千葉博 『3時間でわかる刑事訴訟法入門』 早稲田経営出版 1999

らぶナベ@この本で「3時間でわかる」シリーズはすべて読破!
これで入門編とは言え六法はすべて一度は網羅したことになるので
これからはかなり余裕を持って法学に接することができるのがうれしい(^^)
司法試験を目指す人間を対象にしたシリーズでもあるので
法に関わる議論のテーマになる要点は押さえていてくれているだろう。

さて、本題・・・
『3時間でわかる刑事訴訟法入門』千葉博監修(早稲田経営出版)1999年初版。
刑事訴訟法は始めて触れるものだったが民法と刑法の関係と同じく
民事訴訟法と比べてずっと厳格なものなので理解しやすい。
読んでみて気になった点はやたらと検察官の権限が強く、
そのチェック機能を担う法律が整備されていないということだ。
検察官に対するチェック&コントロールを認める法が少ないことは
今後司法ビッグバンを迎えるにあたって大きな問題として
表面化する可能性があるんじゃないだろうか?
それと現在の刑事訴訟法は被害者に対しての配慮が足りないと感じた。

以下、チェックすべきと判断した箇所・・・
○「真実発見」と「人権保障」との調和が
刑事訴訟法ではテーマになることが多い。

○「起訴便宜主義」とはたとえ犯人であることが明かでも
場合によっては起訴しないことを認めること。
→検察官はこれができる「訴追裁量権」を持っている。

☆刑事告訴をした被害関係者は検察官に対して・・・
・「通知制度」
 →実際に起訴したのか知らせてもらう。
・「検察審査会制度」
 →不起訴処分が適切だったかどうか調べてもらう。
・「準起訴手続きにおける付審判請求」
 →裁量権濫用によって不起訴がなされる危険が高い事件
(公務員職権濫用罪など)について審判を請求する。
・・・などの権利を認められている。
しかし、どれも不当な不起訴処分の疑いがある場合であって
不当な起訴処分の疑いがある場合に検察官を
チェック&コントロールする権利は認められていない。
→だったら検察官やりたい放題やん!いずれ大きな問題になるぞ。

○刑事訴訟法では被害者は独自の地位を認められていない。
→これは大きく欠落している点だ!

○刑事訴訟法でも基本的に「当事者主義」が適用されて
当事者である検察官と被告人が公判の主導を担う。
裁判官はあくまで第三者として判断を下すだけ。

○裁判官は「法廷警察権」を含んだ「訴訟指揮権」を持っている。

☆証拠の種類・・・
・「直接証拠」→「甲が乙をナイフで刺したのを見た」証言など。
・「間接証拠」→「甲がナイフを持っていたのを見た」証言など。
・「補助証拠」→「甲と乙は前々から仲が悪かった」証言など。
・「弾劾証拠」→証拠の証明力を減殺する証拠(防御の役割)。

☆自白の証拠としての制限・・・
・「自白法則」→任意性に疑いがある自白は「証拠能力を認めない」こと。
・「補強法則」→自白以外に証拠が無ければ「証明力を認めない」こと。

○刑事訴訟ではすべての事実について検察官が「挙証責任」を負う。
→「無罪推定の原則」のため。

☆「一事不再理効」→判決が確定すればその犯罪について起訴されないこと。
これは起因変更が可能な「公訴事実の同一性」が認められる範囲にまで及ぶ。

この本をamazonで見ちゃう

1999 12/1
法学、刑事訴訟法
まろまろヒット率3

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です