岸見一郎・古賀史健 『幸せになる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』 ダイヤモンド社 2016

渡邊義弘@13年ぶりに東京に戻ってきて旧交を暖めています。

さて、岸見一郎・古賀史健 『幸せになる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』 ダイヤモンド社 2016。

アドラー心理学を解説した『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』の続編。
前作は読んでいて、身につまされるところが多かった。
今作で一番身につまされたのは、カウンセリングについて哲人が三角柱を使って解説する下記のシーンだ…

☆カウンセリングの机にある三角柱に折られた紙は、「悪いあの人」、「かわいそうなわたし」の面が相談者から見えている
(思い悩んだ人が訴えるのは結局このいずれか)
→三角柱を回転させて見える最後の面には、「これからどうするか」が書かれてある
→「これからどうするか」以外は、相談者がどんなに大きな声で訴えても、そこに語り合うべきことが存在しないから聞き流す
〈第一部 「これまで」と「これから」について〉

…「悪いあの人」、「かわいそうなわたし」は語り合うものではなく、「これからどうするか」を語り合うものだというのは、身につまされた。

また…

☆「わたし」の価値を、他者に決めてもらうこと=依存
「わたし」の価値を、自らが決定すること=「自立」
→「普通であることの勇気」=「人と違うこと」に価値を置くのではなく、「わたしであること」に価値を置く
〈第三部 ほんとうの承認について〉

…という、自らの価値を自己決定することを自立としているところと、普通であることの勇気を唱えているところも心に響いた。

一方で、前作からの特徴である哲人と青年との対話については、今作は演出過剰すぎて白けてしまい、内容に集中しきれないところもあった。

以下は、その他にチェックした箇所(一部要約含む)…

◯教育が目標とするところ=「自立」
→教育とは「介入」ではなく、自立に向けた「援助」
〈第一部 アドラーと教育について〉

◯世間一般で考えられている共感=「私も同じ気持ちだ」は単なる同調
→共感とは、他者に寄り添う時の技術であり、態度
〈第一部 共感という技術について〉

◯「怒りとは、人と人を引き離す感情」
→「変えられないもの」に執着するのではなく、眼前の「変えられるもの」を直視する
〈第二部 叱責の無効性について〉

◯「すべての悩みは、対人関係の悩みである」という言葉の背後には、「すべての喜びもまた、対人関係の喜びである」という幸福の定義が隠されている
〈第四部 人生のタスクについて〉

◯自立とは、「自己中心性からの脱却」
〈第五部 自己中心性からの脱却について〉

◯運命とは、自らの手でつくり上げるもの
→運命の下僕でなく、主人であらねばならない
→運命の人を求めるのではなく、運命といえるだけの関係を築き上げる
〈第五部 愛の対象について〉

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2020 12/14
アドラー心理学、心理学、幸福論
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