佐藤賢一 『カルチェ・ラタン』 集英社 2003

16世紀半ばのパリ。
宗教改革で揺れる学生街、カルチェ・ラタン (Quartier latin) を舞台に、夜警隊長ドニ・クルパンは、マギステル (Magister) と仰ぐ元家庭教師のミシェルと共に難事件に挑む…

ドニ・クルパンによる回想録という形式で書かれた歴史ミステリー小説。
これまでも、著者の作品は『王妃の離婚』、『カエサルを撃て』、『小説フランス革命』などを読んできた中で、西洋歴史小説かつミステリー小説が読みたくなって手に取った一冊。

読んでみると、形式から分かるように、シャーロック・ホームズ・シリーズのパロディになっているいることや、同時代の歴史人物を登場させているのが、歴史好きな自分には読んでいて楽しかった。
(ノートルダムのカジモドや、イナゴ・デ・ロヨラ、フランシスコ・ザビエル、ジャン・カルヴァン、レオナルド・ダ・ヴィンチなどが登場)

ただ、これまでの著者の作品と同じく、下品さを強調した表現がよい気持ちにならなかった上に、ミステリー (謎とき) としては、特に面白さを感じなかった。

とはいえ、16世紀のカルチェ・ラタンの様子が活き活きと描かれているところは読んでいて楽しかった。
また、神学を題材にしているので、「神とは何か」という問いを考えせられることや、回想録の筆者のクルパンの成長に共感する結末が印象的な作品。

この本をamazonで見ちゃう 

2022 11/6
歴史小説
まろまろヒット率4

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です