エラ・フランシス・サンダース、前田まゆみ訳 『翻訳できない世界のことば』 創元社  2016

渡邊義弘@『図書館雑誌』 Vol.111, No.9 に「石垣市地域おこし協力隊と石垣市立図書館の協働による”ここがいいね!”利用者アンケートと職員ワークショップの報告~地域おこしの拠点として図書館を位置づける日本最南端の試み~」が掲載されました。

さて、エラ・フランシス・サンダース、前田まゆみ訳 『翻訳できない世界のことば』 創元社  2016。

102個の翻訳できない=正確には英語では直訳できない言葉を紹介している。
原題は、“LOST IN TRANSLATION” (2014)

特に印象に残ったのは、ウルドゥー語の名詞・・・

“NAZ” = 誰かに無条件に愛されることによって生まれてくる、自信と心の安定

・・・という言葉だ。
とても素敵で重みのあるものだと思った。

ちなみに、日本語からは以下の4つが掲載されている・・・

“KOMOREBI” (木漏れ日)

“BOKKETTO” (ぼけっと)

“WABI-SABI” (侘び寂び)

“TSUNDOKU” (積ん読)

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2018 3/12
言語、異文化理解、絵本
まろまろヒット率4

ユン・チアン、J・ハリデイ、土屋京子訳 『マオ―誰も知らなかった毛沢東』 講談社 上下巻 2005

渡邊義弘@コーディネーターとして「平成29年は肉の年・インスタ映えコンテスト」授賞式を開催しました。
(2018年1月30日 『八重山毎日新聞』・第8面 「コンテスト 宮城さんの訴求力の写真 “インスタ映え”投稿選出 石垣牛に豪快にかぶりつく」)

さて、ユン・チアン、J・ハリデイ、土屋京子訳 『マオ―誰も知らなかった毛沢東』 講談社 上下巻 2005。

中華人民共和国の初代国家主席である毛沢東(Mao Zedong=マオ・ツォートン)の伝記。
480人以上におよぶ関係者からのインタビューと、最新の資料から新しい毛沢東像を浮かび上がらせようとしている。

特に、毛沢東は中国統一までは素晴らしい指導者だったが、中国統一後は大躍進政策や文化大革命などの失策と権力闘争で大きな禍根を残したとする通説に対して、
毛沢東の性格と手法は最初から変わっておらず、終始一貫して自己保身と権力闘争の連続であったことを明らかにしようとしている。

内容面では、まだ議論のある事実関係があることや、資料の読み方に恣意性があるとの課題も指摘されている本ではあるけれど、毛沢東と中国現代史の生々しさが嫌というほど伝わってくる一冊。

ちなみに、著者の本は、高校生の時に『ワイルド・スワン』を読んで以来、26年ぶりとなる。

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2018 3/11
毛沢東、歴史、伝記、中国史
まろまろヒット率3

白洲正子 『西行』 新潮社 1996

渡邊義弘@クジャク羽根の活用を目指す芸学連携ワークショップのコーディネーターをしました。

さて、白洲正子 『西行』 新潮社 1996。

歌人・西行について評論と紀行文。
読んでみて印象深かったのは・・・

○西行は伝説の多い人物で、虚実の間をすりぬけて行くところに彼の魅力がある
<空になる心>

○中途半端な生きかたのままで、大きく豊かに成長をとげて行ったところに、西行の真価は見出される
<嵯峨のあたり>

○目的を持たぬことこそ隠者の精神
→ふらふらしながら、柳の枝が風になびくように、心は好く沿いも動じてはいない
<花の寺>

○総じて辻褄が合うような人間はろくなものではなく、まとまりのつかぬところに西行の真価がある
<後記>

・・・という風に、西行のことをまとまりがなく中途半端な人物であり、それこそが魅力であるとしているところだ。
僕はこの西行と著者の夫である白洲次郎の両方に昔から共感を覚えていた。
両方に惹かれる理由は長年よく分からなかったけれど、白洲次郎のパートナーであり、西行を評した著者の文章からヒントを得た気持ちになった。

また・・・

○花を見ても、月を見ても、自分の生きかたと密接に結びつけていることで、花鳥風月を詠むことは、彼にとっては必ずしもたのしいものではなかった
<空になる心>

・・・と評しているところにも強く共感した。

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2018 2/24
歴史、歌人、西行、文化
まろまろヒット率4

名越護 『自由人 西行』 南方新社 2014

渡邊義弘@Instagramを公開し、ごはん日記の役割を移行しつつあります。

さて、名越護 『自由人 西行』 南方新社 2014。

歌人、西行の生涯と伝説についてまとめた一冊。

読んでみると、出版されている本やブログなどの二次資料を根拠としているものが多く、実施調査が少ない。
また、タイトルにある「自由人」としての西行の側面もあまり感じられなかった。

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2017 12/10
歴史、歌人、西行、文化
まろまろヒット率1

高橋英夫 『西行』 岩波書店  1993

渡邊義弘@波照間島にある民宿、「たましろ」に泊まり、宿泊すること自体が冒険という体験をしました。

さて、高橋英夫 『西行』 岩波書店  1993。

平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した歌人、西行についての評伝。

読んでみると、やはり自分は西行に惹かれていることをあらためて確認した。
振り返ってみると、この本は『西行花伝』に続いて12年ぶりに読んだ西行関連の本になる。
その理由はどこにあるかは、やはり判然としなかったけれど、西行伝説についての章で・・・

やわらかさも固さも、情感も面魂も、どちらも西行の特質である。
ただ、その両面をいかに関係づけて了解できるかに、西行理解のむずかしさがある
<第四章 西行伝説>

・・・と、著者が評している箇所は印象に残った。
最後に、西行の歌の中で一番有名なものを・・・

願はくは 花のしたにて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ

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2017 10/1
歴史、文化
まろまろヒット率4

インフォビジュアル研究所 『図解でわかる ホモ・サピエンスの秘密』 太田出版 2017

渡邊義弘@石垣島に来て一番美味しかったのは何かと聞かれたら「ぜんざい」と答えます。
(小豆ではなく金時豆、氷がかかっている)

さて、インフォビジュアル研究所 『図解でわかる ホモ・サピエンスの秘密』 太田出版 2017。

様々な研究成果から明らかになった人類=ホモ・サピエンス(Homo sapiens)の特徴を図解で解説する一冊。

内容は、「・・・のようだ」と比喩を使うことができ、相互に関連ずける入れ子構造の思考をすることができる「認知革命」が人類の最大の岐路だったと主張している。
あとがきにあるように、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』の要約という面が強い本。

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2017 8/9
人類学、歴史
まろまろヒット率3

大城敦・豊川明佳 『沖縄の業界地図』 沖縄大学 2017

渡邊義弘@石垣島生活10ヶ月目です。

さて、大城敦・豊川明佳 『沖縄の業界地図』 沖縄大学 2017。

沖縄県の産業別に企業の資本・人的関係を図解する一冊。

文章面では句読点、内容面では売上高・営業利益・経常利益が統一されていないなど、読みにくさはあるものの、本州とは違った産業の状況を視覚化しようとしている。
中でも興味を持ったのは…

ラジオ聴取習慣率=沖縄11.0%、岩手9.4%、鹿児島9.0%で全国1位
(ビデオリサーチ 「J-RADIO 全国ローカルラジオ聴取状況レポート」 2016)

…という点だ。
これについては、「車社会に加えてラジオが流れる小規模店舗で働く人が多いからではないか」、「昼間の聴取率が高いことは沖縄の独自性」としているのは注目した。

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2017 7/28
沖縄経済
まろまろヒット率3

和田一雄 『ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒント』 八坂書房 2013

渡邊義弘@ジビエ調理開発ワークショップに参加した生徒さんが農業クラブ大会の意見発表部門で最優秀賞を受賞しました。
(2017年7月2日 『八重山毎日新聞』・第11面 「八重農が5分野で最優秀 県学校農業クラブ大会 3分野でも優秀賞に」、2017年7月2日 『八重山日報』・第7面 「県農ク大会 八重農が躍進 意見発表部門で1位独占」)

さて、和田一雄 『ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒント』 八坂書房 2013。

霊長類と鰭脚類を主として研究してきた著者が鳥獣害問題を書いた一冊。

読んでみると、タイトルにあるようなジビエ(野生の鳥獣肉)利用についての記述は少なく、ほとんどが著者の研究の歴史に分量が割かれている。
タイトルと内容にギャップを感じた一冊。

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2017 7/11
鳥獣害、ジビエ
まろまろヒット率2

祖田修 『鳥獣害――動物たちと、どう向きあうか』 岩波書店 2016

渡邊義弘@八重山農林高校・八重山調理師会・石垣市の産学官連携で開催したジビエ調理開発ワークショップのコーディネーターをしました。

さて、祖田修 『鳥獣害――動物たちと、どう向きあうか』 岩波書店 2016。

鳥獣害とされる野生の動物と人間はどう接し来たのか、これからどう接していけばいいのかについて述べられた一冊。
内容は、動植物の命をいただかなければ生きていけない人間の本質について・・・

○自然や動物に対する「感動と畏敬、祈り、感謝」の心のプロセスは、どうにもならない矛盾の過程であるとともに、”矛盾の昇華”ともいうべき心の過程
→矛盾を昇華する心の働きこそ、庶民のなかに息づいてきたものであり、いつの時代も、またいずれの地域にいても、動物観の原典となるべきもの
<第8章 新たな動物観への展望>

・・・と、まとめ・・・

○「感動と畏敬、祈り、感謝」の念をもって動物たちと向きあい、私たちの「恐れながらの管理」によって、人に害を及ぼす野生獣を含む動物たちと折りあい「形成均衡の場所」、持続性に富んだ人と動物の「共存・共棲の場所」を創出する必要がある
<第9章 人と動物、共存の場所>

・・・と、結論づけている。

また・・・

○ジビエ食の普及は、日本の肉食化を特徴づける家畜肉とは異なる、もう一つの肉食の始まり
<第8章 新たな動物観への展望>

・・・と、ジビエ食を位置づけているのは印象的だった。

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2017 7/7
鳥獣害、ジビエ
まろまろヒット率3

もふ屋 『ボンレス犬とボンレス猫』 宝島社 2016

渡邊義弘@LINEスタンプはボンレス猫をよく使っています。

さて、もふ屋 『ボンレス犬とボンレス猫』 宝島社 2016。

LINEスタンプで人気のボンレス犬とボンレス犬が書籍化されたもの。
生態や日常などが紹介される絵本になっている。

読んでみると、ボンレス猫のやさぐれ感が絵本でも際立っていて笑ってしまった。
また、ボンレス猫の性別がメスだったことも驚きの一冊。

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2017 6/10
絵本
まろまろヒット率3