京極夏彦 『姑獲鳥の夏』 講談社 1998

今月19日でようやく立ち上げて半年になるのに
既にまろまろさん2万人突破してくれて嬉しいらぶナベっす。

さて、2002年最初に読んだ本をば・・・
『姑獲鳥の夏』京極夏彦著(講談社文庫)1998年初版。

参りました。年初から心地よいほどの敗北感です。
京極堂シリーズはかなり前からその存在や話題性も知っていたけど

魑魅魍魎を題材にした推理小説ってなんか薄っぺらそうで読む気がしなかった。
ただ読書禄を読みなおすと去年は年初からデカルト(『方法序説』)を読み、
その後も法律書などを読みつづけた一年だったので
たまには違った感性と触れようかと思っていた。
そんなときにタイミングよく論理的で冷静な友人が薦めてくれたこと、
どの巻の巻末にも参考文献が充実しているのに好感が持てたことなどのきっかけで
「ものは試し」とシリーズ第一作となるこの本を購入してみた。
購入してからも文庫版の表紙がオドロオドロしくて
「ちょっとなぁ」っと読書を躊躇していたけれど、読んでみると・・・

・・・参りました。
まず精神病理学、民俗学、薬学、量子力学などの科学理論を道具に
超常現象(と言われている物事)を解明していく爽快感にひきつけられた。
この点はウンベルト=エーコの『薔薇の名前』に通じる。
(演出の道具が馴染み深い分『薔薇の名前』よりも共感できるかな)

しかしこの作品最大の特徴は何を置いても「文字の美しさ」だろう。
映像化を強く反対するファンたちがいると聞いたが、
それは配役のイメイジが合わないからだとかいう理由じゃなくて
この作品最大の魅力が文字に込められた美しさにあるからなんだろう。
かつてまだメディアが口伝と書伝しなかった頃、
つまり”言葉”が全てのメディアだった頃の”文字”や”言葉”が持つ
魅力、魔力を現代に生きる僕たちの前にかつてと同じように再現してくれる。

推理小説としてのプロット自体は江戸川乱歩や横溝正史の出涸らしのようなものだけど
この本に出てくる文字と文字から構成される言葉に魅了されて
そんな後から突っ込める部分はお構いなしに引きこまれてしまった。
著者がもっとも表現したかったのは推理でもミステリイでもなく、
“言葉”の持つ美しさなんじゃないだろうかとまで思えてしまう。
推理小説という演出を使って言葉の魅力を語ろうとしているのではないか、と。

気がつけば物語最中に感じる昂揚と終わって感じる哀しさ。
これは日本の伝承物語(メディア)に共通した基本形だ。
いまにいきる僕らにもその日本美を感じさせてくれる物語がここにはある。

この本をamazonで見ちゃう

2002 1/8
小説、文学
まろまろヒット率5

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