ジェイムズ・P・ホーガン、池央耿訳 『ガニメデの優しい巨人』 東京創元社 1981

渡邊義弘@「存在がSFっぽい」と言われることがあります。

さて、ジェイムズ・P・ホーガン、池央耿訳 『ガニメデの優しい巨人』 東京創元社 1981。

近未来の世界。ガニメデの探査基地近くで、正体不明の宇宙船が出現した。
乗船した巨人(ガニメアン)は人類が初めて体面する地球外生命であった。
しかも彼らは2500万年前からやって来たという・・・

『星を継ぐもの』以来、13年ぶりに読んだ続編。
前作と同じく科学的推論が柱となっていて、議論を通して物語が進んでいく。
ただ、前作を読んだ時に感じたような、「ハッ」とする驚きは無く、淡々とした読後感の一冊。

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2018 6/1
SF小説
まろまろヒット率3

「石垣島モデル」が『平成30年版 水産白書』に掲載される

提唱した「石垣島モデル」が『平成30年版 水産白書』p. 132に掲載される。

石垣島での取り組みをまめて「石垣島モデル」を提唱した論文※1の引用と共に、石垣市立伊原間中学校でのワークショップ沖縄県立八重山商工高等学校での講義の二つが先進事例として取り上げられた。
これは大きな政策的課題を視野に入れながら地域の課題に向き合い、その成果を他の取り組みの参考にできるようにまとめ、それが国の政策を動かしたことになる。

また、この掲載に合せて、石垣市立伊原間中学校では全校集会として報告会を合せた講義を実施し、再び地域に還元する機会を設けた※2。

地域と国=部分と全体との有機的な連携、つまりかけ橋作りは、僕のテーマでもある。
「石垣島モデル」は同時に、僕のかけ橋作りの方法の一つのモデルでもある。

2018 6/1
出来事メモ、ま論

※1:渡邊義弘 「石垣島の中学生による地元水産物をPRするPOP広告作りのワークショップ~若者の水産物消費促進に向けた”石垣島モデル”の提案~」 全国漁業協同組合連合会(JF) 『漁協(くみあい)』 163号 pp. 22-25 2017

※2:2018年7月3日 『八重山毎日新聞』・第9面 「伊原間中 17年度 『水産白書』に掲載 地元水産物のPR先進事例 POP広告作り」

ネガポ辞典制作委員会 『ネガポ辞典―ネガティブな言葉をポジティブに変換』 主婦の友社 2012

渡邊義弘@Instagramではstoriesをよく使っています。

さて、ネガポ辞典制作委員会 『ネガポ辞典―ネガティブな言葉をポジティブに変換』 主婦の友社 2012。

ネガティヴ(negative)な言葉を、ポジティヴ(positive)な言葉に変換する辞書。
一番面白かったのは、

○キモい→1:存在感がある、2:個性がある、3:ミステリアス
例文:キモッ!→存在感がありすぎて目が離せないんだけど、どうしよう

○空気が読めない→1:まわりに流されない、2:自分の意見を主張できる、3:よどんだ空気を壊してくれることがある、4:愛嬌がある

、の二つ。
また、

○自分に甘い→1:自分にやさしくできる、2:楽天的、3:己の限界を把握している

○神経質→1:細部にまで目が行き届く、2:仕事が丁寧、3:想像力が豊か

○言い訳をする→1:頭の回転が速い、状況判断が早い、3:探偵になる素質がある

○上から目線→1:自信がある、2:指導が得意

○子どもっぽい→1:愛嬌がある、2:考え方が固定観念に縛られていない、3:童心を忘れていない

、などは、そういう人に対しても優しい視点で見られるようになる表現としてメモした。

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2018 4/13
辞典、辞書、ポジティヴ、言語、表現
まろまろヒット率3

イカロス・ムック 『世界の機内食』 イカロス出版 2017

渡邊義弘@石垣島に来てから飛行機に乗る機会が増えました。

さて、イカロス・ムック 『世界の機内食』 イカロス出版 2017。

日本に就航している主要な世界の航空会社の機内食を紹介する一冊。
内容は、ファースト(第1章)、ビジネス(第2章)、エコノミー(第3章)、LCC(第4章)、国内線(第6章)と各クラスごとの機内食を網羅的に紹介しているのが特徴的。
また、ドリンク(第5章)や機内食を考えるシェフのインタビュー、機内食工場、機内食用語解説など、機内食の周辺も範囲にして取り上げている。

中でも、エコノミーとLCCの機内食は、限られた条件の中で各社の工夫が読み取れて興味深かった。

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2018 3/23
機内食、航空機
まろまろヒット率3

宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波書店 1984

渡邊義弘@ワークショップを応用してクジャクの羽根を使った台湾の花蓮地震への復興支援募金活動に協力しました。
(2018年2月25日 『八重山毎日新聞』・第4面 「地震被災の台湾花蓮市を八商工生徒 義援金や横断幕で支援」)

さて、宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波書店 1984。

明治10年代~昭和20年代にかけて全国をまわり、文字化されていない集落(無字社会)とそこに暮す人々の生活史の聞き取りをおこなった民俗学者による記録。
特徴的なのは、聞き取りをおこなった人々が、男女関係について、赤裸々に、華やかに語っているところだ。
中でも、高知県の橋の下で暮す老人から聞き取りをした「土佐源氏」などは、男女の営みが鮮やかに語られていて、物語としても面白かった。
(「土佐源氏」は聞き取りの前に物語があったという説もある)

また、集落(無字社会)での問題解決について・・・

○他人の非をあばくことは容易だが、あばいた後、村の中の人間関係は非を持つ人が悔悟するだけでは解決しきれない問題が含まれている
→何も彼も知りぬいていて何も知らぬ顔をしていることが、村の中にあるもろもろのひずみをため直すのに重要な意味を持っていた
<村の寄りあい>

○貧乏人同士がいがみあうて見ても金持ちにはなりませんで
→それよりはみな工夫がだいじであります
<名倉談義>

・・・という風に、日本的な曖昧さが重要視されていたことが伺える点は興味深かった。
そして・・・

○文字に縁のうすい人たちは、(略)共通して時間の概念に乏しかった
<文字をもつ伝承者 (1) >

・・・というのは、僕自身も様々な地域での聞き取りで感じたことなのでうなずいてしまった。

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2018 3/22
民俗学、歴史、生活史、風土史、フィールドワーク
まろまろヒット率3

エラ・フランシス・サンダース、前田まゆみ訳 『翻訳できない世界のことば』 創元社  2016

渡邊義弘@『図書館雑誌』 Vol.111, No.9 に「石垣市地域おこし協力隊と石垣市立図書館の協働による”ここがいいね!”利用者アンケートと職員ワークショップの報告~地域おこしの拠点として図書館を位置づける日本最南端の試み~」が掲載されました。

さて、エラ・フランシス・サンダース、前田まゆみ訳 『翻訳できない世界のことば』 創元社  2016。

102個の翻訳できない=正確には英語では直訳できない言葉を紹介している。
原題は、“LOST IN TRANSLATION” (2014)

特に印象に残ったのは、ウルドゥー語の名詞・・・

“NAZ” = 誰かに無条件に愛されることによって生まれてくる、自信と心の安定

・・・という言葉だ。
とても素敵で重みのあるものだと思った。

ちなみに、日本語からは以下の4つが掲載されている・・・

“KOMOREBI” (木漏れ日)

“BOKKETTO” (ぼけっと)

“WABI-SABI” (侘び寂び)

“TSUNDOKU” (積ん読)

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2018 3/12
言語、異文化理解、絵本
まろまろヒット率4

ユン・チアン、J・ハリデイ、土屋京子訳 『マオ―誰も知らなかった毛沢東』 講談社 上下巻 2005

渡邊義弘@コーディネーターとして「平成29年は肉の年・インスタ映えコンテスト」授賞式を開催しました。
(2018年1月30日 『八重山毎日新聞』・第8面 「コンテスト 宮城さんの訴求力の写真 “インスタ映え”投稿選出 石垣牛に豪快にかぶりつく」)

さて、ユン・チアン、J・ハリデイ、土屋京子訳 『マオ―誰も知らなかった毛沢東』 講談社 上下巻 2005。

中華人民共和国の初代国家主席である毛沢東(Mao Zedong=マオ・ツォートン)の伝記。
480人以上におよぶ関係者からのインタビューと、最新の資料から新しい毛沢東像を浮かび上がらせようとしている。

特に、毛沢東は中国統一までは素晴らしい指導者だったが、中国統一後は大躍進政策や文化大革命などの失策と権力闘争で大きな禍根を残したとする通説に対して、
毛沢東の性格と手法は最初から変わっておらず、終始一貫して自己保身と権力闘争の連続であったことを明らかにしようとしている。

内容面では、まだ議論のある事実関係があることや、資料の読み方に恣意性があるとの課題も指摘されている本ではあるけれど、毛沢東と中国現代史の生々しさが嫌というほど伝わってくる一冊。

ちなみに、著者の本は、高校生の時に『ワイルド・スワン』を読んで以来、26年ぶりとなる。

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2018 3/11
毛沢東、歴史、伝記、中国史
まろまろヒット率3

白洲正子 『西行』 新潮社 1996

渡邊義弘@クジャク羽根の活用を目指す芸学連携ワークショップのコーディネーターをしました。

さて、白洲正子 『西行』 新潮社 1996。

歌人・西行について評論と紀行文。
読んでみて印象深かったのは・・・

○西行は伝説の多い人物で、虚実の間をすりぬけて行くところに彼の魅力がある
<空になる心>

○中途半端な生きかたのままで、大きく豊かに成長をとげて行ったところに、西行の真価は見出される
<嵯峨のあたり>

○目的を持たぬことこそ隠者の精神
→ふらふらしながら、柳の枝が風になびくように、心は好く沿いも動じてはいない
<花の寺>

○総じて辻褄が合うような人間はろくなものではなく、まとまりのつかぬところに西行の真価がある
<後記>

・・・という風に、西行のことをまとまりがなく中途半端な人物であり、それこそが魅力であるとしているところだ。
僕はこの西行と著者の夫である白洲次郎の両方に昔から共感を覚えていた。
両方に惹かれる理由は長年よく分からなかったけれど、白洲次郎のパートナーであり、西行を評した著者の文章からヒントを得た気持ちになった。

また・・・

○花を見ても、月を見ても、自分の生きかたと密接に結びつけていることで、花鳥風月を詠むことは、彼にとっては必ずしもたのしいものではなかった
<空になる心>

・・・と評しているところにも強く共感した。

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2018 2/24
歴史、歌人、西行、文化
まろまろヒット率4

沖縄県立八重山商工高等学校・サンバユニット宮城姉妹共催「クジャクの羽根活用ワークショップ」のコーディネーターをつとめる

沖縄県立八重山商工高等学校・サンバユニット宮城姉妹共催「クジャクの羽根活用ワークショップ」のコーディネーターをつとめる※1,2。

これは、産学官連携で取り組んだ「ジビエ調理開発ワークショップ」※3を基にして、食用には向かないクジャクの羽根をアクセサリーとして活用することを目指したもの。
当日は、クジャクの羽根の活用に詳しいサンバユニット宮城姉妹を講師として招いて、沖縄県立八重山商工高等学校・商業科観光コースの1、2年生がアクセサリー作りに取り組んだ。
宮城姉妹の指導と生徒のアイデアで、クジャクの羽根を使ったブローチや首飾り、帽子飾りなどが次々と作られていく様子は、コーディネーターとしても活気が感じられるものだった。
また、芸能分野のサンバユニット宮城姉妹との連携は、産学連携ならぬ、芸学連携としても新しい試みとなった。
鳥獣害として地域の課題となっているクジャクの活用を芸学連携で進めるコーディネートに今後も取り組んでいきたいと感じたワークショップ。

2018 1/29
出来事メモ

※1:2018年1月30日 『八重山毎日新聞』・第8面 「有害鳥獣クジャクの有効活用 羽根でアクセサリー製作 官学連携で価値転換目指す」

※2:2018年1月30日 『八重山日報』・第7面 「クジャクの羽根サンバ衣装に 八重工でワークショップ」

※3:渡邊義弘 『八重山農林高等学校・八重山調理師会・石垣市連携による「ジビエ調理開発ワークショップ」の報告~産学官連携で鳥獣害に立ち向かう石垣島の挑戦~』 「畜産技術」749号 2017

追記:論文発表

まろまろアワード2017

読書アワード:『西行』 (高橋英夫)
→西行の歌の解釈と共に、西行の持つ両面性の理解の難しさと奥行き感じさせられた一冊。

出来事アワード:「石垣市地域おこし協力隊と石垣市立図書館の協働による「ここがいいね!」利用者アンケートと職員ワークショップの報告~地域おこしの拠点として図書館を位置づける日本最南端の試み~」を『図書館雑誌』に寄稿
→取り組みを書いてまとめることで、地域に貢献する方法に手応えを感じた出来事。

2017 12/31
まろまろアワード