根岸にある笹乃雪におとずれる。
この笹乃雪は、元禄4年(1691年)創業の豆腐料理専門店。
豆腐については老舗中の老舗で、日本の豆腐の歴史を語る上では欠かせないお店として知られている。
たとえば、今では一般的な「絹ごし豆腐」はこの笹乃雪が開発したものだし、豆腐に「豆富」というあて字を使った元祖でもある。
歴史上の人物との縁も深く、赤穂浪士が食べた記録があり、また、正岡子規による・・・
「水無月や根岸涼しき笹の雪」 (明治26年)
「蕣に朝商ひす笹の雪」 (明治30年)
・・・などの句も残っている。
そんな笹乃雪の名物が写真のあんかけ豆富。
二つで一人前なのは、上野の宮様(輪王寺の宮)と呼ばれた公弁法親王がこのあんかけ豆富のことが大好物で、いつもお代わりをしていたことにちなんでいるとのこと。
味の方は、なめらかな食感の絹ごし豆腐とあんかけがまろやかな調和が感じられる。
上にのったカラシもカドが立つものではなく、アクセントとして味の中に溶け込んでいる。
“和”食を文字通りに感じることができる一品。
ちなみに、こちらは今年大学院を卒業されたまろみあんの方とご一緒したお店でもある。
ちょうど入学時にLA BETTOLA da OCHIAIをご一緒したこともあって感慨もひとしお。
歴史のあるお店でそれぞれの人生の歴史を振り返ることは、自分にとっても貴重な機会となった。
たどった歴史の重みを感じながら、それでも未来をおそれない気持ちの大切さを感じたひと時でもある。
まろまろと今日ももぐもぐ。
根岸(鶯谷)の「根ぎし 笹乃雪」にて。