服部真澄 『海国記』 新潮社 上下巻 2007

今月は構想した松阪市情報のかけ橋委員会がスタートした、まろまろです。

さて、『海国記』服部真澄著(新潮社)上下巻2007。

院政がおこなわれていた平安時代後期、海の道は富が流れる宝の道でもあった。
その海の道に注目した人々が新しい時代の担い手となっていく・・・

経済的な視点をからめながら、平家とその縁者を中心にえがく歴史小説。
平安時代後期から鎌倉時代前期までの100年以上にわたる長編で、
登場する天皇家だけも白河上皇から後堀河天皇まで実に14代にわたっている。

『平家物語』よりもずっと長い時間軸は内容面にも反映されていて、
社会・経済的な流れを強調した物語となっている。
そうした大きな流れの中で繰り広げられる人間模様の浮き沈み、儚さが強調されているのが印象的。

特に、平清盛の誕生の場面にある・・・
「幻視と願いとの境は、あいまいであった。双方の境を確かに分けてゆくものがあるとすれば、明日という時代の波である」
・・・という一節は、大河小説としてのこの物語の性格を凝縮して表しているように思えた。

ちなみに、この本はある経済学者の方からお貸しいただいた。
大きな流れの中で生きることの意味を伝えていただいたように思えた一冊でもある。

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2011 5/30
歴史小説
まろまろヒット率4

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