伊藤真 『伊藤真の商法入門』 日本評論社 1997

今晩から来年までスキーに行くのでこれが今年最後に読んだ本になる。
読書録を振り返って見てみると今年は一冊きっちりと読んだ本が52冊だった。
吉本プロジェクトや就職活動などで忙しかった去年よりもずっと読めたので
来年はきっと良いことがあるだろうと思いこんでいる、
らぶナベ@さぁ読書も終わったので、いざ妄想銀行白馬支店設立へ!?
(ゲレンデ妄想ファンドを創ってやろう(^^))

さて、本題の『伊藤真の商法入門』伊藤真著(日本評論社)1997年初版をば。
「どんなに馴染みが無くても3冊読めば理解は飛躍的にアップする」という
僕の勝手な読書理論の方針に添って読み終えた商法関連3冊目の本。
この本の前に民法と民事訴訟法はすでに3冊読み終えていたので
商法の入門は何の問題もなく読み通せた。
民法を基本にして取引の活性化と流通を重視するために
保護の色合いを薄めたのが商法だからだ。
そういう意味でおそらく六法の中ではもっとも危険な法律なんだろう。
法学部の人が見たら怒る表現だろうけどどちらかを重視したら
どっちかが軽視されるのが現実なんだから仕方ない(^^;)

読み終わって一番感じたことは結局は法律なんてものは
どんなに公平、厳格を建前にして強調したとしても
「どっちを優先させるのか?」に落ちつくという点だ。
原則と修正という柔軟性はあってもしょせんはルールでしかない。
最後は限りなく二者択一的な戦略的勝敗に集約される。
そういう視点で見ればどんなにややこしかったり
むつかしそうに見える法学理論や判例も楽に理解できる。
現実社会の物事を実際に扱うんだから対立する利害を
完璧に問題なく公平に裁くなんてこと自体が最初から無理。
もちろんそうなって当たり前なんだがこのことを理解せずに
奇麗な語句で飾られた建前論を頭から信じ込んで法学に接すると
かなりやばい事になるんだろうなっとあらためて感じた。
それは僕が法学のずっと前に政治学と歴史学に接していたから
そう感じるんだろうけど。(混じりっけ無しの理想家こそ実践で弊害を生む)

以下、チェックした箇所・・・
☆「合理化」(アクセル)と「適性化」(ブレーキ)の調和が
商法のテーマ→対立ベクトルの調整が法律全体のテーマ

☆倒産という言葉は法律上存在しない。
→倒産と破産とはまったく別の概念!

☆「ヤオハン・ジャパン」倒産の直接原因・・・
大量に発行した「転換社債」が不況のために株式に転換されずに
社債として償還されてしまい決定的な資本割れをおこしたため。
→株式には払込金の返還義務はないが社債は債務なので返還義務がある

☆資本制度の大原則・・・
「資本充実の原則」、「資本維持の原則」、「資本不変の原則」

☆手形における法律関係には手形関係(手形法)と原因関係(民法)の
「二本立ての法律関係」がある。

☆民法と商法との違い・・・
<法的利率>
民法→5%、商法→6%
<債権時効>
民法→10年、商法→5年(手形法→3年)
<支払免責>
民法→善意無過失、商法→善意無重過失

☆民法第93条から96条までの意思表示瑕疵に関する規定が
手形行為に適用されるかどうかの争いがある。
→取引の安全を図るために民法の原則を修正する

○商法ではまずどんな利益が対立しているかを理解することが最も重要。
→条文の趣旨を読みとること!

○範囲が広い商法の中で特に重点的なポイント・・・
<会社法>
株式会社→「資本制度」、「設立」、「株式」、「機関」
<有価証券法>
約束手形→「有価証券理論」、「振出」、「裏書」、「支払」
<商法総則・商行為>
商法総則→「商人」、「商号」、「商業使用人」、「商業登記」

○「資本金」とその会社が実際に持っている「財産」とは基本的に無関係。

○株式会社の出資者(社員)は「間接有限責任」しか負わないので
その会社の債権者を保護するために会社財産の確保が必要→「資本制度」

○「資本」は枠組み、「財産」は中身。

○純粋持ち株会社は独占禁止法改正で解禁された。

○商法上株式の払い戻しのことを「退社」と呼ぶ。
→「資本維持の原則」からこれは認められない。

○「株式譲渡自由の原則」の存在理由・・・
・会社にとって株主の個性は問題にはならないという「許容性」
・投資家にとって投下資本回収の唯一の方法だという「必要性」

○取締役は商法上の「忠実義務」の他に民法上の「善管注意義務」を負う。
→これは株主共同訴訟などで重要になる点

○取締役は「競合避止義務」、「利益相反取引規制」、「報酬決定の制限」
を受ける。(前の二つは取締役会の承認あれば可)

○会社の役職を現す社長、専務、常務などの言葉は商法上には無い。
法律上での役職は「取締役」、「代表取締役」、「監査役」しかない。
→日常用語とはまったく別の概念

○商法第254条2項が所有と経営の分離を表している。

○「変態設立事項」とは会社設立に関して定款に定めないと
効力が認められない「相対的記載事項」の一部。
→「現物出資」、「財産引受」、「設立費用」など

○商法で言う「信用の授受」とはお金の貸借りのこと。

○手形は信用授受の手段、小切手は単なる支払の手段。
→手形は振出した本人が支払う、小切手は支払を委託するだけ

○手形の裏書人の人数が増えれば増えるほど保証人=人的担保が増えるので
手形が流通していく上で支払がより確実になっいき理論上は
「流通促進の法技術」となる→ただし実務では「回り手形」として警戒される

○手形の債務がどの時点で発生するのかという「手形理論」では
「交付契約理論」と「創造理論」が対立している。
→手形事件の時には大きな焦点に、ただしどちらも「善意無重過失」で
取得した手形所持人は保護されるという結論は同じ

○手形関係と原因関係との文言・・・
・原因関係と併存するつもりで手形を振出せば「支払のために」
・そのうちどちらを先に行使してもいいならば「担保のために」
・原因関係上の権利を消滅させて振出すならば「支払に代えて」

○裏書きの効力・・・
・「権利移転的効力」
・「担保的効力」
・「資格授与的効力」

○「権利外観理論」とは善意の手形取得人を保護すべきとした
条文には書かれていない学説上の理論。

○振出人が支払を拒む事由には・・・
「物的抗弁」→すべての人に主張できる
「人的抗弁」→特定の人にだけ主張できる
・・・の二つある。

○手形取得人を保護する制度は「人的抗弁の制限」と「善意所得」の二つ。

この本をamazonで見ちゃう

1999 12/27
法学、商法
まろまろヒット率3

伊藤真 『伊藤真の民事訴訟法入門』 日本評論社  1998

らぶナベ@進路決めたので気分は爽快、蒼天に航路はあるって感じっす(^^)

さて、『伊藤真の民事訴訟法入門』伊藤真著(日本評論社)1998年初版。
民法入門に続いて読んだ伊藤真シリーズ。
読んで感じた最大のことは民事訴訟法、刑事訴訟法のいわゆる手続法は
攻防戦をするシステムなので判決はその戦いの結果にすぎないということだ。
「どちらがどう勝った?」、「どのような攻防があったのか?」という
視点で見るとどんな難解な部分も十分理解できることに改めて気がついた。
『大戦略』『信長の野望』を持ち出して考えれば余裕、余裕(^^)

以下、理解に苦労したり記録の価値があると思った箇所・・・
☆民事訴訟法の定義とは「私的紛争の公権的解決」。
→私的vs公的のせめぎあいという視点が重要。

☆民事訴訟法の判決根拠プロセス・・・
・「その権利が過去に発生したか?」→「現在まで消滅していないか?」
・・・の二つをクリアした時に「権利がある」と結論づける一種のパズル。
・訴訟物の有無←権利の有無←要件事実の有無←証拠の有無。

☆「訴訟上の請求」=「訴訟物」。

☆「訴訟要件」を満たす上で特に重要なもの二つ・・・
「訴えの利益」と「当事者適格」。

☆民事訴訟での「訴え」とは裁判所に対して要求するもの。
→権利の存在を裁判所に認めてもらうだけで被告に要求するものではない!

○民訴の目的はある権利がいま存在しているかどうかを明らかにする、
刑訴は権利があることだけでなく犯罪事実があるかどうかを明らかにする。
→民事訴訟法の「訴訟物」は「権利」、刑事訴訟法の「訴訟物」は「事実」。

○民事訴訟法の大目的二つ・・・
・「紛争解決」→事実関係は曖昧でもよい。
・「手続保障」→少数者保護と既判力維持のため。

○当事者とは判決の宛名人になる者。

○「時効の中断」とは振り出しに戻ること。(単に止まる訳ではない)

○訴訟の主体の違い・・・
・「当事者能力」=そもそも当事者になれるのかという一般的な資格。
・「訴訟能力」=民法上の権利の主体にはなれるが一人では
訴訟行為ができない人のための制度(未成年者や禁治産者など)。

○訴え自体が不適当として却下する判決が「訴訟判決」、
適当となれば「本案判決」に入る。
(ここまでは手続法での判断)
本案判決にはその是非を下す「認容判決」、「棄却判決」がある。
(これは実体法での判断)

○既判力は判決の当事者にしか効力を生じないのが原則だが
例外として「対世効」がある。(形成の訴えなど)

○当事者能力は一般的能力だが「当事者適格」は訴訟物ごとの個別能力。

○「弁論主義」三つのテーゼ・・・
・第一テーゼ
「裁判所は当事者の主張しない事実を資料として採用してはいけない」
 →あくまでも当事者が主導権を握るのが原則。
・第二テーゼ
「裁判所と当事者間に争いがない事実は
そのまま判決の資料として採用しなければならない」
 →必ずしも真実でなくてよい、形式的真実主義。
・第三テーゼ
「当事者間に争いのある事実を証拠によって認定する際には
必ず当事者の申し出た証拠によらなければならない」
 →第二テーゼとの違いは主張レベルと立証レベルとの差。

○「口頭弁論」は必ず書面で準備しなくてはいけない。
→実際の裁判ではにはものの一分もかからないで終わってしまう。

○口頭弁論の中でその事実に対して一つ一つ認めるのが「自白」、
訴訟物レベルで認めるのが「請求の認諾」。
→刑訴の自白とはまったく意味が違う!

○「挙証責任」=「それを証明することによって利益を受ける人が負う」。

○既判力の標準時になるのは「事実審(一審と二審)の口頭弁論終結時」。

○「既判力の遮断効」の修正の判例判断・・・
・取消権の主張→X
・相殺権の主張→○
・建物収去土地明渡請求訴訟で負けた賃借人による建物買取請求権の主張→○

○訴訟客体の複数・・・
・「単純併合」
 →各請求を単に同列にして審判を求めること。
・「選択的併合」
 →各請求のどれか一つが認容されれば他を解除条件に審判を求めること。
例:所有権に基づく返還請求と占有権に基づく返還請求の同時審理など。
(旧訴訟物理論のため)
・「予備的併合」
 →各請求に優先順位をつけて審判を求めること。
例:目的物引渡権が認められなければ代金支払請求権を求めるなど。

☆共同訴訟の違い・・・
・「通常共同訴訟」→判決が当事者ごとバラバラの判断になっても良い。
・「必要的共同訴訟」→判決を統一しなくてはいけない。

○必要的共同訴訟の中で全員で訴えなくてはいけないのが
「固有必要的共同訴訟」(土地の複数遺産分割確認の訴えなど)、
一人でも訴えられれば「類似必要的共同訴訟」(会社設立無効の訴えなど)。

○「独立当事者参加訴訟(三当事者訴訟)」は三つ巴で争うこと。
→改正でその中の「片面的独立当事者参加」も認められるようになった。

○訴訟中に実体法上の変更があるのが「訴訟の承継」。
→任意的な当事者変更の場合には実体法上の権利関係は変更しない。

○「上訴」は判決が確定する前の話、「再審」は判決が確定した後の話。
「抗告」は判決の決定と命令に対する簡単な抗議。

この本をamazonで見ちゃう

1999 12/18
法学、民事訴訟法
まろまろヒット率3

大島良子 『絶対泣かない法律の常識』 KKロングセラーズ 1999

近所や借金、離婚、相続、仕事などのトラブルに関して
弁護士へのQ&Aという形式で構成されている本。
単なるテクニック的なものや説明が片手オチの感じがする場所もあって
どうもいまいちな本だという感じがした。
しかし、この本の冒頭部分で著者が述べている・・・
「何が枝葉末節なのかを見極めること」というのは法律の本質の一つだろう。
政策科学部にいる民法の教授(山本さん)も
「争点を限定するのが法律の役割」と述べていたことがあった。

以下、チェックした箇所・・・
○職場でのセクハラに関しては雇用契約に付随した職場環境に配慮する義務に
違反したという点で「債務不履行責任」(民法第415条)を追求できる。
債務不履行責任は不法行為(民法第709条)よりも時効期間が長い上に
原則として雇用主が立証責任を負っているので争点にすれば労働者に有利。

○不動産を単独相続させる意図で遺書を書くときは
「~に相続させる」という記述をしないといけない。
「継がせる」、「譲る」や「与える」という表現を使えば
「共同申請の場合」として扱われてしまい紛争の種になるだけでなく
相続できたとしても登録免許税を余分に払わなくてはいけない。

○相続税の申告と納税は原則被相続人が死亡したことを
知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければいけない。

○民法上では生命保険は相続人の相続財産ではなく固有財産と判断されるので
相続放棄もしくは限定承認のをしても問題なく受け取ることができる。

この本をamazonで見ちゃう

1999 12/11
法学一般
まろまろヒット率3

滝口弘光 『法律のしくみと活用法事典』 自由国民社 1999

らぶナベ@昨日僕の「326」の読み方がずっと間違っていたことを指摘されて
その意味がやっと分かったっす(そのまま読んでた素直な僕)。

さて、『法律のしくみと活用法事典』滝口弘光著(自由国民社)1999年初版。
最近はずっと法学の理論書を中心に読んできたので
そろそろ現実的な生々しい視点も持とうと手に取った本。
実際に読んでみるとかなり良かった、お薦めの一冊!(^o^)
内容は当たり障り無い司法関係の仕組みから
普段話題になりにくいその裏側まできっちり書いてくれている。
例えば弁護士会は都道府県に一つしか無いのが普通だが
東京だけは弁護士会が三つに分裂していて牽制し合っているなど。
決して理論書には載っていないことを紹介してくれているし、
実務的な点でも内容証明郵便の作り方と送り方、
サインする時に気をつけた方が良い契約書のフレーズ、
弁護士の依頼の仕方や費用など実に丁寧に解説してくれている。
「こういうのを知りたかったんだ!!」と思えるような内容だ。

特にこの本の中で印象に残っているのは・・・
「~法違反だ」とか「~が規則だから」という風に言われたり、
相手側の弁護士に説得されるとすぐに真に受けてしまい
言われるままに従う人たちがまだまだ多いらしいが、
自分に不利な法律知識をわざわざ相手に教えるお人好しはいないし
弁護士はあくまで依頼者のために働くものだという警告についてだ。
「義務は果たすべきだがそもそもその義務があるかが問題」、
「正義や義務には幅がありその中でどちらを有利にするかが重要」
・・・などの警告は法律と接する機会があれば意識しておいたいものだ。
こんな風に面白いしためになる本だがあえてケチをつければ
やたらと「予防法務」ということを強調していて
問題が起こってしまう前から弁護士に相談することを勧めているが
そもそも弁護士の相談料は30分5000円もするものだから
せっぱ詰まらない限り誰も相談はしないやろと突っ込んでしまう点だ。
結局「営利ではない」とか言いながら営利活動を規制すれば
結果としてその規制を利用した形で歪んだ営利が出てしまう。
その上、そこには競争原理が働かないので
その歪みは決して自然修正されることは無い、
社会主義国家が失敗したことと同じことだなっと感じた。
司法ビッグバンで議論になっている弁護士の競争自由化は
この点でもぜひ押し進めて欲しいものだと改めて感じた。

以下その他で特別にチェックした箇所・・・
☆医療事故の場合は債務不履行という問題として捉えられることが多い。
→「委任契約の下での善良なる管理者の注意義務」を怠ったという趣旨。

☆「仮差押え」は裁判官との「審尋」の後に「保証金」を供託すれば可能。
その際には「疎明」だけで十分(証明よりも曖昧で良い)。
→仮差押えは速く静かにおこなえ!

☆「民法第709条」は飛び抜けて重要!!
→セクハラから殺人まですべての損害賠償に適用される条文。

☆不法行為による損害賠償の消滅時効は・・・
・損害及び加害者を知った時から3年
・不法行為の時から20年
→犯人と損害がわかっているなら速く起訴しないと損害賠償ができなくなる!

○遺産相続の時に取り分を足すのが「寄与分」、引くのが「特別受益分」。

○「1行が勝敗を決する」とまで言われるくらい書証が重要。
→書証>人証

○地裁では裁判官が三人出てくるがNo.2が右陪席(傍聴席から見れば左)
と呼ばれ中堅判事が担う、左陪席は五年以内の若手が担う。

○「和解」の最大のメリットは控訴がないこと、
和解と言っても一般的な仲直りとはまったく違う。

○「即決和解」には裁判抜きで強制執行できる力がある、
「公正証書」にもその力があるが「示談」にはその力は無い。

○裁判以外でも弁護士会が開設している仲裁センターの利用で
解決できるものもある。→裁判沙汰にしたがらない企業はよく利用する。

○一方の不倫が原因で別れたときはその一方だけでなく
その一方の不倫相手にも責任があるので慰謝料を請求できる。
(ただし子供からの慰謝料請求は認められていない)

○調停離婚や裁判離婚の場合は専業主婦が財産分与割合で
半分をもらうことほとんど無理→30%が相場。

この本をamazonで見ちゃう

1999 12/5
法学一般
まろまろヒット率3

千葉博 『3時間でわかる刑事訴訟法入門』 早稲田経営出版 1999

らぶナベ@この本で「3時間でわかる」シリーズはすべて読破!
これで入門編とは言え六法はすべて一度は網羅したことになるので
これからはかなり余裕を持って法学に接することができるのがうれしい(^^)
司法試験を目指す人間を対象にしたシリーズでもあるので
法に関わる議論のテーマになる要点は押さえていてくれているだろう。

さて、本題・・・
『3時間でわかる刑事訴訟法入門』千葉博監修(早稲田経営出版)1999年初版。
刑事訴訟法は始めて触れるものだったが民法と刑法の関係と同じく
民事訴訟法と比べてずっと厳格なものなので理解しやすい。
読んでみて気になった点はやたらと検察官の権限が強く、
そのチェック機能を担う法律が整備されていないということだ。
検察官に対するチェック&コントロールを認める法が少ないことは
今後司法ビッグバンを迎えるにあたって大きな問題として
表面化する可能性があるんじゃないだろうか?
それと現在の刑事訴訟法は被害者に対しての配慮が足りないと感じた。

以下、チェックすべきと判断した箇所・・・
○「真実発見」と「人権保障」との調和が
刑事訴訟法ではテーマになることが多い。

○「起訴便宜主義」とはたとえ犯人であることが明かでも
場合によっては起訴しないことを認めること。
→検察官はこれができる「訴追裁量権」を持っている。

☆刑事告訴をした被害関係者は検察官に対して・・・
・「通知制度」
 →実際に起訴したのか知らせてもらう。
・「検察審査会制度」
 →不起訴処分が適切だったかどうか調べてもらう。
・「準起訴手続きにおける付審判請求」
 →裁量権濫用によって不起訴がなされる危険が高い事件
(公務員職権濫用罪など)について審判を請求する。
・・・などの権利を認められている。
しかし、どれも不当な不起訴処分の疑いがある場合であって
不当な起訴処分の疑いがある場合に検察官を
チェック&コントロールする権利は認められていない。
→だったら検察官やりたい放題やん!いずれ大きな問題になるぞ。

○刑事訴訟法では被害者は独自の地位を認められていない。
→これは大きく欠落している点だ!

○刑事訴訟法でも基本的に「当事者主義」が適用されて
当事者である検察官と被告人が公判の主導を担う。
裁判官はあくまで第三者として判断を下すだけ。

○裁判官は「法廷警察権」を含んだ「訴訟指揮権」を持っている。

☆証拠の種類・・・
・「直接証拠」→「甲が乙をナイフで刺したのを見た」証言など。
・「間接証拠」→「甲がナイフを持っていたのを見た」証言など。
・「補助証拠」→「甲と乙は前々から仲が悪かった」証言など。
・「弾劾証拠」→証拠の証明力を減殺する証拠(防御の役割)。

☆自白の証拠としての制限・・・
・「自白法則」→任意性に疑いがある自白は「証拠能力を認めない」こと。
・「補強法則」→自白以外に証拠が無ければ「証明力を認めない」こと。

○刑事訴訟ではすべての事実について検察官が「挙証責任」を負う。
→「無罪推定の原則」のため。

☆「一事不再理効」→判決が確定すればその犯罪について起訴されないこと。
これは起因変更が可能な「公訴事実の同一性」が認められる範囲にまで及ぶ。

この本をamazonで見ちゃう

1999 12/1
法学、刑事訴訟法
まろまろヒット率3

新保義隆 『3時間でわかる刑法入門』 早稲田経営出版 1999(補正)

京都伏見に現存している寺田屋では「龍馬寿司」なるものが
売られていると知って「やりすぎ!」と思わず突っ込んでしまった、
らぶナベ@でも話の種になるので龍馬が生きてても許すだろうな(^^)

『3時間でわかる刑法入門』新保義隆監修(早稲田経営出版)1999年初版補正。
始めて読んだ刑法関連の本でかつ11月に読んだ11冊のメモリアル記念本。
(たぶんこの記録は僕にもやぶられないだろう)
刑法に始めて触れてみたがもともと法学はしょせんルールでしかなくて
そのルールをどう当てはめるかだけの話にすぎないものだけど
このルールや適用に関しての緻密さや厳密さは刑法が一番しっかりしている。
これは刑法が場合によっては人を殺せるほどの力を持っているからだろう、
学説や判例での議論がやたらと盛んなのも与える影響の大きさからだ。
その分、かなり自由度があって適用に広がりのある民法に比べて学びやすい。
(類推適用も禁止されている)自由があるということは
それだけ複雑になることでもあるんだとあらためて納得した。
(民法はそういう意味でいい加減な法だろう、個人対個人の話だしね)

内容の方はそもそも刑法をぜんぜん知らなかったので読むだけで楽しかった。
特にニュースとかで何となく耳に入っていた用語のちゃんとした概念説明や
刑法の適用についての学説がある程度体系立てて書かれていたので
読みながらパズルを埋めるような快感をおぼえていった。

以下はややこしかったり押さえておくべきと思ってチェックした箇所・・・
☆現在の刑法はその行為の社会的不当性よりも結果に注目する
「結果無価値論」が学説的には優勢になっている。

○「不能犯」と「未遂犯」の区別をどうするかが
判例と学会を巻き込んで論争になっている。
・「不能犯」は危険性のない行為をして犯罪を実現させようとすること。
(呪いなど)→刑法としての処罰はされない。
・「未遂犯」は実行行為をしたが結果が生じなかったこと。
→刑法として処罰される。

○刑法での「責任」とは「思いとどまらなかったことを非難できる事情」。
責任がなければ犯罪として成立しない。

○窃盗罪は所有権ではなく占有権を対象としている。

☆窃盗罪は財物そのものを対象としているが
強盗罪は財物そのものに加えて「財産上の利益」も対象としている。
→キセル乗車は窃盗罪には当たらないが
タクシーに無理矢理乗るのは強盗罪が成立する。
(どちらも財物そのものではなく財産上の利益を侵害している)

○「事後強盗罪」とは取り返しを防ぐ、逮捕を免れる、証拠隠滅が成立要件。
さらに奪うことはこれと違い「強盗罪」に当たる。
→盗みに入って相手に見つかり暴行や強迫をすれば事後強盗罪だが
開き直ってさらにさらに物を取れば強盗罪になる。

○14歳未満は刑法上は未成年になる。(「刑事未成年」)

この本をamazonで見ちゃう

1999 11/30
法学、刑法
まろまろヒット率3

福田大助 『3時間でわかる憲法入門』 早稲田経営出版 1999

らぶナベ@これが今月読んだ10冊目の本。
入門書がメインとは言え一ヶ月で二桁台の読書は始めての経験。
これでX’masにはサンタさんから何かご褒美があるかな?(どきどきっ)

『3時間でわかる憲法入門』福田大助監修(早稲田経営出版)1999年初版。
今月はちょっと民法をやってみようと思って入門書を読んできたが
せっかくの機会なのでこの際六法の入門編を一通り押さえて
法学の大きな概念を捉えておこうと思い立ち、
民法、民事訴訟法、商法の三つをすでに読み終わっていた
「3時間でわかるシリーズ」を使って残りの三つの法をやろうと決めた。
(一度全体像を捉えれば後々概念として使いやすいから)
このシリーズはタイトルに反して決して3時間では読み終わらないが(^^;
(純粋に読書時間だけでもこの3倍はかかる)
読みやすいし概念を捉えることを第一目的にに書かれているので
僕のような意図を持っている人間にとっては良書に入るだろう。
そんなこんなでまずはやっぱり憲法だろうと思ってこの本に当たってみたが
憲法は中学や高校の現代社会でだいたいやっている上に
基本的に憲法自体はおおざっぱな方向性を示しているだけで
具体的な議論に関しては各法に委ねているものなので
読み進めてみても新しい発見は無く、面白い本とは言い難かった。
ま、あくまで復習の意味で使うための一冊という感じだろう。

以下は単に忘れていたのでチェックしたところ・・・
○衆参の違い・・・
・衆議院
任期4年、定員500人、被選挙年齢25歳、解散あり
・参議院
任期6年、定員252人、被選挙年齢30歳、解散なし

○国会議員の三つの特権・・・
「歳費受領権」、「不逮捕特権」、「免責特権」

○「法律上の争訟」とは「具体的事件」でなおかつ「法律の適用」によって
最終的解決が可能なものしか裁判所での審理がおこなわれないこと。

この本をamazonで見ちゃう

1999 11/29
法学、憲法
まろまろヒット率3

新保義隆 『3時間でわかる民事訴訟法入門』 早稲田経営出版 1999(補正)

らぶナベ@気がつけばただいま月間読書量記録更新中っす。

さて、『3時間でわかる民事訴訟法入門』新保義隆監修
(早稲田経営出版)1999年初版補正をばをば。
民法と民事訴訟法は単純に面白いと思えるし
何よりも今のうちにやっておく必要性を
嗅覚的なものから感じているので前に読んだ
『図解でわかる民事訴訟のしくみと手続き』酒井雅男著
(日本実業出版社)1999年初版の復習の意味でも読んでみた一冊。

以下、チェックした箇所・・・
☆事実確認で「だまっている」と「自白」とみなされ
突きつける相手はもうその事実を証明する必要が無くなる。
しかし「知らないと言う」と「否認」とみなされ
突きつける相手がその事実を証明する必要が出てくる。
→やたらと「記憶にない」とかいう発言が多いのはこのため。
やばくなったら黙っているより「知らない」で防御だ(^^)

☆「証明責任」とはその事実を真実だと主張するほうの当事者が
その事実を証明しなくてはいけないという責任。
→裁判官が嘘か本当か確信を持てない時は嘘として扱われ、不利になる。

○民事訴訟法の大原則四つ・・・
適性・公平・迅速・訴訟経済
→しかし前の二つと後ろの二つは相反するので
そのバランスをどう調和させるのかがテーマ。

○被告が見つからなくても「公示送達」で訴訟は始められる。

○裁判所の手続進行が民事訴訟法に反すると感じたときは
当事者が文句を言える→「責問権」。

○裁判にかかる手数料は訴える訴額に比例して
高くなっていくので総訴額のうち一部だけを請求して
勝てばさらに残りを請求するという戦術もある。
→「一部請求」

この本をamazonで見ちゃう

1999 11/28
法学、民事訴訟法
まろまろヒット率3

太田宗男 『この一冊で「商法」がわかる!』 三笠書房 1999(改訂)

らぶナベ@ふと夜中にルパン三世のものまねをこっそり練習していたら
妹にばっちり気づかれていてめっちゃ気まずい思いしているっす(;_;)

『この一冊で「商法」がわかる!』太田宗男著(三笠書房)1999年改訂。
味気ない法学を学ぶ上で実例を知ってその痩せた骨格に肉付けするには
かなり有益な「この一冊でわかる」シリーズ。
民法版を読んで良かったので商法でも使ってみようと読んだ一冊。
民法版と同じようにケースが多いだろうと思っていたが
意外に教科書的な書き方をしていた。
別にそれはそれで良いがうさんくさい三笠書房らしくないなと感じた(^^)
この本を読んで改めて感じたことは商法は民法よりもはるかに
手続きの簡略化と取引の安全性、迅速性を優先させて
債務者保護の意味合いが薄いので商法の視点で商業や
経営の世界を見てみると追い風の時はがんがんに行けるけど
向かい風が吹けば実につらい状況になる環境なんだなぁって思える。
上がるのも落ちるのもはやい状況をこの商法が支えているんだろう。

以下、チェックした点・・・
○例外的に全株主出席のもとで株主総会を開いて決議を下せば
たとえそれが取締役に無断の株主総会であっても有効となる。(第231条)

☆招集権のない取締役でも株主総会を召集できる。(第259条)
→社長を含めた執行部への責任追及がこれで可能。

○当事者全員が商行為に関わっていなくてもその事件の当事者のうち
一方だけでも商行為になるなら他の全員に商法を適応する。(第3条)
→民法より金利が一割高いなどの商法と民法の差がここで出てくる。

○株式申込者が賄賂などを使って発起人から株を割り当てられたとしても
商法違反にはならない。(申込者はその時点ではまだ株主ではないから
「株主平等の原則」には引っかからない)

○商号だけ貸す「名板貸し」であっても商号を貸している
相手の債務について連帯責任が生まれる。(第23条)

○いったん株式を引き受けたらたとえ錯誤、詐欺、強迫であっても
その事実を無効にすることはできない。(第191条)

○資本が無くても消費者金融から借りた金を銀行に振り込みして
会社設立後にその資本を引きだし消費者金融に返して設立すること
(「見せ金」)は罪にはあたらない。

この本をamazonで見ちゃう

1999 11/23
法学、商法
まろまろヒット率3

福田大助 『3時間でわかる商法入門』 早稲田経営出版 1999

最近FMでもしつこくかかっている松本栄子の『スコール』を提供した
福山雅治が「こんな女の子いたらかわいいなって思って創ったんす」
・・・と言っていたのを聞いて「こいつもかなり痛いな」と
親近感を感じた、らぶナベ@痛さなら福山に負けないぞ!

さて、本題・・・
『3時間でわかる商法入門』福田大助監修(早稲田経営出版)1999年初版。
民法についての本をいくつか読んだので次は民法に対して
特別法の地位にあたる商法を押さえておこうと考えて、
(これもいまのうちに知っておくべきと感じた)
民法関連で読んだときにけっこう良かった
「3時間でわかるシリーズ」の商法版を購入して読んだ。

商法は今後も何かと必要になってくる事が予想されるので
一通り体系は掴んでおこうという意図で読んでみたが
案の定、もっとも難解とされる民法の入門書をいくつか読んでいたので
この民法をベースにした商法はかなり簡単に読めた。
『ナニワ金融道』など最近は漫画やドラマでも押さえられる領域だし)
要は商法とは民法を基本にして取引の安全と迅速を優先させた法だからだ。
それゆえ債務者の保護は二の次にされるのも商法の特徴と言える。

チェックした箇所も二カ所だけ・・・
○約束手形の三つの性質・・・
・「無因証券性」
 →原因関係が消滅しても手形関係には影響しない。
・「設権証券性」
 →契約の結合ではなく証券を作成することで初めて権利が発生する。
・「文言証券性」
 →権利内容が手形の記載内容によって決定される。

○商行為に関する条文が複雑な理由・・・
立法時に商行為をいちいち限定列挙したために、
新しい事業が一般化される度に後付的に条文を加えていったのが
必要以上に猥雑化した原因、最初にいちいち項目であげたのが問題。

この本をamazonで見ちゃう

1999 11/20
法学、商法
まろまろヒット率3