シュテファニー・シュタール、繁田香織訳 『「本当の自分」がわかる心理学~すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある』 大和書房 2021

渡邊義弘@アクティブな引きこもりなので、自分は回避傾向にあることを感じています。

シュテファニー・シュタール、繁田香織訳 『「本当の自分」がわかる心理学~すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある』 大和書房 2021

さて、シュテファニー・シュタール、繁田香織訳 『「本当の自分」がわかる心理学~すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある』 大和書房 2021。
心の中にいる影子と日向子を見つけ出して、その二人と対話することによって、生きづらさの解消を目指す一冊。
原題は、“Das Kind in dir muss Heimat finden” (2015) 。

特に印象に残ったのは、無意識のうちに採用している防衛戦略が解説されている「15章 『影子』の傷を感じないようにするための防衛戦略」だ。
中でも「戦略10 逃避、退却、回避」項目では…

「第一アドバスとして、退却がとても有意義な防衛戦略であるとしても、あなたはときどき「まぼろし」からも逃げてしまっています。
(略)「自己主張したり抵抗したりしてもいい」ということを影子に理解させるのも、とても大切です。」

…としているのは、心に来るものがあった。

また、「16章 『影子の傷を癒やす』」の「レッスン9 状況を三つの立場から認識する」は、
自分の影子の立場、相手の立場、大人の自分の立場、の三つの立場を切り離して認識する方法が解説されていて、
問題を考察する上で役に立つのではないかと感じた。

そして、最終章の「19章 具体的な黄金戦略」では、

「あなたが美しく、なんでもできて強い人かどうかは、人生において重要ではありません。
重要なのは、「ありのままの自分を温かく迎え入れる」ということなのです。
あなたの影子と日向子が、”ありのままの自分”でいられる場所、いわば”愛情と安心感に満ちた心の拠りどころ”をあなたの中に感じれば感じるほど、
あなたはリラックスでき、他者に対してより理解と好意を持って心の内を明かすことができるようになります。
”心の拠りどころ”とは、親密さと安全と安心を意味し、そうした中に属しているということなのです。
すなわち、私が私自身 (自分の影子と日向子) を私の中に温かく迎え入れたら、私自身は心の拠りどころを得ます。
私は私自身と結びつき、そこから他者とも結びつくようになります。
これができるかどうかによって、人生の良し悪しが決まるのです。」

、と述べているのは、この本の結論だと感じた。

以下はその他にチェックした箇所(一部要約含む)…

○信念を端的な言葉で言い換えるとしたら、”心を動かすシステム”といえるでしょう。
そして私たちは、信念を通して現実の世界を見ています。
そのため、信念は”現実を見るための眼鏡”ともいえるでしょう。
<8章 子ども時代の経験が「今の自分」にもたらす影響>

☆愛や尊敬の対象となるのに、完璧な存在や過ちを決して犯さない存在である必要はないのです。
→完璧であるものしか愛せないとしたら、それは本当の愛ではない。
<8章 子ども時代の経験が「今の自分」にもたらす影響>

○自分が本当に望む事柄は、自分が心地良く感じられる事柄。
<14章 自分の「影子」を知る>

☆1日のうちに何度か手を休め、「私は今、どう感じている?」と自問し、自分の内面に注意を向ける。
<14章 自分の「影子」を知る>

☆行動を起こすときに「どうしたら私自身をもっともうまく守れるか?」ではなく、
「私がしようとしている、あるいは、しないようにしていることは、”意味にある”振る舞い何だろうか?」と何度も自問してみる。
<17章 自分の「日向子」を見つけ出す>

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2021 12/14
心理学、心理療法、カウンセリング
まろまろヒット率4

山下祐介 『地域学入門』 筑摩書房 2021

渡邉義弘@成人してから年月は立ちますが、大阪で生まれ育ったという地域性を感じることがあります。

さて、山下祐介 『地域学入門』 筑摩書房 2021。

近代化で見えなくなった地域の実像を、生態、社会、文化、歴史の側面から捉えないそうとする一冊。
著者は社会学者なので、社会学的な視点を土台にして、生命、社会、歴史と文化、変容の切り口(章立て)で地域というものの本質に迫ろうとしている。

チェックした箇所は下記(一部要約)…

○それ(神仏)は過去に生きた人々とのつながりでもあり、未来にもつながる確かな契機である。
こうした空間的・時間的つながりを確立する具体的な場ーそれが地域である。
<3 歴史と文化の章>

○地域という現象がそこにあるのではない。
私がいて、その地域を見つめることで、地域は立ち現れ、現象となる。
いやそもそも私自身が地域を作り、国家を作り出している原動力である。
<4 変容の章>

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2021 11/19
地域学、社会学
まろまろヒット率3

進藤雄三 「死と死別の社会学」 都市文化研究センター 『都市文化研究』 Vol.20 pp. 88-95 2018

title
進藤雄三 「死と死別の社会学」 都市文化研究センター 『都市文化研究』 Vol.20 pp. 88-95 2018

abstract
1.1960年代から 1980年代までの研究をアメリカを中心に概観した後,2.1990年代におけるイギリスの新しい動向を概括し,3.日本における動向を論述した上で,4.日本社会における死と死別社会学の展望を考察

method
文献研究

conclusion
「死と死別の社会学」の包括的な輪郭が描かれる必要がある

point
近年の研究の特徴として,その具体的対象が「死別」と「葬送」に限定されているかに思われる(略)「死と死別の社会学」のなかで,「死別」と「葬送」が研究対象として分かりやすく,また当事者へのアクセスも比較的容易であるという点,さらに相対的にこの二つの領域は先行研究がかなり蓄積されているという点から,こうした傾向は理解可能ではある

2021 10/22
死生学、死と死別の社会学、デス・スタディーズ
まろまろヒット率3

宮澤安紀 「現代イギリスにおける死生学の特徴とその動向―雑誌Mortality の分析を中心に―」 国際宗教研究所 『現代宗教2020』 pp. 209-238 2020

title
宮澤安紀 「現代イギリスにおける死生学の特徴とその動向―雑誌Mortality の分析を中心に―」 国際宗教研究所 『現代宗教2020』 pp. 209-238 2020

abstract
イギリスにおける死生学研究の主要雑誌である Mortality の記事分析を中心に、イギリス死生学の特徴や最新の研究動向を紹介する

method
雑誌 Mortality、1996 年の 1 巻 1 号から 2018年 23 巻 4 号までの、計 429 本の論文と研究ノートを中心に分析

conclusion
幅広い分野、関心が一定の割合で投稿されている

point
「この特集号以降、2016 年から 2018 年までのたったの2 年間で 6 本もの新たなテクノロジーに関する論文が掲載されており、インターネット、SNS、デジタルデータ等から死を扱う研究はMortality において新たなトレンドの一つになりつつあることを感じさせる。前述したように死とテクノロジーに関わるトピックはイギリスだけでなく世界中で関心を集めており、今後このテーマに関する地域間の比較研究も活発になるだろうと思われる」

2021 10/22
死生学、イギリス
まろまろヒット率3

森新 『アウトルック最速仕事術 年間100時間の時短を実現した32のテクニック』 ダイヤモンド社 2019

渡邊義弘@1995年4月に初めて電子メールを使って以来、会話よりも文章のやり取りの方が緊張感が低いので好きです。

さて、森新 『アウトルック最速仕事術 年間100時間の時短を実現した32のテクニック』 ダイヤモンド社 2019。

生産性があがる「アウトルックスキル」を提唱し、年間100時間の時短を実現したという著者によるアウトルック解説書。
4月から働いている職場はアウトルック(outlook)を使っているので、慣れるために友達から紹介された一冊。

読んでみると、主にショートカットを使うことで効率化を図る内容が多い。
私はブラウザ版のアウトルックを中心に使っていたので、この本の内容を確認しながら読み進めるために、現在はアプリ版を使うようになった。
今後、ブラウザ版とアプリ版のどちらを中心に使うかは、使いながら模索していくというのが現状だけど、
こういう方法もあるということを知れたのは良かった。

また、アウトルックは、
「コミュニケーションツールであるがゆえ、新入社員から経営陣までほぼ例外なく使うツール」なので、
excelやpowerpointのスキルを鍛えるよりも、スキル向上の効果が大きいと解説しているのは、なるほどと思った。

アウトルックを仕事で使う機会がある人には一読の価値がある本。

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2021 9/10
アウトルック、outlook、マイクロソフト、ノウハウ
まろまろヒット率3

松本啓之亮・黄瀬浩一・森直樹 『知能システム工学入門』 コロナ社 2002

渡邊義弘@20年ぶりに御堂筋線を使っています。

さて、松本啓之亮・黄瀬浩一・森直樹 『知能システム工学入門』 コロナ社 2002。

人工知能について、知能システム工学の概要、モデル化と知識表現、各手法のシステム開発等について解説している一冊。

特に、最終章の「7 各種法の評価とシステム開発」(図7.1、表7.1)では、本文で解説した各手法を、
それぞれの目的、モデル、最適性、利点、欠点、例題などを一覧にしてまとめられているので、理解しやすい。

共著者のお一人は、「もう20年くらい前の教科書だから」(現在2021)と言っていたけれど、現在のAIの教科書としても、読みやすく理解が深まる教科書だと感じた。

以下はチェックした箇所(一部要約含む)…

○知能システム=intelligent system = A machine or piece of software that can store knowledge gained from past experience and apply it in different circumstances.
→知能システムを対象とする広範な学問体系=システム工学=inteligent systems engineering.
<1 知能システム工学の概要>

○エージェント=
(1) 自分の状態や行動規範を自分の中に持つ
(2) 自分を取り巻く環境を知覚する
(3) 知覚情報に対して自らの行動を選択肢実行する
→(1)はオブジェクト志向の概念、そこに自律に対応する(2)、(3)の機能が加わったもの
<2 モデル化と知識表現>

○確率的推論(probabilistic inference)=得られた証拠を加味して目的とする事象の確率を導くかのような推論
<4 確率的推論>

☆ほとんどすべての強化学習(reinforcement learning)の最も重要な構成要素=どのようにすて効率的に価値を評価するかという部分
<強化学習>

○マルコフ過程=一つ前の状況によって次の確率変数が定まる確率過程
→この性質=マルコフ性
→マルコフ性を満たし、状態遷移確率が時間的に変化しない強化学習の問題=マルコフ決定過程(Markov decision process: MDP)
<5 強化学習>

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2021 8/25
知能システム工学、人工知能、AI
まろまろヒット率3

自分が作り手だと知らない人が、自分が作ったものを評価しているのを垣間見ること、それに勝る承認欲求の充足は無い

自分が作り手だと知らない人が、自分が作ったものを評価しているのを垣間見ること、それに勝る承認欲求の充足は無い。

自分に注目されたくないし、どや顔を見せたいわけではない。
ただ、自分が作ったものが、自分の手を離れて輝いて欲しい。

まろまろ記20周年を経て>

2021 8/15
はしり書き

まろまろ記20周年

2001年7月19日から始まったこのまろまろ記(旧まろまろ読書日記)が20周年を迎える。

19周年からのこの1年を振り返ってみれば、「書くこと」が自分の人生の課題だと気づいたことが一番大きな出来事となる。
足が震えるような気持ちになりながらも、その課題に勇気を持って向き合うことを始め、
2020年10月からを中心に様々な文学賞に応募を開始した。

このblog(当時はHP)を20年続けている間には、良いことだけでなく、時にはアラ探しの材料に使われることもあった。
そのような貧しい行為との出会いがあっても、20年間続けてきたのは、「書くこと」が欠くことのできない人生の課題だったからだ。

その人生の課題=「書くこと」と向き合い、より幸せになる方角に歩いていく勇気を持ち始めた20周年。

2021 7/19
出来事メモ、サイト運営

山野則子 『学校プラットフォーム』 有斐閣 2018

渡邊義弘@5年ぶりに大阪に戻ってきました。

さて、山野則子 『学校プラットフォーム』 有斐閣 2018。

スクールソーシャルワーク研究者の著者が、子どもをめぐる様々な課題に対して、学校を基盤として取り組むための新たな仕組みを提案する一冊。

内容は、衝撃的で扇情的な報道がなされることが多い子どもをめぐる問題について、単に別のインパクトだけを捉えるのではなく、
しっかりとした基盤=学校プラットフォームの構築の必要性と、そのために必要なものを整理してる。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)…

○貧困の定義=3つの資本の欠如・欠落=
1:所得や資産など経済的資本(capital)の欠如
2:健康や教育などの人的資本(human capital)の欠如
3:つながりやネットワークなどの社会関係資本(social capital)の欠如
by Child Poverty Action Group (CPAG)
<第1章 子どもや学校をめぐる現状と課題>

○学校=教師の発想から変えていかなければ前に進まない
→教員以外の専門職や人材が教師と対等になり自己完結的に自由に動けるような学校を作らなければ、解決に至らない
<第2章 国の動きと法的な枠組み>

☆学校プラットフォームの成立要件=
1:個別事例の共有レベルではなく、参画する住民をはじめ多様な機関やアクターが全体構造を認識する必要がある
2:地域共生が育つためには主体性が育成されるネットワーク理論やプロセスの明示が必要であり、その仕掛けが必要である
3:地域丸投げではなく、政府や自治体が単なる人材投入や政策を示すだけでなく、
 これらが機能する仕組みづくりの提示と財源投資を行い、真の意味の地域共生に責任を持つこと
 (これは主導権を持つことを指しているわけではない)
4:専門職養成として、養成カリキュラムの領域横断化や地域共生の真意を問う教育を展開すること
<第5章 教育と福祉の再編成に向けて>

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2021 6/21
教育学、学校、スクールソーシャルワーク、スクリーニング
まろまろヒット率3

For the endless rain and you

Let me make a poem for the endless rain and you.

Some say that “There is no rain that never ends”.

The rain does not mind.

As the rain keeps falling,

some say that “Your love will end someday”.

I do not mind.

I will keep loving you.