和田一雄 『ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒント』 八坂書房 2013

渡邊義弘@ジビエ調理開発ワークショップに参加した生徒さんが農業クラブ大会の意見発表部門で最優秀賞を受賞しました。
(2017年7月2日 『八重山毎日新聞』・第11面 「八重農が5分野で最優秀 県学校農業クラブ大会 3分野でも優秀賞に」、2017年7月2日 『八重山日報』・第7面 「県農ク大会 八重農が躍進 意見発表部門で1位独占」)

さて、和田一雄 『ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒント』 八坂書房 2013。

霊長類と鰭脚類を主として研究してきた著者が鳥獣害問題を書いた一冊。

読んでみると、タイトルにあるようなジビエ(野生の鳥獣肉)利用についての記述は少なく、ほとんどが著者の研究の歴史に分量が割かれている。
タイトルと内容にギャップを感じた一冊。

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2017 7/11
鳥獣害、ジビエ
まろまろヒット率2

祖田修 『鳥獣害――動物たちと、どう向きあうか』 岩波書店 2016

渡邊義弘@八重山農林高校・八重山調理師会・石垣市の産学官連携で開催したジビエ調理開発ワークショップのコーディネーターをしました。

さて、祖田修 『鳥獣害――動物たちと、どう向きあうか』 岩波書店 2016。

鳥獣害とされる野生の動物と人間はどう接し来たのか、これからどう接していけばいいのかについて述べられた一冊。
内容は、動植物の命をいただかなければ生きていけない人間の本質について・・・

○自然や動物に対する「感動と畏敬、祈り、感謝」の心のプロセスは、どうにもならない矛盾の過程であるとともに、”矛盾の昇華”ともいうべき心の過程
→矛盾を昇華する心の働きこそ、庶民のなかに息づいてきたものであり、いつの時代も、またいずれの地域にいても、動物観の原典となるべきもの
<第8章 新たな動物観への展望>

・・・と、まとめ・・・

○「感動と畏敬、祈り、感謝」の念をもって動物たちと向きあい、私たちの「恐れながらの管理」によって、人に害を及ぼす野生獣を含む動物たちと折りあい「形成均衡の場所」、持続性に富んだ人と動物の「共存・共棲の場所」を創出する必要がある
<第9章 人と動物、共存の場所>

・・・と、結論づけている。

また・・・

○ジビエ食の普及は、日本の肉食化を特徴づける家畜肉とは異なる、もう一つの肉食の始まり
<第8章 新たな動物観への展望>

・・・と、ジビエ食を位置づけているのは印象的だった。

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2017 7/7
鳥獣害、ジビエ
まろまろヒット率3

沖縄県立八重山農林高等学校・八重山調理師会・石垣市共催「ジビエ料理開発ワークショップ」のコーディネーターをつとめる

沖縄県立八重山農林高等学校・八重山調理師会・石垣市共催「ジビエ調理開発ワークショップ」のコーディネーターをつとめる※1、※2。

石垣島では、キジやクジャク、イノシシなどの鳥獣被害が多く、その野生の鳥獣肉の活用が課題となっている。
イノシシはすでに食べる文化があるために活用するルートはあり、クジャクは羽を装飾として利用することもあるものの、キジは埋蔵処分されている。

その現状に対して、野生の鳥獣肉(ジビエ)の活用をしようという課題意識を持った学生が八重山農林高校にいることが、「平成29年は肉の年」の取り組みの中で分かった。
さらに畜産のコースを持つ開校80年の農業高校でも、野生の鳥獣肉の活用はこれまで実績が無かったとのこと。
「平成29年は肉の年」の冊子作りの企画の中で「未来をつくる人」というコーナーを提案した自分としても、新しい肉の利用を学生が取り組むというのは、企画の趣旨に合致すると感じ、コーディネートを担うことになった。

コーディネートを担った自分は、実施に向けた課題整理と意義の確認をしながら、石垣市の畜産課や鳥獣対策をしている農政経済課などの行政とジビエの調理経験がある八重山調理師会をつなげた。
また、八重山農林高校の担任の先生と協議しながら当日のプログラムも作り、産学官の連携がスムーズに進むように取り組んだ。

当日は、八重山農林高校の調理実習室にて、今回のワークショップの目的と自己紹介、調理師の方から野生肉の特徴や調理をする際に気をつける点のレクチャー、そして学生も加わっての調理の実習が実施された。
対話しながらのワークショップだったので学生の意見も入れながら完成したのは、キジの燻製、キジから出汁を取ったキジそば、真空パックによる湯煎調理などの複数の試作品。
どれも滋味深くて、キジ肉の美味しさを感じられるものばかりだった。

コーディネーターとしては、石垣島で初めての産学官連携のジビエ調理開発ワークショップとなったという意義に加えて、何よりもこれからの未来を担う学生と、提供側の調理師の方々とが笑顔でワークショップを進めることができたことが成果だと感じた。
石垣島の未来に貢献できる機会をいただけて嬉しく感じた取り組みでもある。

2017 6/12
出来事メモ、講師

※1:2017年6月13日 『八重山毎日新聞』・第8面 「キジでジビエ料理開発 八重農が調理師会と連携」

※2:2017年6月13日 『八重山日報』・第7面 「八重農 ジビエで農家を救え! キジのアイデア料理11品」

追記:論文発表

もふ屋 『ボンレス犬とボンレス猫』 宝島社 2016

渡邊義弘@LINEスタンプはボンレス猫をよく使っています。

さて、もふ屋 『ボンレス犬とボンレス猫』 宝島社 2016。

LINEスタンプで人気のボンレス犬とボンレス犬が書籍化されたもの。
生態や日常などが紹介される絵本になっている。

読んでみると、ボンレス猫のやさぐれ感が絵本でも際立っていて笑ってしまった。
また、ボンレス猫の性別がメスだったことも驚きの一冊。

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2017 6/10
絵本
まろまろヒット率3

ヘルゲ・ヘッセ、シドラ房子訳 『その一言が歴史を変えた 「汝自身を知れ」から「悪の枢軸」まで世紀の名言・珍言・暴言50』 CCCメディアハウス 2010

渡邊義弘@寄稿『石垣島の中学生による地元水産物をPRするPOP広告作りのワークショップ~若者の水産物消費促進に向けた「石垣島モデル」の提案~』が全国漁業協同組合連合会発行の『漁協(くみあい)』163号に掲載されました。

さて、ヘルゲ・ヘッセ、シドラ房子訳 『その一言が歴史を変えた 「汝自身を知れ」から「悪の枢軸」まで世紀の名言・珍言・暴言50』 CCCメディアハウス 2010。

歴史上、有名な発言とその背景を解説する一冊。
原題は、“Hier Stehe Ich, Ich Kann Nicht Anders: In 80 Saetzen Durch Die Weltgeschichte” (2006) 。

取り上げられた発言は、正確には表現がだいぶ違っているものや、本当に言ったかどうか確認できないもの、さらには本人は言っていないことが明らかになっているものも多い。
この点は、「歴史に残った人物の思想や性質にぴったりだと、同時代人または後世の人が感じたから定着したわけだから、それなりの真実を有しているだろう」という訳者あとがきがこの本の性質を現わしていると感じた。

ちなみに、僕の好きな「陽が当たらないからどいてくれ」(ディオゲネス)、「余がアレクサンドロスでないならば、ディオゲネスになりたい」(アレクサンドロス3世)という、ディオゲネスとアレクサンドロス3世の伝説的なエピソードがあったのは嬉しかった。

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2017 6/2
歴史、名言
まろまろヒット率3

片山善博・糸賀雅児 『地方自治と図書館: 「知の地域づくり」を地方再生の切り札に』 勁草書房 2017

渡邊義弘@協力させていただいた利用者アンケートの集計結果を基に「石垣市立図書館に行こう」という歌ができました※1。

さて、片山善博・糸賀雅児 『地方自治と図書館: 「知の地域づくり」を地方再生の切り札に』 勁草書房 2017。

「図書館は地方自治体の重要な拠点となることができる」と主張する地方自治論と図書館政策論の専門家による共著。
特に、図書館の使命を・・・

○図書館のミッション=「自立支援」
→国民・住民が自立するための「知的インフラ」
<第二章 図書館のミッションを考える>

・・・と位置づけて・・・

○図書館は、自己責任型社会において、自立する個人を情報提供という側面から支援できることに自治体関係者はもっと目を向けるべき
<第八章 「地域の情報拠点」としての課題解決型図書館>

・・・と提言しているのは印象に残った。

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2017 5/5
地方自治論、図書館情報学
まろまろヒット率3

※1:2017年5月7日 『八重山毎日新聞』・第9面 「行こう 行こう 石垣市立図書館 来館呼び掛け歌が完成」

「石垣島の中学生による地元水産物をPRするPOP広告作りのワークショップ~若者の水産物消費促進に向けた”石垣島モデル”の提案~」を寄稿

「石垣島の中学生による地元水産物をPRするPOP広告作りのワークショップ~若者の水産物消費促進に向けた”石垣島モデル”の提案~」が全国漁業協同組合連合会(全漁連=JF)が発行する『漁協(くみあい)』163号に掲載される。

これは、石垣市立伊原間中学校で開催した地元水産物PRワークショップをまとめたもの。
若者に向けた一次産業のPRを若者自身に担ってもらう仕組みを「石垣島モデル」として提案した。

このように深みのある個別具体的な取り組みを、水平共有できるように外の人からもアクセス可能なものにまとめていくということは自分の役割の一つだと感じた。
これからも、まとめて伝える役割を発揮していきたい。

抜き刷りはここから確認可能。

2017 4/21
出来事メモ、研究、ま論

影山裕樹 『ローカルメディアのつくりかた:人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通』 学芸出版社 2016

渡邊義弘@石垣市立図書館の「情報発信・活性化勉強会」で設計したアンケート集計とそれを基にした職員ワークショップの結果が発表されました。

さて、影山裕樹 『ローカルメディアのつくりかた:人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通』 学芸出版社 2016。

ローカルメディアと、それを担う人々をを紹介する一冊。
中でも食材が付録になっている『東北食べる通信』(Part2)、城崎温泉限定販売で温泉に入りながら読むことができる『城崎裁判』(Part2)などは、メディアの届け方の工夫として興味を持った。

また・・・

○ローカルメディアの本当の価値=つくるプロセスがどれほど豊かであったか
<Prologue>

○ローカルメディアが地域コミュニティに寄与できるもっとも重要な価値は、それがまるで回覧板のように、向こう三軒両隣の隣人とコミュニケーションを取るための文字通りの”媒介物(メディア)”になること
<Part1 観察力×コミュニケーション力>

○実際にできあがったメディアそのものよりも、異なる立場の人々が膝を突きあわせ、立ち上げから完成に至るプロセスを最後まで共有することこそ、メディアづくりの醍醐味
<Part3 地域の人×よそ者>

・・・というように、メディアのコンテンツそのものだけでなく、作る過程にこそ価値があるのだとしているところは『てくてく』と同じ趣旨のものとして

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2017 4/21
ローカルメディア
まろまろヒット率3

加藤諦三 『心の休ませ方』 PHP研究所 2006

渡邊義弘@石垣島での週末は自転車で夕日を見ることが増えました。

さて、加藤諦三 『心の休ませ方』 PHP研究所 2006。

「心の休ませ方」というタイトルだけど、どちらかというと「なぜ疲れたのか」という原因についての記述が多い。
特に「第二章 愛情飢餓感がマイナス発想の原点」の中にある・・・

○人がマイナスの発想をするのは、認めてもらいたから
<第二章 愛情飢餓感がマイナス発想の原点>

○不幸は偽装された憎しみ→不幸にしがみついている人は、不幸になるより他に憎しみの感情を表現する方法が分からない
<第二章 愛情飢餓感がマイナス発想の原点>

・・・などは印象に残った。
では、どうすれば良いのかについての記述は少ないけれど、最後の・・・

○傷つく必要のない言葉で傷つくな
<エピローグ>

・・・は、ちょっと納得した。

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2017 3/27
エッセイ、メンタル
まろまろヒット率3

長谷部誠 『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』 幻冬舎 2014

渡邊義弘@石垣島でチャリ部が生まれつつあります。

さて、長谷部誠 『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』 幻冬舎 2014。

サッカー選手の著者によるメンタル本。

○「メンタルを強くする」と言うよりも、「調整する」「調律する」と言った方が適している感覚
<まえがき>

・・・と述べているように、心を固定的なものではなく波のように捉えているのが特徴的。

○組織のベクトルと個人のベクトルを一致させれれば、どんな仕事でも自分を生かすことができるのではないか
<第4章 信頼を得る。>

○何が起こっても心が乱れないように、普段から「最悪」の状況を想定しておく
→何が起きても受け止める覚悟があるという「決心を固める」作業でもある
<第7章 想像する。>

・・・などが印象に残った。

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2017 3/19
エッセイ、メンタル
まろまろヒット率3