石垣市立図書館「情報発信・活性化勉強会」の講師をつとめる

石垣市立図書館「情報発信・活性化勉強会」の講師をつとめる※1,2,3,4。

公立図書館は、その地域の情報の集積と拡散の基点となる公共施設。
誰でも利用することができる公立図書館をより良くしていくことは、地域活性化に直結するという考えの下で今回の職員向け勉強会を開催した。

当日は、まず街歩きを図書館の地域資料にする「てくてく」の取り組みなど、テーマとしている「情報のかけ橋」の紹介させていただいた。
その後は、職員のみなさんが課題に感じていることや困っていることなどについて、自由に情報交換をする場とさせていただいた。
その流れの中で、石垣市立図書館の利用者の方々が、どこに良さを感じているのかを把握してみようという話になり、
「ここがいいね!」アンケートを取ること、それをワークショップでまとめることを提案し、職員の方々もやってみたいとのことで実施することとなった。

このアンケートは、普段は声を挙げることが少ない「静かな多数派(silent majority)」の声に耳を傾け、
自分たちの良さや売りを把握して、今後の活動の参考とすることを目的としている。
この良さや売りを言語化して見える化していないと、たとえ一部であっても否定的な声に揺らぎ過ぎてしまう。
どのような情報発信や活性化をしていくにしても、現状の良さを把握することが最初に必要なことだという認識を共有しての取り組みとなる。
特に、これまでセミナーごとのアンケートはあっても、このような全体的な利用者アンケートを取るのは石垣市立図書館では初めてのこと。
この結果が利用者と職員との間のかけ橋になれればと考えている。

また、石垣市立図書館での研修は、2013年8月にソーシャルメディア講習会を担当して以来、約3年半ぶりとなる。
当時聴講していただいたスタッフさんもいて、この期間の変化や課題なども活発に情報交換することができた。
石垣島でのご縁がつながることのありがたさを感じた研修でもある。

2017 1/27
出来事メモ、研修

※1:2017年1月29日 『八重山日報』・第5面 「ここがいいね!を募集 図書館がアンケート」

※2:2017年3月26日 『八重山日報』・第6面 「市立図書館 180いいね! 利用者、雰囲気など評価」

※3:2017年4月2日 『八重山毎日新聞』・第8面 「市立図書館 「本がたくさんなどの声」 ここがいいね!アンケート実施」

※4:2017年5月7日 『八重山毎日新聞』・第9面 「行こう 行こう 石垣市立図書館 来館呼び掛け歌が完成」

姜尚中 『悩む力』 集英社 2008

渡邊義弘@講義を受ける機会は無かったですが、かつて姜尚中さんが教授をしていた学校にいたことがあります。

さて、姜尚中 『悩む力』 集英社 2008。

日々の生活を全面肯定できるわけでもなく、かといって宗教や精神的なものに逃げ込むこともできない・・・
そんな「生きづらい」とも表現される現代に生きる我々の悩みについて語った一冊。

読んでみると、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した夏目漱石とマックス・ウェーバーを「悩み抜いた人」として引用しているのが特徴的。
この2人の思想、言葉を取り上げながら・・・

○自分でこれだと確信できるものが得られるまで悩みつづける。
あるいは、それしか方法はないということを信じる。
それは「不可知論だ」と言う人もいるでしょう。
でも、中途半端でやめてしまったら、それこそ何も信じられなくなるのではないかと思います。
<第五章 「信じる者」は救われるか>

○私にはどうしなさいともアドバイスできるわけではありません。と言うより、それぞれの人に悩んで考えてほしいと思います。
「脳」に特化して上滑りになったり、「私」に閉塞して城を作ったりしないで、つながる方法を考えてほしいと思います。
<第八章 なぜ死んではいけないか>

・・・という風に、悩み続けることが大切だとしている。
また、仕事については・・・

○社会というのは、基本的には見知らぬ者同士が集まっている集合体であり、だから、そこで生きるためには、他者からの何らかの形で仲間として承認される必要があります。
そのための手段が、働くということなのです。
働くことによて初めて「そこにいていい」という承認が与えられる。
→人間というのは、「自分が自分として生きるために働く」のです。
「自分が社会の中で生きていていい」という実感を持つためには、やはり働くしかないのです。
<第六章 何のために「働く」のか>

・・・として、存在を相互承認するために必要だとしているのも印象的な一冊。

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2017 1/20
哲学、エッセイ、人生指南
まろまろヒット率3

石垣愛子 『珊瑚の島の家庭料理』 1995

渡邊義弘@石垣島関係の自費出版本の多くは石垣市立図書館で借りています。

かつて石垣島にあった「民宿石垣島」を経営していた著者が、石垣島(「珊瑚の島」)の家庭料理を紹介する一冊。
内容は、八重山諸島の農作物の料理法の解説が中心になっている。
好物の一つのイナムドゥチ(沖縄風豚汁)のレシピもあったのが嬉しかった。

2017 1/5
料理本、石垣島
まろまろヒット率3

木下斉 『地方創生大全』 東洋経済新報社 2016

渡邊義弘@今年の正月2日は石垣島崎枝地区で過ごしました。

さて、木下斉 『地方創生大全』 東洋経済新報社 2016。

地方創生・地域活性化に携わって来た著者が、「ネタ」、「モノ」、「ヒト」、「カネ」、「組織」の5つに体系化して問題の構造を解説する一冊。
特に、各章の最後に危険度チェックシートがあるように、地方創生・地域活性化でよく陥りがちな間違いや失敗のパターンを強調している。
その結果、地方創生・地域活性化は、行政主導ではなく、民間主導で取り組むべきだと主張している。

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○成功事例を見分けるポイント
1:初期投資が交付金・補助金のような財政中心ではなく、投資・融資を活用しているか
2:取り組みの中核事業が、商品やサービスを通じて売上を立て、黒字決算となっているか
3:始まってから5年以上、継続的に成果を出せているか
4:トップがきれいなストーリーだけでなく、数字について語っているか
5:現地に行ってみて1日定点観測して、自分の実感としても変化を感じるか
<第1章 ネタの選び方>

○最初に需要の確保を行い、その実需に沿って、実行する事業の規模を最適化するという、従来とは「まったく逆のプロセス」が計画論の基本
<第4章 カネの流れの見方>

○計画主義の限界
1:計画段階こそ、最も情報量が少ない
2:予算獲得が目的化し、計画は「タテマエ」になる
3:「合意」を優先すると、未来は二の次になる
<第4章 カネの流れの見方>

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2017 1/3
地方創生、地域活性化
まろまろヒット率3

山崎亮 『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』  学芸出版社 2011

渡邊義弘@2017年の初日の出は石垣島の白保海岸での舞い始めを眺めながら迎えました。

さて、山崎亮 『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』  学芸出版社 2011。

ランドスケープデザインから始まったコミュニティデザインの取り組み事例を紹介する一冊。
中でも「こどもが大人の本気を引き出す」と題する笠岡諸島子ども総合振興計画の事例が興味深かった。
それは、様々な理由から協力し合うことが難しい市民に対して、中学生に10年後の計画を作らせて、「この計画が実行されなければ島に戻らない」と発表させるというもの。
高校が無いためほぼ島を出る中学生を人質に取ったような感じはあるけれど、計画とは未来のためにあるので、「良質な脅し」と著者の表現は納得した。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)・・・

○そのまちに僕たちと同じような感覚を持った人たちを見つけ、その人たちと活動の醍醐味を共有し、持続的に活動する主体を新たに形成することが大切
→「まちを使って楽しませてもらっている」と思えるようなものであるのが理想
<Part2 つくるのをやめると、人が見えてきた>

○優れたダイアグラムをつくることができればデザインは方向性を決めやすくなる
<Part2 つくるのをやめると、人が見えてきた>

○来場者には、気に入ったハガキを2枚ずつ持ち帰ってもらうことにしたところ、家島で品切れになるハガキと大阪市内で品切れになるハガキはまったく違っていることが明らかになった
→この結果を目の当たりにして、島の人たちが「外の視点と内の視点」の違いを認識するようになった
<Part3 コミュニティデザイン―人と人をつなげる仕事>

○de-signとは、単に記号的な美しさとしてのサイン(sign)から抜けだし(de)、課題の本質を解決する行為
<Part6 ソーシャルデザイン―コミュニティの力が課題を解決する>

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2017 1/1
コミュニティデザイン
まろまろヒット率3

まろまろアワード2016

読書アワード:『孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生』 (ロバート・D. パットナム)
→テーマとしている「情報のかけ橋」にとって、橋渡し型社会関係資本と結束型社会関係資本の分類が有益だった一冊。

出来事アワード:石垣市立伊原間中学校「地元水産物PRワークショップ」の講師をつとめる
→産学官のワークショップを開発して、中学生と共に実施した出来事。

2016 12/31
まろまろアワード

太田好信 『ミーカガン 沖縄県八重山地方における潜水漁民の眼から見た世界』 櫂歌書房 2012

渡邊義弘@石垣島での自宅は石垣漁港のすぐ近くです。

さて、太田好信 『ミーカガン 沖縄県八重山地方における潜水漁民の眼から見た世界』 櫂歌書房 2012。

1980年代後半から1990年代前半にかけての八重山地方の漁業者の営みを、文化人類学者の著者が参与観察した取材記録。
特に、題名にもなっている「ミーカガン」と呼ばれる水中メガネを使う潜水漁法についての取材が中心になっている。
漁法だけでなく、それに関連した営み全体に注目していて、中でも・・・

プロといわれる所以は、使用する道具そのものというより、いかにして自分に合った道具を限られた材料から作るか、ということ
→ウミンチュたちの日常的創造力が、そこには表現されている
<第8章 ウミンチュたちの創造力>

・・・と、ウミンチュ(海人=漁師のこと)の創造性について述べているところは印象に残った。

2016 12/16
ノンフィクション、漁法、文化人類学、石垣島、八重山、
まろまろヒット率3

石垣愛子 『食在南海 八重山の食十二ヶ月』 味の手帖 2005

渡邊義弘@今年は石垣島で年末年始を過ごす予定です。

さて、石垣愛子 『食在南海 八重山の食十二ヶ月』 味の手帖 2005。

かつて石垣島にあった「民宿石垣島」を経営していた著者が、月ごとに八重山の食文化やエピソードを紹介する一冊。
もともとは、雑誌『味の手帳』に1999年~2003年まで連載されたものを再編集したもの。

読んでみると、文献や伝聞を基にした解説よりも、著者自身の小さい頃の体験談に興味を持った。
特に、シークワーサー(本書では「シークワーシャー」と表記)の絞り汁をビールビンに詰めて井戸の中で冷やし、
家に帰って来てから、それに黒砂糖を入れて飲んだという話は、冷蔵庫が普及する前の家庭の食生活をかいま見る話として印象深い。

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2016 12/15
食文化、レシピ、石垣島、八重山
まろまろヒット率3

デューイ、宮原誠一訳 『学校と社会』 岩波書店 1957

渡邊義弘@大学院の時にシカゴ学派(John DeweyやG.H.Meadなど)を調べたことがあります。

さて、デューイ、宮原誠一訳 『学校と社会』 岩波書店 1957。

学校を、受動的な場ではなく、子供たちが社会生活を営む小社会でなくてはいけないと主張し、
20世紀の学校教育に大きな影響を与えた一冊。
原題は、“The School and Society, revised edition” (1915)。

約100年前の著作だけど、今読んでも示唆に富むものが多く、中でも以下は現代でも通じるものを感じた。
(一部要約含む)

○学校における子供の活動の目的は、社会的な力と洞察力の発達にある
→狭隘な功利性からの解放、この人間精神の可能性に向かってすべてが打ち開かれていることこそが、
学校におけるこれからの実際的活動を、芸術の友たらしめ、科学と歴史の拠点たらしめる
(第1章 学校と、社会の進歩)

☆教養とは、想像力が、屈伸性において、範囲において、感入の度合いにおいて成長して、
ついに個々人の営む生活が自然の生活と社会の生活によって浸透されるにいたるような、そのような想像力の成長のことをいう
→学習の諸々の形式と道具とが経験の本質に従属される時、はじめてこのことがその通りになる機会が生まれる
→教養ということが民主主義の合言葉
(第2章 学校と、子どもの生活)

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2016 12/8
教育学
まろまろヒット率3

西野嘉憲 『石垣島 海人のしごと』 岩波書店 2010

渡邊義弘@中学校で地元水産物PRワークショップを開催しました。

さて、西野嘉憲 『石垣島 海人のしごと』 岩波書店 2010。

写真家による石垣島の海人(ウミンチュ=漁師、漁業者のこと)のルポタージュ。
10年におよぶ同行取材により、20種類以上の漁法とそれに携わる海人の姿を、真に迫る写真と共に紹介している。
中でも・・・

海人は海で漁をすることを「海を歩く」という。
渡しはこの言葉に海人としての人生の歩みをしみじみと感じる。
(取材後記「命と向き合う、海人のしごと」)

・・・という一節が印象深い一冊。

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2016 12/6
ルポタージュ、ノンフィクション、漁師、写真集、石垣島、八重山、沖縄
まろまろヒット率3