松村劭 『名将たちの戦争学』 文藝春秋 2001

まろまろ@世界遺産の中で唯一実際に入ることができる、湯の峰温泉つぼ湯に入ってきました(^^)v

さて、『名将たちの戦争学』松村劭著(文藝春秋)2001。

古今東西の名将たちが残した名言を紹介しながら、統率・戦略・戦術について述べる一冊。
タイトルは戦争学だけど、単純に名言集としても読むことができる。

たとえば、一番心に残ったビザンツ帝国の皇帝マリウス(マウリキウス)の言葉・・・
「1:広く何をなすべきかを聞き、2:少数の賢者の助言を得て、3:最良の策を一人で決定し、4:それにこだわるべし」。

また、プロイセンのフレデリック大王(フリードリッヒ2世)の言葉・・・
「本当に知恵がある男は一番大事なことだを掌握しようとするが、小心で知恵のまわる将軍は、すべてを掌握しようとする。
そして何がもっとも重要なのかを見落とし、ちょっとした事件や失敗で目に角を立てるのだ。
『すべてを守るものは、すべてを失う』という古い格言がある。
ささいな事柄は犠牲にして、本質を追え!」。
・・・など、今の自分の心情的にグッとくるものもあった。

ただ、採用する名将たちが偏っている気もしたし、巻末には参考文献も載せてほしかった。
(人名の多くは全員英語読みなので一瞬「誰?」と思うのもあった)

以下はその他にチェックした箇所・・・

☆半リットルの汗は、5リットルの血を節約する
<パットン>

☆将軍は決して「まさか!」というな
<マリウス>

☆危険があるところ、栄光あり
<ナポレオン>

○目標の原則は、戦いの原則の中で最も重要である(中略)
この原則だけが指揮官に「何を」を与え、他の原則は「如何に」を与えるからである
<C.R.ブラウン>

○重要な時機と場所で、戦闘力の優越を得よ(中略)
一つの作戦線に沿って、一団となって機動せよ
<ナポレオン>

○戦闘は防御に始まり、攻撃で終わる
その逆は敗北である
<クラウゼビッツ>

○防御の本質は、敵の打撃を受け止めるのではなく、受け流すことだ
<クラウゼビッツ>

この本をamazonで見ちゃう

2007 8/12
戦略論、名言集
まろまろヒット率3

村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル』 新潮社 全三巻 1997

三十路過ぎの男二人でUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)に行くということをしてしまった、
まろまろ@半分仕事とは言えまさに痛いものコレクター(>_< ) さて、『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹著(新潮社)全三巻1997。 世田谷の一軒家に住む"僕"は夫婦で猫を飼っていた。 その猫が突然いなくなったことをきっかけに、これまでの日常が軋みを立てて崩れていく・・・ 第1部:泥棒かささぎ編
第2部:予言する鳥編
第3部:鳥刺し男編
・・・の全三巻から成る長編小説。

村上春樹ファンの友人から最高傑作として薦められて読んでみると、
不思議な登場人物たち、不合理な展開に”僕”が流されてゆく様子が詳細にえがかれている。
翻弄されながらも糸口を掴んでいく主人公をどうとらえるかで読み方に違いがでる作品。

ちなみにこの本は四国を旅したときも持って行った本だけど、
瀬戸内海の海岸を通って朝焼けに照らされるさわやかな予讃線の車内で、
たまたま残忍なシーンを読んでしまってブルーになってしまった(>_< ) この本をamazonで見ちゃう

2007 8/8
小説
まろまろヒット率3

白石一郎 『海のサムライたち』 文藝春秋  2004

新システム;WordPressME2.2.1でmaromaro.comをカスタマイズ中のまろまろです。

さてさて、『海のサムライ』白石一郎著(文藝春秋)2004。

海洋歴史小説で有名な著者による、海に生きた武士たちの列伝。
もともと海を舞台にした人々は、残っている資料が少ない。
この本で取り上げられている九鬼嘉隆や小西行長などの大名クラスでも、よく分からない点が多い。
そんな中で、できるだけ資料を元にして海に生きた武士たちにスポットを当てている一冊。

読んでみると、日本の海上交通の中心となる瀬戸内海で活躍した武士たちだけでなく、
タイの王族になった山田長政や明の再興に賭けた鄭成功なども取り上げられている。
特に徳川家康の外交顧問として旗本になった三浦按針(ウィリアム・アダムス)の数奇な人生に興味を持った。

この本をamazonで見ちゃう

2007 8/4
歴史、海洋・海賊もの
まろまろヒット率3

童門冬二 『家康に訊け!―人情通だからできた「非情の経営」』 祥伝社 1999

関西滞在中に温泉をめぐろうかと思っている、まろまろ@オススメ温泉情報募集中です(^_^)v

さて、『家康に訊け!―人情通だからできた「非情の経営」』童門冬二著(祥伝社)1999。

「小さい善は大悪に似て、大善は非情に似たり」という言葉があるように、
江戸幕府を開いた徳川家康の非情の手法を取り上げた一冊。

実際の内容は、非情な部分に注目すると言いながら、妙に二代目秀忠の温情面を評価したり、
言いたいことがよく分からない部分があったりと主題がブレているような気がした。

ただ、一点。
徳川家康は苦労人だったけれど、苦労自慢しなかったこと=社会への対抗要件にしなかった、ということが印象に残った。
確かに苦労をしたからといって、世の中にお返しを求める気持ちは眼を曇らせてしまうのだろう。
人生はディズニーランドではないのだから(^_-)

この本をamazonで見ちゃう

2007 8/3
歴史
まろまろヒット率2

司馬遼太郎 『関ヶ原』 新潮社 上中下巻 1974(改版)

サイト開設6周年をむかえた、まろまろ@ご愛好ありがとうございます(^_-)
サイト表示エラーもサーバとシステムを両方引越して復旧しましたので、
これからもmaromaro.comをどうぞよろしくお願いします(^_^)v

さてさて、『関ヶ原』司馬遼太郎著(新潮社)上中下巻1974(改版)。

関ヶ原の戦いの主役である石田三成(豊臣方)と徳川家康(徳川方)の二人を中心にして、
天下分け目の戦いに関わるさまざまな群像劇をえがいた歴史小説。

読んでみると、石田三成と徳川家康のつばぜり合いの中で、後先考えない追随や日和見、および腰など、
確たる思想も政略もなく付和雷同する大名たちの悲喜劇こもごもが表現されている。

ただ、物語としては淡々としていて大きな盛り上がりに欠けるように思えた。
ひとつは関ヶ原の戦いは戦闘よりもそれに到るまでの政治劇の側面が強いということ、
そしてもう一つは司馬作品の中で重要な位置を占める「愛嬌」の要素が少ないからだろう。
石田三成も徳川家康も愛嬌のある人間ではないという風にえがかれているので、
著者が一番得意とする「愛嬌」の部分に注目する機会が少なかったのだろうと感じた。

そんな中でも、第三勢力を目指して九州で策動した黒田如水が印象深い。
特に物語の終盤で、彼が「義・不義は事をおこす名目にはなっても、世を動かす原理にはならない」と述懐するのが印象深かった。
この義の部分をモラルや夢、平等などに置き換えても通じるだろう。
綺麗な言葉は事をおこす名目になっても、世を動かす原理にはならないのかもしれない。

この本をamazonで見ちゃう

2007 7/21
歴史小説
まろまろヒット率3

ポール・フライシュマン&バグラム・イバトゥリーン、藤本朝巳訳 『おとうさんの庭』 岩波書店 2006

まろまろ@最近、MovableTypeの調子が悪くて時々見えにくい時もありますが許してね(^^;

さて、『おとうさんの庭』ポール・フライシュマン文、バグラム・イバトゥリーン絵、藤本朝巳訳(岩波書店)2006。

農夫のお父さんと三人の息子は、いつも歌をうたいながら暮らしてた。
ところが日照り続きで田畑も家畜も失ってしまう。
そんな中で、庭の「生け垣」が心の支えとなり、息子たちの旅立ちのきっかけとなる・・・

原題は”The Animal Hedge”。
逆境でも希望を失わない話、子供たちの巣立ちの話などの読み方ができる絵本だけど、
僕は日本ではあまり馴染みがない生け垣(いけがき)の大切さを感じさせる一冊として読めた。

この本をamazonで見ちゃう

2007 7/12
絵本
まろまろヒット率3
絵本

大友克洋 『童夢』 双葉社 1983

8月16日から22日まで学会発表で北海道にいくことになった、まろまろ@北海道のオススメ情報募集中です(^^)v

さて、『童夢』大友克洋著(双葉社)1983。

ある団地の敷地内で、短期間のうちに変死体事件が連続発生した。
捜査の中で浮かび上がった容疑者は意外な人物だった・・・

1980年代初頭の集合団地を舞台に、日常と恐怖の対比を鮮明にえがいた大友克洋の作品。
時代性が先鋭的だけでなく、大友克洋の最高傑作だと友人が貸してくれた一冊。

読んでみると絵や構成の迫力はもちろん、終盤の崩壊の中で団地住民たちの人生が交差する模様の悲しさが印象的な作品。
映像化を求める声が強いというのも納得。

この本をamazonで見ちゃう

2007 7/10
マンガ本
まろまろヒット率3

ジョン・シェスカ&レイン・スミス、いくしまさちこ訳 『三びきのコブタのほんとうの話―A.ウルフ談』 岩波書店 1991

リクエストにお応えしてごはん日記の中に「ボリューミー」カテゴリを創設した、まろまろです。

さて、『三びきのコブタのほんとうの話―A.ウルフ談』ジョン・シェスカ文、レイン・スミス絵、いくしまさちこ訳(岩波書店)1991。

童話『3びきのこぶた』は、悪役のオオカミの方から見ればどうなるのか?
3匹の子ぶたの兄弟を襲ったとされる、狼A.ウルフの言い分をえがいた絵本。

誰もが知っている話の別の視点からの物語として楽しみに手に取ったけれど、
オオカミの言い分や話の流れが不自然に感じてしまうところが多々あってしっくりこなかった。
読み終えた時に、「もっとオオカミを弁護してあげてよ」と作者に突っ込みそうになった一冊w

この本をamazonで見ちゃう

2007 7/8
絵本
まろまろヒット率2
絵本

バーナディット・ワッツ、相良守峯訳 『ラプンツェル』 岩波書店 1985

文京区友の会のポタオフにて、羊羹をカステラで挟んだ「シベリヤ・ケーキ」というものをはじめて知った、まろまろです。

さて、『ラプンツェル』 バーナディット・ワッツ著、相良守峯訳(岩波書店)1985。

ある夫婦が魔女の庭にはえたラプンツェルを好きなだけ食べる代わりに、生まれた子供を魔女に渡すという約束をする。
生まれた子供はラプンツェルと名付けられて、魔女によって塔の中に囲われて育てられる。
髪が長く、美しい女性になったラプンツェルの運命は、王子と出会ったことによって大きく動いてゆく・・・

グリム童話の「ラプンツェル」を絵本化したもの。
昔は「髪長姫」と訳されていたこともあったらしいけど、話の流れを知らなかったので手に取った一冊。

読んでみると、物語の神秘的な流れと、結末のハッピーエンドが印象に残った。
突っ込みどころ満載でも決して突っ込んではいけないのが絵本や寓話を読む上でのルールだけど、
それでも思わず突っ込んでしまいそうになるほど、この物語の結末には力強さを感じた(w
この物語がいろいろな作品に影響を与えているのも、ある意味でうなずける。
(オリジナルもディズニーによる映画化も決定している)

ちなみにラプンツェル(Rapunzel)はチシャと訳されることが多いけれど、
実はキク科のレタスであるチシャではなく、オミナエシ科のノヂシャでかなり違うものらしい。
一度食べてみたいですな。

この本をamazonで見ちゃう

2007 6/29
絵本
まろまろヒット率3
絵本

川上弘美 『センセイの鞄』 文藝春秋 2004

まろまろごはん日記の中にパン・カテゴリを新しくつくった、まろまろ@オススメのパン情報募集中です(^_^)v

さて、『センセイの鞄』川上弘美著(文藝春秋)2004。

40に手が届く独身の月子は、居酒屋で高校時代のセンセイと再会する。
お互いの距離感をたもちながら二人は同じ時間を重ねていく・・・

センセイの落ち着き払った応答と、月子のおちゃめな行動とのギャップが笑えて泣ける恋愛小説。
独特のリズムで進んでいく物語の中には、読んでいて切なくなる箇所もいくつかあった。

また・・・
「いっぽうのわたしは、たぶん、いまだにきちんとした大人になっていない。
小学校のころ、わたしはずいぶんと大人だった。
しかし中学、高校と時間が進むにつれて、はんたいに大人でなくなっていった。
さらに時間がたつと、すっかり子供じみた人間になってしまった。
時間と仲よくできない質なのかもしれない」・・・という箇所は妙に印象に残った。

結末も完全に読めるのに、それでも余韻が残る一冊。

この本をamazonで見ちゃう

2007 6/28
小説
まろまろヒット率3