齋藤孝監修 『強くしなやかなこころを育てる! こども孫子の兵法』 日本図書センター 2016

『新訂 孫子』などから、孫子の言葉を、子供が読んでも分かるように解説した一冊。

個人的にはこれまで、『孫子の兵法がわかる本』、『図解「孫子の兵法」を身につける本』、『逃げる「孫子」―他を凌駕する“兵法”の原点とは』、などを読んできたけど、児童書になっているのは驚いた。
以前読んだ、同じシリーズの児童書版『君主論』と同じく、生々しさを子供向けに翻訳する挑戦に感銘を受けた。

特に、以下の2つは、孫子が大切にした考えだろうと想像して、印象に残った。

◯相手のことも自分のことも知っていれば、何回戦っても負ける心配はない。
相手のことを知らないで、自分のことだけわかっていたら、勝てる可能性は半分くらい。
相手のことも自分のことも知らなければ、必ず負けてしまうよ。
<彼れを知りて己をしれば、百戦して殆うからず。彼れを知らずして己を知れば、一戦一負す。彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。>

◯100回戦って100回勝つより、戦わないで勝つほうが本当にすごいこと。
<百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。>

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2024 6/13
児童書、戦略論、諸子百家
まろまろヒット率3

齋藤孝監修 『悩きびしい社会を生き抜く人になる! こども君主論』 日本図書センター 2017

『新約 君主論』、『君主論』 (既読) などから、マキアヴェッリ (マキャベリ) の『君主論』の言葉を、子供が読んでも分かるように解説した一冊。

まず、「学校でおそわることのない”世の中のホント”がたくさんつまっています!」と、監修者が帯に書いているように、『君主論』を児童書としたことに斬新さを感じた。
個人的にも、これまで『君主論』や『マキアヴェッリ語録』を読んできたので、この帯を見た時は「そりゃ日本の学校教育では教えんやろ」と感じた。

これは、この本の「おわりに」の後に、「おとなのみなさんへ」として、監修者が…

「お子さんを取り巻く環境は、おとなと同じようにきびしさにあふれています」

「おとなはもっとこどもを信じて”世の中のホント”を知らせてもいいのではないか」

…と、述べていることから、あえて挑戦した意図がうかがわれる。

特に、以下の2つは、マキアヴェッリが大切にした考えだろうと想像して、印象に残った。

◯やさしさときびしさは、バランスがたいせつ。愛されながら恐れられる存在になろう。
<(新しい君主に必要なことは、) 民衆から愛されるとともに恐れられること、…厳格であると同時に、丁重で寛大で、闊達であること、…>

◯運命だって、自分しだい!ふりまわされず、思い描いた未来を手に入れよう!
<かりに運命が人間活動の半分を、思いのままに裁定しえたとしても、少なくともあとの半分か、半分近くは、運命がわれわれの支配にまかせてくれている…>

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2024 6/11
児童書、哲学、思想、政治学、マキャベリズム
まろまろヒット率3

齋藤孝監修 『悩みや不安にふりまわされない! こどもブッダのことば』 日本図書センター 2017

『ブッダの真理のことば感興のことば』、『ブッダのことば スッタニパータ』、『仏道入門 四十二章経を読む』などから、ブッダのものとされる言葉を、子供が読んでも分かるように解説した一冊。

特に以下の2つは、ブッダ (ガウタマ・シッダールタ) が大切にした考えだろうと想像して、印象に残った。

◯気持ちがつらくなったら「これは自分のもの」というこだわりを、いったん捨ててみよう。
<「これはわがものである」また「これは他人のものである」というような思いが何も存在しない人 (そうした人は) 「われになし」といって悲しむことがない。>


◯「生きる」と「苦しい」はセットだと知ること。それがしあわせのスタートだよ。
<「一切の形成されたものは苦しみである」 (一切皆苦) と明らかな智慧をもって観るとき、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。>

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2024 6/8
児童書、仏教
まろまろヒット率3

石持浅海 『扉は閉ざされたまま』 祥伝社 2008

同窓会で集まったペンションで、密室での事故に偽装した犯行が行われた。
偽装を続けたい犯人と、真相に迫る人物との頭脳戦が始まる…

題名の通り、「扉は閉ざされたまま」、密室は開けられずに、推理が進むのが特徴のミステリー小説。
設定の面白さを感じたものの、登場人物があまり魅力的には感じられなかったので、思っていたよりも没頭感はなかった。

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2024 6/6
ミステリー小説
まろまろヒット率3

井上真偽 『その可能性はすでに考えた』 講談社 2018

奇蹟の存在を探求する探偵・上苙丞と、その債権者・姚扶琳(ヤオ・フーリン)の元に、十数年前に起こった不可解な事件の関係者が訪れる。
不可解な事件の真相はいったい何だったのか、どうすればそのような可能性がありうるのか。
様々な登場人物が、その可能性を仮説を立て、探偵・上苙丞は「その可能性はすでに考えた」と反証していくが…

可能性(仮説)と反証(その否定)を中心にしたミステリー小説。
論理性の戦いというところに面白さを感じた。
また、最後に探偵・上苙丞が立てた仮説が一番心が暖まるものというのも、印象に残った。

ちなみに、探偵・上苙丞の言動や不合理な行動原理(彼の場合は奇蹟を信じる)など、まるで自分を見ているような感覚になった。
あまりに似ているので、探偵・上苙丞が思考する際の癖である「憂思黙想(ブラウンスタディ=Brown Study)」※を自分もするようになった。
ちょっと影響を受けてしまった一冊。

※:右手で片目を防ぐ=片目を塞ぐのは不要なものを見ないため、片目を開けたままなのは見えざるものを捉えるため。

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2024 6/1
ミステリー小説
まろまろヒット率4

森博嗣 『すべてがFになる』 講談社 1998

天才研究者に会おうと、主人公たちは孤島にある研究所に行くが、そこで思わぬ事件に巻き込まれていく…

ミステリー小説。
読んでみると、後半部分の主人公と犯人との静かな対話が緊張感があり、楽しかった。
ただ、勝手な期待なことは承知だけど、素材が揃っているだけに、もう少し頭脳戦を見たかった。

ちなみに、主人公たちが所属するN大学は、僕も働いたことがあるので親近感を感じた。
大学図書館の構造も、「そういえば、こんな感じだった…」と懐かしく思い出された。

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2024 5/16
推理小説
まろまろヒット率3

高橋悠 『改訂版 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)事業所運営・管理ハンドブック』 日本法令 2021

就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)の運営・管理のガイドブック。
福祉事業は、不慣れな自分にとっては複雑な制度に思えるので、一つずつ理解しようとして手に取った一冊。

特に、「第2章 日本の障害福祉の変遷と障害福祉サービス事業の制度について」は、頻繁に改正されてきた福祉関連の制度趣旨が時系列で説明されていて、概要を理解するにの役立った。

また、就労継続支援A型のスコア方式に、「(3)多様な働き型-②外部研修会等への講師派遣、学会等での研究発表又は実践報告の実施状況」が明記されているのは、各事業所の活動を蓄積して共有していこうとする意図が感じられた。

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2024 5/8
福祉事業、就労移行支援、就労継続支援
まろまろヒット率3

綾屋紗月、熊谷晋一郎 『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』 医学書院 2008

発達障害についての当事者研究。
ASD (Autism Spectrum Disorder, 自閉スペクトラム症) 当事者と、脳性マヒ当事者による共著になっている。

読んでみると、障害の当事者による「主観の言語化」には、共感する点が多かった。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む…)

◯自閉圏の人間は、「意味や行動のまとめあげがゆっくり」
<はじめに>

◯私には、人びとがこんなにたくさんあるはずの身体感覚を容易に絞り込み、ひとつにまとめあげていることのほうが不思議に思われる
<1章 体の内側の声を聞く>

◯まとまらない<したい性>や、危険な<せねば性>のかわりに、<します性>を用いている
<します性>=すりあわせをしなくても済むように行動を決めてしまう意志
→日常生活の大部分はこの<します性>で動くことになっている
<1章 体の内側の声を聞く>

◯<したい性>によって行動の選択をしていくのではなく、まず<します性>として意志をまとめあげ、それにしたがって行動することで、苦痛な身体感覚や心理感覚が緩和する
→やがて徐々に<したい性>が明確化することがある
→ただし、そのようにして導入された<したい性>は、煩雑で、融通の利かないものになりがちで、決して一筋縄で解決するものではない
<1章 体の内側の声を聞く>

☆自分が疲れているかどうかの判断を保留して、「普通」に合わせるために無理を重ねてしまう態度は、外側からは見えにくい (したがって自分からも見えにくい) 障害をもっている人たちに、共通してみられる傾向
<1章 体の内側の声を聞く>

☆感覚過敏と感覚鈍感のあいだには、それほど本質的な違いはない
→どちらも「身体内外から細かくて大量の情報を感受し、それを絞り込み、まとめあげることがゆっくりであるために生じている」
という一言で説明がつく
<2章 外界の声を聞く>

☆自閉=身体内外からの情報を絞り込み、意味や行動にまとめあげるのがゆっくりな状態
→また、一度できた意味や行動のまとめあげパターンも容易にほどけやすい
<2章 外界の声を聞く>

☆「みんなつながれて羨ましいな」「私はつながれなくて寂しいな」ーそんな二つのせつない気持ちをかかえながら、楽しそうな笑顔の群れを見て、つながっている気分のおすそわけをいただく
→私流のヒトの集団とのささやかなつながり方
<4章 揺れる他者像、ほどける自己像>

◯私にとっての発声は「人の何倍もの時間と労力を費やせば、人の何分の一かはできる」というきわめて燃費の悪い代物
<5章 声の代わりを求めて>

☆関係が続いている人びとに共通するのは、みずからが経験してきたディスコミュニケーションの寂しさや孤独感などのつらい感覚を忘れずに、なお、聞こえる者とのコミュニケーションを諦めない、理解しあおうとする態度
<5章 声の代わりを求めて>

☆多くの人々の場合、あなたと私の困難さは「質的に同じでも量的に異なる」のではないだろうか
→この視点は本書においてもっとも大事な点の一つ
<5章 声の代わりを求めて>

☆多くの人がうっかり取り込んでいる「意味・行動のまとめあげパターン」を、私たちのような少数派は、さまざまな理由で取り込めない
→そのかわり手探りで、独自のパターンを、ゆっくりていねいにまとめあげる
<7章 「おいてけぼり」同士でつながる>

☆多くの人は同じパターンを取り込むことで、互いにつながっている感覚を得ることができるが、少数派にはそれもかなわない
→そこかわり手探りで、互いに共有できる意味や行動のパターンを、ゆっくりていねいにまとめあげる
<7章 「おいてけぼり」同士でつながる>

☆「できるできない」という質的な二律背反ではなく、「できるけれどもどれくらいの負担がともなうか」という量的な問題で伝える必要がある
<おわりに>

☆健常者と障害者はスペクトラムであり、障害者のなかもまたスペクトラムになっている
→同じであることを強要するでもなく、差異をことさらにあげつらうでもなく、多様な人びとが多様なままつながりあえれば、と思う
<おわりに>

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2024 3/19
当事者研究、発達障害、発達神経症、精神障害、ASD
まろまろヒット率4

クリス・アンダーソン、関美和訳 『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』 NHK出版 2012


『ロングテール』で知られる著書による、ウェブでのイノベーションをリアルなモノ作りに持ち込む「メイカームーブメント」の解説書。
ファブラボ調査で手に取った一冊。
原題は、“Makers: The New Industrial Revolution” (2013) 。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む…)

☆職人だった著者の祖父が特許収入が少なかったのは、祖父が発明家であって、起業家ではなかったから
→この違いこそが、本書の核
→起業と経済成長を加速させるウェブと同じモデルが数倍の規模を持つリアルなモノの経済に影響を与える
→「メイカームーブメント」が生み出す最大の力は、小規模でもグローバルになれる能力
<第1章 発明革命>

☆「メイカーズ・プレミアム」=自分が骨を折ったものにはより高い金額を払う
→モコディティ化に対する究極の対抗策
<第5章 モノのロングテール>

☆「模造者を味方につけるには」=コピー商品を作った人を知的財産侵害とするのではなく、オープンライセンスで許可されている「派生」としてコミュニティの一員として仲間にする
<第7章 オープンハードウェア>

☆オープンイノベーションは究極のマーケットソリューション=コミュニティが、隠れた供給 (その分野でいまだ雇われていない人材) と隠れた需要 (通常の手法で作るとコストがかかりすぎる製品) を結びつけている
<第8章 巨大産業を作り替える>

◯「人材のロングテール」=教育や経歴にかかわらず、能力を証明することができる
<第9章 オープンオーガニゼーション>

◯製品開発面では、メイカームーブメントは安い労働力よりもイノベーションを促す文化に有利に働く
→協創やコミュニティによる開発を大切にする社会が勝つだろう
<エピローグ 製造業の未来>

◯「ロングテール」の新しい時代=大ヒット作がなくなる時代ではなく、大ヒット作による独占が終わる時代
<エピローグ 製造業の未来>

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2023 10/13
メイカーズ、ファブラボ、スタートアップ
まろまろヒット率3

河村有希絵 『思考の質を高める 構造を読み解く力』 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2023

職場でご一緒している方からオススメをいただいて、読んでみた構造読解の解説書。
「東大・MBA・コンサルで通用する思考技術は、小学生の国語で学んだ」と帯にあるように、小学校の国語の授業で使われることがある「構造学習論」を中心に、構造化をして読解し、思考する方法を解説している。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)…

◯国語の目的は、究極的には「ともに生きる力」を培うというところ
<第1章 「構造を読み解く力」とは何か?>

◯言葉を使いこなすことの究極目標は、思考すること
<第1章 「構造を読み解く力」とは何か?>

◯大人の武器は「メタ認知」
<第1章 「構造を読み解く力」とは何か?>

◯論理は言語を超えての究極の「共通言語」
<第1章 「構造を読み解く力」とは何か?>

◯単に情報や知識を得るのにとどまらず、なぜそうなのか、をとらえることが読解であり、それが書き手と読み手の対話
<第2章 論理を読み解く>

◯思考とは構造化すること
<第4章 思考を組み立てる>

☆多くの情報の中から、自分にとって、相手にとって、重要な情報を抽出し、その関係性を認識し、納得がいくように証拠を紐づけて提示する、この行為が構造化
<第4章 思考を組み立てる>

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2023 10/10
構造学習、構造読解、構造化、読解力
まろまろヒット率3