ホルヘ・ルイス・ボルヘス、鼓直訳 『伝奇集』 岩波書店 1993

まろまろ記9周年の「まろまろ茶話会2010」開催を正式発表した、
まろまろ@今回は原点回帰として本の交換会もしますので、まろみあんの方はぜひいらしてくださいな☆

さて、『伝奇集』ホルヘ・ルイス・ボルヘス著、鼓直訳(岩波書店)1993。

ガルシア=マルケスと並ぶラテン・アメリカ文学を代表する作家・小説家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの代表的短編集。
原題は“Ficciones” (1944)。
読んでみると、中でも・・・

海賊版の百科事典に書かれている架空の国家を調べることで現実と架空の境界線が曖昧になっていく、「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」。

巨大な図書館の中で生まれ育った司書が図書館の空間と自分の人生を振り返る、「バベルの図書館」。

夢を見ることで一人の人間を創造しようする男をえがく、「円環の廃墟」。

・・・の3つが印象に残った。
特に「円環の廃墟」の諸行無常を感じさせる最後は印象深い。

著者は『ボルヘス、文学を語る』の中で、「われわれは暗示することしかできない、
つまり、読み手に想像させるよう努めることしかでない」と語っているように、暗示に富んだ内容のものが心に響いた。

暗示させることを意識的に書かれただけあって、現代にも通じるテーマ性を持った作品が多い。
たとえば、「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」はシミュレーテッド・リアリティを、
「バベルの図書館」はインターネットを、「円環の廃墟」は仮想現実を、それぞれ思い起こさせられた。

そんな暗示に富んだ著書の小説は現代にも影響を与えていて、
ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』の中に出てくる図書館は「バベルの図書館」をモデルにしている。
(しかもその図書館長の名前は「ホルヘ」だったりするw)

ちなみに、短編集は音楽のアルバムのようなもので、中に収められている1本だけ(シングルだけ)ほしい時がある。
電子書籍がどのように普及していくのかはまだ不透明だけど、電子書籍普及によって
短編小説がより手に入りやすく、そしてより発表しやすくなることを期待している。
そんな現代的なテーマも思い起こさせられる短編集。

この本をamazonで見ちゃう

2010 6/17
小説、短編集
まろまろヒット率4

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です