笹川儀三郎 『現代の企業経営を学ぶ―経営学入門』 ミネルヴァ書房 1996

「マネイジメント論」テキスト。同じミネルヴァ書房から出版
されている同じような題名の本(『現代の企業経営』)と間違えた本。
第一編:企業経営の仕組みを知る
第二編:企業経営の現状を探る
第三編:経営学の流れを追う・・・から成っている。
第一、二編は面白くなかったが、第三編はとても面白かった!
テイラーの科学的管理法やファヨールの管理学説から始まり、
そこに人間関係論の側面を加えたメイヨー、レスリスバーガーの
公・非組織論。これらを総合的に統合したバーナードの組織論、
この論では「有効性」と「能率」のバランスによって組織の存続条件が
成り立っているとする。また、いままでの「上位権限説」を
「権限受容説」へと転換したのが彼の功績。
そして人の心にある「無関心圏」にも注目したのも有名。
このバーナードの組織論にのっとった管理学にモティヴェーションの概念を
入れたのが、マズロー(「自己実現人モデル」)、
アルダーファー(「ERG理論」)、ハーズバーグ(「衛生要因」と
「動機づけ要因」からモティベーションは成り立つ)、
ブルーム(「期待理論」)などが、行動科学を管理学に組み入れた。
人間を静的にとらえる行動科学を発展させて人間を動的にとらえる
人的資源管理論がアージリス(「内部適応」と「外部順応」)と
マグレガー(「X理論、Y理論」)によって確立された流れが
とても面白かった。
組織を構成する人間を「経済人」から「前期社会人(人間関係論)」から
「後期社会人(自己実現論)」、そして「多面的人間」へと、
研究が進むたびに人間の見方が複雑かつ深くなっていくのが、
一種皮肉でもある。

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1997 1/26
経営学、組織論
まろまろヒット率3

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