水越伸 『メディア・ビオトープ―メディアの生態系をデザインする』 紀伊国屋書店 2005

「ソーシャルネットワークとコミュニケーション手法の多様性」というシンポジウムに
パネリストとしてお呼ばれした、らぶナベ@ジャージな海賊が僕です。

さて、『メディア・ビオトープ―メディアの生態系をデザインする』水越伸著(紀伊国屋書店)2005。

生物の生息に適した小さな場所を作り、ネットワーク化させるビオトープ(biotope)を
メディア論の隠喩として応用させた「メディア・ビオトープ」を提唱する本。
文章と共に著者の手書きのスケッチや写真がワンセットになっている。

内容はメディアを「伝達」を軸にした矢印モデルでとらえるのではなく、
「共感」と「コミュニティ」を軸にしたドーム・モデルを基本にしている。
ビオトープの特徴となる小ささ、ネットワーク、キット化という点が
WEBサイトやSNSにも当てはまるのので自分の活動やSNSコミュニティを振り返りながら読んでみた。

中でもメディア・ビオトープを形作る要素として
「メディア実践」、「メディア・リテラシー」に加えて
「メディア遊び」を重視している点が興味深かった。
この三つの相互循環によってメディア・ビオトープが形成されるが、
中でもこの「メディア遊び」はその土壌部分に当たるとしている。
読んでいて不敵な知り合いのWEBマスターたちや
からかい好きのSNSネットワーカーたちが思わず目に浮かんでしまった(^^)

ちなみにこの本の趣旨のことは前々から聞いていたので、
早く出版してほしいと著者に会う度に言っていた。
ようやく念願の読書ができたけど、できれば僕の修士論文前に出してほしかった(>_< )

以下はチェックした箇所(一部要約&注目順)・・・

☆メディア・ビオトープを形作る三つの営み・・・
メディア実践(media practice)
   ↑ ↓
メディア・リテラシー(media literacy)
   ↑ ↓
メディア遊び(media play)
<メディア・ビオトープを形作る三つの営み>

☆メディア遊びは、体制化・硬直化したメディア社会のありようを突き崩す動き
<メディア・ビオトープを形作る三つの営み>

☆ドームを生み出すために必要な要素・・・
1:「出会い」=異なる領域にいながら同じ志の人々を求める
2:「対話」=自分に眠る他者をよみがえらせる
3:「表現・制作」=自明性を突き崩す
4:「可視化」=言語かできないものを言語化しないまま操作可能にする
<メディア・ビオトープを育む>

☆矢印モデルでのコミュニケーション=伝達、メディア=伝達手段
ドーム・モデルでのコミュニケーション=共感の営み、メディア=象徴
<メディア・コミュニティ・人間>

☆(メディアとコミュニティの関係)
メディアはコミュニティを生み出し、維持し、発展させる象徴媒体として働くが、
一方でコミュニティがメディアを支え、そのあり方を枠付ける母体だという、
循環的で、相互依存的な関係
<メディア・コミュニティ・人間>

○メディア研究とメディア業界は、二項対立の図式にかまけるなかで、
新しいメディア表現者の登場を予兆することができず、
さらにはその活動をより広い文脈のなかで位置づけることをせずにいる
<メディア・コミュニティ・人間>

○ビオトープの特徴=小ささ、ネットワーク、複合性、デザインの重視
メディア・ビオトープの特徴=小さなメディア、ネットワーク化、非2項対立、道具立て
<メディア・ビオトープ宣言>

○メディア・リテラシー=媒体素養(by呉翠珍)
<メディア・ビオトープを形作る三つの営み>

○硬直し、紋切り型になったメディア・リテラシーとは
メディア・プロパガンダに他ならない
<メディア・ビオトープを形作る三つの営み>

○メディア回廊作りに大切なこと・・・
1:バランスを取ることでアイデンティティを保つ
2:組織やグループを越えた一段上の次元でもメディアを作る

この本をamazonで見ちゃう

2005 5/5
メディア・ビオトープ、メディア論、社会学
まろまろヒット率4

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