仲上健一 『環境経済システム論』 実教出版 1986

講義「環境経済システム論」テキスト。
環境問題についてのアプローチをシステム論の視点から見た一冊。
水資源利用と住宅開発でのコンフリクト・マネイジメントなどの
事例をのせている。

その中で環境問題に対してシステムズ・アナリシス的にアプローチしていく
やり方が書かれているんです(ををを!いかにも「政策科学」だ!)。
そこのところで未来に対するメンタル・モデルが紹介されていたんです。
Geradinさんという人によると、未来に対する態度(メンタル・モデル)は
だいたい4つに分類できるとのこと。
まず第一は未来は過去の際限ない繰り返しであるとする「受動的態度」、
このメンタル・モデルの原理は「反復」であるそうです。
第二は未来は動的な変化が正常であり、静的な反復は正常でないとする
「日和見的態度」、この原理は「機会」にあるそうです。
第三は未来は過去の傾向にしたあがって現在を延長したものとする
「適応的態度」、この原理は「成長」であるらしいです。
最後の第四は事実を予測することではなくて未来を創る潜在力を
さぐろうとする「創造的態度」、この原理は「可能性」であるそうです。
・・・う~ん、面白いぞ政策科学!(笑)
(この場合正確にはシステムズ・アナリシス)
しかしこの4つの態度を見てみると、僕自身は三番目の
「適応的態度」が多いように思えます。
ただ、一番「政策的」な態度とは、
もちろん最後の「創造的態度」なのでしょうが(笑)

この本をamazonで見ちゃう

1997 1/24
環境学、経済学
まろまろヒット率3

岩田規久男 『金融入門』 岩波書店 1993

らぶナベ@テスト対策部隊隊員その壱です

このことをここにアップして良いものかどうか、非常に迷いましたが
1:まったく政治学と無関係ではないということ
2:テストまで、もう時間が無いこと
3:このテスト勉強で苦しんでいる人がかなりいるとのこと
以上三つ理由から、ここにアップすることに決断しました(^^)

実は某「資金調達論」のテスト対策のために
『金融入門』岩田規久男著(岩波新書)を読みました。
僕の記憶ではこの講義では講義全体を通したテキストが無かったために、
自分で適当に探して見つけた一冊です。
僕がこの本を選んだ理由は、
1:岩田規久男氏の著書であること
(この人はわかりやすい本を書いてくれるので好きです)
2:新書だからすぐ読めるだろうという安易な考え(^^;
などの理由から購入を決定、読むこととなりましたが、
意外や意外!これは非常に面白い本でした。(^^)

この本自体の構成としては
第1章:貨幣と日本の決済システム
第2章:資金の賃借と金融
第3章:金融機関と金融仲介
第4章:資金の循環と金融市場
第5章:金利と資産の価格
第6章:金融の自由化
第7章:金融と景気と物価
第8章:金融政策とマネーサプライ
・・・から構成されていますが、
金融関係でよく耳にする言葉(債券現先取引、MMFなど)の正確な意味、性質
が非常にわかりやすく、かつ詳しく説明されているので
「そ、そうだったのかぁ!」と眼から鱗が落ちるように面白かったです(^_^)
恥ずかしながら、この本で金融関係の用語を把握できるようになりました。
例えば「ユーロ市場」の意味を「ヨーロッパでする何か?」などと
今にして思えば無理のある(笑)勘違いを今までしていた(^^;
金融音痴な僕でも、何とか金融の概要が理解できたくらいですから
(え?「お前が勉強不足なだけや!」って?(^^;)
テスト勉強の勉強の参考文献になると思います。

個人的な感想としては金融市場のシステム、取引の手段などについての
記述があった第4章が一番読んでいて楽しかったですが、
テスト対策に絞るなら明らかに第2章と第3章です(^^)
この金融の基本を図解も事例も入れてくわしく説明している
この二つの章を読めば、かなり理解が深まると思います。

ただ、やはり重要性を感じたのはバブル経済の仕組みを
マネーサプライの観点から説明している第8章です。
今まで政治的な視点からでしか、バブル経済を見ていなかった僕としては
(と言っても新聞で読んだ程度知識でしかないですが)
「M2=CD」という始めてみる公式から導き出される、
マネーサプライの観点を使ったバブル経済の説明は新鮮でした(^o^)
もしこのゼミの中で新保守主義についての議論をおこなうなら
日銀政策についての記述を中心とした本を探して来て、
ある程度マクロ経済の知識を仕入れてからかかろうと思いました。

最後に・・
この本はたぶんまだ書籍部に置いていると思います。
テスト対策ということだけでなく、非常に良質の本であると思いますので
この本はお勧めです(^o^)ではでは、同志(笑)たち!
テストがんばりましょう!(^^)
・・・やっぱりこれをアップして良かったものかちょっとびくびくしてる(^^;
「テスト通りTai!」隊員(最初と名前が違ってんぞ!)その壱からでした。

補足:ちなみに「テスト通りTai!」とは、地球を侵略しにきた「らしい」
正体不明の物体と戦う高校生のクラブ活動をえがいた、
『魔法使いTai』(佐藤順一原作)という小説(アニメでも出ている)
からパクリです(^^)

この本をamazonで見ちゃう

1997 1/21
経済学
まろまろヒット率4

中里融司 『覇者の戦術』 新紀元社 1996

この本は「カデシュの戦い」や「城僕の戦い」など、世界史で学んだけれど
実際の戦況の推移を知らない戦いが載っていたので買った。
「巨獣(像)を利用した戦術」という章があったりして興味深かった。
誤字が多く、表記に明らかなミスも多いのであまりいい本とは言いがたいが、
「近代戦術の芽生え」の章で紹介された「レウクトラの戦い」で
エパミノンダスの斜線陣がようやく理解できた!(^^)
「実際にはそんなこと無理やろう」と思っていたが、
戦術の推移を図解して示してくれると納得、納得(^^)

それとハンニバルの戦術もカンネーとザマしか知らなかったのだが
トレビアやトラシメヌスの戦いも紹介してあったのでとても新鮮だった!

また、意外だったのはザマでハンニバルは負けはしたが
決戦兵力としての「予備兵力」という概念は、
このときのハンニバルの戦術から生まれたものだという考えが
紹介されていたことだった。
う~ん、偉大な戦術家とは聞いていましたがここまでとは!(^^)

この本をamazonで見ちゃう

1997 1/2
戦略論、歴史
まろまろヒット率3

村松岐夫・伊藤光利・辻中豊 『日本の政治』 有斐閣 1992

一回生の時から政治学基礎1の講義、園遊会などで、
特に佐藤満教授からことあるごとに奨められた一冊。
日本の政治に対して体系的、科学的にアプローチした名著と評判高い書物。
まず「世界からみた日本政治の謎」としてさまざまな海外からの日本研究、
日本論を紹介することから始まり、「エリートモデル」・
「階級(闘争)モデル」・「多元主義モデル」・
「強調主義(コーポラティズム)モデル」の四つを視点として
アウトライン、政策、選挙と政党、制度と過程を研究していっている。
最後にこれからの展望として再び海外の日本研究者の意見を載せているが、
結論的に日本政治はエリートモデルと多元主義モデルの二つの視点が
有効という論調を掲げている。
一回生の時にヴェーバーの『ぷろりん』とどちらを読もうかと迷ったほど、
難しいものかと思っていたが、実際読んでみると何のことは無かった。
これは僕が一回生の時から成長したからなのか、
すでにヴェーバーの難解な本を読んでいたから
そう感じるのかはわからないが少し嬉しかった(^_^)

この本をamazonで見ちゃう

1996 12/17
政治学
まろまろヒット率4

シンポジウム「メディアが創ったオタク」パネリスト参加

関西大学高槻キャンパスにて・・・
パネリスト:
宮台真司(都立大助教授)
岡田斗司夫(東大講師)
平康俊紀(関大生)
倉元秀一郎(関大ジャーナリズム研究会)
自分(立命政策科学部、PSおたっきぃーず総司令)
司会:
岡井崇之
人見陽子(総合司会)

開始直前の打ち合わせの時点で宮台、岡田両氏と「政策学」をめぐって
火花を散らしたので「これは面白くなりそうだ」と思ったがその通りになった(^^)
はじめはそれぞれのオタクに対するイメージを語るところからはじめたが、
ジャーナリズム研究会からのデータ解析のところがうまくいかなかった。
僕は社会構造の変化がオタク的なものを台頭させたと思うと語ったが、
岡田氏にはいまいち納得されなかった。
一部の途中、議論を静観することもあったが
「突っ走って行こう」ということだったので、素直な意見を言った。
休憩中に宮台氏に「いい味を出しているよ!」とかはげまされたりした。
後半は企画を変更してフロアからの意見を求めることをした。
これに対しては両雄の話にのっかかる感じで発言、
「えるぱるショップのH同人誌売場らへんにいる人が熱く眼が輝いている」
と一般から起こりつつあるオタクに対するあこがれを実体験に基づいた
発言をし、教育の話で有害コミックを買い続けたエピソードを語る。
意外と受けたのがうれしかった(^_^)
4時に終わるはずが1時間ほど延長して終了した。
その後、控え室で6時くらいまで宮台氏と岡田氏と
関西の特性や関東的なもの、
それこそ「ナディア」のようなオタク的なものについて話した。
「エネルギー率が高い」と宮台に言われた。
僕自身、説明不足なところなどがあったがとても楽しく
また有意義であったと思う。
ちなみに僕の『オタク学入門』は岡田氏と宮台氏のサインが入っているという
非常にレアなものになっている(^_^)

1996 12/14
出来事メモ、シンポジウム

アイドル声優・桜井智のイベント参加

「もっとTOMOだち in 立命館」参加 『オタク学入門』を読んだ勢いで参加してしまったイベント。
(こういうイベント行くのは初めてっす(^^)) 意外だったのは女性の数が予想より多い!
制服姿の女子高生(コスプレにあらず(^^;)とかもいて 客層もバラエティーに富んでいました(^^)
途中、来年でるドラマヴィデオ用に観客まで演出させられる場面もあったので
イベント会場は最初ちょっとだれ気味(^^;でしたが、
いやあ、しかし彼女はサービス精神が結構あって良かったですよ。
僕は別に彼女がとりわけ好きなわけではなかったですが、
とっても素敵な人だったんでちょっと好きになったっす(^_^)
ちなみに今年の「ゆく年くる年」の司会に抜てきされたそうで (本当っす!)
がんばって欲しいっす!
はたして立命館大学は来年は誰を呼ぶのでしょうか??
僕はみやむー、三石琴乃あたりを期待していますが(^^)

1996 11/28
出来事メモ

糸圭秀実・渡部直己 『それでも作家になりたい人のためのブックガイド』 太田出版 1993

「書き方の本だが、逆に文学を読む上でも参考になるのでは」と思い
購入したが、著者は二人とも時代錯誤な70年代している
左翼崩れで参考にはならなかった。ただ、一部に心ひかれる言葉もあった。
「書き手が自分が思ったことを読み手に伝えようとすれば、
三割がた強い言葉を使わなければダメなんです。
書き出しでキメる場合はそうした方がいい・・」や
「自分にとって理解しやすい人物を描いているうちは、
技術は進歩しないんです。・・・つまり、
ある異物感に触れようとせぬかぎり進歩はない」
また、「この世にはまだ理不尽なことがあるってことに対して、
ある種の感受性を持てないと無理・・自分を侵す他者の存在や
亀裂をあえて受け入れる覚悟が必要」などの言葉には
なかなか考え深いものがあった。

この本をamazonで見ちゃう

1996 11/19
作文指南、対談
まろまろヒット率3

岡田斗司夫 『オタク学入門』 太田出版 1996

またたま面白い本を見つけましたよお!!
『オタク学入門』岡田斗司夫(太田出版)っていう本です。
この岡田斗司夫っておっちゃんは最近良くテレビとか雑誌とかに出ているので
見かけた人もいるかもしれませんが、GAINAX創設者で
現東京大学オタク文化論ゼミという講義の講師です。

「オタク」と聞くと何だかよくわからないけど「異質」な「異物」な
とにかく否定的なイメージがありますよね?
ただ、どうしてそういうイメージが自分にあるのかはうまく説明できない。
ただ、Mさん事件以来「オタク」的なモノはとにかく反社会的で
自己完結的なイメージを何となく持ってしまっている人が多いと思います。
この本はこうした「オタク」という社会的異物を面白おかしく、
かつ深く濃く(笑)アプローチしためずらしい一冊です。

構成は、第1章:オタクの正体、第2章:オタクの世界性、
第3章:オタクの3つの眼、第4章:「粋」の眼、第5章:「匠」の眼、
第6章:「通」の眼、第7章:オタク文化論から成っている。
特に第1章:オタクの正体と第7章:オタク文化論は「オタク」という
社会的にネガティヴな価値観を一般論とはまた違った視点からとらえていて、
とても参考になるっす。

内容は「オタク」と呼ばれるかなり「痛い」人間(笑)の熱い
情熱から生まれるエピソードに爆笑できますが、
本質は「なぜアニメ、漫画などのオタクという文化が日本で生まれ、
現在この文化において世界のトップであるのか?」という疑問を
日本古来の文化論まで立ち返り説明しようとしている意欲作っす。
次代の奔流を読む上でも、論拠もないのに凝り固まった
自分の異物なものへの固定概念をほぐす上でも良質の一冊だと思いますよ(^^)

この本をamazonで見ちゃう

1996 11/10
文化論
まろまろヒット率4

塩野七生 『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年』 中央公論社 上下巻 1989

ヴェネツィア共和国千年史を書いたもの。
前から多くの人に勧められていたので読みたかった一冊。
「小国がいかにして地中海の女王と言われるようにまでなったのか」という
隆盛の上巻と「本質的な衰退」に立ち向かっていく
苦闘の下巻からなるとても興味深い興衰史。
イタリアに関する知識、記述は多く正確だがペルシア、
トルコ(特にオスマン帝国)に関する知識、記述はかなり一方的で
地中海世界の正確な歴史とはいいがたい面はあるが、
一つの隆衰史としてはとても面白く、また含意も多いと思う。

この本をamazonで見ちゃう

1996 11/2
歴史
まろまろヒット率5

林原めぐみ 『明日があるさ』 学研 1996

お久しぶりです、はっちーのアドレス帳から外れていたという事実が
発覚した(笑)らぶらぶナベ@ゼミ選択悩みまくりっす(^^)

いやあ、笑えたしこの時期に読んだからでしょう、とても感動しましたよ、
林原めぐみの『明日があるさ』(学研)というエッセイを読んだんですが
これがひさびさの大当たりでした(^_^)

この人は声優なんですが、元々看護婦で様々な経緯で声優になった人です。
この人の仕事や日常のほんのちょっとしたことにもよく現れてくる
彼女のスタンスが面白おかしく書かれていて、とても面白かったですよ!
常に積極的に、つらいときこそ積極的に正直にという彼女の生き方が
肩ひじ張らずに自然な感じで伝わってきて、ちょっと幸せになれました。
基本的に漫画も入ったギャグ系の軽い本なんですが、ちょっとしたことに
とても考えさせられたりさせてもらえます。
本の冒頭で「私は今とても楽しいお仕事をしています。
そしてとても楽しく人生しています」と書いていることが読み終わって
納得できてしまいます。
特に彼女がずっと「ラジオのDJしたい」と思っていたことが実現した経緯や
それが実現したことに対する彼女なりの解釈は素直に泣けます(本当っすよ)

別に決意とかじゃなくて、ほんのちょっと意識して日常のことの見方を
ポジティヴにすることでいかに人生を楽しめるかってことがここに書いてあります。
こう書くと安易な言葉が多そうで、安易な本のように
思われるかもしれませんが安易に読めても安易に感動してはいけないように
思える本だと思います。
漫画やイラストも多くてなおかつ字も大きいのですぐに読めるので
この本はお勧めっす!
何か気持ちを楽に、前向きにさせてくれます。
どこの世界でも「傑出した人物」には学ぶところ
魅力が多いと言うことでしょうか?

この本をamazonで見ちゃう

1996 10/16
エッセイ、自伝
まろまろヒット率4