塩野七生 『ローマ人の物語24,25,26 賢帝の世紀』 新潮社 上中下巻 2006

ここしばらくのお仕事だった大阪出張を無事終えて帰ってきた、まろまろです。

さて、『ローマ人の物語24,25,26 賢帝の世紀』塩野七生著(新潮文庫)上中下巻2006。

古代ローマの最盛期に当たる「賢帝の世紀」、高校の世界史では「五賢帝時代」として習う時期を取り上げるシリーズ第9段。
一般に五賢帝とは、ネルヴァ、トライアヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウス・アントニヌスの5人だけど、
ローマ帝国の最大版図を実現して、「至高の皇帝」(Optimus Princeps)と呼ばれたハドリアヌス、
帝国の再構築をおこない、「ローマの平和と帝国の永遠」(Pax romana et Aeternitas imperii)と呼ばれたトライアヌス、
寛容とバランス感覚で帝国の維持をおこない、「秩序の支配する平穏」(Tranquilitas ordinis)と呼ばれたアントニヌス・ピウス、
の三人の皇帝を取り上げている。

古代ローマ最盛期の物語を楽しみに読んでみると・・・これまでのシリーズの中でも一番印象が薄かった(>_< )
著者がこれまでたたき台にしてきたタキトゥスの文献が無いことや、資料がとぼしい点などの理由もあるけれど、
大きな戦争もゴシップもなく、「ニュースになりにくい」(著者談)という時代だったのも確かに大きな理由かもしれない。
後世の人だけでなく、同時代のローマ人からも「Saeculum Aureum(黄金の世紀)」と呼ばれた時代だけに、
もっと具体的にイメージできるものであってほしかったと思った。

そんな中でもこの本の本題である「なぜ彼らは賢帝と呼ばれたのか?」という疑問については、
著者が好きなマキアヴェッリが定義したリーダーの条件を引用して、
「力量・幸運・時代への適合性の三つがそろっていた」としているのには妙に納得した。

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2006 9/21
歴史、政治
まろまろヒット率3

追記:全巻へのリンク(☆は特に印象深い巻)・・・

『ローマ人の物語1,2 ローマは一日にして成らず』

『ローマ人の物語3,4,5 ハンニバル戦記』

『ローマ人の物語6,7 勝者の混迷』

『ローマ人の物語8,9,10 ユリウス・カエサル~ルビコン以前~』

『ローマ人の物語11,12,13 ユリウス・カエサル~ルビコン以後~』

『ローマ人の物語14,15,16 パクス・ロマーナ』

『ローマ人の物語17,18,19,20 悪名高き皇帝たち』

『ローマ人の物語21,22,23 危機と克服』

『ローマ人の物語24,25,26 賢帝の世紀』

『ローマ人の物語27,28 すべての道はローマに通ず』

『ローマ人の物語29,30,31 終わりの始まり』

『ローマ人の物語32,33,34 迷走する帝国』

『ローマ人の物語35,36,37 最後の努力』

『ローマ人の物語38,39,40 キリストの勝利』

『ローマ人の物語41,42,43 ローマ世界の終焉』

『塩野七生「ローマ人の物語」スペシャル・ガイドブック』

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