ウンベルト・エーコ、河島英昭訳 『薔薇の名前』 東京創元社 上下巻 1990

[Dokusyo-Kai]”IL NOME DELLA ROSA”
らぶナベ@ようやく下巻が図書館に帰ってきたので読めた~!(^o^)
(ずっと気になってうずうずしていたのですっきりした)

『薔薇の名前 上・下』 ウンベルト・エーコ著、河島英昭訳
(東京創元社)をようやく読み終えました。
著者は元々トマス・アクィナス研究(高校世界史を思い出すな(^^))
をしていたけど今では記号論で有名な学者さん。
それなのに小説を書いてしまい、
それが大ベストセラーになってしまったというちょっとめずらしい人。
(最新作『フーコーの振り子』が書店に並んでいる)

話の内容は14世紀始め(中世からルネサンスへ移行しようかという時期)
のイタリアのある修道院で次々に起こる連続殺人に対して
それを解明しようとするフランシスコ派修道士ウィリアムと
その弟子アドソの視点を通してえがかれている「推理小説」。
この本はウィリアムの弟子、少年アドソがこの事件のずっと後になって
自分の人生が終わろうとする時期に書き残した書物で
それをたまたまウンベルト・エーコが発見したという前書きで
始まっているがこれはどうもうさんくさい(^^)
(14世紀に書かれた割にはあまりにも現代的な感性が読みとれる)

物語の期間はわずか一週間で修道院の中をうろちょろと探検して推理する
二人のお話が中心なのだけれどその中で出てくる異端派の弾圧風景、
教会と世俗の対立(当時アナーニ事件に始まる教会分裂時代の真っ最中)、
当時は高価であった書物を求めることや残すことの労力などは
一つの歴史小説としてだけでみてもとても興味深く読みとれた。
特に主役であるウィリアムが坊さんのくせにやたらと科学的なアプローチ
(当時イスラーム圏から導入されつつあった化学、医学、幾何学など)
を扱いながら真実に近づいていく姿にはカッコ良さを感じた(^_^)

基本は推理小説であるのであまり話の展開にそって書き表せないんだけど
この本には単なる推理小説に留まらない
非常に深い要素がちりばめられている。
この本を通して僕が強く感じるのは神学と哲学、神秘と科学との葛藤
(開き直っているように見えるウィリアムでさえ感じている)。
すべての学問の元となる好奇心、知識欲、真理に近づきたいと思う欲望。
書物を読むということの意味と危険性。
・・・そうしたものが生々しく感じられた。
推理小説という入りやすい割にとても難解なテーマを扱っているという
そういう意味ですばらしく「良い」本。
この本に関してさまざまな解説、関連本が出版されているのにもうなずける。

ちなみに以前ショーン・コネリー主演でこの小説が映画化されたんだけど
それは単なる変態映画のようなイメージを受けたのは僕だけだろうか(^^;
確か関学KSCのあっちゃんがこの本について論評を書いていたはずなんだけど
それ読みたいのでアップしてくれないっすか?

この本をamazonで見ちゃう

1998 10/15
小説、歴史、哲学、神学
まろまろヒット率5
ベストセラー

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