最近は朝が早いので「早起きは前向き」ということを実感している、まろまろです。
さてさて、『ローマ人の物語27,28 すべての道はローマに通ず』塩野七生著(新潮文庫)上下巻2006。
ローマのインフラストラクチャーを専門に取り扱っているシリーズ第10段。
通史をたどるこれまでのシリーズとは打って変わった特別編という感じで、構成も・・・
第1部ハードなインフラ→1:街道、2:橋、3:それを使った人々、4:水道
第2部ソフトなインフラ→1:医療、2:教育
・・・という風に別冊のような感じになっている。
(図解や写真も多い)
著者がなぜ通史のシリーズの中にこの特別巻を挟んだかというと・・・
「社会資本と訳そうが下部構造と訳そうが、インフラストラクチャーくらい、
それを成した民族の資質を表わすものはないと信じていたから」らしい。
確かに大プリニウスは「ピラミッドは、無用で馬鹿気た権力の顕示にすぎない」と言い、
フロンティヌスは「ギリシアの美術品の素晴らしさは有名だが、人々の日常生活への有効性ならば皆無」と言ったように、
ローマ人のインフラはどれも生活に密着した実用的なものばかりで、他の古代史と比べて特徴的だ。
こうしたローマのインフラを総覧しながらローマ人の特質をえがきだそうとしている。
また、キリスト教支配後にはソフトなインフラが変化した点について・・・・
「ある一つの考え方で社会は統一されるべきと考える人々が権力を手中にするや考え実行するのは、
教育と福祉を自分たちの考えに沿って組織し直すことである」と述べているのは、
今後のシリーズ展開の行く先を暗示しているものだと感じた。
2006 10/19
歴史、政治
まろまろヒット率3
追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・
『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』 ☆
『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』 ☆
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