司馬遼太郎 『歴史と視点―私の雑記』 新潮社 1980

らぶナベ@今回も我ながら暇人のような読書っす(^^;
さて、『歴史と視点-私の雑記-』司馬遼太郎著(新潮文庫)1980年初版。
僕は時々司馬さんの文章が無性に読みたくなることがある。
その物事の見方とか人物評や罪のない決めつけとかが好きなのだろう。
そんないつもの発作が起こった時に本屋で見つけたので 迷わず購入した歴史エッセイ。
そのもののタイトルから彼の視点についての考察を期待したが、
完全に歴史随筆であって「歴史と視点」ということなら、
前に読んだ『手掘り日本史』の方がはるかにこの点に重点がおかれていた。
ちょっとがっかりしたが、太平洋戦争当時に北関東守備の戦車部隊に
配属されていた彼自身のエピソードはすごく興味深かった。
東京湾から連合軍が上陸した際の南下迎撃作戦の説明を受けた時、
東京や横浜という人口集中地域を通るのに道路が空っぽという前提で
作戦の説明が終始したのに疑問を感じた司馬さんが、
「戦車が通る道路に人が溢れているのではないか?」と質問した。
将校はこんな質問については考えもしなかったらしく、
しばらく間があってから「轢っ殺してゆけ」と言ったというそうだ。
(「何のための迎撃作戦?」とはこの場合愚問のようだ)
この経験から沖縄戦で日本軍がおこなった住民への虐殺を、
一説で言われている沖縄だけの特殊な事情だったとは思えないらしい。
思想や権力を「善悪は別にして白昼のオバケ」と呼ぶ彼のスタンスの原点が
このエピソードに集約されているだろう。

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2001 7/1
エッセイ、歴史
まろまろヒット率3

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