読書日記にも出てくる友人の結婚式で友人代表としてスピーチをした、まろまろです。
さて、『ローマ人の物語32,33,34 迷走する帝国』塩野七生著(新潮社)上中下巻2008。
『ローマ人の物語29,30,31 終わりの始まり』に続いて、「危機の3世紀」をむかえたローマ帝国の内外の動揺をえがく、シリーズ第12段。
ゲルマン人やササン朝ペルシアなどの周辺勢力の台頭と侵入、ガリア帝国やパルミラ王国などの内部分裂に代表される、
200年近く続いたパクス・ロマーナ(Pax Romana、ローマの平和)が大きく崩れていく様子を中心にして、
元老院と軍隊の分離、ローマ市民権の価値の低下、短命な数々の軍人皇帝など、ローマ社会の変容が生々しくえがかれている。
特に興味を持ったのが、アレクサンデル・セヴェルス帝の失敗にいて著者が述べているところだ。
「歴史は、現象としてはくり返さない。だが、この現象に際して露わになる人間心理ならばくり返す。
それゆえ、人間の心理への深く鋭い洞察と、自分の体験していないことでも理解するのに欠かせない想像力と感受性、
このうち一つでも欠ければ、かつては成功した例も、失敗例になりうる」
・・・というのは、経験至上主義&前例至上主義な人たちに欠けているものを、洞察力と想像力、感受性の三つに絞っていて興味深かった。
(確かに納得)
また、危機と動揺の世紀を迎えた人々の間に、一神教のキリスト教が浸透していく姿が不気味にえがかれている。
多様性ある多神教は、危機に弱いということなのだろうか。
毎回、続きの巻が読みたくなる終わり方は心憎い(w
以下は、その他でチェックした箇所・・・
○人間は、自らの本質に基づいた行為をしたとき、成功の確率は最も高くなる
○歴史に接するに際して最も心すべき態度は、安易に拒絶反応を起こさないこと
○変わるといってもたいした喧嘩はないでないか、と思わせること
→このことくらい、善男善女を動かすのに有効な戦術もない
2009 4/28
歴史、政治
まろまろヒット率3
追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・
『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』 ☆
『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』 ☆