マックス・ヴェーバー、大塚久雄訳 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 岩波書店 1989(改訳)

DIE PROTESTANTISCHE ETHIK UND DER GEIST DES KAPITALISMUS
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(政治・行政)
政治・行政パート春休み課題一番乗り!の、らぶらぶナベっす。
ついに読みましたよ!
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(以下「ぷろりん」)』
岩波書店
マックス・ヴェーバー著、大塚久雄訳

僕がこの本を春休みの課題に選んだ理由・・・
1:何はなくとも社会科学をする上での必読書
2:一回生のうちにヴェーバーを読んでいれば後々それが糧となるだろう
3:文庫本一冊だけなので読みやすそう(実際は結構ひるみましたけど)
・・・以上の理由からですが『社会科学の方法』(大塚久雄著)
『職業としての政治』、『職業としての学問』(以上ヴェーバー著)を
今まで読んできたのもこの本を読むための準備みたいなもんです。
この本に関しては前々から読みたい読みたいと強く思っていたので
あんまり客観的な動機づけは導き出せません。(笑)
読む時に気をつけたポイントとして
1:とりあえず初読では大きな流れをつかもう
2:1の理由から脚注がやたら多いけど神学上の多様な解釈、
この本の批判に対する反駁、引用書(特に神学書)の紹介などは
ざっと目を通すにとどめておこう
・・・という2点にそった政策でのぞんでみました。
実際、そうして読んでみると思っていたよりスムースに読めました。
予想どうり中だるみはしましたが、それでも342ページ目から
急速に面白くなります。

さて肝心の内容ですが禁欲を重視するプロテスタント(新教)の人たちが
西欧で資本主義発達の担い手になったことは歴史でやりましたよね?
ネーデルラントのゴイセン、フランスのユグノー、
イングランドのピューリタンなどなどプロテスタントが中産階級として
資本主義社会の中心、時には独立・革命の主役となったわけです。
語弊を恐れず簡単言ってしまえば
「金もうけ(「営利追求」)はあかん!っていうてる宗教の人が
何で世界一の金もうけ(「資本主義社会形成」)をしたんや?」
というごく単純なナゾを解きあかそうというところから話は始まります。
答えはプロテスタンティズム、特にカルヴィニズム(カルヴァン派)の教義が
持っていたある特徴が資本主義的活動を合法化し、
後押したからだと言います。
「そのある特徴とは?」・・・
そこまで言ったら読む楽しみがなくなるので実際に読む時の
楽しみにしてください。キーワードは「◯◯◯的禁欲」と
それから発展した「◯◯的◯◯主義」です。
(抜けてるとこに当てはめてねっ)
その神学上の説明にこの本の大部分をさいています、
好みの問題かも知れませんがそこがちょっと中だるみするとこです。

ここで忘れてはいけないのがプロテスタンティズムが持っている
「ある特徴」に対しての説明がこの本の中心となっていますが
(題名からしてそうですよね)
この本は決して「単なる神学書ではない!」ということです。
人の宗教意識、現代では単に「意識」とひとまとめに言っても良いでしょうが
その意識がいかに社会に影響していくのか社会形成の上で
重要なアクターとなるのかを科学的に証明した本であるという事です。
だからこそヴェーバーは社会学の祖とまで言われていると思います。
訳者の大塚久雄も解説で「マルクスの一元論」、
「ヴェーバーの多元論」と面白いことを言っていましたが
ヴェーバーは宗教面だけから社会を見ようとしたのではないのです。
なるほどそうするとこの本はヴェーバーが生涯をかけた研究の単なる
「始まり」でしかなかったということも読み終えてみてわかってきます。

最後に結論としてこの『ぷろりん』は単に大筋を追って読むなら
噂ほど難解ではないし噂道理、確かに社会科学の重要な「何か」に
かすかに触れられそうな気がする本です。
そして噂以上に必読に値するものなのではないでしょうか。
「これは一度は読んでみるべきやで。意外と面白いし絶対タメになるって!」
(強い推薦)
と断言できる書物、それが読み終えての感想です。

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1996 2/13
社会学、学問一般
まろまろヒット率5

マックス・ヴェーバー、脇圭平訳 『職業としての政治』 岩波書店 1984

まず読んで気がついたことは『職業としての学問』にも言えると思いますが
この本は一次大戦直後の1919年のドイツでの学生に対した
演説だということに気をつけなくてはいけないということです。
当時、左右両派の極端な政治宣伝に揺れ動く学生に対してヴェーバーは
政治にロマンティックな感動は重要ではない、
結果こそが必要だと言いたかったというこです。
「口上がたとえそれがどんなにすばらしいものであっても
現実の結果への目をふさぐな。」とさとそうとしています。
これは特定の宗教や思想に思考を支配された人たちへの
警告でもあるようです。抽象的に言ってみると・・・
「どんなに綺麗な個々の戦術的勝利もたった一つの下品な
戦略的勝利に負ける」というやつでしょうか
(お前もそろそろその思考支配から開放されろ!)。
・・・と誰もつっこんでくれそうにないので
よく自分でつっこみますが気にしないでください。
とにかくまず最初にヴェーバーを読んだということは
かなり有益だとおもいます、
政治学を学ぶ上でこれからのはずみにもなりますしね。
個人的にこの経験をいずれ読んでみたい
「ぷろりん(プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神)」への
良いステップにしてみたいと思っています(でも難しそうだし・・・)。
これからはたとえ本が薄くてもヴェーバーを読んだという現実の根拠に
依存した小さい自信をもってやっていきましょう。

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1995 11/7
政治学
まろまろヒット率4

岩田規久男 『経済学を学ぶ』 筑摩書房 1994

『経済学を学ぶ』視点を変えたい人に!
岩田規久男の『経済学を学ぶ』(ちくま新書)を読みました、
これはおもしろかったっすよ!すらすらとすぐに読めましたし
何より読んでいて自分の視点が今までいかに狭かったのかが実感できます。
「お前は読んだ本を安易に誉める・・・」って言われるんですが
良いものは良い!?しかたないっすね。
個人的に前に紹介した『経済学はむずかしくない』よりもおすすめっす。
「高速道路はなんで高いのか?」とか
「なんで学生には映画の学割があるんや?」、
「旧社会主義国ではなんで店先に行列ができてまうんや?」、
「なんでゴミ問題は解決に困難が伴うんや?」などなど
ちょっと見た感じでは直接経済学とは関係ないと思ってしまう事柄を
経済の観点からわかりやすく説明してくれて
今までもやもやして良くわからなかったことが
「ああ!そうなんや!」と目から鱗が落ちるようです。
ひさびさに読んでいて嬉しくなる経験をしました。
基礎演などで安直に(感情的に?)物事の不満や問題だけに注目し、
問題がそうなる経済的過程にほとんど注目しなかった単純な自分が
今、むちゃくちゃ恥ずかしいっす。
あらゆる社会科学に必要である
「熱い心と冷たい頭脳」には経済学的視点が不可欠であるというのが
実感できる本です。

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1995 11/7
経済学
まろまろヒット率5

都留重人 『経済学はむずかしくない』 講談社 1974

前に「何か読みやすくて簡単で経済の大まかなことがわかる本ないっすか?」
とある人に尋ねたらこの都留重人さんの『経済学はむずかしくない』
(講談社現代新書)を薦められたんす。
それで読んでいるときに違う人から「お、ええ本読んでるやん、都留重人か」
と言われました。「え、有名な人なんですか?」と聞くと
「知らんのか?サミュエルソンの愛弟子や!」と言われてしまいました・・・
知らん、知らん知ってたらもっと偉そうにするわ(笑)と
思って読んでいると、この人は何と園遊会で宮本憲一先生が薦めてくれた
岩波の『経済学事典』を編した人ではないか!
その上、サミュエルソンはみやけん先生が
「彼以来経済学はおもしろくなくなった」と評してた人じゃないか!
「何て偶然なんだ!?うっきー!」と思わず大先生の前にもかかわらず
お猿語で叫んでしてしまいました。
それでこれは状況が「読め!」とおれに言ってるなと感じ
勢いで一気に最後までよんでしまいました。
結果的に僕が初めて読んだ経済専門の本となりました。
内容のほうは出来るだけ簡単に、難しい言葉を避けて書いてくれているので
わかりやすかったです。
特に3章の「ミクロからマクロへ」はマクロ経済がどうして出来たのかを
アメリカの大恐慌を通じて説明してくれているのですがこれが目から鱗が
落ちる話で「重人なかなかやるやん!」と感心してしまいます。
ただぼくはバカなので4章、5章であつかった
国民所得の求め方、Y=C+I
経済成長率の求め方、G=x+y=α/β
・・・の式をいじくって応用するのが今一はっきりと
説明できるくらいまでには理解できませんでした。
この本を読んで「E・マンシュタイン並の数学的センスが必要だ。」と
痛切に感じたナベからでした。

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1995 10/21
経済学
まろまろヒット率4

マックス・ウェーバー、尾高邦雄訳 『職業としての学問』 岩波書店 1980

第一次世界大戦終結直後(1919)の学生に語った講演会。
「自分の目の前の仕事をしよう。予言者、指導者を求めちゃダメ」
・・・ということを言っている。
「学問と政策とは違う」、「盲目的であれ」というところには疑問を感じる。

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1995 10/3
学問一般
まろまろヒット率3

末川博 『法学入門』 有斐閣 1995(第4版)

「法学基礎1」のテキスト。
そもそも履修していないので読む必要は無かったが
何となく法学はいまのうちに一度は触れておこうと思い、
テスト終了後に友達から借りて読んだ初の法学書。
かなり広範囲を網羅しているので、何回か読む価値はあるだろう。

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1995 9/18
法学一般
まろまろヒット率3
法務 キャリア

・・・っと「法学ってだいたいこんなものか」と勝手に納得したこれ以降、
1999年11月4日に『基礎法学』榎原猛編(法律文化社)を読むまで
4年以上法学には一切触れることは無かった。
歴史好き、物語好きの僕には法学は何となく形式ばり過ぎて
どうも合わないと感じていたからだ。
4年後から急にあんなテンションで法学と接することになり、
そしてまさかこんな進路になろうとは神さまはイタズラ好きだ。

大塚久雄 『社会科学の方法』 岩波書店 1966

僕がこの本を読もうと思ったのは・・・
1:複数の学部の人達(政策・法・国関)からすすめられた

2:「ヴェーバー」と「マルクス」の入門書として使える
3:新書なので手軽に読める
・・・という3点からでしたがこれが大当りでした。
内容は社会現象を対象としてはたして「科学」が成り立つのか?
という疑問にヴェーバーとマルクスが出した答えを
比較しながら展開していきます。
もともと講演を収録したものですから語り口調ですっごく読みやすく、
難しい話になってもわかりやすいたとえで説明してくれてます。
僕が特に印象に残ったのはヴェーバーの考えを説明する時に
「人は両目でものを見るから奥行きや立体感がわかる。
社会現象も当事者達の置かれた経済や政治的な『利害状況』と
当事者達の宗教・思想などの『理念』の二つの目でみるべきだ。」
ということを語り、政治や経済の点から社会現象を研究する時にも
文化への理解の重要性を唱えたヴェーバーの考えを
紹介したところです。
また、第三章の『ヴェーバーの「儒教とピュウリタニズム」を
めぐって』ではなぜアジアではなくヨーロッパで「産業革命」
が発生したのか?という疑問についてそれには
アジア人の「儒教」的な考えとヨーロッパ人の「キリスト教」的
な考えの違いが大きく影響したと言うヴェーバーの研究が
紹介されていますが、それにヨーロッパ人から見た
「儒教思想」が表われていて僕達の様なアジア人にとっては
何か納得したり、「そうなのかなぁ」と疑問と疑問を感じたりと
またなかなかおもしろいです。
この本は広い意味での社会科学(政治や法や経済などを含む)を
扱った本なので学問的なことに接する入門書として
とても良いと思います。73ページの終わりから面白くなる!

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1995 8/20
社会学、学問一般
まろまろヒット率5