心屋仁之助・横山裕二 『人間関係や仕事、恋にも有効! マンガで学ぶ 心屋仁之助の「非常識」でコミュニケーションはラクになる』 KADOKAWA/メディアファクトリー 2014

渡邊義弘@常滑市情報政策担当員を任期満了で退職しました。

さて、心屋仁之助・横山裕二 『人間関係や仕事、恋にも有効! マンガで学ぶ 心屋仁之助の「非常識」でコミュニケーションはラクになる』 KADOKAWA/メディアファクトリー 2014。

テクニックやコツではなく、「常識」として固定観念になっていることを解きほぐすことで、コミュニケーションを円滑にすることを提案する一冊。
特に心に響いたのは、「”褒める力”が欲しいならばまずは”褒められ力”を鍛える」(非常識発想4)というところだ。
照れ屋なので褒められることを自然に受け入れられるようにしたいと感じた。
また、「”報われない”から卒業すると自然と大きな結果がついてくる」(非常識発想7)というところも心に残った。

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2016 4/21
心理学、コミュニケーション論、実用書、マンガ本
まろまろヒット率3

常滑市情報政策担当員を退任する

常滑市情報政策担当員を任期満了で退任する。
前職の松阪市情報政策担当官に続いて、市民と行政、市民と市民、地域の内と外との間に「情報のかけ橋」を構築するというテーマで取り組んできた常滑市での社会貢献に一つの区切りが付いた。

業務としては情報政策の基本である行政での制度の設計や調整に加えて、地域情報化の支援として研修やコンサルティングをさせていただく機会が多かった。
特に、病院、消防、警察などの地域の安全・安心に直結する団体のみなさんへの研修や情報化の支援をさせていただいたことは、情報政策を「ソフトのインフラ」として位置づける意義をあらためて確認することになった。
さらに、とこなめ焼協同組合やJAあいち知多女性部など、常滑市の地域に特徴的な団体のみなさんとご一緒にお仕事をさせいいただいたことも、その地域ならではの社会貢献にやりがいを感じた。

また、情報政策担当者の立場に加えて学識経験者として産学官連携事業の「りんくうつながるプロジェクト」に貢献させていただいたことは、大学院の頃に取り組んだ「地域と大学のかけ橋」の知見と手法を活用することができた。

このような業務は、結果的に新聞記事などのメディア掲載回数は平成25年度は過去最高の23回を記録して、地域の方々の理解と応援をいただくことになった。

その一方で、体調を崩し、人権の大切さを痛感する機会ともなった。
良い経験もそうでない経験も、次に活かして、より良い社会にしていくことで、常滑市でお世話になったみなさんへのご恩返しをしていきたい。

以下、常滑市情報政策担当官の業務に直結した出来事メモ一覧・・・
(報道歴はメディア掲載歴へ)

常滑市情報政策担当員に就任する

とこなめ焼協同組合「ソーシャルメディア講座」の講師をつとめる

JAあいち知多女性部「ソーシャルメディア講習会」の講師をつとめる

常滑市民病院「ソーシャルメディア講座」の講師をつとめる

知多市・常滑市合同新規採用職員後期研修「自治体職員のための情報活用術」の講師をつとめる

常滑市ソーシャルメディア利活用宣言、常滑市ソーシャルメディア・ガイドライン策定、常滑市公式Facebookページ「ええね!常滑市」開設

常滑市消防本部「ソーシャルメディア研修」の講師をつとめる

平成25年度 常滑市広報広聴委員会「 ソーシャルメディア利活用講座」の講師をつとめる

常滑市民病院「今日から使える情報活用術」の講師をつとめる

常滑警察署「ソーシャルメディア講座」の講師をつとめる

平成26年度 常滑市広報広聴委員会「ソーシャルメディア利活用講座」の講師をつとめる

2016 3/31
出来事メモ、進路関係

ロバート・D. パットナム、猪口孝訳 『流動化する民主主義: 先進8カ国におけるソーシャル・キャピタル』 ミネルヴァ書房 2013

渡邊義弘@好きな言葉の一つは「かけ橋」です。

さて、ロバート・D. パットナム、猪口孝訳 『流動化する民主主義: 先進8カ国におけるソーシャル・キャピタル』 ミネルヴァ書房 2013。

イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、オーストラリア、日本の8ヵ国を取り上げて、民主主義と社会関係資本の関係を模索する論文集。
原題は、“Democracies in Flux: The Evolution of Social Capital in Contemporary Society” (2002)

読んでみて特に興味を持ったのが、各国の論文の中で、社会関係資本の中で結束型社会関係資本よりも橋渡し型社会関係資本の変化と減少について指摘しているものが多いところだ。
まとめのところでも・・・

○より新しい形態の社会参加は、狭く、架橋的でなく、集合的あるいは公共的目的にあまり焦点を当てていない
→社会関係資本のある種の私化を示しており、より解放的かもしれないが、あまり連帯的でない
<終章 拡大する不平等>

・・・と指摘しているのは印象深い。

以下は、その他にチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○集合的交流は、集合行為につきものの様々なジレンマを解消して、交流がなかったならば人々がお互いに信頼し合って行動しそうにないような状況でも、人々に互いを信頼し合って行動するように促す
→相互信頼は社会の潤滑油→あらゆる交換をその都度決済する必要がなければ、我々は多くのことを達成できる
<序章 社会関係ションとは何か>

○社会関係「資本」の意味→物理的資本や人的資本(道具や訓練など)と同様に、社会的ネットワークは、個人にとっての価値と集団にとっての価値の両方を産み出すからであるし、また我々はネットワークの形成に投資することが可能だから
<序章 社会関係ションとは何か>

○社会関係資本の変化の基本的問い=
誰が利益を得て、誰が得られないのか?
この形態の社会関係資本は、どのような社会の実現を推進するのか?
より多くあることは、必ずより良いことなのか?
<序章 社会関係ションとは何か>

○メンバーたちの忠誠の対象がまちまちであるとか、考え方が多様である場合には自然に働くはずの抑制作用がないと、結びつきが密で同質な集団は、不吉な結末に向けて簡単に暴走しかねない
→橋渡しを伴わない接合は、ボスニアとなる
<序章 社会関係ションとは何か>

○狭義と広義の社会関係資本=
・狭義の社会関係資本=個人が自発的に参加し、定期的に対面の集会を開く集団の中でつくられ、埋め込まれた社会資源のみを指す
→公式の自発的非営利団体、非公式な友達の集まり、近所づきあい、教会の仲間など
・広義の社会関係資本=個人が参加するグループ内で、個人の自由意志というよりも偶然、抑制、社会向上の過程などの結果として形成されたり創造されたりするものを指す
→家族、会社、民族的なグループ、地域、都市、国家など
<第4章 フランス―新旧の市民的・社会的結束>

○関心=社会・政治生活についての一連の考えや意見と関係している
→その主たる対象は、ある程度の共同性を有する生活状態―必ずしも「他の全員」の生活状態ではないにしても、同じ市民仲間と見なされ、共通の政治的コミュニティに所属していると考えられる相当数の人々の生活状態―の物質的幸福、道徳的行為、個人の発展、美的特質などの特徴
<第5章 ドイツ―社会関係資本の衰退?>

○カラオケ民主主義=政治のメイン・メニューは官僚によって用意され、政治家はこのメニューの中から、自分好みの政策を選ぶ日本の政治の特徴
→カラオケと同様なシステムが官僚の手で用意されているため、多くの人たちが自分も政治に参加できると感じているし、実際に誰が政治家になってもそこそこの実績を上げることができる
<第9章 日本―社会関係資本の基盤拡充>

○日本の社会関係資本の変化=
・閉鎖的な社会名系資本から開放的な社会関係資本へ
・安心指向型の社会関係資本から信頼醸成型の社会関係資本へ、
→名誉型集団主義から協調型個人主義へ
<第9章 日本―社会関係資本の基盤拡充>

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2016 3/15
社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)、比較政治学、政策学、経済学、コミュニティ論、アメリカ社会、イギリス社会、フランス社会、ドイツ社会、スペイン社会、スウェーデン社会、オーストラリア社会、日本社会
まろまろヒット率3

岩谷誠治・基井直 『マンガでやさしくわかる決算書』 日本能率協会マネジメントセンター 2015

渡邊義弘@決して得意意識を持っている訳ではありませんが、数字は世界共通言語だと思っています。

さて、岩谷誠治・基井直 『マンガでやさしくわかる決算書』 日本能率協会マネジメントセンター 2015。

マンガのストーリー仕立てで、決算書の読み方を解説する一冊。
特に貸借対照表の「バランスシート似顔絵分析」(右目が上がっていれば安全)や、損益計算書の「会計ブロック」(左右同じ大きさのブロックを積む)などは視覚的に分かりやすい。
数字で表わしたものは視覚的に捉えれば理解が進むということをあらためて確認。

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2016 3/10
会計学、経営学、マンガ本
まろまろヒット率3

ロバート・D. パットナム、柴内康文訳 『孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生』 柏書房 2006

渡邊義弘@日本語の中で好きな言葉の一つは「ご縁」です。

さて、ロバート・D. パットナム、柴内康文訳 『孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生』 柏書房 2006。

アメリカ社会が人と人とのつながりが低下してる現状を明らかにしながら、その原因と影響を分析し、解決策を提案する一冊。
個人の間やコミュニティのつながりが、資本のように機能するという概念=社会関係資本(ソーシャルキャピタル=Social capital)の古典ともされている。
原題は、“Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community” (2000)

読んでみて特に印象に残ったのは、社会関係資本の中で橋渡し型と結束型の違いについて述べているところだ・・・

☆社会関係資本の形式の中で、最も重要なものは「橋渡し型(bridging)」(あるいは包含型)と、「結束型(bondding)」(あるいは排他型)の区別
・結束型=特定の互酬性を安定させ、連帯を動かしていくのに都合がよい→「なんとかやり過ごす(getting by)」に適す=社会学的な接着剤
・橋渡し型=外部資本との連繋や、情報伝播において優れている→「積極的に前へと進む(getting ahead)」にのに重要=社会学的な潤滑剤
→結束型と橋渡し型の区分けは、それにより「どちらか一方」に社会的ネットワークがきれいに分けられるといったカテゴリーではなく、社会関係資本のさまざまな形態を比較する時に使える、「よりその傾向が大きい、小さい」という次元のこと
<第1章 米国における社会変化の考察>

☆結束型と橋渡し型の差違=集合的視点からは、われわれが必要とする社会関係資本の範囲は、直面している問題の規模に依存している
→小さい子どもが必要としている刺激と秩序を確保するという目的であれば、結束型の社会関係資本が最適
→福祉システムを置き換える場合どれにすべきか決定するなどに対しては、橋渡し的な社会関係資本が、公共の議論の質を最大限高める
→われわれの抱える最大の集合的問題に対しては、まさに橋渡し型の社会関係資本が必要とされるが、それは創り出すのが最も難しい
<第22章 社会関係資本の暗黙面>

○社会関係資本を促進するのは、必然的に等質なコミュニティ内の方が容易であるので、その創出を強調することは、社会のバランスを意図的でなくとも移動させ、橋渡し型社会関係資本から遠ざかり結束型社会関係資本に向かう可能性がある
<第23章 歴史からの教訓―金ぴか時代と革新主義時代>

・・・これらは、「情報をかけ橋」をテーマとして社会貢献に取り組んだ際に、「ご縁のご利益」が味方に、「内弁慶」が敵となる経験知を、形式知として説明できるものとして強く惹かれた。

また、芸術・文化活動と社会関係資本との関係について述べているところも印象に残った・・・

○社会関係資本の構築には、われわれが社会的、政治的、職業的アイデンティティを乗り越え、自身とは似ていない人々とつながることが必要となる
→重要であるにもかかわらずあまり活用されないのが、芸術、文化活動
→社会関係資本は、主目的が純粋に芸術的なものである文化活動の価値ある副産物となることがしばしばある
<第24章 社会関係資本主義者の課題に向けて>

・・・これは課題としてでなく、活用できる分野(伸びしろ)に感じた。

以下は、その他にチェックした箇所(一部要約含む)・・・

☆ネジ回し(物的資本)や大学教育(人的資本)は生産性を個人的にも集団的にも向上させるが、社会的接触も同じように、個人と集団の生産性に影響する
→物的資本は物理的対象を、人的資本は個人の特性を指すものだが、社会関係資本が指し示しているのは個人間のつながり、すなわち社会的ネットワーク、およびそこから生じる互酬性と信頼性の規範
<第1章 米国における社会変化の考察>

○社会関係資本と市民的美徳の違い=市民的美徳が最も強力な力を発揮するのは、互酬的な社会関係の密なネットワークに埋め込まれている時
→美徳にあふれているが、孤立した人々の作る社会は、必ずしも社会関係資本において豊かではない
<第1章 米国における社会変化の考察>

○社会関係資本は同時に「外部性」を有しているコミュニティに広く影響するので、社会的つながりのコストも利益も、つながりを生み出した人のみにその全てが帰せられるわけではない
→つながりに富む個人であってもつながりに乏しい個人であっても、つながりに富む社会に住んでいる場合はそこからあふれ出た利益を得ることができる場合もある
→社会関係資本は「私財」でありまた「公共財」であり得る
<第1章 米国における社会変化の考察>

☆一般的互酬性という効果的な規範は、社会的交換の密なネットワークにより支えられる
→誠実性は密な社会的ネットワークにより促進される
<第8章 互酬性、誠実性、信頼>

○参入と退去があまりに容易だと、コミットメント、誠実性そして互酬性は発達しない
→バーチャル世界の匿名性と流動性は「出入り自由」の「立ち寄り」的な関係を促進する
→この偶発性が、コンピュータ・コミュニケーションの魅力であるというサイバースペースの住人もいるが、社会関係資本の創造を阻む
<第9章 潮流への抵抗?―小集団、社会運動、インターネット>

○社会関係資本は、人々の願望を現実に返還するのを助ける数多くの特徴を持つ
1:市民が集合的問題解決をより容易にすることを可能とする
2:コミュニティがスムーズに進むための潤滑油となる
3:自らの運命がたくさんのつながりを持っている、ということへの気づきを広げる(積極的で信頼深いつながりを持つ人々は、周りの社会にとってよい性格特性を形成し、維持する)
4:目標達成を促進するのに役立つ情報の流れるパイプとして役立つ
5:心理学的、生物学的プロセスを通じて、個人の生活を改善する
<第16章 序論>

○社会関係資本のストックが消滅したことが、最もダメージを与えてしまう領域の一つは、われわれの子弟が学校の内外で受ける教育の質
<第17章 教育と児童福祉>

○貧しい人々は定義的に経済的資本がほとんどなく、人的資本の獲得においても圧倒的な障害に直面しているので、社会関係資本はその福祉に対して、不均衡なほどに重要
<第18章 安全で生産的な近隣地域>

☆社会関係資本、一人当たりの所得、所得格差、人種構成、都市化、教育水準の各州ごとの差違を検討した場合、社会関係資本が納税遵守を予測することに成功した唯一の要因
→自分の負担分を支払おうとする意向は、他者も同じようにしているという知覚に決定的に依存している
→社会関係資本に富むコミュニティにおいては、政府は「われわれ」であって「彼ら」ではない
<第21章 民主主義>

○民主主義は、市民が無私の聖人であることを必要とはしないが、適度な仕方で、大半の人々が多くの瞬間において不正の誘惑に抵抗することを仮定している
<第21章 民主主義>

○本書の構造:
第1部:社会関係資本の背景と分類
第2部:社会関係資本の急減
←第3部:その原因
→第4部:その帰結
第5部:解決策に向けて
<訳者あとがき>

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2016 2/3
社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)、社会学、政治学、政策学、経済学、コミュニティ論、アメリカ社会、研究方法論
まろまろヒット率4

磯部らん 『人から好かれる 話し方・しぐさ 基本とコツ』 西東社 2015

渡邊義弘@挙動が小動物っぽいとよく言われます。

さて、磯部らん 『人から好かれる 話し方・しぐさ 基本とコツ』 西東社 2015。

会話術とマナーをイラストを中心に解説する一冊。
イラストの分かりやすさが特徴的。
ちなみに、女性向けということを図書館で借りて来てから気がついてしまった、てへぺろ(・ω<)) 以下は、チェックした箇所(一部要約含む)・・・ ○聞き下手な人は、相手の話の「内容」を理解しようとしがち→大切なのは会話を通して相手が伝えたい「気持ち」 <PART3 湾ランクアップの話し方・しぐさ> ○切り口は共通体験、結びは感情 <PART3 湾ランクアップの話し方・しぐさ> ○「、」ではひと呼吸、「。」ではふた呼吸一息入れる <コラム3 話しグセの直し方> ○興味がないことは教養のひとつと思う <PART4 会話術・雑談力の磨き方> この本をamazonで見ちゃう

2015 11/28
会話術、マナー、実用書
まろまろヒット率3

西原理恵子・枝元なほみ 『西原理恵子と枝元なほみのおかん飯』 毎日新聞社 2014

渡邊義弘@いまや西原理恵子の代表作になった『毎日かあさん』は、あまり毒気が無いことが気になっています。

さて、西原理恵子・枝元なほみ 『西原理恵子と枝元なほみのおかん飯』 毎日新聞社 2014。

漫画家の西原理恵子と、料理研究家の枝元なほみによる料理本。

ROUND1:家族の胃袋わしづかみ編
ROUND2:白米もお酒もすすむ最強おかず編
ROUND3:ダイエットしたい編

・・・の3部構成になっている。
中でも・・・

・ウスターソースにレモン汁を入れて甘さを抑える(鶏レバーのウスターソースマリネ)

・豆腐に鮭の切り身を乗せてレンジでチンする(豆腐と鮭のレンジ蒸し)

・・・の2つは、なるほどと思った。

また、当初はダイエットが目的の企画だったはずが、だんたんとダイエットが放棄されていくのが読んでいて微笑ましいレシピ集。

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2015 11/20
料理本
まろまろヒット率3

スティーブン・C・ヘイズ、スペンサー・スミス、武藤崇ほか訳 『ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)をはじめる セルフヘルプのためのワークブック』 星和書店 2010

渡邊義弘@LINEのスタンプは苦手ですが、最近はボンレス猫を使っています。

さて、スティーブン・C・ヘイズ、スペンサー・スミス、武藤崇ほか訳 『ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)をはじめる セルフヘルプのためのワークブック』 星和書店 2010。

お世話になっているカウンセラーさんからオススメされた、認知行動療法の一つ、ACT (Acceptance and Commitment Therapy=アクセプタンス&コミットメント・セラピー=アクト)の本。
原題は、“Get Out of Your Mind & Into Your Life: The New Acceptance & Commitment Therapy” (2005)

内容は、苦悩や不快感を取り除くのでも、克服するのでもなく、受け容れながら自分の価値に進むことを特徴としている。
特に印象的だったのは・・・

☆心の中で繰り返される言語ゲームについて、永遠に続くチェス・ゲームの比喩を使って、
そのゲームをいつでも降りることができることに気づく、そして相手の駒も盤も自分自身であることに気づく
<第7章 マインドと”あなた”(後編):3つの”私”>

・・・という趣旨の展開がされているところだ。
自分がゲームをしていることに気づくこと、そのゲームがいったい何なのかを一考することに大切さに共感した。
また・・・

☆価値は、判断ではなく、選択
<第11章 ”これ”が価値だ!>

・・・としているところは、心に響いた。
判断には常に理由が必要だけど、選択には理由は必須ではないからだ。

以下は、その他にチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○心理的な問題を解決するという目標が、そのままその目標を達成するための手段にならない
<はじめに マインドの沼から・・・>

☆常識とは異なるACTの考え方・捉え方・・・

 ・心理的な苦痛はノーマルなもの。苦痛は重要なもの。そして、誰もが苦痛を感じる

 ・心理的な苦痛を意図的に取り除くことはできない。
  あなたにできることは、それを人為的に増大させないようにすることだけ

 ・苦痛と苦悩は、異なる2つの心理的な状態

 ・自分の苦悩を明確にしていく必要はない

 ・苦痛をアクセプタンスする(受け容れる)ことは、苦悩を取り除くためのひとつのステップ

 ・自分が価値あるものと考える生活は、今すぐにでもはじめることができる。
  ただし、そのためには、自分のマインドの呪縛から解き放たれ、自分のライフ(生活や人生)を生きていく方法を学ぶ必要がある
<はじめに マインドの沼から・・・>

○悲しみをも生み出してしまう言語的スキルは、その一方では、人間が生きるうえで欠くことのできないくらい重要なもの
→苦悩は人間の存在条件として組み込まれている=避けられない
<第2章 言語の”ひみつ”:ことばがあるから苦悩が生まれる>

○認知的フュージョン(cognitive fusion)=思考が意味するとおりに、自分の思考を取り扱うこと
→体験の回避の根本的な原因は、認知的フュージョンにある
<第5章 マインドと”あなた”(前編):マインドと「距離」をとる?!>

☆思考「から」何かを見るのではなく、思考そのものを見る方法=脱フュージョン(cognitive defusion)
→苦悩の大半は、「評価」を「記述」と取り違えることによって生じる
→自分の評価的な意見が一時的な特性であると信じ、それによって、それらが記述であると考えてしまいがち
<第6章 マインドと”あなた”(中編):買ってはいけない>

○思考、感情、記憶、身体の感覚を生じるままにキャッチする方法の一つ=考えにラベルを貼る
 例:「今日中にすべきことがある」→「今日中にすべきことがある、と考えている」
<第6章 マインドと”あなた”(中編):買ってはいけない>

○マインドの鑑賞=マインドが悩みや意見に句とを挟もうとしていることに気がついたら、マインドにお礼を言う
=マインドが生み出すものを完成で鑑賞する=”今日は1日とてもよく心配してくれました、その働きに感謝します”など
→言語マシーンは、何千年も前から与えられた仕事=「問題解決」と「危機回避」を真面目にこなしている
<第6章 マインドと”あなた”(中編):買ってはいけない>

○言語的な能力から生じる自己・・・

 ・概念化された自己

 ・継続的な自己認識のプロセスとしての自己

 ・観察者としての自己
<第7章 マインドと”あなた”(後編):3つの”私”>

○メディテーションは、痛みを伴った情動や思考、身体の感覚を切り離すことはできない
→それらが浮かんで消えるのを、ただ見つめるということを教えるもの
<第8章 マインドフルネス:Just Do It!>

☆価値=一瞬一瞬の時間を紡ぎあわせて、一つの意味ある道のりを創り出すような意図的な性質をもつ
<第11章 ”これ”が価値だ!>

○自分の価値に気づくエクササイズの一つ=自分自身の葬儀に出席するというイメージ
<第12章 選ぶのは”あなた”>

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2015 8/13
心理学、認知行動療法、ACT
まろまろヒット率4

まろまろ記14周年

2001年7月19日から始まったこのまろまろ記(旧まろまろ読書日記)が14周年を迎える。

2014年7月19日の13周年から14周年までのこの1年を振り返ってみれば、療養に合わせて更新もお休みしていた。
ただ、この期間に読んだ16冊の読書日記や、まろまろアワード2014の草稿はあるので、回復後は更新していきたい。

謙虚に続けるために傲慢に休むことの大切さをあらためて感じる14周年。

2015 7/19
出来事メモ、サイト運営