パウロ・コエーリョ、山川紘矢・亜希子訳 『アルケミスト―夢を旅した少年』 角川書店 1997

らぶナベ@立命館大学付属高校に政策科学部のプレゼンをしてきました
後半は各学部ごとに分かれて分科会をしたんですが、
我が学部は半分以上が女の子だったです。
男の魅力をわかった女子高生たちで、もう感激ぃい!(うっしゃっしゃ)
交流会の宣伝もしていたので、彼らが入ってくる再来年は楽しみです(^^)
ちなみに「高校の時に読んでおいた方が良い参考文献」については
小説『竜馬がゆく』と漫画『蒼天航路』を薦めておきました、
政策系学部の雰囲気や社会的ポジションが伝わると思ったのと
スケールの大きい学生に来てもらいたいので。

さて、『アルケミスト~夢を旅した少年~』パウロ・コエーリョ著、
山川紘矢+亜希子訳(角川文庫ソフィア)を読み終えました。
前々から吉本プロジェクト担当のT教授から薦められていた本。
桜林が読書会にアップしたことと立命の公認劇団『月光社』が
この原作で公演することになったので読んだ一冊。
夢に出てきたピラミッドに向かって旅をする羊飼いの少年のお話で、
基本的にサン・テグジュペリやメーテルリンクの焼き直しという
感じの物語だがこういう話はもともと嫌いではないので楽しめて読めた(^^)

この本を読んで一番作者が言いたかったこととは
「どんなに理屈で言い訳しても夢を諦めてしまえば心に後悔が残る。
その後悔に苛まされることは夢に挑戦して失敗するよりも
遙かに長く苦しいものだ」ということだったと思える。
基本的に小説なので印象深い箇所もその文脈の中でしか
理解できないものなのだが、もっとも心に印象深く残っている言葉は・・・

○「もし、僕がこのことばを言葉を用いずに理解できるようになったら、
僕は世界を理解することができるだろう」
(認識と知識の差についての話だね)

○「神様は、ほんの時たまにしか、将来を見せてはくれぬ。
神様がそうする時は、それはたった一つの理由のためだ。
それは、変えられるように書かれている未来の場合だよ」
(まさにこれが政策学のスタンス「政策Mind」)

○「今まで、私はいつもあこがれを持って砂漠を見ていました」
とファティマは言った。「これからは、希望を持って見るでしょう」
(これは卒業する時に使ってやろう(^^))
・・・の三つだ。

深いことを口当たりの良い表現で述べている箇所も多いので、
その他の心に残った箇所を挙げてみる? と・・・
・「彼はいつも、自分の話すことを羊が理解できると、信じていた」

・「彼は一枚の上着と、他の本と交換できる一冊の本、
そして羊の群を持っていた。しかし、最も大切なことは、少年が日々、
自分の夢を生きることができることだった。
・・・神学校では神様を見つけることができなかったと、
朝日が昇るのを見ながら少年は思った」

・「少年は太陽の位置をもう一度たしかめながら、
夢が実現する可能性があるからこそ、人生はおもしろいのだ、と思った」

・「羊飼いはおおかみに出会うときも、かんばつの時も、
いつもいちかばちか冒険してみるのだ。
それが羊飼いの人生がおもしろいゆえんだった」

・(夢解釈の老婆が)「人生で簡単に見えるものが、実は最も非凡なんだよ」

・(新しい本を読みながら)「登場人物の名前はむつかしすぎて
発音できなかった。僕がいつか本を書くときには、
一度に一人の名前だけをあげ、
読者が何人もの名前を憶えなくてもすむようにしよう」

・(王様が少年に)「人は人生のある時点で、
自分に起こってくることをコントロールできなくなり、
宿命によって人生を支配されてしまうということだ。
それが世界最大のうそじゃよ」

・(王様の「お前は羊を何頭持っているか?」という質問に対して少年が)
「十分持っています」

・「自分の運命を実現することは、人間の唯一の責任なのだ。
すべてのものは一つなんだよ」

・「自分をしばっているのは自分だけだった」

・「いつも『はい』と『いいえ』で答えられる質問をするようにしなさい」

・「幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、
しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ。
・・・羊飼いは旅は好きになってもよいが、
決して羊のことを忘れてはならないのだ」

・(王様が羊飼いに話しかける不自然さについて)
「世界中が認めようとしなかった王様を最初に認めたのは、
羊飼いたちだったからね・・・それは聖書にあるんだ」

・「人は、自分の必要と希望を満たす能力さえあれば、
未知を恐れることはない」

・「人は誰でも、その人その人の学び方がある」

・「もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます。
・・・なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです」

・「僕は本当は十年も前に始められたことを、今やり始めたのだ。
二十年間も待たなかっただけ、少なくとも僕は幸せだよ」

・(「男はいつも未来にもとずいて、人生を生きているのです」というらくだ使いに対して)
「もしおまえが、現在によく注意していれば、
おまえは現在をもっと良くすることができる。そして、おまえが
現在を良くしさえすれば、将来起こってくることも良くなるのだ」

・(錬金術師が少年に)「砂漠はすべての男をためすからだ。
それはあらゆる段階で挑戦してくる。そして取り乱した者を殺すのだ」

・「男が自分の運命を追求するのを、愛は決して引き止めはしないということを、
おまえは理解しなければいけない。
もし彼がその追求をやめたとしたら、それは真の愛ではないからだ」

・(錬金術師が少年に)
「学ぶ方法は一つしかない。・・・それは行動を通してだ」

・(なぜ心に耳を傾けなくてはいけないのかという少年の問いに錬金術師が)
「なぜならば、心を黙らせることはできないからだ。
たとえおまえが心の言うことを聞かなかった振りをしても、
それはおまえの中にいつもいて、おまえが人生が世界をどう考えているのか、
くり返し言い続けるものだ」

・「おまえは自分の心から決して逃げることはできない。
だから、心が言わねばならないことを聞いた方が良い」

・「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだ」

・「すげての探求は初心者のつきで始まる。そして、すべての探求は、
勝者が厳しくテストされることによって終わるのだ」

・「夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。
それは失敗するのではないかという恐れだ」

・「何をしていようとも、この地上のすべての人は、
世界の歴史の中で中心的な役割を演じている。
そして、普通はそれを知らないのだ」

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1998 11/27
小説、寓話
まろまろヒット率5

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