第15章 メディア
第16章 組織とネットワーク
第17章 教育
第18章 労働と経済生活
第19章 犯罪と逸脱
第20章 政治、統治、テロリズム
第21章 都市と都市的空間
第22章 環境とリスク

これらの章の本文だけで、1ページ上下2段構成で935ページ。
このページ数の本文に加えて、用語解説も39ページになる大著。

分量は多いけれど、各章の最初にはそのテーマを象徴するエピソードが掲載されているので読みやすい。
また、各章の最後には、「まとめ」、「考察を深めるための問い」、「読書案内」の項目が設けられているので、理解しやすい工夫がされている。

社会学の決定版なことはもちろん、人文社会科学全般、社会・世の中の課題を考える上では必須的な一冊と言っても良いくらいの網羅的かつ体系的な本。
分厚いので辞書的に使うこともできるけど、ぜひ一度は通読したい一冊。

かくいう自分も、この本は石垣島にいる時に石垣市立図書館でリクエストして図書館間相互貸借として読みはじめ、
その後は新規購入による所蔵資料にしていただいて読み続け、名古屋に引越をしてからは大学付属図書館で借り、
じっくりと読み進め、通読することが知的基礎体力となることが実感できた。
迷わずお薦めできる名著。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)…

○社会学の理論的多様性=人間の行動は、複雑かつ多面的であるため、人間の行動のすべての側面に単一の理論的視座を適用できることなどおそくらできない
<1 社会学とは何か?>

○社会学の意味=社会学は、自己啓発をもたらし、集団や個人がみずからの生活の諸条件を改善する機会を増大させる
<1 社会学とは何か?>

○ハンフリーズがおこなったように、一般に社会学研究の任務は、日常生活に関する表面的な理解を超えていくことにある
→私たちが自分たちの社会生活を新たなかたちで理解する手助けになる
<3 社会学の問いを八市、その問いに答える>

☆宗教=神聖で、あらゆるものを含む、超自然的な現実という観念を形成することによって究極の意味や目的の意識を与える、そうした共有された信念や儀礼の文化体系であると
→最も重要な特徴は、目的感覚=生きることには究極の目的があるという感覚、を与える
<14 現代社会における宗教>

○権力における「欲望の操作」=こちら側が思う通りの欲望を誰かに抱かせること
=その人の思考や欲望の制御を通して服従させること
→これこそが究極の権力行使 (Lukes,1974)
<20 政治、統治、テロリズム>

○理論(theory)=規則的に観察できる事象を説明するために、その事象の一般的特性を同定しようとする試み
<用語解説>

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2019 7/1
社会学、人文社会科学
まろまろヒット率5

まろまろアワード2018

読書アワード:『西行』 (白洲正子)
→西行への愛情がありながらも辛辣な解釈が、まるで自分のことを言われているように身につまされた一冊。

出来事アワード:『月刊やいま』296号「八商工観光コース×月刊やいま 石垣島さしみ屋MAP」特集のコーディネーターをつとめる
→提案した「石垣島モデル」を自ら展開するやりがいを感じた出来事。

2018 12/31
まろまろアワード

ジェイムズ・P・ホーガン、池央耿訳 『巨人たちの星』 東京創元社 1983

渡邊義弘@現時点で今まで読んだSF小説の中で一番印象深いのは『星を継ぐもの』です。

さて、ジェイムズ・P・ホーガン、池央耿訳 『巨人たちの星』 東京創元社 1983。

巨人の星からの通信により、地球ははるか以前から何者かに監視されていた可能性が生まれた。
外交交渉と科学的推論から人類はその謎に迫ろうとする・・・

『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』に続く第3弾。
読んでみると、『星を継ぐもの』を読んだ時の迫力はまったく消えてしまっていて、荒唐無稽さばかり目立った一冊。

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2018 8/1
SF小説
まろまろヒット率2

ジェイムズ・P・ホーガン、池央耿訳 『ガニメデの優しい巨人』 東京創元社 1981

渡邊義弘@「存在がSFっぽい」と言われることがあります。

さて、ジェイムズ・P・ホーガン、池央耿訳 『ガニメデの優しい巨人』 東京創元社 1981。

近未来の世界。ガニメデの探査基地近くで、正体不明の宇宙船が出現した。
乗船した巨人(ガニメアン)は人類が初めて体面する地球外生命であった。
しかも彼らは2500万年前からやって来たという・・・

『星を継ぐもの』以来、13年ぶりに読んだ続編。
前作と同じく科学的推論が柱となっていて、議論を通して物語が進んでいく。
ただ、前作を読んだ時に感じたような、「ハッ」とする驚きは無く、淡々とした読後感の一冊。

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2018 6/1
SF小説
まろまろヒット率3

ネガポ辞典制作委員会 『ネガポ辞典―ネガティブな言葉をポジティブに変換』 主婦の友社 2012

渡邊義弘@Instagramではstoriesをよく使っています。

さて、ネガポ辞典制作委員会 『ネガポ辞典―ネガティブな言葉をポジティブに変換』 主婦の友社 2012。

ネガティヴ(negative)な言葉を、ポジティヴ(positive)な言葉に変換する辞書。
一番面白かったのは、

○キモい→1:存在感がある、2:個性がある、3:ミステリアス
例文:キモッ!→存在感がありすぎて目が離せないんだけど、どうしよう

○空気が読めない→1:まわりに流されない、2:自分の意見を主張できる、3:よどんだ空気を壊してくれることがある、4:愛嬌がある

、の二つ。
また、

○自分に甘い→1:自分にやさしくできる、2:楽天的、3:己の限界を把握している

○神経質→1:細部にまで目が行き届く、2:仕事が丁寧、3:想像力が豊か

○言い訳をする→1:頭の回転が速い、状況判断が早い、3:探偵になる素質がある

○上から目線→1:自信がある、2:指導が得意

○子どもっぽい→1:愛嬌がある、2:考え方が固定観念に縛られていない、3:童心を忘れていない

、などは、そういう人に対しても優しい視点で見られるようになる表現としてメモした。

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2018 4/13
辞典、辞書、ポジティヴ、言語、表現
まろまろヒット率3

イカロス・ムック 『世界の機内食』 イカロス出版 2017

渡邊義弘@石垣島に来てから飛行機に乗る機会が増えました。

さて、イカロス・ムック 『世界の機内食』 イカロス出版 2017。

日本に就航している主要な世界の航空会社の機内食を紹介する一冊。
内容は、ファースト(第1章)、ビジネス(第2章)、エコノミー(第3章)、LCC(第4章)、国内線(第6章)と各クラスごとの機内食を網羅的に紹介しているのが特徴的。
また、ドリンク(第5章)や機内食を考えるシェフのインタビュー、機内食工場、機内食用語解説など、機内食の周辺も範囲にして取り上げている。

中でも、エコノミーとLCCの機内食は、限られた条件の中で各社の工夫が読み取れて興味深かった。

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2018 3/23
機内食、航空機
まろまろヒット率3

宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波書店 1984

渡邊義弘@ワークショップを応用してクジャクの羽根を使った台湾の花蓮地震への復興支援募金活動に協力しました。
(2018年2月25日 『八重山毎日新聞』・第4面 「地震被災の台湾花蓮市を八商工生徒 義援金や横断幕で支援」)

さて、宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波書店 1984。

明治10年代~昭和20年代にかけて全国をまわり、文字化されていない集落(無字社会)とそこに暮す人々の生活史の聞き取りをおこなった民俗学者による記録。
特徴的なのは、聞き取りをおこなった人々が、男女関係について、赤裸々に、華やかに語っているところだ。
中でも、高知県の橋の下で暮す老人から聞き取りをした「土佐源氏」などは、男女の営みが鮮やかに語られていて、物語としても面白かった。
(「土佐源氏」は聞き取りの前に物語があったという説もある)

また、集落(無字社会)での問題解決について・・・

○他人の非をあばくことは容易だが、あばいた後、村の中の人間関係は非を持つ人が悔悟するだけでは解決しきれない問題が含まれている
→何も彼も知りぬいていて何も知らぬ顔をしていることが、村の中にあるもろもろのひずみをため直すのに重要な意味を持っていた
<村の寄りあい>

○貧乏人同士がいがみあうて見ても金持ちにはなりませんで
→それよりはみな工夫がだいじであります
<名倉談義>

・・・という風に、日本的な曖昧さが重要視されていたことが伺える点は興味深かった。
そして・・・

○文字に縁のうすい人たちは、(略)共通して時間の概念に乏しかった
<文字をもつ伝承者 (1) >

・・・というのは、僕自身も様々な地域での聞き取りで感じたことなのでうなずいてしまった。

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2018 3/22
民俗学、歴史、生活史、風土史、フィールドワーク
まろまろヒット率3

エラ・フランシス・サンダース、前田まゆみ訳 『翻訳できない世界のことば』 創元社  2016

渡邊義弘@『図書館雑誌』 Vol.111, No.9 に「石垣市地域おこし協力隊と石垣市立図書館の協働による”ここがいいね!”利用者アンケートと職員ワークショップの報告~地域おこしの拠点として図書館を位置づける日本最南端の試み~」が掲載されました。

さて、エラ・フランシス・サンダース、前田まゆみ訳 『翻訳できない世界のことば』 創元社  2016。

102個の翻訳できない=正確には英語では直訳できない言葉を紹介している。
原題は、“LOST IN TRANSLATION” (2014)

特に印象に残ったのは、ウルドゥー語の名詞・・・

“NAZ” = 誰かに無条件に愛されることによって生まれてくる、自信と心の安定

・・・という言葉だ。
とても素敵で重みのあるものだと思った。

ちなみに、日本語からは以下の4つが掲載されている・・・

“KOMOREBI” (木漏れ日)

“BOKKETTO” (ぼけっと)

“WABI-SABI” (侘び寂び)

“TSUNDOKU” (積ん読)

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2018 3/12
言語、異文化理解、絵本
まろまろヒット率4

ユン・チアン、J・ハリデイ、土屋京子訳 『マオ―誰も知らなかった毛沢東』 講談社 上下巻 2005

渡邊義弘@コーディネーターとして「平成29年は肉の年・インスタ映えコンテスト」授賞式を開催しました。
(2018年1月30日 『八重山毎日新聞』・第8面 「コンテスト 宮城さんの訴求力の写真 “インスタ映え”投稿選出 石垣牛に豪快にかぶりつく」)

さて、ユン・チアン、J・ハリデイ、土屋京子訳 『マオ―誰も知らなかった毛沢東』 講談社 上下巻 2005。

中華人民共和国の初代国家主席である毛沢東(Mao Zedong=マオ・ツォートン)の伝記。
480人以上におよぶ関係者からのインタビューと、最新の資料から新しい毛沢東像を浮かび上がらせようとしている。

特に、毛沢東は中国統一までは素晴らしい指導者だったが、中国統一後は大躍進政策や文化大革命などの失策と権力闘争で大きな禍根を残したとする通説に対して、
毛沢東の性格と手法は最初から変わっておらず、終始一貫して自己保身と権力闘争の連続であったことを明らかにしようとしている。

内容面では、まだ議論のある事実関係があることや、資料の読み方に恣意性があるとの課題も指摘されている本ではあるけれど、毛沢東と中国現代史の生々しさが嫌というほど伝わってくる一冊。

ちなみに、著者の本は、高校生の時に『ワイルド・スワン』を読んで以来、26年ぶりとなる。

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2018 3/11
毛沢東、歴史、伝記、中国史
まろまろヒット率3

白洲正子 『西行』 新潮社 1996

渡邊義弘@クジャク羽根の活用を目指す芸学連携ワークショップのコーディネーターをしました。

さて、白洲正子 『西行』 新潮社 1996。

歌人・西行について評論と紀行文。
読んでみて印象深かったのは・・・

○西行は伝説の多い人物で、虚実の間をすりぬけて行くところに彼の魅力がある
<空になる心>

○中途半端な生きかたのままで、大きく豊かに成長をとげて行ったところに、西行の真価は見出される
<嵯峨のあたり>

○目的を持たぬことこそ隠者の精神
→ふらふらしながら、柳の枝が風になびくように、心は好く沿いも動じてはいない
<花の寺>

○総じて辻褄が合うような人間はろくなものではなく、まとまりのつかぬところに西行の真価がある
<後記>

・・・という風に、西行のことをまとまりがなく中途半端な人物であり、それこそが魅力であるとしているところだ。
僕はこの西行と著者の夫である白洲次郎の両方に昔から共感を覚えていた。
両方に惹かれる理由は長年よく分からなかったけれど、白洲次郎のパートナーであり、西行を評した著者の文章からヒントを得た気持ちになった。

また・・・

○花を見ても、月を見ても、自分の生きかたと密接に結びつけていることで、花鳥風月を詠むことは、彼にとっては必ずしもたのしいものではなかった
<空になる心>

・・・と評しているところにも強く共感した。

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2018 2/24
歴史、歌人、西行、文化
まろまろヒット率4