山上会館・御殿の「若鶏のグリル・オニオンフリット添え」


研究室の今年度初会合の後にみんなでランチを取ることに。どこも混んでいてランチ難民と化した(4月はまだ意欲に燃える人たちが多い)ので、弊社でも独特のオーラを出している山上会館にいくことに。
ランチで使いのは初めてだったけど、本日のランチ(今日は「若鶏のグリルのオニオンフリット添え」)はライスかパン、スープ、サラダ、食後のコーヒーがついて700円だった。店構えよりリーズナブルなので会合にいいかも。
本郷の東京大学本郷キャンパス内の山上会館レストラン「御殿」にて。

ジャレド・ダイアモンド、倉骨彰訳 『銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎』 草思社 上下巻 2000

らぶナベ@喜寿(77歳)を迎えようかという人の活躍ぶりを見て僕も奮起しています(^_-)

さて、『銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎』ジャレド・ダイアモンド著、倉骨彰訳(草思社)上下巻2000。

16世紀、アメリカ大陸を侵略したヨーロッパ人たちはごく少数だったのに、先住民たちに大打撃を与えて支配した。
その直接的な原因は銃、病原菌、鉄に代表される政治・文字システム、感染症の抵抗力、技術の差だった。
では、なぜ同じ人類にそこまでの決定的な違いが生まれたのか?
その究極的な原因は何なんだろうか?

・・・かつてその違いは人種間の生物学的な差だと思われていた。
でも、いまは人種間に生物学的な優劣は無いことが判明している。
では、銃・病原菌・鉄に代表される文明の違いはどうして生まれたのか・・・

この本は生理学と進化生物学を専門にする著者が、人類が同じスタートラインに立っていた1万3千年前から、
生物学や地学、言語学などの研究成果を取り入れながら、それぞれの地域で起こった歴史をたどっている。
原題は“Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies” (副題が違う)。
原副題にあるようにそれぞれの運命を変えることとなった、違いを生み出した究極的な要因にアプローチしている。

読んでみると、読み物として単純に面白い(^_^)v
そしてユーラシア大陸が東西に長いのではなく、南北に長かったらどうなっていたのか?と考えさせられる一冊でもある。
もちろん最新の研究結果を使っている分、新しいデータや知見が出てくればすぐに古めかしいものになるのは必然の本だけど、
それでも現時点で挑戦しようとする姿勢に共感をおぼえた。

ちなみにエピローグでは文系に分類されている歴史学と、理系の進化学地学、天文学、進化学との共通点を述べている。
再現実験ができない点、構成要素が複雑な点、個体がユニーク(唯一無二)な点などの共通点をあげながら、
直接要因と究極要因を結ぶアプローチの方法論についても言及している。
この点が佐倉研究室必読文献に指定された原因でもある。

以下はチェックした箇所(重要と思われる順&一部要約)・・・

☆アメリカ大陸とアフリカ大陸が南北に長いのに対して、ユーラシア大陸が東西に長いので食料生産の伝播が早かった
→人類の歴史の運命はこの違いを軸に展開していった
<第10章 大地の広がる方向と住民の運命>

☆歴史学、天文学、気象学、進化生物学などは程度の差こそあれ、
実験的に操作して再現実験をおこなうことができない分野、構成要素が非常に多岐にわたる分野、
個々がユニーク(唯一無二)であるため普遍的な法則を導くことができない分野、
どのような創発的属性が登場するかや将来何が起こるかを予測するのが難しい分野、という共通点がある
<エピローグ>

○歴史科学は直接要因と究極要因の間にある因果関係を研究対象とする
<エピローグ>

○世界史では、いくつかのポイントで、免疫のある人たちが免疫のない人たちに病気をうつしたことが
その後の歴史の流れを決定的に変えてしまっている
<第3章 スペイン人とインカ帝国の激突>

○実際の発明の多くは人間の好奇心の産物であって何か特定のものを作りだそうとしたわけではない
→「必要は発明の母」ではなく「発明は必要の母」
<第13章 発明は必要の母である>

○有名は発明家とは、必要な技術を社会がちょうど受け容れられるようになった時に
既存の技術を改良して提供できた人であり、有能な先駆者と後継者に恵まれた人
<第13章 発明は必要の母である>

○人類の科学技術史は大陸ごとの面積、人口、伝播の容易さ、食料生産開始のタイミングの違いが、
技術自体の自己触媒作用によって時間の経過とともに増幅された結果
→ユーラシア大陸がリードできたのは知的に恵まれたわけではなく地理的に恵まれていたから
<第13章 発明は必要の母である>

○中国がヨーロッパに逆転された理由は、中国の長期統一とヨーロッパの長期不統一にある
→技術は地理的な結びつきが強すぎず(中国)、弱すぎず(インド)、中程度のところでもっとも進化スピードが速かった
<エピローグ>

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2006 4/13
歴史科学、自然科学、学問一般
まろまろヒット率4

マイケル・クック、千葉喜久枝訳 『世界文明一万年の歴史』 柏書房 2005

75歳という最高齢まろみあん記録を更新した人がまろまろ掲示板に遊びに来てくれた
らぶナベ@そのチャレンジ精神に「おそれ入谷の鬼子母神」と感銘しきりです。

さてさて、『世界文明一万年の歴史』マイケル・クック著、千葉喜久枝訳(柏書房)2005。

原題は“A Brief History of the Human Race”
「世界が今の状態になったのはなぜか?」、「人類史は他の歴史になる可能性は無かったのか?」という問いで書かれている人類一万年史。

文字の資料をたどる一般的な”歴史”では人類の歴史はせいぜい5000年前までしかさかのぼれないけど、
この本では文明史を語る上で5000年前からはじめるのは逆に無理があるとして、
現在の完新世が始まる1万年前までさかのぼってスタートさせている。
だから手法も歴史学だけでなく遺伝学や地質学、気象学などの学際的な研究成果をふんだんに使っている。
分厚い本だけど、歴史学の世界では一般的なヨーロッパ近代史の比重を落としているのも含めて勇気ある一冊。

ただ、前半は面白いし説得力もあったけど、後半がぐっとパワーダウンしたように思えてしまった。
この本ではヨーロッパが世界の標準になったのはまったくの偶然だったとしているが、その偶然がどうして起こったのかもっと知りたかった。

ちなみに著者は『銃・病原菌・鉄』に影響を受けてこの本を書き始めたと書かれてある。
(他にも9.11同時多発テロの影響も受けていることは明らかだけど)
最初から『銃・病原菌・鉄』を通読しとけばよかったなとちょっと反省。

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2006 4/11
歴史、人類史
まろまろヒット率3

生田昌弘 『Webブランディング成功の法則55』 翔泳社 2005

最近わりとオフィシャルなメールもmixi経由で来るようになった、
らぶナベ@確かにSPAMと紛らわしくないしこれも時代の流れですかな。

さて、『Webブランディング成功の法則55』生田昌弘/株式会社キノトロープ著(翔泳社)2005。

成功するWebブランディングの法則を55項目にして紹介している本。
・・・のはずだったんだけど単なるWebサイト制作進行本と変わらない気がした。

そもそもWebブランディングで成功した実例が示されていないので、どれも当たり障りの無い抽象論に聞こえてしまった。
(たとえばコラムでちらっと紹介されている「BMWの事例」などの方が説得力があった)
55の法則それぞれを当てはめた成功モデルを仮にでもつくるか、もっと実例が欲しかった。

また、根拠となるデータも詳細を公開していない自社調べのものが多くて信頼性に疑問だし、
参考にした参考文献や資料の一覧も無いので資料性もとぼしく感じた。

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2006 4/10
情報・メディア、ブログ・HP関連、ブランディング
まろまろヒット率1

守屋洋 『十八史略の人物列伝』 プレジデント社 1992

昔はテレビっ子だったのに今ではテレビの無い生活に慣れてきた、
らぶナベ@久しぶりにゴールデンタイムの番組見ると妙に白けますな(^^;

さて、『十八史略の人物列伝』守屋洋著(プレジデント社)1992。

周代の周公旦から清代の李鴻章まで、中国史を代表する67人を扱っている人物列伝。
各列伝の最初にその人物を特徴付ける名言や評伝の句と略歴が書かれてあり、その後にその人生と人となりを紹介している。
中国史らしい生々しい人物伝は迫力があり、分厚い一冊なのに思ったより早く読み終えた。

中でも興味を持ったのが「寛以て猛を救い、猛以て寛を救う」と言われた春秋時代の鄭の宰相・子産や、
「人を対象とせず、時の動きを洞察してその流れに乗ること」を第一にして、
宰相の地位まで登りつめた後はあっさり辞めて大商人になった春秋時代の越の宰相・范蠡(れい)だ。
柔軟なバランス感覚、身の処し方を考えさせられた。
また、老子の「足るを知れば辱められず、止まるを知れば殆からず」は力みがちな時には思い出して心がけたいと思う一句だった。

ちなみに古典「十八史略」は宋代までのものだけど、この本は清代までの人物を取り扱っている。
中国史の別名という意味で十八史略の言葉をタイトルに使ったということだけど、
ややこしいので(僕も間違えた)「中国史の人物伝」にした方が良かったように思える。
また、なぜか元代の人物は耶律楚材だけで他の人物たちがすっぽり抜けているのも不思議に思えた。
多民族国家として魅力的な人物が多い時代なのに残念に思えた。

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2006 4/9
歴史
まろまろヒット率3
売れ筋 歴史本

隆隆飯店の「百合の花と海鮮炒め」と「上海烤麩と豚角煮」

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左:百合の花と海鮮炒め→つぼみの百合の花が意外にいける
右:上海烤麩と豚角煮→上海豆腐(麩に近い)が豚角煮の濃いタレを吸ってマイウー

コンテンツ創造な面々で上海料理屋さんに入る。教員も含めて個性的な面々はそれぞれ立場や視点、考え方は違うけど、そういう違いを感じるのもまた一興ですな。このときに「誰一人反対しないことは逆にやらない方がいい」と思い、はしり書きにする。
本郷(東京都文京区本郷4-2-3)の「上海創作料理 隆隆飯店」にて。

佐藤俊明 『心にのこる禅の名話』 大法輪閣 2004

お風呂好きなので温泉銭湯をめぐっている、らぶナベ@調べてみると東京には温泉銭湯が多くてびっくりです。

さて、『心にのこる禅の名話』佐藤俊明著(大法輪閣)2004。

禅の有名な公案や法話を紹介している一冊。
著者は曹洞宗の僧侶なので、曹洞宗のエピソードが多い。

中でも面白かったのが「貞鈞と夫婦喧嘩」という話しだ。
ある駄菓子屋の夫婦が「殺す」、「じゃあ殺せ」などの大喧嘩で一触即発になっていた。
通りかかった貞鈞和尚はその夫婦の店の駄菓子を店先にぶちまけて「お菓子のつかみ取りだ!」と子供達に呼びかけた。
慌てる夫婦に対して「女房は殺されるし人殺しの亭主は処刑される、
この世の別れに菓子をふるまって功徳を積むからありがたいと思え」と言い放って夫婦喧嘩を止めさせたという。
建前の衝突を本音の部分を突くことによって解消したエピソードとして印象に残った。

ただ、「禅問答」というくらいだから、全体的に理屈っぽく感じるものもあった。
禅の話は言葉や理論の空虚さを指摘するものが多いけど、それを言葉で伝えるというのは不可思議な感じもした。
思うに、言葉や文字にすれば何だって理屈になるのかもしれない。

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2006 4/7
宗教、仏教、禅(曹洞宗)
まろまろヒット率2