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さて、『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』エレイン・N. アーロン著、冨田香里訳(講談社)2000。
ユング派の心理学者である著者が、とても敏感な人のことを、”Highly Sensitive Person” = “HSP” と定義付けて、
心理学的アプローチから捉え直す(reframing)ことを目指した心理学本。
原題は“The Highly Sensitive Person” (Aron, 1997) 。
僕自身も著者の定義でいう”HSP”に当たると思う節があり、本文で語られている・・・
外の世界から遠ざかっていることを喜びつつも、それを恥じる気持ちがいつもあった(略)
人から学ぶこと、自分の能力を認めてもらうこと、いろいろな人と出会うことなどの機会を自分から遠ざけていると感じていながら、
それまでのつらい経験から、私には無理なことだと諦めていた
<はじめに>
・・・という著者の心情や・・・
この本のテーマは、あなたの人生を、あなたの特徴である「敏感さ」をキーワードにして捉え直すということ(略)
失敗や傷ついたこと、恥ずかしかった場面などを、もっと冷静で客観的な目と温かい共感を持って新しく捉え直す
<第4章 子供時代と思春期を新しい目で捉え直す>
・・・という意図には共感したので、手に取ってみた。
読んでみると、”確かに思い当たることや、時には身につまされるような事例が解説されている。
中でも心に残ったのは・・・
自分を「恥ずかしがり屋」だと思うのは自己欺瞞である
<第5章 HSPの社会生活>
・・・と指摘しているところだ。
確かに神経の高ぶりを対面的要素に還元するのは安直だと素直に反省した。
ただし、本文で語られる相談階級としての”HSP”の歴史的役割や、治療への助言などは慎重に接したいと感じるところがあり、
ところどころに引っかかるところがあったのも事実。
新しい知識を身につけるというよりも、事例をゆっくりと読み進めることで、
内向的な特質と結果論的としての外向性=「アクティヴな引きこもり」な自分を見つめなおす機会とした一冊。
以下は、その他にチェックした個所(一部要約含む)・・・
○子供と動物ばかりを対象に研究していたら、心理学者は人間の考える力と人生経験の果たす役割を見過ごしてしまう
→大人は理屈がわかり、選択することができ、また選択したことをやり抜く意思力を備えているのだ
<第2章 さらに理解を深める>
○ちゃんとした「境界」を築くことを人生の目標にしよう
→「境界」はあなたの権利であり、責任であり、尊厳の源
<第3章 「敏感すぎるカラダ」の健康と生活>
○神経の高ぶりをコントロールする秘訣は、目新しい要素をなるべく排除すること
<第5章 HSPの社会生活>
○「自分の喜び」と「世の中のニーズ」との接点を探すこと
<第6章 HSPの仕事について>
○親密な人間関係というものは、お互いの影の部分を知り、それを受け容れようとか、変えようと決意した時に始まると言ってもいい
<第7章 HSPの恋愛と友情>
○気持ちの裏にある推測は間違っていることもあるが、気持ちそのものには正しいも間違いもない
→気持ちをきちんと聞いてもらえれば、問題は少なくなるもの
<第7章 HSPの恋愛と友情>
2012 5/21
実用書、心理学
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