まろまろアワード2025

読書アワード:『スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック』 (ジェームズ・ドゥティ、関美和訳)
→ひとりの脳神経外科医の自伝としても、mindfulnessの本としても、興味深く読めた一冊。

はしり書きアワード:『成長する歳は過ぎてしまったが、生きてる限り更新を続ける』
→50歳の誕生日を迎えた出来事を機に、これからの羅針盤を思い起こして。

2025 12/31
まろまろアワード

米澤穂信 『氷菓』 KADOKAWA 2001

廃部寸前に古典部に入部した主人公は、そこで出会った同級生と、小さな謎を解いていく。
謎解きをしながら仲間も増え、33年前の文集『氷菓』の謎と、それに関連するであろう、当時の学校で何が起こったのかの真相を突き止めていく…

青春ミステリー小説。
舞台設定は楽しいし、読みやすくはあった。
ただ、良い意味でも、そうでない意味でも話も謎解きも、僕にとっては「薄味」に感じた。

この小説に何度か出てくる「高校生活は薔薇色か」という問いに、もう少し踏み込んでもらえたら、より深みのあるものになったのにと少し残念だった。

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2025 9/2
ミステリー小説、青春小説
まろまろヒット率2

北方謙三 『チンギス紀』 集英社 全17巻 2018

草原に生まれたテムジンは、逃亡のため砂漠を越えようとしていた。
そこで、少年ボオルチュを出会う…

チンギス・カン (チンギス・ハーン) の生涯を描いた歴史小説。

私は筆者の歴史小説は様々な影響を受けるほど、印象に残っている。
特に、この本と同じ中国・ユーラシアを描いた『三国志』には、人生の転機も影響を受けるほどだった。

一方で、この本を読んでみると、これまでと同じ筆者なのかと驚くほど迫力も感銘も受けなかった。
『三国志』を読んだのが、24年前であり、自分自身や環境の変化があるとはいえ、会話が単調、展開に起伏がない、史実されているものの改変の意図も分からない…
長編なだけに、残念に感じた残念な一冊。

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2025 7/5
歴史小説、チンギス・カン
まろまろヒット率1

マルク・レビンソン、村井章子翻訳 『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版』 日経BP 2019

コンテナ、特に輸送コンテナ (shipping container) が普及する過程とその影響を解説する一冊。

原題は、“The Box: How the Shipping Container Made the World Smaller and the World Economy Bigger” (2016) 。

内容は、地味で目立たない輸送コンテナが、いかに現在の世界経済を変えたか、また、そのことを当時の誰も予想できなかった点を強調しているのが特徴的。
この点は、以前読んだ、『補給戦―ナポレオンからパットン将軍まで』の最終章の名前が、「知性だけがすべてではない」にも通じると感じた。

以下はチェックした箇所 (一部要約含む) …

☆マルコム・マクリーンがすぐれて先見的だったのは、海運業とは船を運航する産業ではなく荷物を運ぶ産業だと見抜いたこと
→輸送コストの圧縮に必要なのは単に金属製の箱ではなく、貨物を扱う新しいシステムという理解
<第3章 トラック野郎>

☆機械化に対する港湾労働者組合の執拗な抵抗は、一つの原則を確立した
→仕事を奪うようなイノベーションを産業界が導入する場合は、労働者を人間的に扱うという原則
<第6章 労働組合>

☆コンテナの歴史を振り返って驚くのは、専門家や先駆者でさえ繰り返し予想を誤ったこと
→民間企業も、国も地方自治体も何度も失策を犯した
<第15章 付加価値>

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2025 5/19
ビジネス書、経済史、歴史、経済学、supply cain、
まろまろヒット率4

スティーブ・ザフロン&デイヴ・ローガン、トランネット訳 『パフォ-マンスアップ3つの法則: 組織と個人の成果にブレークスルーを起こす法』 ダイレクト出版 2011

組織と個人のパフォーマンス (Performance) の向上を解説する本。

約29年前にマレーシア・プロジェクトで一緒にジャングルに行った友人からオススメされた一冊。

原題は、“The Three Laws of Performance: Rewriting the Future of Your Organization and Your Life” (2009) 。

以下は、チェックした箇所 (一部要約含む) …

◯パフォーマンス第1法則=人の行動は、状況が本人にどのようなものとして起きているかと相関する
<第1章 不可能を可能にする>

◯パフォーマンス第2法則=状況の起き方は言葉の中に生じる
<第2章 パフォーマンス向上のカギはどこに?>

◯欺瞞の4要素=根強い不満、行動パターン、メリット、代償
<第2章 パフォーマンス向上のカギはどこに?>

◯パフォーマンス第3法則=未来に基づく言葉が状況のその人への起き方をトランスフォームする
<第3章 すでに描かれた未来を書き換える>

◯リーダーシップ=人々をゲームに巻き込むこと
<第4章 リーダーシップについて書かれた本は多いのに、なぜリーダーがこんなに少ないのか?>

◯自立=自分が何者かなのかを表すことができ、世の中で存在感を発揮することができる
<第5章 自立した組織>

◯外部の利害関係者と継続的な会話をしている組織は、おのずと発展する
<第5章 自立した組織>

◯自己改革ができる人=自分自身に対する見方を変える能力がある
<第7章 マスターへの道>

◯自分の満足につながらないことは、諦めても構わない
<第8章 ワンランク上のパフォーマンス>

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2025 4/1
ビジネス書、リーダーシップ、自己啓発
まろまろヒット率3

東野圭吾 『ガリレオvs.メタルの魔術師 ガリレオの事件簿』 文藝春秋 2023

ガリレオ・シリーズの「操縦る」、「曲球る」、「幻惑す}の3篇を、ジュニア版として再編した一冊。

特に、「ガリレオvs. メタルの錬金術師」の表題にもなった、「操縦る」は、印象に残った。

恩師との対決という点が、旧友との対決である同じガリレオ・シリーズの『容疑者Xの献身』と似た構図を持っていて、ガリレオ (湯川学) の寂しさや、悲しみが伝わってきた。

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2025 3/18
推理小説、ミステリー小説、ジュニア版
まろまろヒット率3

ジェームズ・ドゥティ、関美和訳 『スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック』 プレジデント社 2016 

脳神経外科医で、スタンフォード大学にある「共感と利他精神研究教育センター」 (Center for Compassion and Altruism Research and Education
:CCARE) 創設者の著者が、自伝を通して、mindfulnessを解説する一冊。

原題は、“Into the Magic Shop: A Neurosurgeon’s Quest to Discover the Mysteries of the Brain and the Secrets of the Heart” (2016) .
読んでみると、著者が近所のマジックショップを見つけることから始まる自伝が、生々しいほどの臨場感があり、読み物として引き込まれた。
また、この本のテーマであるmindfulnessは、以前、認知行動療法として医療機関で1年半取り組んだことがあった。
(『ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)をはじめる セルフヘルプのためのワークブック』、『呼吸による癒し―実践ヴィパッサナー瞑想』など)

その時の経験と合わせて読み進めると、mindfulnessの効果や、科学的な研究となっていく背景について、統合的な知見になっていく感覚を得た。

以下は、チェックした箇所 (一部要約含む) …

◯人は、安定と安心が確保されている環境で一番能力を発揮する
<2 ものすごい怒りがこみ上げてくるんだ>

☆あなたが出会うすべての人を、あなたと同じように欠点のある不安定な存在として見る
→あなたと同じように失敗し、間違った道を選び、時には他人を傷つけるが、愛されることを求めている
<4 自分をどう扱うかを決めるのは自分>

◯生徒に準備ができていると、先生が現れる
<5 お金がたくさん欲しい>

☆強く思い描くと、実際に見るようになる
→神経科学と脳可塑性の事例

☆意識を向けることには大きな力がある
→脳を変え、灰白質の中の学習や成果や夢の実現を助ける部分を強化する
<6 いいことのなった町を出る>

☆自分が成功したり、すごいことをやってのけるのを望まない人がいることを受け入れる力が必要
→そういった現実と折り合いをつけて、いたずらに反応しないことが重要
<7 それは受け入れられません>

☆富が幸せをもたらす方法はたった一つ、人に与えること
→幸せになりたければ、他人を幸せにするしかない
<10 心のコンパスに従う>

◯強い感情が思考を黙らせることができる一方で、思考によって強い感情を追い出すことは、ほとんどできない
<10 心のコンパスに従う>

☆mindfulnessと視覚化 (visualization) は、集中力を上げ、意思決定の速度を上げてくれるが、知恵と洞察が伴わなければ、自己陶酔とnarcissismと孤立につながりかねない
<10 心のコンパスに従う>

◯心のAlphabet=CDEFGHIK
→Compassion、Dignity、Equanimity、Forgiveness、Gratitude、Humility、Ingegrity、Justice、Kindness、Love
<11 心のアルファベット>

☆自分がどれほど重要な人間かを他人に知らせたがるのは、不安の表れ
→他人も自分も、良いところも悪いところもあることを認めた時、人は本当につながり合える
<11 心のアルファベット>

☆中脳水道周囲灰白質と眼窩前頭皮質との結合が人の振る舞いに大きな役割を果たしている
→他者に分け与えると、もらった時よりも大きな快楽を感じる
→他者が親切に振る舞ったり、他者を助けているのを見ると、自分も思いやりのある行動を取るようになる
<12 「適者生存」の本当の意味>

☆他者に向ける笑顔、断罪しないこと、自分や他者への許し、が贈り物
→共感と奉仕の一つ一つが、この世界と自分自身への贈り物
<13 みんなの旅が始まった>

☆生まれながらにして完璧な人生はなく、苦しい現実から逃れることはできない
→しかし、美しい心のつながりからも逃れることはできない
<13 みんなの旅が始まった>

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2025 3/9
自伝、mindfulness、瞑想、自己啓発
まろまろヒット率4

浅倉秋成 『六人の嘘つきな大学生』 KADOKAWA 2023

人気企業の新卒採用を受けた六人の大学生は、最終選考として、この中なから1名を選出するグループワークをすることになる。
そこに、全員の過去を告発する封筒が見つかった…

新卒一括採用の白々しさと、誰もが持つ仮面を暴露しながら、どんでん返しと複数の伏線回収が印象的な一冊。

ミステリー小説として、構成がよく練られていることに加えて、自分自身の新卒時の就職活動の時のこと (『就職エッセイ』) や、採用を担った時のことが思い出されて、当事者の緊張感や迫真的な場面が共感できた。
また、複数ある伏線回収の中では、p. 324の伏線回収が一番印象に残った。
何年も意識していた、自分の告発の中身が、最後へのつながりとなり、昇華する流れは、一種の様式美のように思えた。

ミステリー小説としても、就職活動を振り返る機会としても、心にあるわだかまりの昇華としても、様々な視点で読める一冊。

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2025 2/2
ミステリー小説、就職活動
まろまろヒット率4