宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波書店 1984

渡邊義弘@ワークショップを応用してクジャクの羽根を使った台湾の花蓮地震への復興支援募金活動に協力しました。
(2018年2月25日 『八重山毎日新聞』・第4面 「地震被災の台湾花蓮市を八商工生徒 義援金や横断幕で支援」)

さて、宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波書店 1984。

明治10年代~昭和20年代にかけて全国をまわり、文字化されていない集落(無字社会)とそこに暮す人々の生活史の聞き取りをおこなった民俗学者による記録。
特徴的なのは、聞き取りをおこなった人々が、男女関係について、赤裸々に、華やかに語っているところだ。
中でも、高知県の橋の下で暮す老人から聞き取りをした「土佐源氏」などは、男女の営みが鮮やかに語られていて、物語としても面白かった。
(「土佐源氏」は聞き取りの前に物語があったという説もある)

また、集落(無字社会)での問題解決について・・・

○他人の非をあばくことは容易だが、あばいた後、村の中の人間関係は非を持つ人が悔悟するだけでは解決しきれない問題が含まれている
→何も彼も知りぬいていて何も知らぬ顔をしていることが、村の中にあるもろもろのひずみをため直すのに重要な意味を持っていた
<村の寄りあい>

○貧乏人同士がいがみあうて見ても金持ちにはなりませんで
→それよりはみな工夫がだいじであります
<名倉談義>

・・・という風に、日本的な曖昧さが重要視されていたことが伺える点は興味深かった。
そして・・・

○文字に縁のうすい人たちは、(略)共通して時間の概念に乏しかった
<文字をもつ伝承者 (1) >

・・・というのは、僕自身も様々な地域での聞き取りで感じたことなのでうなずいてしまった。

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2018 3/22
民俗学、歴史、生活史、風土史、フィールドワーク
まろまろヒット率3

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