桂英史 『人間交際術―コミュニティ・デザインのための情報学入門』 平凡社 2001

白石美帆の女子大生役はギリギリ感がありすぎると思う、
らぶナベ@「オレンジデイズ」(北川脚本)見てます(^^;

さて、『人間交際術―コミュニティ・デザインのための情報学入門』
桂英史著(平凡社新書)2001年初版。
コミュニティ・デザイン関係の本を探していたら見つけた一冊。
タイトルの「人間交際」って何かと思えば、”society”の福沢諭吉訳だとか。
この本の中では著者なりに”information”を「知ることと伝えること」と訳したりしている。

内容はネット上のコミュニティから著者が専門とする図書館の再生までを扱っている。
特に「今あるネット論は高見から見下ろすようなものが多い」(1章)と批判して、
ハーバーマス(ハバーマス?”Jurgen Habermas”)の公共圏についても
「知識人が陥りやすい傲慢さ」だとして
「(近代の)公共性は雲をつかむような空間の問題ではなく
私生活の資本化を背景とした人間交際のかたち」としている(2章)のは面白い。

また、コミュニティ特有の自律性については人々の好奇心や向上心、功名心がもたらす
「ばらつき」や「かたより」があるという点に注目して、
(妥当か否かは別にして)いわゆるネティズンがネットに対して楽観的なのは
彼らがばらつきやかたよりを否定する自由や民主主義を
どこかインチキだと感じているからだ(1章)としているのには説得力があった。

ちなみに、たまたまこの本を読み始めた日に、著者と一緒に
「せんだいメディアテーク」設立に関わった氏原くん(水越研)から
著者の講義があるということを聞いたので顔を出してみた。
本の内容と外見が見事にユニゾンしていたということもあって、
そのまま教育学研究科特別講義「コミュニティ・デザイン論」を受講することに。

人間交際の面白さはこういう予測不可能な広がりですな(^^)

以下はチェックした箇所(一部要約)・・・・

☆コミュニティの本来の特徴は、何かを共有することで生まれる結びつき
→共通の属性をもつだけでは、母集団はコミュニティとは言えない
<第1章 情報はコミュニティのリソース(資源)である>

○コミュニティサイトが突出してユニークである点=
知ることと伝えることのルールが自律的にできあがることを想定している点
<第1章 情報はコミュニティのリソース(資源)である>

○ネット上のコミュニティは自分たちが決めたルールに従っているうちに、
いつの間にかはっきりとした意見や意志を表明している場合がある
→このような自律性はこれまでのコミュニティ&政治参加とは異なる
<第1章 情報はコミュニティのリソース(資源)である>

○コミュニティサイトではメンバー間で知ることと伝えることを
集合財として共有→その集合財を前提に活動するので帰属意識が自然に出る
<第1章 情報はコミュニティのリソース(資源)である>

☆コミュニティがもっている自律性は人々の好奇心や向上心、功名心がもたらす
「ばらつき」や「かたより」を背景にしている
→(妥当か否かは別にして)ネティズンがコミュニティサイトに楽観的な希望を託すのは
彼らが(ばらつきやかたよりを否定する)自由や民主主義をどこかインチキだと感じているから
<第1章 情報はコミュニティのリソース(資源)である>

○知識=行動や知覚あるいは思考の習慣
<第2章 ネットワーキングという人間交際術>

○ネットの本質はユーザ間でのリソースシェアリング
→ネットを新しい情報サービスと考えると本質を見誤る
<第2章 ネットワーキングという人間交際術>

○贈与の文化では(略)安定した関係をほとんど無意味なゲームにする
→安定した関係を無意味にすればするほどコミュニティは豊かになる
<第4章 コミュニティ・デザインのための人間交際術>

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2004 4/22
コミュニティ・デザイン、図書館情報学、情報・メディア
まろまろヒット率3

『コミュニケーション学―その展望と視点』 末田清子・福田浩子著 松柏社 2003

弊社建物に新しい顔が増えてどぎまぎしている、らぶナベ@実は人見知り系です(^^;

さて、『コミュニケーション学-その展望と視点-』
末田清子・福田浩子著(松柏社)2003年初版。

評判が良かったので読んでみたコミュニケーション学関連領域の概要書。
コミュニケーションをめぐる用語の定義や研究の背景を丁寧に紹介してくれている。

コミュニケーションに対する各分野からの主要なアプローチを
「機械論的視点」、「心理学的視点」、「相互作用論的視点」、
「システム論的視点」に分類して紹介したり(3、4章)、
言語学からのアプローチや(5、6、7章)、
コンテクスト研究(9章)に対するフォローもされている。
定義・引用・索引が充実しているので辞書としても使えるし、
コミュニケーション学関係の概要書では決定版的ではないだろうか?

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

☆コミュニケーションの定義=
・ラテン語の共通項(communicare)が語源→当事者が共通項をつくりあげるプロセス
・”Culture is communication and communication is cultre”(E.T.Hall)
・本書の定義=シンボルを創造し、そのシンボルを介して意味を共有するプロセス
<第1章 コミュニケーションとは何か>

☆コミュニケーションの特徴=
シンボルを介して行われる、言葉や行為そのものに意味はなく人が意味づけする、
意識無意識を問わず人はコミュニケーションを行う、
あるコミュニケーション場面を同じように再現はできない、
コミュニケーションとはプロセス、コミュニケーションの問題は単純化できない
<第1章 コミュニケーションとは何か>

☆コミュニケーション論をめぐる主要な4つの視点・・・

☆「機械論的視点」(The mechanistic perspective)
・命題:「どのチャンネルが一番大きい量のシグナルを送れるか、
     どれくらいノイズが生じるか」の問いに答えるために構築
・特徴:全体は部分の総体に等しいとういう立場
・研究:チャンネルの違いによるコミュニケーション効果など
・コミュニケーション能力:いかにノイズを減らし効率を高めるか
・文化の扱い:文化は要素として組み込まない
→古いモデルでシンプルなので広く使用されている

☆「心理学的視点」(The psychological perspective)
・命題:「刺激をどのように選択し、どのように反応しているか」
・特徴:メッセージの意味はコミュニケーションを行う人が与えるものであるという立場
・研究:概念フィルターを持った個人など
・コミュニケーション能力:いかに当事者相互のフィルターを近似させられるか
・文化の扱い:人が様々な刺激を選別して取り入れる際のフィルターを形作るもの
→メッセージの送り手よりも受け手側に焦点を当てているので応用範囲が広い
  (特に異文化間コミュニケーションではよく使用される)

☆「(シンボリック)相互作用論的視点」(The interactionist perspective)
・命題:「(言葉や行為などの)シンボルがいかに創造され、共有されるか」
・特徴:コミュニケーションは役割取得・遂行によって成立するという立場
・研究:シンボルがある文化でどのように創られるか、変るかなど
・コミュニケーション能力:当事者がどの程度意味を共有しているか
・文化の扱い:コミュニケーションの当事者が共有するシンボル
→文化や副文化の創造、言語発達、認知的プロセスなどに応用可能

☆「システム論的視点」(The perspective of general systems theory)
・命題:「いかにコミュニケーション・パターンを探求するか」
・特徴:全体は部分の総体よりも大きいという立場
・研究:小集団や家族内コミュニケーション・パターンの探求など
・コミュニケーション能力:いかにルールに従ってコミュニケーションできるか
・文化の扱い:習得されたある解釈のシステム(知識体系)であり受け継がれるもの
→まだ新しい理論
<第3章 コミュニケーションの4つの視点>
<第4章 文化に対する視点の多様化>

☆四つの視点の分類・・・

「機械論的視点」&「心理学的視点」
・法則によってコミュニケーションは司られる
・因果関係の探求
・仮説検証型の量的研究(quantitative research)

「シンボリック相互作用論的視点」&「システム論的視点」
・調整可能なルールがコミュニケーションにはある
・現象の探求
・仮説構築型の質的研究(qualitative research)
<第3章 コミュニケーションの4つの視点>

☆言語の定義=
・「言語は思考を形成していく器官である」(Humboldt)
・”a set(finite or infinite) of sentences, each finite
in length and constructed out of a finite set of elements”(Chomsky)
<第5章 言語コミュニケーション(1)>

☆言語の特性=
1:超越性(displacement)、2:恣意性(arbitrariness)、3:生産性(productivity)
4:文化的伝承(cultural transmission)、5:非連続性(discreteness)、6:二重性(duality)
<第5章 言語コミュニケーション(1)>

○普遍文法(Universal Grammar)=
人間の言語の能力を言語能力(competence)と言語運用(performance)に分けて、
前者の言語獲得装置(Language Acquisition Device)が
人類には生まれながらに備わっているとすること(Chomsky)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

○言語学のコミュニケーション能力(communicative competence)=
文法能力(grammatical competence)、社会言語能力(sociplinguistic competence)
談話能力(discourse competence)、方略能力(strategic competence)
(Canale&Swain)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

○協調の原則(cooperative principle)=
会話のやり取りはある程度までは協調的作業であること(H.P.Grice)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

○会話の格率(Maxims of conversation)=
量の格率(Maxims of quantity)、質の格率(Maxims of quality)、
関連性の格率(Maxim of relation)、様態の格率(Maxims of manner)
<第6章 言語コミュニケーション(2)>

☆言語コミュニケーションの特徴=
デジタルである、新しい社会現実を創ることが可能、
抽象思考で重要になる、内省的である(Trenholm&Jensen)
<第7章 言語コミュニケーション(3)>

○言語コミュニケーションの意味の3レベル
・意味論レベル=外延的(denotative)意味+内包的(connotative)意味
・統語論レベル=語彙が文法的に正しい順序に並べる必要性
・語用論レベル=CMM(Coordinated Management of Meaning)
<第7章 言語コミュニケーション(3)>

☆コミュニケーション能力研究の歴史的な2つの潮流
・レトリック研究(humanistic rhetorical study)
 →構想(invention)、配置(disposition)、修辞(style)、
  記憶(memory)、所作(delivery)から構成
・社会科学的研究(social-scientific communication theory)
<第7章 言語コミュニケーション(3)>

○翻訳・通訳の等価性=
語彙の等価性、慣用表現の等価性、文法的等価性、経験・文化的等価性、概念の等価性
<第8章 言語と文化の相互作用>

○イーミックとエティック
・イーミック(emic)=ある特定の文化の枠組みに依存して事象をみる
・エティック(etic)=ある特定の文化の枠組みに依存しないで事象をみる(Pike)
<第8章 言語と文化の相互作用>

☆コンテクストをとらえす尺度は主に2つ・・・
・静的か、動的か(コミュニケーションを規定するのか、お互いに変化していくものか)
・コミュニケーションが起こっている場のことか、その場を取り囲む背景か
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

☆コンテクストの種類(Malinowski)=
・状況のコンテクスト(context of situation)
 →活動領域(field)、役割関係(tenor)、伝達様式(mode)が構成要素
・文化のコンテクスト(context of culture)
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

☆コンテクスト化(contextualization)=
言語及び非言語を使ってある時ある場所で言った言葉と過去の知識を結びつけ、
会話を保持していくプロセス(Gumperz)
→コンテクスト情報をもとにある会話表現を選ぶこと(Maynard)=
 自己コンテクスト化(self-contextualization)
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

☆Hallのコンテクスト定義=
「できごとを取り巻く情報であり、そのできごとの意味と密接に結びついているもの」
→共有している情報量が多ければハイ・コンテクスト文化、
 共有している情報量が少なければロー・コンテクスト文化
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

○言語コード=制限(restricted)コード+複雑(elaborated)コード(Bernstein)
<第9章 コミュニケーションの場と背景>

○音調学(Vocalics)=韻律素性(prosodic features)+周辺言語(paralanguage)
<第11章 非言語コミュニケーション(2)>

☆ジェスチャーの機能=
1:表象記号(Emblems)、例示子(Illustrators)、感情表示(Affect displays)、
発話調整子(Regulators)、適応子(Adaptors)
<第11章 非言語コミュニケーション(3)>

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2004 4/15
コミュニケーション学、言語学、社会心理学、心理学、教育学
まろまろヒット率4

ヴィレム・フルッサー、村上淳一訳 『サブジェクトからプロジェクトへ』 東京大学出版会 1996

『ケロロ軍曹』に心をつかまれた、らぶナベであります。

さて、『サブジェクトからプロジェクトへ』ヴィレム・フルッサー著、村上淳一訳
(東京大学出版会)1996年初版。

副指導の武邑光裕助教授が「ちょっと感動的だよ」と言って貸してくれた一冊。
原題は“Vom Subjekt zum Projekt. Menschwerdung.”
従属者(SUBJEKT)から投企者(PROJEKT)への転換をメインテーマにして、
抗いがたい価値や理論、運命に従属するのではなく、
投企(デザインとも訳されている)してゆく可能性を模索している思考書。

読んでみると、ところどころ突っ込みどころはあるけれど、
とりまく状況に対して悲観的であっても決して絶望せずに、
「デザインすることは変えるのではなく、意味を付けること」としている姿には
確かに共感できるし、いろんな分野に影響を与えたのもうなずける。

ちなみに前に読んだ同じ著者の『テクノコードの誕生』と同じく、
カテゴライズに頭を悩ませる本でもある。
でも、この本の面白さはこういうところにあるんだろう。
カテゴリに従属する(SUBJEKT)のではなく投企(PROJEKT)を模索する本だから(^^)

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

☆「自我」とは、情報が流れ込み、処理され、一時的に貯えられ、
さらにほかに伝達されるための貯水池にすぎない
→「自我」とは「無意識の」集合的心理のネットワークの上にある
 間主観的なネットワークの、絶えず移動する結び目でしかない
<序 投企について>

○「文化」と「文明」の概念を定式化すれば(略)間主観的な場の二つの回路形式
→人間相互の関係のファイバーを通じて、情報を生み出し、
 記憶し、伝達するための、二つの戦略のこと
<2 都市をデザインする>

○理論とは、人間相互の関係の情報を生み出す回路
→人間相互のネットワークが一般的な分散傾向に逆らって
 情報を生み出す傾向をもつとすれば、すべてが理論空間の守備範囲
<1 都市をデザインする>

○オルガスムは自己を(略)人間相互の銘記へと高める方法
<6 性をデザインする>

○技術とは(略)価値を客体化し客体を価値化することによって、
主体と客体の分離を克服し、実存を服属から解放しようとする試み
<8 技術をデザインする>

☆表現の意図は、世界を変えること、人間を変えることではなく、
意味を付与することにある
<8 技術をデザインする>

○運命の投企こそが、自由に他ならない
<9 労働をデザインする>

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2004 4/8
思想、デザイン論、越境系
まろまろヒット率3

PAOLA TRIMARCO "GUCCI-Business in Fashion-" Penguin Readers 2001

LOVENABE@boring virus mails.

“GUCCI-Business in Fashion-” written by PAOLA TRIMARCO Penguin Readers 2001.
This book is a story of “GUCCI”, one of the most famous brand companies.

Although I have never owned a GUCCI product, the cool cover design
of this book caught my eye at the book store, and I was tempted to buy it.
This (temptation to buy at first sight) is called “JAKEGAI” in Japanese :-P.

The book was about how the GUCCI brand started off, and how it is managed today.
I was especially interested in the start for the GUCCI as a bland.

GUCCI’s first store was very small and had no original logo.
It took a long while for the GUCCI GG logo from a shape of a stirrup.
I was astonished by the amount of time it takes to establish a brand.

Reading this book gave me a fresh view of my own brand “MAROMARO”.
It’s a tiny enterprise, but even GUCCI was so in the past ;-).

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2004 4/1
洋書、ブランドマネイジメント、English
まろまろヒット率3

annotation; this readingdiary was assisted by maropro.

FREDERICK FORSYTH "The Day of the Jackal" Penguin Readers 1999 (orignal first published 1971)

LOVENABE@KOISHIKAWA, Japan.

“The Day of the Jackal” written by FREDERICK FORSYTH
Penguin Readers 1999(orignal first published 1971).

This is a very famous book.
I was interested in this book even before I’ve had a fetish about
catchy book titles.
Maybe I was so since I was a high school student.

The story was about a battle between two men.
One man, whose code-name, is Jackal was to assassinate the Frecnh
president, General de Gaulle.
The other one, the detective Lebel chased Jackal.

I liked this story because I was always interested in stories of
battles between these kinds of men,
such as chasing stories of a smart spy or criminal and a smart cop.
Also, the way the author writes was very thrilling.
One of thrilling pary was…
“As the two men looked towards each other unknowing across the Seine,
the Paris church clocks sounded midnight. It was now 22nd August.”…
The Day of the Jackal captured my mind and heart while reading.

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2004 3/9
小説、洋書、English
まろまろヒット率3

annotation; this readingdiary was assisted by maropro.

北方謙三 『三国志読本―北方三国志別巻』 角川春樹事務所 2002

トップページのお品書きをもう一段増やしてた、
らぶナベ@気まぐれにコンテンツをアップしていきます。

さて、『三国志読本~北方三国志別巻~』北方謙三監修(ハルキ文庫)2002年初版。
北方版『三国志』
を読んだ後に思わず買ってしまった解説本。
人物辞典と新聞風の三国志通信以外はあまり見るべきところもない。
ある程度予想はしていたのに買ってしまった僕は出版社の思うつぼ(T_T)

ちなみに三国志は三国鼎立以前が話のメインだしそこが面白い部分なのだから、
三国志っていう名前はちょっと誤解を招くんじゃないだろうか?

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2004 3/4
歴史
まろまろヒット率2

北方謙三 『三国志』 角川春樹事務所 全13巻 2001

「ジャックと豆の木」(学名:Castanospermum australe Beany)を育て始めたけど、
ハンパじゃなく大きくなる可能性があると聞いて今から戦々恐々としている、らぶナベです。

さて、『三国志』(全13巻)北方謙三著(ハルキ文庫)2001年初版。
ハードボイルド小説出身の著者による三国志小説。
以前、彼の『道誉なり』『悪党の裔』(ともに日本の南北朝もの)を読んだときもかなり面白く感じたし、
いろいろなところでこの作品の評判の良さも聞いていたので
前々から読みたいと思っていたけど、全13巻もある長さに躊躇していた。
そんな折りまろまろ掲示板で三国志の話題が盛り上がったのをきっかけに手に取ってしまった。

読み始めてみると・・・夢中になるほど面白い!
著者なりの演出による三国志の世界観に魅了されてしまった。
それこそこの2ヶ月間のすべての作業効率が半減してしまったほど(^^;

中でもこの作品は「死」というものをすごく丁寧にえがいているのが印象深かった。
特に呂布(奉先)、周瑜(公瑾)、諸葛亮(孔明)、それぞれの死の場面には
しばらくせつない気分を引きずってしまったほど。
(電車内で読んでいたのに恥ずかしいん)
「小説は酒みたいなもの」と公言している著者のやり方にまんまとはまってしまったのか。

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2004 2/25
小説、歴史
まろまろヒット率5

井上順孝 『宗教社会学のすすめ』 丸善 2002

ARS ELECTRONICAで今年から”digital communities“部門ができることに注目している、
らぶナベ@何か情報をお持ちのかたいらっしゃれば教えてくさいな。

さて、『宗教社会学のすすめ』井上順孝著(丸善出版)2002年初版。
「まるで宗教みたい」とか「教祖的な」とかいう台詞はごく自然に使っているけど、
それって一体どういうことなんだろうと思って手に取ってみた一冊。
著者は宗教情報リサーチセンター(RIRC)や「宗教と社会」学会の設立などに関わっていて
既存の分野にとらわれずに積極的な研究をしている人なので書いたものも読みやすい。

内容はわかりやすく書かれているけど、読み止めて考えさせられる箇所も多かった。
例えば境界線上のものや人、過程が宗教的に禁忌(タブー)とされることが多いのは、
「境界領域はそれぞれの人間社会が築いている区分原理からはずれている」ので
両方に「不安をもたらす」からだという(第三章)。
確かに境界線上(マージナル)なものはそうじゃない(メイン)人にとって
自分の存在を曖昧にしてしまう禁忌な存在なんだろう。
マージナルものが好きな僕としては納得した。
きっと両方の存在を揺らがせるから楽しいというのもあるんだろう(^^)

また、スティグマ→自己スティグマ化→カリスマ化というカリスマ生成過程は、
負のレッテルからスタートするという点やマージナルのタブー性を考えると
すごく興味深いものだと感じた(第三章)。
最近「雰囲気とカリスマってどう違うんだろう?」と考えていたところだったので
特に面白く思ってしまった。(ただいま雰囲気に注目中)

最後の方に書かれてあった「情報化とグローバル化のもとでは
宗教と宗教でないものとの境界領域が曖昧になる」(第五章)というのにも納得。
まろみあんの方々も僕が「まろまろですかー!?」っと言い始めたらやばいと思ってください(笑)

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○通事的と共時的の違い=変動分析と過程分析
<序章 現代人にとっての宗教>

○「特定宗教」=明確な組織をもった宗教、
「拡散宗教」=人々が無意識のうちに身につけた宗教的な感覚・行動
<第一章 身の周りの宗教社会学>

○宗教への態度を問題とするときは、自覚的信仰か無自覚的宗教性を区別する必要がある
と同時に宗教に関する出来事を議論するときは、対象のスケールを明確にすべき
<第一章 身の周りの宗教社会学>

○パーソンズの社会システムAGIL図式
・適応(adaptation)=外的ー手段的
・目標達成(goal-attainment)=外的ー目的的
・統合(Integration)=内的ー目的的
・潜在パターンの維持(Latency, Pattern-maintenance)=内的、手段的
・・・制度化された宗教は”L”に当たる
<第三章 全体社会と宗教>

☆境界領域や境界過程が宗教的に禁忌(タブー)とされることが多いのは、
それぞれの人間社会が築いている区分原理からはずれていので不安をもたらすから
(E・リーチ、メアリー・ダグラス)
<第三章 全体社会と宗教>

☆カリスマの定義=「特定の事物ないし人物のみに宿り、
非日常的な能力をもたらす天与の資質」(ウェーバー)
<第四章 宗教組織はどう形成され、維持されるか>

☆カリスマの生成過程=スティグマ→自己スティグマ化→カリスマ化(W・リップ)
負のレッテルで自己同一性が不安定→レッテルをプラスの要素へ解釈して強力な自己同一性
→周囲から新たな価値観の体現者とされる
<第四章 宗教組織はどう形成され、維持されるか>

○シャーマンが霊につかれるパターン
=脱魂型(エクスタシー・タイプ)と憑依型(ポゼッション・タイプ)
→どちらもシャーマンは忘我(トランス)状態に陥る(エリアーデ)
<第四章 宗教組織はどう形成され、維持されるか>

○「脱コンテキスト化」=教祖の言葉のコンテクストが失われて言葉だけが金科玉条化すること
<第四章 宗教組織はどう形成され、維持されるか>

☆情報化とグローバル化のもとでは宗教と宗教でないものとの境界領域があいまいになる
<第五章 現代社会と宗教問題>

○原理主義も原点主義も、一部の聖職者たちに占有されていた時代の終焉と表裏
<第五章現代社会と宗教問題>

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2004 2/18
宗教社会学
まろまろヒット率4

宮崎市定 『大唐帝国―中国の中世』 中央公論新社 1988

年の初めの読書は歴史関係の本が多い、らぶナベです。

さて、『大唐帝国~中国の中世~』宮崎市定著(中央公論新社)1988年初版。
いろいろなところで評判が良かったので読んでみた、大物歴史家の代表作。
内容は後漢末からはじまって三国・魏晋・五胡十六国・南北朝・唐・五代末まで、
実に700年以上にわたる中国史を社会経済的な視点を盛り込みつつ扱っている。
タイトルは「大唐帝国」となっているけど、唐は全432ページ中330ページ目から始まるので
「副題と本題が逆やろ」と力いっぱい突っ込んでしまった(^^;

とはいえ、読んでみると中身はすごく面白い。
三国時代から唐時代までの間が手薄だったから新鮮に感じたというのもあるけど、
さまざまな民族(主に騎馬民族)が流入して社会が激変し、
多くの王朝が栄枯盛衰を繰り返すこの時代の躍動感を感じられた。
数々のグロテスクで暗いエピソードも含めて、
ダイナミックな中国史の神髄を垣間見れた気がした。
やっぱり通史はピンポイントの歴史よりおもしろい。
自分の生きている現在が後世から見ればどのような時代に写るんだろうと考えられるからだ。

ちなみになぜか僕は昔から唐の李世民(太宗)に親近感を感じていたけど、、
この本で紹介された彼の戦略パターン・・・
1:最初に十分な駒組みをおこなって陣形をととのえ、戦わないうちから敵を圧迫して、
 不利な状況と知りながらも決戦を避けられぬような状況に追い込む。
 (それまでは戦力を消耗することをさける)
2:十分に優位にたったうえで決戦をするが、そのときは駒得などには目をくれず、
 一挙に寄せ入り敵の本拠をくつがえすスピード作戦をおこなう。
3:あとでゆうゆう大駒を捕獲してつぎの戦争のさいに利用する。
・・・というのは僕の戦略シミュレーションでのやり方に似ている。
また、「李世民ほどいつも同じやり方でいつも同じように敵に買っている大将はほかにない」
・・・と著者が語っているように、ワンパターンさも似ていると感じた、いやん。
そんな2004年の幕開け。

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2004 1/9
歴史
まろまろヒット率4

斉藤勇編・津々井良 『ご機嫌の直し方』 青春出版社 1998

今年一番売れた歌はぶっちぎりで『世界にひとつだけの花』だけど、
僕のまわりでは「オンリーワンにならなくてもいい、もともと一人のロンリーワン
という歌が大流行していた、らぶナベです。

さて、『ご機嫌の直し方』斉藤勇編・津々井良絵(青春出版社)1998年初版。
まろじぇくとXに来た人からもらった本。
様々な人から募集した109個の機嫌の直し方が紹介されている。
中には「ルール違反をする(No.20)」、「皿をたたきわる(No.24)」などの大それたものもあったけど、
僕は箱庭好きのぷちぷちくんなので「自分のやりたいことを10個書き出す(No.46)」、
「いつもの2倍の入浴剤を入れる(No.92)」あたりが手頃だと感じた。

あとがきに「不機嫌は楽な精神状態だから慢性化しやすい」と書かれてあったのには納得。

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2003 12/27
ムック本
まろまろヒット率2