フランス・ドゥ・ヴァール、柴田裕之訳 『共感の時代へ―動物行動学が教えてくれること』 紀伊國屋書店 2010

渡邊義弘@常滑市情報政策担当員の講師派遣制度の第2号として、JAあいち知多女性部(ぷちとまくらぶ)ソーシャルメディア講座の講師をつとめさせていただきました。

さて、フランス・ドゥ・ヴァール、柴田裕之訳 『共感の時代へ―動物行動学が教えてくれること』 紀伊國屋書店 2010。

「弱肉強食」や『利己的な遺伝子』という言葉が多用(+誤用)されるように、あたかも自然界では競争や闘争が支配しているように認識されることが多い。
動物行動学、特に霊長類の研究成果から、その認識に異議を唱え、自然界では協力が重要であり、それを支える共感(empathy)が人類の本能として備わっていることを解説する一冊。
原題は、“The Age of Empathy: Nature’s Lessons for a Kinder Society” (2009)。

振り返ってみると、情報政策を担う中で「共感」が重要なキーワードとなっていることを確認する機会が多い。
この本で紹介されている豊富な事例や実験結果は、その「共感」とは何か?ということを考える上で参考になった。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)・・・

○共感と同情の違い
・共感=他者について情報を集めるプロセス
・同情=他者に対する気遣い&他者の境遇を改善したいという願望の反映
<第4章 他者の身になる>

○共感と同情の領域では、私たちの直接の利益がかかっていようがいまいが働く独立型のメカニズムが、進化によって創り出された
<第6章 公平にやろう>

○共感の階層構造=状態の符号(情動伝染)<他者への気遣い(慰め)<視点取得(対象に合わせた援助)
<第7章 歪んだ木材>

☆共感は、内輪の協力を促すために進化したので、近さや類似性や馴染み深さの上に成り立っている
→共感と資源の公平な分配=社会的協調とが相まって、人間という種は平等と団結を重視する小規模な社会へ向かって進化した
<第7章 歪んだ木材>

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2013 7/16
動物行動学、進化心理学、進化論、心理学、コミュニケーション論
まろまろヒット率4

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