ヘルゲ・ヘッセ、シドラ房子訳 『その一言が歴史を変えた 「汝自身を知れ」から「悪の枢軸」まで世紀の名言・珍言・暴言50』 CCCメディアハウス 2010

渡邊義弘@寄稿『石垣島の中学生による地元水産物をPRするPOP広告作りのワークショップ~若者の水産物消費促進に向けた「石垣島モデル」の提案~』が全国漁業協同組合連合会発行の『漁協(くみあい)』163号に掲載されました。

さて、ヘルゲ・ヘッセ、シドラ房子訳 『その一言が歴史を変えた 「汝自身を知れ」から「悪の枢軸」まで世紀の名言・珍言・暴言50』 CCCメディアハウス 2010。

歴史上、有名な発言とその背景を解説する一冊。
原題は、“Hier Stehe Ich, Ich Kann Nicht Anders: In 80 Saetzen Durch Die Weltgeschichte” (2006) 。

取り上げられた発言は、正確には表現がだいぶ違っているものや、本当に言ったかどうか確認できないもの、さらには本人は言っていないことが明らかになっているものも多い。
この点は、「歴史に残った人物の思想や性質にぴったりだと、同時代人または後世の人が感じたから定着したわけだから、それなりの真実を有しているだろう」という訳者あとがきがこの本の性質を現わしていると感じた。

ちなみに、僕の好きな「陽が当たらないからどいてくれ」(ディオゲネス)、「余がアレクサンドロスでないならば、ディオゲネスになりたい」(アレクサンドロス3世)という、ディオゲネスとアレクサンドロス3世の伝説的なエピソードがあったのは嬉しかった。

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2017 6/2
歴史、名言
まろまろヒット率3

片山善博・糸賀雅児 『地方自治と図書館: 「知の地域づくり」を地方再生の切り札に』 勁草書房 2017

渡邊義弘@協力させていただいた利用者アンケートの集計結果を基に「石垣市立図書館に行こう」という歌ができました※1。

さて、片山善博・糸賀雅児 『地方自治と図書館: 「知の地域づくり」を地方再生の切り札に』 勁草書房 2017。

「図書館は地方自治体の重要な拠点となることができる」と主張する地方自治論と図書館政策論の専門家による共著。
特に、図書館の使命を・・・

○図書館のミッション=「自立支援」
→国民・住民が自立するための「知的インフラ」
<第二章 図書館のミッションを考える>

・・・と位置づけて・・・

○図書館は、自己責任型社会において、自立する個人を情報提供という側面から支援できることに自治体関係者はもっと目を向けるべき
<第八章 「地域の情報拠点」としての課題解決型図書館>

・・・と提言しているのは印象に残った。

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2017 5/5
地方自治論、図書館情報学
まろまろヒット率3

※1:2017年5月7日 『八重山毎日新聞』・第9面 「行こう 行こう 石垣市立図書館 来館呼び掛け歌が完成」

影山裕樹 『ローカルメディアのつくりかた:人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通』 学芸出版社 2016

渡邊義弘@石垣市立図書館の「情報発信・活性化勉強会」で設計したアンケート集計とそれを基にした職員ワークショップの結果が発表されました。

さて、影山裕樹 『ローカルメディアのつくりかた:人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通』 学芸出版社 2016。

ローカルメディアと、それを担う人々をを紹介する一冊。
中でも食材が付録になっている『東北食べる通信』(Part2)、城崎温泉限定販売で温泉に入りながら読むことができる『城崎裁判』(Part2)などは、メディアの届け方の工夫として興味を持った。

また・・・

○ローカルメディアの本当の価値=つくるプロセスがどれほど豊かであったか
<Prologue>

○ローカルメディアが地域コミュニティに寄与できるもっとも重要な価値は、それがまるで回覧板のように、向こう三軒両隣の隣人とコミュニケーションを取るための文字通りの”媒介物(メディア)”になること
<Part1 観察力×コミュニケーション力>

○実際にできあがったメディアそのものよりも、異なる立場の人々が膝を突きあわせ、立ち上げから完成に至るプロセスを最後まで共有することこそ、メディアづくりの醍醐味
<Part3 地域の人×よそ者>

・・・というように、メディアのコンテンツそのものだけでなく、作る過程にこそ価値があるのだとしているところは『てくてく』と同じ趣旨のものとして

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2017 4/21
ローカルメディア
まろまろヒット率3

加藤諦三 『心の休ませ方』 PHP研究所 2006

渡邊義弘@石垣島での週末は自転車で夕日を見ることが増えました。

さて、加藤諦三 『心の休ませ方』 PHP研究所 2006。

「心の休ませ方」というタイトルだけど、どちらかというと「なぜ疲れたのか」という原因についての記述が多い。
特に「第二章 愛情飢餓感がマイナス発想の原点」の中にある・・・

○人がマイナスの発想をするのは、認めてもらいたから
<第二章 愛情飢餓感がマイナス発想の原点>

○不幸は偽装された憎しみ→不幸にしがみついている人は、不幸になるより他に憎しみの感情を表現する方法が分からない
<第二章 愛情飢餓感がマイナス発想の原点>

・・・などは印象に残った。
では、どうすれば良いのかについての記述は少ないけれど、最後の・・・

○傷つく必要のない言葉で傷つくな
<エピローグ>

・・・は、ちょっと納得した。

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2017 3/27
エッセイ、メンタル
まろまろヒット率3

長谷部誠 『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』 幻冬舎 2014

渡邊義弘@石垣島でチャリ部が生まれつつあります。

さて、長谷部誠 『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』 幻冬舎 2014。

サッカー選手の著者によるメンタル本。

○「メンタルを強くする」と言うよりも、「調整する」「調律する」と言った方が適している感覚
<まえがき>

・・・と述べているように、心を固定的なものではなく波のように捉えているのが特徴的。

○組織のベクトルと個人のベクトルを一致させれれば、どんな仕事でも自分を生かすことができるのではないか
<第4章 信頼を得る。>

○何が起こっても心が乱れないように、普段から「最悪」の状況を想定しておく
→何が起きても受け止める覚悟があるという「決心を固める」作業でもある
<第7章 想像する。>

・・・などが印象に残った。

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2017 3/19
エッセイ、メンタル
まろまろヒット率3

塩野七生 『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』 新潮社 上下巻 2013

渡邊義弘@石垣島で自転車で出かけるようになりました。

さて、塩野七生 『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』 新潮社 上下巻 2013。

13世紀に活躍し、ルネサンスを先取りした科学的な視点と合理性を持った君主として知られる、神聖ローマ皇帝兼シチリア王国国王のフリードリッヒ二世の生涯を描いた伝記。

法治国家への改革、ローマ教皇との対立など、既得権益、既成勢力との戦いにその生涯の記述の多くが費やされているけれど、中でも武力を背景にしながらも、粘り強い交渉でイェルサレムを奪還した第六回十字軍が一番印象的。
合理性と強い意思とを兼ね備えた人物像に感銘を受ける一冊。

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2017 3/19
歴史、ヨーロッパ史、中世
まろまろヒット率3

佐々木雅幸 『創造都市への挑戦―産業と文化の息づく街へ』 岩波書店 2012

渡邊義弘@石垣島に来て5ヶ月が経ちました。

さて、佐々木雅幸 『創造都市への挑戦―産業と文化の息づく街へ』 岩波書店 2012。

イタリアのボローニャや日本の金沢などの事例を紹介しながら、創造都市の取り組みを紹介する一冊。
中でも、創造都市の定義を以下のようにしていることは注目した。

○創造都市=人間の創造活動の自由な発揮に基づいて、文化と産業における創造性に富み、同時に、脱大量生産の革新的で柔軟な都市経済システムを備えた都市
<第1章 「都市の世紀」の幕開け>

また、創造の場を創るために必要なものを以下のようにまとめているのは、興味深かった。

○創造の場をつくるための要素=
1:芸術的才能と編集的才能をもった人の出会いをコーディネートすること
2:人間的信頼関係を基礎にしたネットワークの結び目の機能
3:グローバルな異文化との交流や伝統工芸や芸能と現代のハイテクや芸術と出会いをおしすすめる機能
<第5章 「創造の場」から創造都市の連携に向けて>

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2017 2/11
創造都市、都市論
まろまろヒット率3

山崎亮 『コミュニティデザインの時代 – 自分たちで「まち」をつくる』 中央公論新社 2012

渡邊義弘@石垣島白保地区の白保日曜市に参加しました。

さて、山崎亮 『コミュニティデザインの時代 – 自分たちで「まち」をつくる』 中央公論新社 2012。

コミュニティデザインに関わる著者が、講演会などでよく聞かれる質問を軸にコミュニティデザインの全体像や、
著者が関わるきっかけになった経緯、取り組んだ事例を紹介する一冊。

特に、「なぜいまコミュニティなのか」について語る第1章は印象に残った。
人の生活には「自由を安心のバランス」が必要で、「つながりとしがらみ」の中で、最終的には「いいあんばいのつながり」を目指すという展開は納得した。
<第1章 なぜいま「コミュニティ」なのか>

また、話題になることが多いお酒の席とファシリテーターとの関係については、以下のように述べているのは思わず笑ってしまった。

○酒を飲まないと本音が引き出せないというのはファシリテーターとしての能力が低い
<第4章 コミュニティデザインの方法>

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2017 2/5
コミュニティデザイン
まろまろヒット率3

筧裕介 『ソーシャルデザイン実践ガイド―地域の課題を解決する7つのステップ』 英治出版 2013

渡邊義弘@石垣市立図書館で「情報発信・活性化勉強会」を開催しました。

さて、筧裕介 『ソーシャルデザイン実践ガイド―地域の課題を解決する7つのステップ』 英治出版 2013。

ソーシャルデザインの実践を森に見立て・・・
1:森を知る、2:声を聞く、3:地図を描く、4:立地を選ぶ、5:仲間をつくる、6:道を構想する、7:道をつくる
・・・の7つのステップで紹介する一冊。

特に、4:立地を選ぶ、は日頃から重要だと感じていたので、下記のように述べているところは深く共感した。

○立地=プロジェクトイシュー(project issue)の定め方
・住民視点:誰の気持ちを動かすかが明らかか? 始めてもらいたい行動が具体的か?
・あなた視点:必要なリソースにアクセスできるか? あなた自身がモチベートされているか?
→住民視点×あなた視点で選択
<Journey4 立地を選ぶ>

以下は、その他にチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○ソーシャルデザイン=人間の持つ「創造」の力で、社会が抱える複雑な課題の解決に挑む活動
<Prologue 社会課題とソーシャルデザイン>

○データとは、ある人がある明確な視点のもとに、加工した数値や事実
→データを集めれば集めるほど、そのデータをつくったいろいろな人の視点が手に入る
<Journey1 森を知る>

○人の気持ちを動かす原動力となるのが「企画がシンプルであること」
→聞いただけで「いいね」と言ってもらえる「わかりやすさ」は優れたデザインの一つの条件
<Case Study4 コミュニティトラベルガイド>

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2017 1/28
ソーシャルデザイン
まろまろヒット率3

姜尚中 『悩む力』 集英社 2008

渡邊義弘@講義を受ける機会は無かったですが、かつて姜尚中さんが教授をしていた学校にいたことがあります。

さて、姜尚中 『悩む力』 集英社 2008。

日々の生活を全面肯定できるわけでもなく、かといって宗教や精神的なものに逃げ込むこともできない・・・
そんな「生きづらい」とも表現される現代に生きる我々の悩みについて語った一冊。

読んでみると、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した夏目漱石とマックス・ウェーバーを「悩み抜いた人」として引用しているのが特徴的。
この2人の思想、言葉を取り上げながら・・・

○自分でこれだと確信できるものが得られるまで悩みつづける。
あるいは、それしか方法はないということを信じる。
それは「不可知論だ」と言う人もいるでしょう。
でも、中途半端でやめてしまったら、それこそ何も信じられなくなるのではないかと思います。
<第五章 「信じる者」は救われるか>

○私にはどうしなさいともアドバイスできるわけではありません。と言うより、それぞれの人に悩んで考えてほしいと思います。
「脳」に特化して上滑りになったり、「私」に閉塞して城を作ったりしないで、つながる方法を考えてほしいと思います。
<第八章 なぜ死んではいけないか>

・・・という風に、悩み続けることが大切だとしている。
また、仕事については・・・

○社会というのは、基本的には見知らぬ者同士が集まっている集合体であり、だから、そこで生きるためには、他者からの何らかの形で仲間として承認される必要があります。
そのための手段が、働くということなのです。
働くことによて初めて「そこにいていい」という承認が与えられる。
→人間というのは、「自分が自分として生きるために働く」のです。
「自分が社会の中で生きていていい」という実感を持つためには、やはり働くしかないのです。
<第六章 何のために「働く」のか>

・・・として、存在を相互承認するために必要だとしているのも印象的な一冊。

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2017 1/20
哲学、エッセイ、人生指南
まろまろヒット率3