特命係長プレイがきっかけでツイ飲み(Twitter 飲み会)に参加させていただいたので、
ようやくTwitterの使い方が分かりつつある、まろまろです。
さて、『影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか』ロバート・B・チャルディーニ著、社会行動研究会訳(誠信書房)2007。
人間が無意識のうちに影響されてしまう心理メカニズムについて、
社会心理学の実証実験や事例研究から科学的にアプローチする一冊。
原題は、“Influence: Science and Practice. 4th Ed.”(2001)。
内容は、人間には自動的に承諾する心理メカニズムがあることを「影響力の武器」(第1章)で述べた後に、
承諾を導く影響力の典型として。「返報性」(第2章)、「コミットメントと一貫性」(第3章)、
「社会的証明」(第4章)、「好意」(第5章)、「権威」(第6章)、「希少性」(第7章)の6つを詳細に解説。
そして、このような自動的な影響力は情報化社会においてはますます重要になってくることを、
「手っとり早い影響力」(第8章)でまとめる、という構成になっている。
読んでいて印象的だったのは、様々な心理実験の結果を通じて共通しているのは、
人間は自分が影響力を受けていることを過小評価する傾向があるという点だ。
だからこそ、この本で解説されている6つの影響力の武器は強力なものであり、
気をつけなくてはいけないものであるということが説得力を持って伝わってくる。
もちろん、こうした影響力の武器はそれ自体は決して不当なものではない。
ただし、それをねつ造したり、過剰に振りかざされたりすることが問題であり、
不当な承諾や集団の悲劇はこれらの影響力の武器の乱用にあることが強調されている。
それだけに、それぞれの項目の後に「防衛法」と「まとめ」があるのは読んでいて少しホッとした。
この本は、人間の心理はいかに生々しいものであるかについて科学的に解説した本なので、
読んでいて『カリスマ―出会いのエロティシズム』と同じようなインパクトを感じた。
読み物としての迫力は『カリスマ―出会いのエロティシズム』の方があるけれど、
こちらはその分、日常の中にある無意識な人間心理の原理に気付かせてくれる。
自分が不当な影響力を受けないため、そして自分も不当な影響力を与えないため、
という実用性の面でも一読の価値がある本。
以下はチェックした個所・・・
(一部要約含む、「→」はまろまろコメント)
○実際、人間の行動の多くは自動的、紋切り型のものです。
なぜなら、たいていの場合、それが最も効率的な行動の形態であり、
また、場合によってはそうすることが必要でさえあるからです。
<第1章:影響力の武器>
○返報性のルールの本質を構成するのはお返しをする義務ですが、
このルールを自分の利益のために利用することを容易にしているのは、受け取る義務の方です。
この義務があるために、私たちは恩義を感じる相手を必ずしも自分で選ぶことができませんし、
そのルールの力を他者に委ねることにもなります。
<第2章:返報性>
○心のなかの不快感と恥をかくかもしれないという危険性、この二つが組み合わされると、
とても大きな心理的負担が産み出されます。
こうした負担という観点から考えれば、返報性の名のもとに、
受け取ったもの以上ののものを私たちが返そうとするのも、さほど不思議なことではありません。
<第2章:返報性>
☆返報性のルールを使って私たちの承諾を得ようとする人に対する最善の防衛法は、
他者の最初の申し出を常に拒否してしまうことではない。
むしろ、最初の行為や譲歩は誠意をもって受け入れ、後でトリックだとわかった時点で、
それをトリックと再定義できるようにしておくことである。
<第2章:返報性>
→気をつけたいところ。
☆実際、私たちは皆、自分の行為や決定と一貫した思考や信念を持ち続けようとして、
自分自身をだますことがしばしばあります。(中略)
一貫していたい(一貫していると見てもらいたい)というこの欲求は、
しばしば自分の本当の利益とは明らかに反するような行動に私たちを駆り立てます。
したがって、これは社会的影響力のとても強力な武器として使えるものなのです。
<第3章:コミットメントと一貫性>
→現状維持の言い訳と足踏みの自己肯定は飲み屋でよく目撃する。
○自分自身の信念や価値や態度についての主要な情報源は自分の行動なのです。
<第3章:コミットメントと一貫性>
☆行動を含むコミットメントをしてしまうと、自己イメージには二つの面から一貫性圧力がかかります。
中からは、自己イメージを行動に合わせようとする圧力がかかります。
そして外からは、もっとも秘かな圧力ー他者が自分に対して抱いているイメージに、
自己イメージを合わせようとする傾向ーがかかるのです。
<第3章:コミットメントと一貫性>
○パブリック・コメント方略は、プライドが高い人、あるいては公的自意識が高い人に特に有効なようである。
ex.シャルル・ド・ゴールの禁煙のセリフ、「ド・ゴールは自分の言葉を裏切ることができないのだ」
<第3章:コミットメントと一貫性>
☆多くの場合、人は自分がしたコミットメントについて、それが正しいということを示す新しい理由や正当化を付け加えるのである。
その結果、コミットメインとを生み出した状況が変化したずっと後でも、そのコミットメントの効力が持続することになる。
(ローボール・テクニック)
<第3章:コミットメントと一貫性>
○(一貫性圧力に対しての防御法は)「今知っていることはそのままにして時間を遡ることができたら、
同じコミットメントをするだろうか」という厄介な質問を自分自身に問いかけなくてはならない。
そのとき、焼くにたつ答えをもたらしてくれるのは、最初に沸き上がってきた感情である。
<第3章:コミットメントと一貫性>
→気をつけたいところ。
○(人類滅亡などの終末の予言がはずれた教団がより強固なものになることがある理由について)
それを正しいと思う人が多ければ多いほど、人はその考えを正しいと見ることになるのです。(中略)
物理的証拠は変えられなかったので、社会的証拠を変えねばならかったから。
<第4章:社会的証明>
☆改宗者を求めたいという気持ち(社会的証明)に火についたのは、自分たちの確信がぐらついたときでした。
一般に、自分自身に確信が持てないとき、状況の意味が不明確あるいは曖昧なとき、
そして不確かさが蔓延しているときに、私たちは他者の行動を正しいものと期待し、またそれを、受容する。
<第4章:社会的証明>
→「みんな」という言葉が好きな日本人は、この社会的証明に影響される傾向が強いように感じる。
☆人が集団になると援助をしなくなるのは、彼らが不親切だからではなく、確信がもてないからだということを認識することです。
<第4章:社会的証明>
☆一般的に言って、緊急援助が必要な場合の最善の方略は、あなたの状況と、周囲の人たちの責任に関する不確かさを低減することです。
助けが必要であることを、できるだけ正確に言いましょう。傍観者が、一人で結論を出すようにさせてはいけません。
特に群衆のなかでは、社会的証明の原理とそこから生じる集団的無知の効果によって、
あなたのおかれている状況が緊急事態ではないと見られてしまうかもしれないからです。
<第4章:社会的証明>
→気をつけたいところ。
☆最も影響力のあるリーダーというのは、社会的証明の原理が自分に有利に働くようにするためには
集団の状況をどう整えればよいのかを知っている人なのです。
<第4章:社会的証明>
→その通りだから、よい結果を導かなくてはいけない。リーダーは結果責任を問われる。
○(アシモフの言葉)人は自分と同じ性別、同じ文化、同じ地方の人を応援する・・・
その人が証明したいと思っているのは、自分が他の人より優っているということなのである。
応援する相手が誰であれ、その相手は自分の代理にになる。
そして、その人が勝つということは自分が勝つことと同じなのである。
<第5章:好意>
→確かに阪神タイガースや浦和レッズ、バルセロナなどの熱狂的ファンはコンプレックスが原動力になっているように感じる。
☆栄光の反映に浴したいとする気持ち(栄光浴)が強い人たちの特徴は、
背後にパーソナリティの脆弱さが隠されている人たちです。
つまり、否定的な自己概念をもっている人びとなのです。
こころの深層に、自分は価値が低い人間だという気持ちがあるため、
自分自身の業績を高めて名声を得るのではなく、
他者の業績との結びつきを形成し、それを強めることによって名声を得ようとしているのです。
<第5章:好意>
→○○と知り合い自慢がみすぼらしいのは、言っている本人の痛々しさが伝わってくるから。
痛いものコレクターなので嫌いというわけではないけれど(w
○ある状況で要請者に尋常でない好意を感じたら、その社会的相互作用から一歩退き、
要請者とその申し出の内容を心のなかで区別し、申し出のメリットだけを考えて決定を下さなければならない。
<第5章:好意>
→気をつけたいところ。
○「この権威者は本当に専門家なのか」、「この専門家はどの程度誠実だとかんがえられるか」。
この二つの質問を発することによって、権威者の影響力による有害な効果から自分自身を守ることができる。
<第6章:権威>
→気をつけたいところ。
○希少性の喜びは希少な品を体験することにあるのではなく、それを所有することにあるのです。
この二つを混同しないことが大切なのです。
希少性が高いものが、なかなか手に入りにくいという理由だけで美味しくなったり、感じが良くなったり、
音がよくなったり、乗り心地がよくなったり、よく動くようになったりすることはないのだ、
ということを決して忘れてはいけません。
<第7章:希少性>
→気をつけたいところ。
○希少性の原理は、二つの最適条件のもとで最もよく適応できると思われる。
第一にそれが新たに希少なものとなったときに一層高まる。
第二に、他人と競い合っているときに、希少性の高い物に最も引きつけられる。
<第7章:希少性>
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2010 11/1
社会心理学、心理学、社会学、コミュニケーション論、実用書
まろまろヒット率5