アクティヴな引きこもりにしてはめずらしく第1期生になった、らぶナベです。
さて、『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』上中下巻
塩野七生著(新潮文庫)2004年初版。
待ちに待ったカエサル編がスタートした『ローマ人の物語』シリーズ文庫化第4段。
古代ローマ史上もっとも有名な人物の1人で、後の時代に与えた影響は高く
皇帝の代名詞にまでなったユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)が
ローマ掌握に乗り出したルビコン川渡河までをえがいている。
これまでカエサルにまつわるエピソードや名言は断片的にしか知らなかったので、
この本を読んではじめて彼の通した伝記を知ることになった。
だから早熟な割に30代後半になってからようやく芽が出始めた遅咲き
というのはかなり意外だったし(活躍期は40代に入ってから)、
器用に見えて不器用なカエサルにナニゲに親しみを感じてしまった。
構成的にはようやく活躍期に入った40代のガリア戦役(8年間)が半分以上を占めている。
カエサル自身が「ガリア戦記」を書いていたり発掘調査も進んでいるので
戦略・戦術面の記述や論考などの戦史的側面がとても面白かった。
また、常に法を遵守する姿勢を貫いたのに、教条主義的な法に縛られなかったという
(元老院最終勧告を無視)、彼の生き方からにじみ出る魅力に僕も惹かれた。
そんな風に面白かったけれど、これまでのシリーズに比べると
修飾語や接尾語も含めて文章の読みにくさを感じてしまった。
カエサルに対する愛情がこうさせてしまったのか?
ちなみにこの『ルビコン以前』はタイトル通りルビコン川を渡る
「賽は投げられた(jacta alea est)」で終わる。
僕は最近までこの賽(さい)のことをサイコロではなく動物のサイだと思っていた。
ハンニバルは象部隊を率いていたし、サイを投げるくらい大変な思いをして
決断するのだという風に解釈していた・・・人の勘違いとは怖いものである(^^;
2004 9/22
歴史、戦略論、政治
まろまろヒット率4
追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・
『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』 ☆
『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』 ☆