村松岐夫・伊藤光利・辻中豊 『日本の政治』 有斐閣 1992

一回生の時から政治学基礎1の講義、園遊会などで、
特に佐藤満教授からことあるごとに奨められた一冊。
日本の政治に対して体系的、科学的にアプローチした名著と評判高い書物。
まず「世界からみた日本政治の謎」としてさまざまな海外からの日本研究、
日本論を紹介することから始まり、「エリートモデル」・
「階級(闘争)モデル」・「多元主義モデル」・
「強調主義(コーポラティズム)モデル」の四つを視点として
アウトライン、政策、選挙と政党、制度と過程を研究していっている。
最後にこれからの展望として再び海外の日本研究者の意見を載せているが、
結論的に日本政治はエリートモデルと多元主義モデルの二つの視点が
有効という論調を掲げている。
一回生の時にヴェーバーの『ぷろりん』とどちらを読もうかと迷ったほど、
難しいものかと思っていたが、実際読んでみると何のことは無かった。
これは僕が一回生の時から成長したからなのか、
すでにヴェーバーの難解な本を読んでいたから
そう感じるのかはわからないが少し嬉しかった(^_^)

この本をamazonで見ちゃう

1996 12/17
政治学
まろまろヒット率4

糸圭秀実・渡部直己 『それでも作家になりたい人のためのブックガイド』 太田出版 1993

「書き方の本だが、逆に文学を読む上でも参考になるのでは」と思い
購入したが、著者は二人とも時代錯誤な70年代している
左翼崩れで参考にはならなかった。ただ、一部に心ひかれる言葉もあった。
「書き手が自分が思ったことを読み手に伝えようとすれば、
三割がた強い言葉を使わなければダメなんです。
書き出しでキメる場合はそうした方がいい・・」や
「自分にとって理解しやすい人物を描いているうちは、
技術は進歩しないんです。・・・つまり、
ある異物感に触れようとせぬかぎり進歩はない」
また、「この世にはまだ理不尽なことがあるってことに対して、
ある種の感受性を持てないと無理・・自分を侵す他者の存在や
亀裂をあえて受け入れる覚悟が必要」などの言葉には
なかなか考え深いものがあった。

この本をamazonで見ちゃう

1996 11/19
作文指南、対談
まろまろヒット率3

岡田斗司夫 『オタク学入門』 太田出版 1996

またたま面白い本を見つけましたよお!!
『オタク学入門』岡田斗司夫(太田出版)っていう本です。
この岡田斗司夫っておっちゃんは最近良くテレビとか雑誌とかに出ているので
見かけた人もいるかもしれませんが、GAINAX創設者で
現東京大学オタク文化論ゼミという講義の講師です。

「オタク」と聞くと何だかよくわからないけど「異質」な「異物」な
とにかく否定的なイメージがありますよね?
ただ、どうしてそういうイメージが自分にあるのかはうまく説明できない。
ただ、Mさん事件以来「オタク」的なモノはとにかく反社会的で
自己完結的なイメージを何となく持ってしまっている人が多いと思います。
この本はこうした「オタク」という社会的異物を面白おかしく、
かつ深く濃く(笑)アプローチしためずらしい一冊です。

構成は、第1章:オタクの正体、第2章:オタクの世界性、
第3章:オタクの3つの眼、第4章:「粋」の眼、第5章:「匠」の眼、
第6章:「通」の眼、第7章:オタク文化論から成っている。
特に第1章:オタクの正体と第7章:オタク文化論は「オタク」という
社会的にネガティヴな価値観を一般論とはまた違った視点からとらえていて、
とても参考になるっす。

内容は「オタク」と呼ばれるかなり「痛い」人間(笑)の熱い
情熱から生まれるエピソードに爆笑できますが、
本質は「なぜアニメ、漫画などのオタクという文化が日本で生まれ、
現在この文化において世界のトップであるのか?」という疑問を
日本古来の文化論まで立ち返り説明しようとしている意欲作っす。
次代の奔流を読む上でも、論拠もないのに凝り固まった
自分の異物なものへの固定概念をほぐす上でも良質の一冊だと思いますよ(^^)

この本をamazonで見ちゃう

1996 11/10
文化論
まろまろヒット率4

塩野七生 『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年』 中央公論社 上下巻 1989

ヴェネツィア共和国千年史を書いたもの。
前から多くの人に勧められていたので読みたかった一冊。
「小国がいかにして地中海の女王と言われるようにまでなったのか」という
隆盛の上巻と「本質的な衰退」に立ち向かっていく
苦闘の下巻からなるとても興味深い興衰史。
イタリアに関する知識、記述は多く正確だがペルシア、
トルコ(特にオスマン帝国)に関する知識、記述はかなり一方的で
地中海世界の正確な歴史とはいいがたい面はあるが、
一つの隆衰史としてはとても面白く、また含意も多いと思う。

この本をamazonで見ちゃう

1996 11/2
歴史
まろまろヒット率5

林原めぐみ 『明日があるさ』 学研 1996

お久しぶりです、はっちーのアドレス帳から外れていたという事実が
発覚した(笑)らぶらぶナベ@ゼミ選択悩みまくりっす(^^)

いやあ、笑えたしこの時期に読んだからでしょう、とても感動しましたよ、
林原めぐみの『明日があるさ』(学研)というエッセイを読んだんですが
これがひさびさの大当たりでした(^_^)

この人は声優なんですが、元々看護婦で様々な経緯で声優になった人です。
この人の仕事や日常のほんのちょっとしたことにもよく現れてくる
彼女のスタンスが面白おかしく書かれていて、とても面白かったですよ!
常に積極的に、つらいときこそ積極的に正直にという彼女の生き方が
肩ひじ張らずに自然な感じで伝わってきて、ちょっと幸せになれました。
基本的に漫画も入ったギャグ系の軽い本なんですが、ちょっとしたことに
とても考えさせられたりさせてもらえます。
本の冒頭で「私は今とても楽しいお仕事をしています。
そしてとても楽しく人生しています」と書いていることが読み終わって
納得できてしまいます。
特に彼女がずっと「ラジオのDJしたい」と思っていたことが実現した経緯や
それが実現したことに対する彼女なりの解釈は素直に泣けます(本当っすよ)

別に決意とかじゃなくて、ほんのちょっと意識して日常のことの見方を
ポジティヴにすることでいかに人生を楽しめるかってことがここに書いてあります。
こう書くと安易な言葉が多そうで、安易な本のように
思われるかもしれませんが安易に読めても安易に感動してはいけないように
思える本だと思います。
漫画やイラストも多くてなおかつ字も大きいのですぐに読めるので
この本はお勧めっす!
何か気持ちを楽に、前向きにさせてくれます。
どこの世界でも「傑出した人物」には学ぶところ
魅力が多いと言うことでしょうか?

この本をamazonで見ちゃう

1996 10/16
エッセイ、自伝
まろまろヒット率4

トム・ピーターズ、 平野勇夫訳 『経営破壊』 TBSブリタニカ 1994

細井助教授が「現代企業論」で奨めていた本のリストで
一番惹かれた本の一つ。
マレーシア帰りの感染症のため緊急入院中に読んだ。
いかにもアメリカのコンサルトらしくかなり過激な強調が
目立ってちょっとうさんくさい(笑)が多くの実例、
名言などを引用しているため説得力がありなによりみずみずしい本。

特に感心したり、これは使えると思ったところは・・・
「年に四回履歴書を書いてみる」
=これは自己生涯学習を客観的に見るために使える方法。

また、「過去一年間に学んだことを具体的に説明し、
一年前に比べ自分の価値がどれだけ増したかを具体的に示す」
・・・これには付属があって・・・
「自分のネットワークで新たに開発した人脈を示す」と
「1:今年になって自分がした一番風変わりなこと
2:自分がトライしてみたいクレージーなこと
3:自分がおかした一番奇抜な失敗
4:ばかばかしいと思う会社(コミュニティーでも可だろう)の
ルールを5つ」を一緒に書いてみるのを勧めている。
確かに年に一回実際に書いてみるのもとても有益かつ
人生の財産になるだろう。さっそくパクらしてもらおう(^^)

「真面目くさった面白味を表現できない人間が
『自由に、エキサイティングに、創造的に!』と叫んでも説得力は全く無い、
故に多くの改革は失敗する」なるほど言えてる、言えてる。
そういう人間に限って「どうしてもっとみんなエキサイティングに
ならないだ!」と憤慨する、おまえが一番エキサイティング
という言葉から遠いからや(^_^)

「誰もやっていないからといって不可能なわけではない
(元MSIのCEOビル・マガウアン)」これは有り触れた言葉だけど
この人が言ったセリフということで感動する。

そして最後に著者が有力な革命的リーダーから学んだ5つをまとめると・・・
「全速力でぶっ飛ばす(マイク・ウォルシュ)」
「行動だ(エド・マクラッケン)」
「失敗を歓迎する(リチャード・ブラウン)」
「気の抜けた返事はゴメン(山内博)」
「混乱のさなかの集中(ロジャー・ミリケン)」
・・・ということらしい。たしかに最後の言葉は
「混乱の中で集中できた者こそ混乱を乗り越えられる」
という言葉に似ていてうれしい。

この本をamazonで見ちゃう

1996 9/27
経営学
まろまろヒット率4

竹田青嗣 『自分を知るための哲学入門』 筑摩書房 1993

マレーシア渡航前から読んでいた本。初の哲学書。
前半は著者の哲学観が実体験を元にのべられていて興味深かったが
後半のギリシア哲学から現代思想までの流れの概要はいまいちだった。
とにもかくにもこれが初の哲学の本。

この本をamazonで見ちゃう

1996 9/24
哲学
まろまろヒット率3