三島浩司 『シオンシステム[完全版]』 早川書房 2012

渡邊義弘@2011年4月から松阪在住です。

さて、『シオンシステム[完全版]』三島浩司著(早川書房)2012。

医療特区に指定された松阪市では、虫寄生医療が進められていた。
同じ松阪市内の自立支援施設で働く青年は、自分の記憶と身体に疑念を持っていた。
虫寄生医療を進める研究所、反対する日本医師会、主導権を握ろうとする厚生労働省の三つがせめぎ合う中で青年は虫寄生医療と自分を結ぶ接点を見つける。
画期的な医療の進歩は生命倫理を揺るがしながら、「竹取物語」を現代に再現させていくことになる・・・

医療の進歩による生命倫理の再考と宇宙を結ぶスケールの大きなバイオメディカルSF小説。
もともと『シオンシステム』と『続シオンシステム』の二つを合わせたものなので、メディカルサスペンスと群像劇が合わさった大河的な小説になっている。
中でも物語の重要な鍵となる伝書鳩のモチーフが印象的で・・・
「還るべき場所がある、そう思ったときに長さを測る物差しは消える。(中略)過去から向かってくる光に導いてもらえばいい。」(還るべきシステム)
・・・という一節は心に残った。

また、この本は研究室の佐倉統教授から「松阪が舞台だよ」とプレゼントされた小説でもある。
確かに、研究所は旧飯南郡(合併して現松阪市)の山間にあり、自立支援施設も松阪市内。
さらに反対勢力の日本医師会会長も松阪市で病院経営しているという風に、松阪が主要な舞台になっている。
物語の中には松阪市(役所)も出てくるので、次は松阪市情報政策担当官も登場させてほしと思ったりもした。てへぺろ(・ω<) この本をamazonで見ちゃう

2012 7/8
SF小説
まろまろヒット率3

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です