岡本真 『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』 講談社 2012

渡邊義弘@常滑市民病院ソーシャルメディア講座の講師をさせていただきました。

さて、岡本真 『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』 講談社 2012。

「Yahoo!知恵袋」などの企画に携わった元Yahoo!JAPAN社員によるウェブでの作文指南書。
著者のオリジナリティではなく、『発信力の鍛え方』からの引用だけど・・・

「伝えた」ではなく、「伝わった」が大切
<第2章 ウェブでの<読まれる><伝わる>文章>

・・・ということを強調している点。
また、「応用:ソーシャルメディア時代の文章術」として・・・

感情を表現すること自体はためらわず、しかし、面と向かっては使わない言葉づかいをしないように注意しましょう
<第4章 ウェブで<伝わる>文章のための実践講座>

・・・と注意喚起している点はメモを取った。

その他はの部分は通り一辺倒なことが多くて内容が薄く感じられた。

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2013 8/16
情報・メディア、文章指南
まろまろヒット率2

本村凌二 『世界史の叡智 – 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』 中央公論新社 2013

渡邊義弘@おかげさまで「まろまろ記」が12周年を迎えました。

さて、本村凌二 『世界史の叡智 – 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』 中央公論新社 2013。

古代史家による世界史上の51人の伝記。
読んでいて一番興味を持ったのは・・

日本の武士道は西洋の騎士道と対比されることが多いが、古代ローマ人の生き方(mosmaiorum=父祖の遺風)の中にこそ、武士道になぞられるものがある
<大カトー>

・・・として、騎士道よりローマ人の気風に武士道と近いものがあると指摘している点だ。
古代史家としての研究成果もあるため、説得力を感じた。

ちなみに、副題は「勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ」とあるけれど、著者の気持ちや思い出話が多いので、どちらかというとエッセイに近い。

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2013 7/23
歴史、伝記、エッセイ
まろまろヒット率3

フランス・ドゥ・ヴァール、柴田裕之訳 『共感の時代へ―動物行動学が教えてくれること』 紀伊國屋書店 2010

渡邊義弘@常滑市情報政策担当員の講師派遣制度の第2号として、JAあいち知多女性部(ぷちとまくらぶ)ソーシャルメディア講座の講師をつとめさせていただきました。

さて、フランス・ドゥ・ヴァール、柴田裕之訳 『共感の時代へ―動物行動学が教えてくれること』 紀伊國屋書店 2010。

「弱肉強食」や『利己的な遺伝子』という言葉が多用(+誤用)されるように、あたかも自然界では競争や闘争が支配しているように認識されることが多い。
動物行動学、特に霊長類の研究成果から、その認識に異議を唱え、自然界では協力が重要であり、それを支える共感(empathy)が人類の本能として備わっていることを解説する一冊。
原題は、“The Age of Empathy: Nature’s Lessons for a Kinder Society” (2009)。

振り返ってみると、情報政策を担う中で「共感」が重要なキーワードとなっていることを確認する機会が多い。
この本で紹介されている豊富な事例や実験結果は、その「共感」とは何か?ということを考える上で参考になった。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)・・・

○共感と同情の違い
・共感=他者について情報を集めるプロセス
・同情=他者に対する気遣い&他者の境遇を改善したいという願望の反映
<第4章 他者の身になる>

○共感と同情の領域では、私たちの直接の利益がかかっていようがいまいが働く独立型のメカニズムが、進化によって創り出された
<第6章 公平にやろう>

○共感の階層構造=状態の符号(情動伝染)<他者への気遣い(慰め)<視点取得(対象に合わせた援助)
<第7章 歪んだ木材>

☆共感は、内輪の協力を促すために進化したので、近さや類似性や馴染み深さの上に成り立っている
→共感と資源の公平な分配=社会的協調とが相まって、人間という種は平等と団結を重視する小規模な社会へ向かって進化した
<第7章 歪んだ木材>

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2013 7/16
動物行動学、進化心理学、進化論、心理学、コミュニケーション論
まろまろヒット率4

畑村洋太郎 『みる わかる 伝える』 講談社 2008

渡邊義弘@ご縁をいただいて常滑市にあるりんくうビーチでBBQを体験させていただきました。

さて、畑村洋太郎 『みる わかる 伝える』 講談社 2008。

失敗学で知られる著者が、失敗の原因は「みる」、「わかる」、「伝える」の過程で齟齬がある場合が多いことに注目して、
認知・理解・伝達のそれぞれの段階の課題を解説して、理想モデルを提案する一冊。

これまでの失敗学の蓄積を基にしているので、特に第3部の「伝える」編に感銘を受ける内容が多かった。
認知科学コミュニケーション論はもちろん、組織論教育論としても参考になる一冊。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)・・・

☆逆演算の見方を使うことのメリット=結果から遡っていくことで物事に優先順位をみつけやすい
→日本のクルマの信頼性の高さは、順演算と逆演算の両方の見方がしっかりとなされていることが一番の理由
<第1部「みる」編>

☆ちゃんと伝わったかどうかは、伝達手段の良し悪し(プロセス)で決まるのでは無く、
結果として伝える側と伝えられる側とがほぼ同じ状態になっているかどうかで決まる
→伝える人にとって一番大切なのは、伝えた人のことをきちんと見守ること
(こうしたフィードバックが教育の本質)
<第3部「伝える」編>

☆受け手が知識を欲しくなる状況をつくること、そして伝わったかどうかを見守ることが、伝える工夫よりも重要
<第3部「伝える」編>

☆経験の知識化=知識化=原因・行動・結果の一連の因果関係を簡単かつ明快な文章や図で示すこと(上位概念に登ること)
<第3部「伝える」編>

☆文章が持つ一般性+絵が持つ具体性、を合わせて伝えると効果的
<第3部「伝える」編>

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2013 6/23
失敗学、情報・メディア、コミュニケーション論、組織論、教育学、認知科学
まろまろヒット率4

田尻祐一郎 『江戸の思想史―人物・方法・連環』 中央公論新社 2011

渡邊義弘@英語で常滑の魅力を発信するFacebookページ、“Like TOKONAME”がボランティアのみなさんによって立ち上がりました☆

さて、田尻祐一郎 『江戸の思想史―人物・方法・連環』 中央公論新社 2011。

江戸時代に活躍した思想家の思想を、その時代背景と共に解説する一冊。

明治維新以前の思想は馴染みが薄いものもあるけれど、この本では江戸時代の思想家たちが取り組んだテーマは、
「人と人との繋がり」という現代にも通じるテーマだと強調している。

その上で・・・

近世社会の幕開けとともに登場した社会の性格が、劇的なまでに変わろうとしているのが今日であると私には思われる
→名前の付けられないような関係性が積極的な意味をもつようになっている
<おわりに>

・・・という結んでいるのは印象的。
読んでみると、それぞれの思想家と現代の課題との関連についてはもう少し踏み込んでもらっても良かったとは思ったけれど、
思想家たちの取り組みを愛情を持って解説している姿勢が伝わってくる思想史書。

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2013 6/17
思想史
まろまろヒット率3

永田諒一 『宗教改革の真実』 講談社 2004

渡邊義弘@全国市長会に合わせて開催された外務省レセプションの常滑市ブースをお手伝いして来ました。
(『中日新聞』朝刊・第15面 「常滑焼 世界にアピール 外相レセプションに市が『盤裁』と招き猫」)

さて、永田諒一 『宗教改革の真実』 講談社 2004。

16世紀から17世紀にヨーロッパを席巻した宗教改革は、中世から近代への社会構造の転換でもあった。
転換期に生きた一般市民の生活に社会史からアプローチしようとする一冊。

読んでみると、信仰上の理念の対立から、現実的な共存を模索していった当時の人々の悪戦苦闘ぶりが伝わってきて興味深い。

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2013 6/14
宗教、社会史
まろまろヒット率3

新潮社出版企画部 『塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック』 新潮社 2007

渡邊義弘@常滑では朝会に続いて昼会夜会も開催されつつあります。

さて、新潮社出版企画部 『塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック』 新潮社 2007。

文庫本全43巻(単行本全15巻)の『ローマ人の物語』シリーズのビジュアル総集編。
旅行記のような写真も多いけれど、巻末にある「なぜ、ローマ人は”寛容”だったのか・・・」と題する著者へのインタビューに興味を持った。
古代ローマを特徴付ける寛容(Clementia)について・・

・私がいつも、ローマ人が他の民族よりも優れていた点としてあげるのは、「自分たちの持っているものを徹底的に活用する能力」です。

・「現実主義」というのは、現実と折り合って適度に行くというんではなくて、むしろ現実と闘うことなんですよ。
 (現実主義を突き詰めていくと寛容にぶち当たる)

・・・と、インタビューの中で寛容と現実主義との関係を語っているところは印象に残った。
現実主義と寛容との関係は、自分自身も考えることがあり、参考にしたい。
(まろまろコラム『寛容のメモリ~決別のmemoryと和解の目盛~』)

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2013 6/13
歴史、政治
まろまろヒット率3

追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・

『ローマ人の物語1,2 ローマは一日にして成らず』

『ローマ人の物語3,4,5 ハンニバル戦記』

『ローマ人の物語6,7 勝者の混迷』

『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』

『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』

『ローマ人の物語14,15,16 パクス・ロマーナ』

『ローマ人の物語17,18,19,20 悪名高き皇帝たち』

『ローマ人の物語21,22,23 危機と克服』

『ローマ人の物語24,25,26 賢帝の世紀』

『ローマ人の物語27,28 すべての道はローマに通ず』

『ローマ人の物語29,30,31 終わりの始まり』

『ローマ人の物語32,33,34 迷走する帝国』

『ローマ人の物語35,36,37 最後の努力』

『ローマ人の物語38,39,40 キリストの勝利』

『ローマ人の物語41,42,43 ローマ世界の終焉』

『塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック』

星野有香 『ソーシャルメディアを仕事に活かす本 ーフェイスブック、ツイッターをもっと使いこなす85のノウハウー』 実務教育出版 2012

渡邊義弘@今週木曜日は第2回とこなめ焼協同組合ソーシャルメディア講座です。

さて、星野有香 『ソーシャルメディアを仕事に活かす本 ーフェイスブック、ツイッターをもっと使いこなす85のノウハウー』 実務教育出版 2012。

もっと使いこなすノウハウ・・・という副題だけど、有益なものはほとんど得られなかった。
(経験知と形式知の両方が貧弱)

ただ、そんな中でも・・・

○「中の人」が見えない公式アカウント=「一生懸命に個性を隠し、公式発表など無難で慎重な情報発信を繰り返す」アカウントは、「ソーシャルメディアを活用しているとはいえない」

・・・と断言しているのは、最近強く感じていたことだったので心に残った。

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2013 6/11
情報・メディア、ソーシャルメディア
まろまろヒット率1

前田めぐる 『ソーシャルメディアで伝わる文章術』 秀和システム 2013

渡邊義弘@読書日記のHP・blog関連カテゴリをSNSも追加してソーシャルメディア・カテゴリに変更しました。

さて、前田めぐる 『ソーシャルメディアで伝わる文章術』 秀和システム 2013。

コピーライターとして活躍する著者による、ソーシャルメディアでの文章作成のコツをまとめた一冊。
読んでみると、より良い書き方について使用前/使用後に分けて具体的に示しているので、総じてイメージしやすい内容になっている。
中でも・・・

○「上手い文章」より「親しまれる文章」
1:発信する本人が楽しんで書くこと
2:読む人に伝わるように書くこと

○「共感できるかどうか」が価値を決める
→体験を具体的に伝えることで、相手にイメージしてもらいやすくなる
→イメージを共有すると、共感を得られやすくなる

○それが二次情報であっても、そこに入出力が加わり、思考軸が交われば、価値に変わる

・・・などは、これまで自分が感じていたことを上手に言語化しているので有益だった。
自分の発信を振り返る上でも参考になる文章指南書。

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2013 6/9
情報・メディア、ソーシャルメディア、作文指南
まろまろヒット率3

ノブ横地 『ソーシャルメディアの流儀』 ブランポート出版局 2013

渡邊義弘@常滑市講師派遣制度を通じて、とこなめ焼協同組合ソーシャルメディア講座の講師も担当させていただいています。
(2013年5月10日 『中日新聞』朝刊・第17面 「常滑焼の良さ ネットでPR 協同組合有志”フェイスブック”講座 販売落ち込む中 発信方法を議論」)

さて、ノブ横地 『ソーシャルメディアの流儀』 ブランポート出版局 2013。

ソーシャルメディアを利活用した事例の紹介と、共通する考え方を解説する一冊。
首都圏では無く、地方の事例を取り扱っているのが特徴だけど、一つ一つの紹介が薄いので、
「結局どんなメリットがあったのか」が具体的な成果が分かりにくい。
また、共通する考え方についても、著者の抽象的なスローガンに近いものが多く、総じて具体性に欠けていた。

ただ、そんな中でも、ソーシャルメディアの・・・

発信源は個人+他人に情報発信させるメディア
<はじめに>

・・・ということを強調して・・・

共感しあえる仲間をつくって、ソーシャルメディアの情報発信を継続できる状態をつくる
<共感してもらうしくみは他人の投稿をシェアやリツイートする>

あなた自身が自分のことを情報発信するよりも、ユーザーが情報発信したくなるネタをユーザーに提供することを優先すべき
<ユーザーが求めているのは情報発信のネタ>

・・・ということの大切さを述べているのは納得できた。

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2013 6/8
情報・メディア、ソーシャルメディア
まろまろヒット率2