ピーター・ミルワード、別宮貞徳訳 『英語の名句・名言』 講談社 1998

いま立命で毎年この時期恒例の「古本市」なるフェアをやっていて、
以前、藤江から借りて良かった本『化学入門』原光雄著(岩波新書)や
心のベスト本でありながら音信不通の知り合いに貸したままで
返ってくる見込みのない『社会科学の方法』大塚久雄著(岩波新書)
などの既読の本をストックとして購入しているっす。
もちろんまだ読んだことのない本も買ったんだけど、
それらは読み終わり次第アップするっす~。

さて、『英語の名句・名言』ピーターミルワード著、別宮貞徳訳
(講談社学術文庫)をちょうど読み終えました。
名句・名言集といってもそのほとんどは詩文や戯曲から引用させている。
著者は基本的にシェイクスピアの専門家なので
彼や彼の時代の詩人からの引用が多かった。
もちろん対訳はあったが英語をあんまり勉強していない僕にとって
詩文で使う単語や古語はなじみが薄く、辞書を手放さずには読めなかった。
総じて良い意味でも悪い意味でもいかにもイギリス人といったな感じを受けた。

以下、気に入った句言集・・・

○We look before and after;
We pine for what is not.
from Percy Bysshe Shelly “To a Skylark”
「人は前を見、後ろを見、
ないものに恋いこがれる。」

○Heaven is for thee too high
To Know what passes there. Be lowly wise.
Think only what concerns thee and thy being.
from John Milton “Paradise Lost”
「天は高くして、汝そのできごとを知る由もなし。
謙虚に賢くあれ。汝自身とその存在にかかわることのみを考えよ。」

○Men must endure
Their going hence, even as their coming hither;
Ripeness is all.
from William Shakespeare “King Lear”
「人間、万事、辛抱がかんじん。
世を去るのも、世に出るのも同じこと、
すべてに熟しの頃合いあり。」

○Gather ye rose-buds while ye may,
Old Time is still a-flying.
from Robert Herrick “To Virgins”
「乙女よ、バラのつぼみを摘めるうちに摘むがよい。
時の翁は相も変わらず飛んでいるのだから。」

○There is a tide in the affairs of men,
Which taken at the flood leads on to fortune;
Omitted, all the voyage of their life
Is bound in shallows and in miseries.
from William Skakespeare “Julius Caesar”
「人間のなすことすべて潮どきあり。
潮に乗れば、首尾は上乗。
時を逸せば、人生万事苦難の船旅、
塩瀬にはまって動きがとれぬ。」

○Grow old along with me!
The best is yet to be,
The last of life for which the first was made.
from Robert Browning “Rabbi Ben Ezra”
「いっしょに年をとろう!
最上のものはまだ先がある。
人生の最後、そのためにこそ最初は作られた。」

○Sleep after toil, port after stormy seas.
Peace after war, death after life does greatly please.
from Edmund Spenser “The Faerie Queene”
「労苦のあとの眠り、しけのあとの港、
戦いの後の平和、生のあとの死は大いなる喜び。」

○To see the world in a grain of sand,
And a heaven in a wild flower,
Hold infinity in the plam of your hand,
And eternity in an hour.
from William Blake “Auguries of Innocence”
「一粒の砂に世界を観じ、
一輪の花に天界を見る。
掌中に無限をおさめ、
一刻に永遠をつかむ。」

○What’s in a name? That which we call a rose
By any other name would smell as sweet.
from William Shakespeare “Romeo and Juliet”
「名前ってなんなの? バラの花を
別の名前で呼んでも、甘い香りは同じこと。」

○Come forth into the light of things!
Let nature be your teacher!
from William Wordsworth “The Tables Turned”
「出てこい、万物の光の中へ!
自然を教師とせよ!」

○What should they know of England
Who only England know?
from Rudyard Kipling “The English Flag”
「イングランド市価知らぬ人に、
イングランドの何がわかるか。」

○Heard melodies are sweet, but those unheard
Are sweeter.
from John Keats “Ode on a Grecian Urn”
「聞こえる調べは美しい。聞こえぬ調べは
さらに美しい。」

・・・ううん、詩文は良いっすねえ!
やっぱり進学も就職もせずに中原中也のような人生を
送ってやろうかとも考えているっす(^^)

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1998 12/12
名言集、語学
まろまろヒット率3

徳永真一郎 『藤堂高虎』 PHP研究所 1990

らぶナベ@エニックス内定者HomePage
http://home.interlink.or.jp/~d-ike/ENIX99.htm
に「99事件簿」という新コーナーができたので
暇なときにでも見てくださいです(^^)

さて、『藤堂高虎』徳永真一郎著(PHP出版)を読んだです。
ご存じ、この読書会に入ったJack(藤堂高義)のご先祖さまの本。
近江の田舎土豪から人生のスタートを切り、7度も主君を変えて
裏切りを通じて最後は32万石の大名になった人物。

戦国時代にはこういう風に主君を転々とし、のし上がっていった人物は
数多くいるが(北条早雲、斉藤道三などがその代表例)、
この藤堂高虎はいまいち人気が無い。
「おべっか使い」や「タイコ持ち大名」などのけなしに近いあだ名まである。
それはこの藤堂高虎最後の上司、徳川家康が死ぬときの遺言で
「西から敵が攻め上がってくれば藤堂家を前に立てて戦え」
というものがあり、ちょうどその状況になった鳥羽・伏見の戦いの時に
幕府軍の中でもっとも重要な拠点(天王山)に配置されたこの藤堂藩が
簡単に新政府軍に寝返ったという歴史が
このやすっぽい裏切り者のイメージを定着させたということもある。
(この時に寝返って明治維新後男爵をもらったのは
Jackの曾曾おじいちゃん、絶対信用できない家系だ(^^))

この『どらえもん』のスネ夫的なイメージがあるこの人物の定評を
「それは間違っている!」とまっこうからうち破ろうとした意欲作。
定評に立ち向かうその姿勢は面白いのがひいきの引き倒し的な感じもする。
彼自身の人生自体は波瀾万丈で面白いのだが、変に価値判断を入れると
やすっぽくなってしまうのは歴史小説のお約束か?
ま、ネタになる本ではあるけどね(^_^)

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1998 12/11
歴史
まろまろヒット率3

星亮一 『山口多聞』 PHP研究所 1998

就職部主催のシンポジウムにパネリスト出席したお礼の図書券で
『三国志6武将ファイル』を買いました、このゲーム持っていないのに
武将のファイルだけみて楽しめる、らぶナベ@人材オタクっす(^o^)

さてさて、『山口多聞』星亮一著(PHP文庫)を読みました。
この山口多聞という人物は、『失敗の本質』戸部良一、野中郁次郎など著
(中央公論新社)だけでなく、大戦中の日本海軍に焦点を当てた
学術書や戦略本には必ずといっていいほど出てくる人物。

戦艦を中心とした巨砲射撃による艦隊決戦ではなく、
空母を中心とした航空機攻撃による海戦を提唱し続け
最も機動部隊司令に適任であるとされていたが
海軍の年功序列人事のため十分にその力が発揮できなかった人で
太平洋戦争中も真珠湾攻撃の際にまだ無傷だった修理ドック、
石油貯蔵庫への第三次攻撃を主張したり
ミッドウェイ島の空港爆撃を強力に主張したりするものの
ことごとく上司である南雲中将(機動部隊司令)に
採用されずに苦杯をきっしていた人物。

大戦のターニングポイントになったミッドウェイ海戦においては
常に敵の奇襲を警告し続け、
敵空母発見直後に攻撃機を爆装(地上攻撃用装備)のまま
「ただちに発信の要ありとみとむ!」と空母赤城に乗船していた南雲中将に
指示、それが無視され一気に主力空母4艦中3艦が敵の奇襲で
戦闘不能に陥るや唯一戦闘可能な空母飛龍に搭乗していた山口多聞は
「我、これより航空戦の指揮をとる」と真っ先に宣言し
混乱する味方陣営を統率して反撃を開始。
これは越権行為で軍法違反でもあるが前線指揮官としての判断で指揮を断行、
生き残った航空部隊を再編成して米空母ヨークタウンを大破に追い込む。
しかしすでに彼が指揮を取った時は戦力が崩壊しつつある時で
(戦闘前の3/4以下)レーダーも無い状態では致し方なく
空母飛龍も攻撃を受けて大破、総員を脱出させた後に
度重なる誘いを無視して山口多聞は飛龍と共に留まり沈むこととなった。
(一説に指揮権を奪取し残った兵力を独断で使用した責任を取ったため)
・・・タイタニックよりも泣ける話だ(;_;)

おそらく日本の提督の中でもっとも評価の高い人物。
彼の家系は日銀総裁(父親)、日本初の工学博士(叔父)などの
学術系でありながら一人海軍の道に進み、
彼自身もプリンストン大学で学ぶ洋行派、
常に対英米開戦には反対であったのもうなずける。
合気柔術(合気道の前進)の達人であったという面でも親しみを感じる。
彼自身の生涯は男の生き方としては感動させられるが、
この本ではいまいち彼の人間的な側面と仕事人としての側面が
中途半端になっていて良い伝記本ではないなぁっといった感じだ。

ちなみに彼が戦死するミッドウェイ海戦はなかなか興味深い戦いで、
様々な分野の研究題材にもなっていたりします。
意思決定の分野では各司令官の意思決定の違いがどう帰結したかということが
、組織論の分野では不測事態に直面したときの
組織のあり方がそれぞれ研究されているっす。

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1998 12/8
歴史
まろまろヒット率4

エニックス内定者HomePage正式公開

この前々日に思い立って東京に向かい、
当日はエニックスの歩仁内さんのおごりで内定者の祝杯をあげた。
言い出しっぺの一人&交渉役の一人としては期限どおりスタートしたこともうれしいが、
反応が思った以上に良いのが特にうれしい (適性検査も好評だ)。
このHomePageは小さいが99年度入社メンバーがエニックスに与える政治的効果、
エニックスとしての宣伝効果だけでなく、
変わろうとしている日本の就職体系に一石を投じるだけの
影響力を与えることができるだろう。

1998 12/1
出来事メモ、進路関係

リデル・ハート、石塚栄・山田積昭訳 『ナポレオンの亡霊―戦略の誤用が歴史に与えた影響』 原書房 1980

この前のゼミのメンバーで「もしミッドウェー海戦終了直後に
講和条約が成立したら」という仮定が出たっす。
そうしたらいまごろ「JR満州」とか「NTT台湾」とかできていて
『ズームイン朝』なんかは「では次はアリューシャン諸島にズーム、イン!」
とかいうことになってしまっていて、
韓国料理、北京料理、マラヤ料理、台湾料理などがすべて
「和食」になっていたんだろうなぁって話になったっす。
・・・この読書会もML化してこういうやばい話が堂々とできるようになって
うれしい、らぶナベ@自己紹介まだの人はかるくお願いね~(^^)

さて、『ナポレオンの亡霊~戦略の誤用が歴史に与えた影響~』。
前に読んだリデル・ハートの『戦略論』(同じく原書房)が
無類のおもしろさだったので、その本の大元になった
リデル・ハートの代表著作というべきこの本を手に取った。

基本的に前にまだアドレス帳管理だったころの読書会にアップした
『戦略論』のエッセンスだけ取り出した感じという印象があるが
ナポレオンの戦略研究が時代背景を無視した哲学的理論に発展し、
その様々な背景、状況を無視した戦略的誤解が理論として
いかに肥大していったかを考察している興味深い一冊。
この本の初版は第一次大戦と第二次大戦の狭間、
1934年というところにも時代の流れ的なおもしろさを感じる。
また、これは末梢なことだが『失われた時をもとめて』
マルセル・プルーストが軍というものを理解していたと
述べているのが意外だった(『ゲルマンの方』を読めばわかるらしい)。
以下はこの本の中で気になったところ&印象深い箇所の摘出・・・

・「陸軍は胃袋だけ、すなわち補給されただけ前進する」

・好戦的というイメージのあるモーリス・ド・サックスの言葉として
「われが優越を保持し攻撃可能の場合のほか、
状況の如何にかかわらずその攻撃は中止せよ」

・「戦争ではレスリングと同様、態勢をくずさずに相手を投げようとすれば、
自身の消耗を招き、また手詰まりになり易い」

・用兵理論上の大家ブールセの言葉として
「計画には、若干の代案を用意すべきである」

・「ジョミニはあまりにも幾何学的であったし、
クラウゼビッツはあまりにも純粋哲学的に過ぎた
・・・ジョミニの偏見は・・・
誰でもすぐにそれが誤りであることがわかるのに反し、
クラウゼビッツの方はそのとおり実行するのが極めて難しく、
その強調する概念に、慎重な制限条件があるにもかかわらず、
概念そのものが強烈な印象を人々に与えた」

・ジョミニの戦争基本原則
「1、戦略的に一大優勢兵力を戦域の決定的地域に間断なく投入するとともに、
   わが軍の安全を保持しつつなるべく遠く敵背後連絡線上に兵力を指向すること。
2、如上の部隊運用にあたっては、
  わが大量集中部隊で敵の一部と交戦することを策すること。
3、同様に指揮下部隊をして、・・・戦術的部隊運用にあたり、
  わが終結部隊を戦場の決定的地点に投入するか、
  もしくは敵の抵抗不可能な部位に指向するように指導すること。」

・クラウゼビッツへの批判として
「『戦争とは他の手段をもっていする政治の継続にほかならない』
という議論に始まる彼が作り上げた理論に対する論争は、
政略を戦略の奴隷とする、
すなわち政略を戦略に従属させることに終わってしまった」

・「絶対戦争なる言葉の意味するものといえば、
相対する軍の一方が抵抗を持続する能力を焼尽するまで戦う戦闘を意味し、
実際的には勝者も力を消尽して限界に達することを物語るのである。
・・・換言すれば絶対戦争とは、
戦争主宰者がどこで止まるべきかが解らない戦いである」

・戦争を防ぎようの無い天災のように捉え感情優先の平和、
戦争論議があることに対して
「戦争が二者択一的に、
地震だとか病気だとかと厳密にいえないいにしても、
地震よりも病気の方に大分似ているといえる。
またその本質、措置ならびに影響に対する科学的究明の必要性が
高いことも極めて病気に似ているのである」

・「多くの哲学者や科学者は、これまで適応性ということが
生存の秘訣であることを唱えてきた。
しかし歴史というものは、適応性をもって変えていくことに
失敗した一覧表のようなものである」

・「批判を抑圧することはそれを払拭することではなく、
ただ目に見えぬ方向にそれを振り向けさせるだけで
堂々と率直に意見を発表させるよりも、遙かに破壊的なものとなる」

・違いがいまいち見えてこないレギオンとファランクスの違いについて
「ローマ人は実業的、現実主義であり、
ギリシア人は哲学的、芸術的理想家である。
レギヨンの達人はナポレオンであり、
ファランクスの達人はフリードリヒ大王と言える。
レギオンは第二線決戦主義といえるし、
ファランクスは第一線決戦主義といえる」

1998 11/28
戦略論、歴史
まろまろヒット率4

BKCにて宇治高校生へ政策科学部プレゼン

宇治高校側の段取りが悪く、3年生へのプレゼンだと思っていたのに
2年生だったことや全体へのプレゼンだと思っていたのに
個々の分科会に分かれているなどの予想外のことがあった。
政策科学部分科会には24名ほどいたが女の子の方が多かったのには
ちょっと意外だった。細々としたことよりも「気概」や「政策Mind」について
の話を多くした「何でも良いので好きなことを徹底的にやれ、
それを誰の前でも誇れるならそれがポリシーだ」ということを強調した。
参考文献として学部のおかれている社会的位置や雰囲気をしれるということと、
どうせ入試無しで入ってくるのでスケールの大きい人間に来て
欲しいということもあって小説『竜馬がゆく』と漫画として
『蒼天航路』を推薦した。意外なことに本を読むのがすきという
女の子もいた上にアンケート結果もこちらの思惑にあったものになったようで
かなりの満足感があった。
2年後彼らがどのような人材として政策科学部に入ってくるのか
見れないのは少し残念に思えた。
同時に宇治高校へのプレゼンアンケート結果が返ってきた
4年間の学部MVPに選ばれたようなものであらためていままで活動が無ではなかったと感慨にふける。
以下はアンケート結果・・・
> 講師の先生の話で印象に残ったこと
> 何か1つ自分のしたいことを見つけることが大切。(ポリシーは持つべき)
> 何か自分が自信を持って言えることをやっておくこと。
> 勉強するならする、遊ぶなら遊ぶ、中途半端は駄目。
> 「竜馬がゆく」の時代とこの学部の雰囲気が似ている。
> 情報の即戦力がつく。
> 指示待ちではやっていけない。
> 「最低限何かをする」という基準がないこと。
> 何か目的を持って自分から学ぼうとすることが大切。
> 本当にやりたいことがあれば、政策科学部に行けばよい。
> 講義の内容がディベートが多いということ。
> 自主性に任されているということ。
> 様々な単位がある。(マレーシアに飛ばされたり、モンゴルで羊を飼ったり)
> 教授と学生が対等であること。
> 学生主体の事が多い。
> 変わりものが多いということ。
> 答えのないものを自分で探すということ。
> 大学院に進めばもっと道が開ける。
><感想>
> とにかく興味が湧きました。勉強というものを学ぶのではなく、行動力などを学んで、
> 色々なことにうまくつなげていきたいです。
>
> 学部の雰囲気がすごく開放的で自主的な感じだと思った。
>
> 思ったことをズバズバ言うのでおもしろかったです。政策科学部のイメージができま
> した。
>
> ショックが大きすぎて頭がボーッとしている。いっきに走り抜けて行ったという感じ。
> 話しというよりあなた(渡辺講師)に印象を持った。政策科学部がとてもよく分かっ
> た気がする。
>
> 最初は職業のことが気になっていたが、今日、話しを聞いて、まったく職業のこと
>なんか気にならなくなった。なぜなら本当に就職のために大学に行くのではないということが
> 分かったからです。自分の学びたいことを学ぶために行くのだと言うことを思い知った。

1998 11/28
出来事メモ

パウロ・コエーリョ、山川紘矢・亜希子訳 『アルケミスト―夢を旅した少年』 角川書店 1997

らぶナベ@立命館大学付属高校に政策科学部のプレゼンをしてきました
後半は各学部ごとに分かれて分科会をしたんですが、
我が学部は半分以上が女の子だったです。
男の魅力をわかった女子高生たちで、もう感激ぃい!(うっしゃっしゃ)
交流会の宣伝もしていたので、彼らが入ってくる再来年は楽しみです(^^)
ちなみに「高校の時に読んでおいた方が良い参考文献」については
小説『竜馬がゆく』と漫画『蒼天航路』を薦めておきました、
政策系学部の雰囲気や社会的ポジションが伝わると思ったのと
スケールの大きい学生に来てもらいたいので。

さて、『アルケミスト~夢を旅した少年~』パウロ・コエーリョ著、
山川紘矢+亜希子訳(角川文庫ソフィア)を読み終えました。
前々から吉本プロジェクト担当のT教授から薦められていた本。
桜林が読書会にアップしたことと立命の公認劇団『月光社』が
この原作で公演することになったので読んだ一冊。
夢に出てきたピラミッドに向かって旅をする羊飼いの少年のお話で、
基本的にサン・テグジュペリやメーテルリンクの焼き直しという
感じの物語だがこういう話はもともと嫌いではないので楽しめて読めた(^^)

この本を読んで一番作者が言いたかったこととは
「どんなに理屈で言い訳しても夢を諦めてしまえば心に後悔が残る。
その後悔に苛まされることは夢に挑戦して失敗するよりも
遙かに長く苦しいものだ」ということだったと思える。
基本的に小説なので印象深い箇所もその文脈の中でしか
理解できないものなのだが、もっとも心に印象深く残っている言葉は・・・

○「もし、僕がこのことばを言葉を用いずに理解できるようになったら、
僕は世界を理解することができるだろう」
(認識と知識の差についての話だね)

○「神様は、ほんの時たまにしか、将来を見せてはくれぬ。
神様がそうする時は、それはたった一つの理由のためだ。
それは、変えられるように書かれている未来の場合だよ」
(まさにこれが政策学のスタンス「政策Mind」)

○「今まで、私はいつもあこがれを持って砂漠を見ていました」
とファティマは言った。「これからは、希望を持って見るでしょう」
(これは卒業する時に使ってやろう(^^))
・・・の三つだ。

深いことを口当たりの良い表現で述べている箇所も多いので、
その他の心に残った箇所を挙げてみる? と・・・
・「彼はいつも、自分の話すことを羊が理解できると、信じていた」

・「彼は一枚の上着と、他の本と交換できる一冊の本、
そして羊の群を持っていた。しかし、最も大切なことは、少年が日々、
自分の夢を生きることができることだった。
・・・神学校では神様を見つけることができなかったと、
朝日が昇るのを見ながら少年は思った」

・「少年は太陽の位置をもう一度たしかめながら、
夢が実現する可能性があるからこそ、人生はおもしろいのだ、と思った」

・「羊飼いはおおかみに出会うときも、かんばつの時も、
いつもいちかばちか冒険してみるのだ。
それが羊飼いの人生がおもしろいゆえんだった」

・(夢解釈の老婆が)「人生で簡単に見えるものが、実は最も非凡なんだよ」

・(新しい本を読みながら)「登場人物の名前はむつかしすぎて
発音できなかった。僕がいつか本を書くときには、
一度に一人の名前だけをあげ、
読者が何人もの名前を憶えなくてもすむようにしよう」

・(王様が少年に)「人は人生のある時点で、
自分に起こってくることをコントロールできなくなり、
宿命によって人生を支配されてしまうということだ。
それが世界最大のうそじゃよ」

・(王様の「お前は羊を何頭持っているか?」という質問に対して少年が)
「十分持っています」

・「自分の運命を実現することは、人間の唯一の責任なのだ。
すべてのものは一つなんだよ」

・「自分をしばっているのは自分だけだった」

・「いつも『はい』と『いいえ』で答えられる質問をするようにしなさい」

・「幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、
しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ。
・・・羊飼いは旅は好きになってもよいが、
決して羊のことを忘れてはならないのだ」

・(王様が羊飼いに話しかける不自然さについて)
「世界中が認めようとしなかった王様を最初に認めたのは、
羊飼いたちだったからね・・・それは聖書にあるんだ」

・「人は、自分の必要と希望を満たす能力さえあれば、
未知を恐れることはない」

・「人は誰でも、その人その人の学び方がある」

・「もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます。
・・・なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです」

・「僕は本当は十年も前に始められたことを、今やり始めたのだ。
二十年間も待たなかっただけ、少なくとも僕は幸せだよ」

・(「男はいつも未来にもとずいて、人生を生きているのです」というらくだ使いに対して)
「もしおまえが、現在によく注意していれば、
おまえは現在をもっと良くすることができる。そして、おまえが
現在を良くしさえすれば、将来起こってくることも良くなるのだ」

・(錬金術師が少年に)「砂漠はすべての男をためすからだ。
それはあらゆる段階で挑戦してくる。そして取り乱した者を殺すのだ」

・「男が自分の運命を追求するのを、愛は決して引き止めはしないということを、
おまえは理解しなければいけない。
もし彼がその追求をやめたとしたら、それは真の愛ではないからだ」

・(錬金術師が少年に)
「学ぶ方法は一つしかない。・・・それは行動を通してだ」

・(なぜ心に耳を傾けなくてはいけないのかという少年の問いに錬金術師が)
「なぜならば、心を黙らせることはできないからだ。
たとえおまえが心の言うことを聞かなかった振りをしても、
それはおまえの中にいつもいて、おまえが人生が世界をどう考えているのか、
くり返し言い続けるものだ」

・「おまえは自分の心から決して逃げることはできない。
だから、心が言わねばならないことを聞いた方が良い」

・「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだ」

・「すげての探求は初心者のつきで始まる。そして、すべての探求は、
勝者が厳しくテストされることによって終わるのだ」

・「夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。
それは失敗するのではないかという恐れだ」

・「何をしていようとも、この地上のすべての人は、
世界の歴史の中で中心的な役割を演じている。
そして、普通はそれを知らないのだ」

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1998 11/27
小説、寓話
まろまろヒット率5

佐藤ゼミ発表

前回の発表ではあまり学術的な評価がされてなかったように感じたので
気合いを入れてレジュメ3枚、参考文献も4年間の集大成的なものにして臨む。
案の定突っ込みもあったが「丁稚の学問と安易に判定するのは危険」や
「文献研究にも主観と客観の問題は含んでいるのに文献研究だけ、
逆に参加研究だけだとその問題を認識することも少ない」と一撃は与えることができたか。
さとまんから「政策Mindの解釈はその通りだ」と言われたときに
「それは先生の解釈としてですね」と言うと「この言葉は私が創ったんだ。
根性にかえようかとも思っている」と言ってきた時は
我が意を得たりといった感じだった(^_^)

1998 11/25
出来事メモ