宮城谷昌光 『中国古典の言行録』 文藝春秋 1992

20年連れ添ったホームズ(オスの雑種猫)とお別れした、まろまろ@哀しいけど今は感謝の気持ちを持っています。

さて、『中国古典の言行録』宮城谷昌光著(文藝春秋)1992。

『太公望』『沈黙の王』などの古代中国を舞台とした歴史小説を多く手がける著者による中国古典の名言集。
易経、史記、論語、孟子、貞観政要、韓非子などの古典の名句に対して、著者らしい解説をしている一冊。

中でも一番印象に残ったのは、「戦いは必勝にあらざれば、以て戦いを言うべからず」(『尉繚子』)についての解説部分で・・・
「戦いは、勝つべくして、勝たねばならない。そう考えてこそ、はじめて人としての上達がある」、
「人は、生きるべくして、生きるのであり、死ぬためだけに、生まれてきたわけではないのである」
・・・と言いきっているところだ。
したり顔で現状維持している人間は単に現実に酔っているだけで、何かを創めようとするならば、
たとえ無謀な一歩でも必要な時があると思う傾向が僕には強い。
それでも「勝つべくして勝とうとしなければ上達が無い」とする著者の言葉には深く感じるものがあった。

さらに、「嫌を避くる者は、皆内足らざるなり」(『近思録』)については・・・
「人から嫌われることを避けようとする者は、こころの修行ができていない」、
「自分の良いところだけをみせようとする人は、自分にとって都合のよい状況を選び、
あるいは、つくりだそうとするわけだから、彼の決断や決定は、不確かなものにならざるをえない」
・・・と解説しているのにも深く考えるところがあった。

また、「軍に小聴無く、戦に小利無し」(『司馬法』)について・・・
「思いつきは解決を求めているが、成果を求めるものではない」
・・・との解説は、確かに最近そんな人がいたので読んでいて笑ってしまった。

他にも、「青はこれを藍より取りて、しかも藍より青し」(『荀子』)については、
その最後の句が「福は禍いなきより長なるはなし」となっているところから、
藍と青は師匠と弟子では無くて、自分自身の成長のことだとしている点などにも興味を持った。

以下はその他にチェックした箇所・・・

○道は近きに在り、しかるにこれを遠きに求む
『孟子』

○守約にして施博き者は,善道なり
『孟子』

○先ず其の言を行うて、而して後にこれに従う
『論語』

○和は実に物を生じ、同はすなわち継がず
『国語』

○物を以て喜ばず、己を以て悲まず
『近思録』

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2009 2/2
名言集
まろまろヒット率4

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