夏目漱石 『坊ちゃん』 新潮社 1950

まろまろ@Appleから発表されたiPadが成功するかどうかは一先ずおいて、
電子書籍の普及によって版元から出版された書籍とWebサイトがまったく同じ土俵に躍り出る点に注目しています。
電子書籍普及の影響は、読み手よりも書き手や発信者の方によりimpactのあるものになるでしょう(^_-)

さて、『坊ちゃん』夏目漱石著(新潮社)1950。

江戸っ子の「おれ」は、無鉄砲で真直ぐな気質を持つ江戸っ子。
四国の中学に赴任した「おれ」は、田舎根性丸出しの悪質な生徒や教師たちと闘ってゆく・・・

明治39年(1906年)発表の夏目漱石初期の代表作。
道後温泉に行った時に通読したことが無かったことを思い出したので手に取った一冊。
著者が松山中学(愛媛県尋常中学校)に赴任した体験をもとにしているので、方言や名所などの舞台装置は松山になっている。
(ただし実際の夏目漱石は主人公と違って優遇されていた模様)

読んでみると、まず読みやすいことが意外だった。
夏目漱石の作品は、乾いた文体で陰気な世界観を語る印象が強くて(『こころ』など)、
読みにくい気がしていたけれど、この作品は文体も展開も軽くて自然に読み進めることができた。
それは初期の作品ということもあるけれど、現存する原稿には手直しが少ないとのこと。
確かに寝かせることや推敲をあまりせず一気に書き上げたことが、ところどころから伝わってくる。

特にいたずらをした生徒を追求する第4章で・・・
「いたずらだけで罰は御免蒙るなんて下劣な根性がどこの国に流行ると思ってるんだ。
(中略)学校へ這入って、嘘を吐いて、護摩化して、陰でこせこせ生意気ないたずらをして、
そうして大きな面で卒業すれば教育を受けたもんだと癇違いをしていやがる。」
・・・と主人公に語らせる部分は、この作品を貫く妥協の無い反骨&反俗精神を、
思い切りよく書き上げたことが伝わって来て印象深い。

悪を懲らしめる勢いの良さを感じる作品だけど、よく読めば善は勝っていないことに気づく。
決してハッピーエンドにはならない勧善懲悪ものとして、近代を表現しようとした意欲作。

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2010 1/29
小説
まろまろヒット率3

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