難波義行 『大勢のなかでも存在感が出る ひな壇芸人のトーク術』 こう書房 2012

渡邊義弘@サッカーだとFWよりもMFのポジションが自分に合っている(ナベッカム)と自己分析しています。

さて、難波義行 『大勢のなかでも存在感が出る ひな壇芸人のトーク術』 こう書房 2012。

「司会者を助けて、その場をあたため、メインを引き立て、そこそこウケる。そんな”ひな壇芸人的存在”に私はなりたい。」というキャッチフレーズに惹かれて手に取った一冊。

内容は、30人のひな壇芸人を事例に取り上げながら・・・

○<みんなが楽しい時間を過ごす>ことを目的とした、日常会話について、主に<レスポンス(人の言動への反応)>で会話に参加する方法を説明する
<会話の基本>

・・・ことを目指している。
本書の意図はとても興味深いけれど、説明と整理が冗長なので同じようなことを何度も読まされる気がする。
そんな中でも・・・

○自分が話し上手だと思っている割に、受けていない人の多くは<間>が取れていない
→聞き手が感情移入するための間の取り方が重要
<会話上手の3要素(4) 意外な芸人の、意外な笑いの取り方>

・・・と、間の重要性に注目しているのは印象的だった。

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2013 9/10
実用書
まろまろヒット率2

大向一輝・池谷瑠絵 『ウェブらしさを考える本』 丸善出版 2012

渡邊義弘@1995年4月からウェブに触れて以来、約18年のお付き合いを続けています。

さて、大向一輝・池谷瑠絵 『ウェブらしさを考える本』 丸善出版 2012。

ウェブ(World Wide Web)の歴史や、ソーシャルメディア(ブログ・SNS)の現状をひもときながら特徴を考察する一冊。
本書の結論としては、”ウェブらしさ”を5つにまとめていて・・・

☆ウェブらしさ=
1:オープンさ (未知の情報・未知の他者とのコミュニケーション)
2:他者にゆだねる (評価は他人が決める)
3:時間にゆだねる (評価はあとで決まる)
4:つながりを重視 (情報のリンク・人々のネットワーク)
5:ベストエフォート (完璧でなくとも最大限の努力をする)
<第7章 ウェブらしさのデザイン>

・・・これらは科学の方法であり、それはウェブを開発したティム・バーナーズ=リーの科学者としての姿勢が反映していることを指摘している。
また、各ウェブサービスの特徴も・・・

☆ウェブサービスの特徴=
・ブログ=ある人の時間をかけてまとめられた思考の履歴
・SNS=日常的なコミュニケーションの履歴
・BBS=人ではく場に結びつけられた履歴
→これまでのウェブはストックには向いているものの、リアルタイム性の高いフローを扱うサービスが少なかった
<第5章 リアルタイムでつながる社会>

・・・と、まとめているのも興味深く感じられた。
さらに今後の展望についても・・・

☆SNSの仕組みそのものが、過剰なまでに透明性を要求し、社会との軋轢を生み出しながら、これまでとは異なる価値観を強力に推し進めているように思える
→これは人が手持ちの情報をウェブ上に出して共有するウェブの本質そのものであり、その対象が人々の日常的な行動にまで及ぶようになったから
<第5章 リアルタイムでつながる社会>

○オープンさとクローズさとのバランスをどう取るかが課題
→バランスに唯一絶対の答えはない
<終わりにーウェブらしさのゆくえー>

・・・と言及していることも印象に残った。

分かりやすさ重視してか、やや冗長な書き方は気になったけれど、「ウェブらしさとは何か?」について正面から整理して問いかける良書。

以下は、その他にチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○手持ちの情報を出した人に対して、情報が集まっていくというコミュニケーション様式は、まさにウェブならでは
→何かを知りたいときには探しに行くのではなく、知っていることを全部公開すればよい、という逆転の流れ
<第2章 ウェブとどうつきあうか>

☆もとからコミュニケーションを始めるつもりがなかったが、後から振り返るとあたかも最初からコミュニケーションの意思があったかのように見えてしまう、というのがウェブのコミュニケーションの本質
<第2章 ウェブとどうつきあうか>

○ウェブサービスの棲み分けは、他人からの反応という本質的な気持ち良さがコミュニケーションをそういう方向に進めてしまうのが原因
→気持ち良さを重視すると、自分の言いたいことを言うという段階から、相手の反応をもらいやすいことを言うことへすり替わる
 (どんどん大喜利のような状態になっていくのは避けられない)
→そこであるときに疲れてその場所を脱出する
<第2章 ウェブとどうつきあうか>

○非常に厳しい著作権が存在している現代にあって、ウェブのようなオープンなしくみが存在しているのは、単なる偶然の産物ではなく、ティム・バーナーズ=リーの強い意思があってこそ
→その意思は間違いなく研究者倫理に根ざしたもの
<第3章 ウェブはつくられたもの>

○無限ともいえる情報量を持つウェブのなかで、ほぼ唯一の希少資源と呼べるのが人間のアテンション(注目)
→この概念の前で人々が右往左往しているのが現在のウェブの姿
<第4章 情報の発見と発信>

○自分の多面性を表現したり、知人の意外な一面を理解出来るような環境でのコミュニケーションの面白さ・意外性が、SNSを拡大させてきた大きな要因
<第5章 リアルタイムでつながる社会>

○何かの合間に時々サイトに見に行くというのではなく、SNSからの情報が常にざわざわと聞こえてくる環境音のようなものになってきている
<第6章 リアルな共有体験>

○ウェブ上のコミュニケーションを見渡してみれば、未知なるものに言葉を投げかけて、言ったことの価値は後から決まるという流れ
<第7章 ウェブらしさのデザイン>

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2013 8/30
ウェブ、情報メディア、ソーシャルメディア
まろまろヒット率4

栗原隆 『共感と感応』 東北大学出版会 2011

渡邊義弘@「共感とは何か?」を最近のキーワードにしています。

さて、栗原隆 『共感と感応』 東北大学出版会 2011。

哲学や文化論、美術史などの人文学(人間学)のアプローチから「共感」と「感応」について14本の論文を、
1:共感する心、2:感応する身体、3:共鳴する空間、融合する地平、4:表現学への回廊、の4部構成で集めた論文集。

人文学に共通した性格として、雲を掴むような内容もあったけれど、「共感」と「感応」がどのような位置づけで議論されていたのかを知ることができる一冊。

以下はチェックした箇所・・・

☆類的存在の宿命=個がバラバラでは類は存在しないが、逆に個体の差違が皆無なら別の個体となる
→人類もまた類的存在である限り、完全な孤立も完全な画一化もその本質に背く
→共感は、孤立と画一化の狭間を遊動する私たち自身が、他者と結びつく紐帯一つの基礎をなしている
<1 共感のクオリア>

○事物の物語化はそのまま虚構化ではなく、直接認識の出来ない事物を、人々の共通の認識・知識として現実の中に位置づけること
→物語が権威づけられ、現実認識の一領域として受け容れられていた
<7 幽霊の表象に見る近世の身体性>

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2013 8/28
哲学、美学、文学、人間学
まろまろヒット率3

牧山桂子・野中昭夫(写真) 『白洲次郎・正子の食卓』 新潮社 2007

渡邊義弘@公的な仕事に就いてから白洲次郎と自分がキャラかぶりしているこを感じます。

さて、牧山桂子・野中昭夫(写真) 『白洲次郎・正子の食卓』 新潮社 2007。

白洲次郎・正子夫妻の食卓に並んだ料理を、長女である著者が紹介する一冊。
料理写真には白洲正子が収集した白洲邸(武相荘)所蔵の器が使われているのが特徴で、白洲家の食卓にまつわるエピソードも織り込まれている。

中でも白洲次郎が好きだったという”LEA AND PERRINS”のウスターソースに興味を持ち、入手してみようと思った。

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2013 8/27
料理本
まろまろヒット率3

追記:”LEA AND PERRINS”のウスターソースを購入して調理。
(Principle卵かけごはんPrinciple Eggなど)

中島有香 『冷凍うどんで極うまレシピ』 家の光協会 2010

渡邊義弘@うどんは「まろまろ記」の中に専用カテゴリを設けているくらい好きです。

さて、中島有香 『冷凍うどんで極うまレシピ』 家の光協会 2010。

冷凍うどんは、美味しさ・手軽さ・値段から、一人暮らしの強い味方。
その冷凍うどんのレシピを77種類紹介している料理本。

中でも明太子うどん、しょうゆ卵うどんは試してみようと思った。

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2013 8/26
料理本
まろまろヒット率3

追記:この本を参考に明太子うどんしょうゆ卵うどんを作る。

増田直紀 『私たちはどうつながっているのか―ネットワークの科学を応用する』 中央公論新社 2007

渡邊義弘@明日からは第47回常滑焼まつりです☆

さて、増田直紀 『私たちはどうつながっているのか―ネットワークの科学を応用する』 中央公論新社 2007。

6次の隔たり、スモールワールド、クラスター、スケールフリー、などのネットワーク科学の基礎を押さえながら、社会への応用も提案する一冊。

特に興味を持ったのは・・・

○安心に頼りすぎると、自分のコミュニティの枠を超えた出会いと一般信頼の醸成は阻害される
→一般信頼がない社会は、自分と異なるコミュニティとの情報交換がないネットワーク、つまり近道のないネットワーク
(6次の隔たりが実現できていない)
<第3章 6次の隔たりを使う>

・・・として安心(クラスター)のメリットだけでなくデメリットを指摘しているところだ。
その上で・・

☆スモールワールド・ネットワークを活用するには、6次の隔たり(情報)とクラスター(安心)の両方のバランスが必要
<第4章 クラスターを使う>

・・・と提案しているのは、かけ橋(bridging)と結束(bonding)の両方の面を強調する社会関係資本論と合致するものとして興味深かった。
(参考リンク:稲葉陽二 『ソーシャル・キャピタル入門 - 孤立から絆へ』 中央公論新社 2011)
ネットワーク科学の社会科学への貢献に可能性を感じさせてくれる本でもある。

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2013 8/23
ネットワーク科学、社会学
まろまろヒット率3

堤未果 『社会の真実の見つけかた』 岩波書店 2011

渡邊義弘@最近「Facebookのプロフィール写真とちょっと違う」と指摘されたのでウォーキングして引き締めています。

さて、堤未果 『社会の真実の見つけかた』 岩波書店 2011。

同じ著者の『ルポ 貧困大国アメリカ』が基本になっているので、紙面の多くがアメリカのルポタージュに割かれていて、
タイトルの「社会の真実の見つけかた」より、「アメリカ社会の現状」という方が内容に近い。
題名と内容の一致は書き手と読み手との間の信頼関係に大きく影響するということを思い出させられた一冊でもある。

以下は、そんな中でもチェックした箇所・・・

○新聞は社名ではなく記者を、テレビであればディレクターの名前をよく覚えておこう
<第3章 メディアがみせるイメージはウソ?ホント?>

○絶対的な善と悪というモノサシでわけるようになっていることに気がついたら、チェックすべきは自分のメガネの方
<第3章 メディアがみせるイメージはウソ?ホント?>

○誰かが差し出してくれる情報にばかり頼っていると、いつの間にかフェイク(虚像)をつかまされてしまう
<第3章 メディアがみせるイメージはウソ?ホント?>

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2013 8/21
情報リテラシー、メディア論
まろまろヒット率2

坂井修一 『知っておきたい 情報社会の安全知識』 岩波書店 2010

渡邊義弘@石垣市立図書館ソーシャルメディア講習会の講師をさせていただきました。

さて、坂井修一 『知っておきたい 情報社会の安全知識』 岩波書店 2010。

情報社会における危険性と安全知識を解説する情報セキュリティ本。
内容は・・・

○すべての物事を数として表現するのが、ITの本質
→「データ」だけでなく、「手順」にディジタルな表現を与え、これを処理できるようにしたことが、コンピュータの本質
→処理の万能性、変更の容易さと自由度がコンピュータをコンピュータたらしめている
<第2章 情報社会で何が起こっているのか>

○ITを介したコミュニケーションの注意点=
1:未知の相手に接するときは、相手が悪意をもっているかもしれないと想定すること
2:既知の相手に接するときは、面と向かって話をしているつもりになること
3:情報のやりとりには、第三者がのぞき見や改ざんをする可能性があることをを頭に入れておくこと
<第3章 どんな安全対策をとればいいのだろう>

・・・として、情報通信技術の特徴やそれを使う上での注意点をまとめている。
中でも印象深かったのは、ドストエフスキーの『悪霊』を引用しながら・・・

☆人のもつ負の面を理解することは、目の前に見えない相手と向き合うことが多い情報社会では、実に大事なこと
→情報社会の安全・安心の基盤には、必ず人間とは何か、社会の幸せとは何かを問うことが必要
<第3章 どんな安全対策をとればいいのだろう>

・・・と、マイナス面も含めた人間の理解の重要性を唱えているところだ。
総じて無難な内容の中に、著者の哲学がかいま見えたようで興味深かった。

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2013 8/21
情報セキュリティ、情報リテラシー
まろまろヒット率3

尾木直樹 『「ケータイ時代」を生きるきみへ』 岩波書店 2009

渡邊義弘@今年も東北に訪問させていただきました。
(東北行脚、三たび)

さて、尾木直樹 『「ケータイ時代」を生きるきみへ』 岩波書店 2009。

中高生によるケータイ(携帯電話)利用について、3000人アンケート調査を基に分析し、
あるべきケータイ利用のあり方について考察する一冊。

著者(通称:尾木ママ)は20年以上教員を続けていたこともあり、「(中高生の)きみたちへ」という語り口と、
「ケータイの一律禁止は無責任」とする姿勢が明確に示されているのが特徴。
特に「依存せざるを得ないような生活の背景こそ一番の問題」として・・・

1:子ども参加で問題解決を目指す
2:優れた実践に学ぶ
3:前提としている生活を充実させる

・・・という提言につなげている。

ただ、著者の思いや恣意性も強く、自主性や個性を重んじながらも、結局は大人が望む方向に誘導していく。
そんな”教育”という行為が本質的に持つ妖しさを感じる本でもある。

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2013 8/20
情報リテラシー、教育
まろまろヒット率2

池上俊一 『パスタでたどるイタリア史』 岩波書店 2011

渡邊義弘@自炊はパスタが多いです。
(まろまろレシピ)

さて、池上俊一 『パスタでたどるイタリア史』 岩波書店 2011。

パスタ(pasta)を軸にイタリアの歴史をたどっていく食文化史の本。
イスラーム文化圏との交流でもたらされた乾燥パスタ、アメリカ大陸の食材として導入されたトマトやジャガイモなど、
交易の基点となったイタリア半島の歴史の中でパスタ文化が育まれて来たことが強調されている。

特に、イタリア統一の中で”イタリア料理”が形成され、その中でも・・・

○トマトとジャガイモ、この二つの素材は、特定の「地方」に結びつかない外来物だからこそ、
普遍的な「イタリア料理」のシンボル的役割を果たしたともいえる
<第4章 地方の名物パスタと国家形成>

・・・として、外来物であるトマトとジャガイモの果たした歴史的役割に注目しているのには興味を持った。
また、イタリア料理の特徴を・・・

○貴族と農民、双方の経験・価値観の寄与があるというところが、
フランス料理などど異なる、大きな特色であり、また長所
<第4章 地方の名物パスタと国家形成>

・・・と解説しているのは、イタリア料理の親しみやすさの面に対する答えとして納得するものがあった。

パスタの歴史的な深みを感じられる一冊。

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2013 8/17
イタリア史、食文化史
まろまろヒット率3