木下斉 『地方創生大全』 東洋経済新報社 2016

渡邊義弘@今年の正月2日は石垣島崎枝地区で過ごしました。

さて、木下斉 『地方創生大全』 東洋経済新報社 2016。

地方創生・地域活性化に携わって来た著者が、「ネタ」、「モノ」、「ヒト」、「カネ」、「組織」の5つに体系化して問題の構造を解説する一冊。
特に、各章の最後に危険度チェックシートがあるように、地方創生・地域活性化でよく陥りがちな間違いや失敗のパターンを強調している。
その結果、地方創生・地域活性化は、行政主導ではなく、民間主導で取り組むべきだと主張している。

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○成功事例を見分けるポイント
1:初期投資が交付金・補助金のような財政中心ではなく、投資・融資を活用しているか
2:取り組みの中核事業が、商品やサービスを通じて売上を立て、黒字決算となっているか
3:始まってから5年以上、継続的に成果を出せているか
4:トップがきれいなストーリーだけでなく、数字について語っているか
5:現地に行ってみて1日定点観測して、自分の実感としても変化を感じるか
<第1章 ネタの選び方>

○最初に需要の確保を行い、その実需に沿って、実行する事業の規模を最適化するという、従来とは「まったく逆のプロセス」が計画論の基本
<第4章 カネの流れの見方>

○計画主義の限界
1:計画段階こそ、最も情報量が少ない
2:予算獲得が目的化し、計画は「タテマエ」になる
3:「合意」を優先すると、未来は二の次になる
<第4章 カネの流れの見方>

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2017 1/3
地方創生、地域活性化
まろまろヒット率3

山崎亮 『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』  学芸出版社 2011

渡邊義弘@2017年の初日の出は石垣島の白保海岸での舞い始めを眺めながら迎えました。

さて、山崎亮 『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』  学芸出版社 2011。

ランドスケープデザインから始まったコミュニティデザインの取り組み事例を紹介する一冊。
中でも「こどもが大人の本気を引き出す」と題する笠岡諸島子ども総合振興計画の事例が興味深かった。
それは、様々な理由から協力し合うことが難しい市民に対して、中学生に10年後の計画を作らせて、「この計画が実行されなければ島に戻らない」と発表させるというもの。
高校が無いためほぼ島を出る中学生を人質に取ったような感じはあるけれど、計画とは未来のためにあるので、「良質な脅し」と著者の表現は納得した。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)・・・

○そのまちに僕たちと同じような感覚を持った人たちを見つけ、その人たちと活動の醍醐味を共有し、持続的に活動する主体を新たに形成することが大切
→「まちを使って楽しませてもらっている」と思えるようなものであるのが理想
<Part2 つくるのをやめると、人が見えてきた>

○優れたダイアグラムをつくることができればデザインは方向性を決めやすくなる
<Part2 つくるのをやめると、人が見えてきた>

○来場者には、気に入ったハガキを2枚ずつ持ち帰ってもらうことにしたところ、家島で品切れになるハガキと大阪市内で品切れになるハガキはまったく違っていることが明らかになった
→この結果を目の当たりにして、島の人たちが「外の視点と内の視点」の違いを認識するようになった
<Part3 コミュニティデザイン―人と人をつなげる仕事>

○de-signとは、単に記号的な美しさとしてのサイン(sign)から抜けだし(de)、課題の本質を解決する行為
<Part6 ソーシャルデザイン―コミュニティの力が課題を解決する>

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2017 1/1
コミュニティデザイン
まろまろヒット率3

まろまろアワード2016

読書アワード:『孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生』 (ロバート・D. パットナム)
→テーマとしている「情報のかけ橋」にとって、橋渡し型社会関係資本と結束型社会関係資本の分類が有益だった一冊。

出来事アワード:石垣市立伊原間中学校「地元水産物PRワークショップ」の講師をつとめる
→産学官のワークショップを開発して、中学生と共に実施した出来事。

2016 12/31
まろまろアワード

太田好信 『ミーカガン 沖縄県八重山地方における潜水漁民の眼から見た世界』 櫂歌書房 2012

渡邊義弘@石垣島での自宅は石垣漁港のすぐ近くです。

さて、太田好信 『ミーカガン 沖縄県八重山地方における潜水漁民の眼から見た世界』 櫂歌書房 2012。

1980年代後半から1990年代前半にかけての八重山地方の漁業者の営みを、文化人類学者の著者が参与観察した取材記録。
特に、題名にもなっている「ミーカガン」と呼ばれる水中メガネを使う潜水漁法についての取材が中心になっている。
漁法だけでなく、それに関連した営み全体に注目していて、中でも・・・

プロといわれる所以は、使用する道具そのものというより、いかにして自分に合った道具を限られた材料から作るか、ということ
→ウミンチュたちの日常的創造力が、そこには表現されている
<第8章 ウミンチュたちの創造力>

・・・と、ウミンチュ(海人=漁師のこと)の創造性について述べているところは印象に残った。

2016 12/16
ノンフィクション、漁法、文化人類学、石垣島、八重山、
まろまろヒット率3

石垣愛子 『食在南海 八重山の食十二ヶ月』 味の手帖 2005

渡邊義弘@今年は石垣島で年末年始を過ごす予定です。

さて、石垣愛子 『食在南海 八重山の食十二ヶ月』 味の手帖 2005。

かつて石垣島にあった「民宿石垣島」を経営していた著者が、月ごとに八重山の食文化やエピソードを紹介する一冊。
もともとは、雑誌『味の手帳』に1999年~2003年まで連載されたものを再編集したもの。

読んでみると、文献や伝聞を基にした解説よりも、著者自身の小さい頃の体験談に興味を持った。
特に、シークワーサー(本書では「シークワーシャー」と表記)の絞り汁をビールビンに詰めて井戸の中で冷やし、
家に帰って来てから、それに黒砂糖を入れて飲んだという話は、冷蔵庫が普及する前の家庭の食生活をかいま見る話として印象深い。

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2016 12/15
食文化、レシピ、石垣島、八重山
まろまろヒット率3

デューイ、宮原誠一訳 『学校と社会』 岩波書店 1957

渡邊義弘@大学院の時にシカゴ学派(John DeweyやG.H.Meadなど)を調べたことがあります。

さて、デューイ、宮原誠一訳 『学校と社会』 岩波書店 1957。

学校を、受動的な場ではなく、子供たちが社会生活を営む小社会でなくてはいけないと主張し、
20世紀の学校教育に大きな影響を与えた一冊。
原題は、“The School and Society, revised edition” (1915)。

約100年前の著作だけど、今読んでも示唆に富むものが多く、中でも以下は現代でも通じるものを感じた。
(一部要約含む)

○学校における子供の活動の目的は、社会的な力と洞察力の発達にある
→狭隘な功利性からの解放、この人間精神の可能性に向かってすべてが打ち開かれていることこそが、
学校におけるこれからの実際的活動を、芸術の友たらしめ、科学と歴史の拠点たらしめる
(第1章 学校と、社会の進歩)

☆教養とは、想像力が、屈伸性において、範囲において、感入の度合いにおいて成長して、
ついに個々人の営む生活が自然の生活と社会の生活によって浸透されるにいたるような、そのような想像力の成長のことをいう
→学習の諸々の形式と道具とが経験の本質に従属される時、はじめてこのことがその通りになる機会が生まれる
→教養ということが民主主義の合言葉
(第2章 学校と、子どもの生活)

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2016 12/8
教育学
まろまろヒット率3

西野嘉憲 『石垣島 海人のしごと』 岩波書店 2010

渡邊義弘@中学校で地元水産物PRワークショップを開催しました。

さて、西野嘉憲 『石垣島 海人のしごと』 岩波書店 2010。

写真家による石垣島の海人(ウミンチュ=漁師、漁業者のこと)のルポタージュ。
10年におよぶ同行取材により、20種類以上の漁法とそれに携わる海人の姿を、真に迫る写真と共に紹介している。
中でも・・・

海人は海で漁をすることを「海を歩く」という。
渡しはこの言葉に海人としての人生の歩みをしみじみと感じる。
(取材後記「命と向き合う、海人のしごと」)

・・・という一節が印象深い一冊。

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2016 12/6
ルポタージュ、ノンフィクション、漁師、写真集、石垣島、八重山、沖縄
まろまろヒット率3

石垣市立伊原間中学校「地元水産物PRワークショップ」の講師をつとめる

石垣市立伊原間中学校「地元水産物PRワークショップ」の講師をつとめる※。

これは、キャリア形成教育の一環として、石垣市の伊原間中学校1年生を対象にしたもの。
チーム別に同世代に向けて地元水産物をPRするPOPを作り、それを相互評価(自分以外のチームに投票)と講師からの加点により1点選出。
選ばれたPOPを、石垣島にあるスーパー、サンエーに1月6日まで(年末年始期間含む)貼り出す、という流れのワークショップ。

このようなワークショップに設計したのは、情報発信の職業体験は、単なるシミュレーションではなく、
実際に成果物を作り、それが世に出るという体験が大切だと考えたからだ。
また、水産物の消費量はこの15年間下がり続けていること、特に40歳以下の消費が低いことから(平成28年度『水産白書』より)、
中学生が地元水産物に目を向け、同世代に訴えかけるPOPに取り組むことで、若者の視点・感性を取り入れた水産物PRの可能性の一つとして設計した。
このワークショップは水産業、小売業、行政、学校がそれぞれの立場で関与するという産学官連携のワークショップでもある。

当日は講師による解説の後、同世代に訴えるキャッチコピーと、それを強調するPOP作りに取り組んでいただいた。
最終的に4チームごとに出されたPOPから1点を選出したものの、講評では「コンペ(競争)があったからこそ1点が選ばれた」ことに言及し、
選ばれなかったチームも含めて、全員の成果であることを強調させていただいた。

POPを作り、それをスーパーに貼り出すという成果物はあるけれど、何よりも中学生の生徒のみなさんが、
地元水産物のPRに真剣に考えて取り組んだという機会の創造こそが、このワークショップの成果だと感じた。
初めての試みということもあり、当初はハードルの高さを懸念されることもあった担任の先生も最後は、新しい体験として価値があったとおっしゃっていたただいた。

このような産学官が連携した情報発信に、これからも取り組んで行きたい。

2016 11/30
出来事メモ、講義

※:2016年10月8日 『八重山日報』・第6面 「情報発信の魅力伝える 渡邊さんが川平小で講話 地域おこし隊員」

堺屋太一 『世界を創った男 チンギス・ハン』 日本経済新聞社出版局 全4巻 2007

渡邊義弘@内モンゴルの遊牧民の方のお家にお泊まりさせていただいたことがあります。

さて、堺屋太一 『世界を創った男 チンギス・ハン』 日本経済新聞社出版局 全4巻 2007。

モンゴル帝国の創始者、チンギス・ハンの生涯を描いた歴史小説。
約10年前(2007年前半)に挫折感を味わっていた頃、友人から「チンギス・ハンでさえ負けたことがあるんだから」
という励ましと共に薦めてもらったことがずっと気になっていて、今回読んでみた作品。

読んでみると、確かに一般的な印象と違って、この作品でのチンギス・ハンは、負けたり逃げたりする描写が多い。
戦いは決して上手ではないけれど、制度改革と人材登用に力を発揮した人物として描かれている。

また、ところどころに「歴史小説のロビーで」というコラムや、注釈が散りばめられていて、
チンギス・ハンに関する現在の研究成果や論点の解説が多いのも特徴。

何度も負けながらも、その度に立ち上がり、変革に挑むチンギス・ハンの姿が印象的な作品。

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2016 11/28
歴史小説、モンゴル
まろまろヒット率3

上里隆史 『島人もびっくりオモシロ琉球・沖縄史』 角川学芸出版 2011

渡邊義弘@シーグラスと貝殻拾いのお手伝いをしました。

さて、上里隆史 『島人もびっくりオモシロ琉球・沖縄史』 角川学芸出版 2011。

沖縄の歴史エピソードを様々な切り口で紹介する一冊。

中でも・・・

○琉球王国の行政組織は船の組織をモデルにしていて、ヒキと呼ばれる組織が行政・貿易・軍事を代わる代わる行なっていた
(地上に浮かぶ海の船)

○元朝17代天元帝の次男・地保奴という人物が琉球王国に追放された記録がある
(沖縄に追放されたモンゴル皇帝の末裔)

・・・などのエピソードは、沖縄の歴史的背景や地理的立地の特徴を考えさせられるものとして興味を持った。

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2016 11/25
歴史、琉球、沖縄
まろまろヒット率3