クリスティン・ネフ、石村郁夫ほか訳 『セルフ・コンパッション[新訳版]』 金剛出版 2021

渡邊義弘@2022年初読書です。

さて、クリスティン・ネフ、石村郁夫ほか訳 『セルフ・コンパッション[新訳版]』 金剛出版 2021。

セルフ・コンパッション(自分への思いやり)について、研究者が解説した一冊。
原題は、“Self-Compassion: The Proven Power of Being Kind to Yourself” (2015) 。

研究者が書いた本だけど、各所に「私のこれまでの人生」として、当事者として体験した苦悩とその対処の経緯が書かれてあり、
単なる研究成果の紹介だけでない、生々しさのような重みのある内容になっている。

特に、自己批判の苦悩に対しては…

○苦悩するのは、苦悩に抵抗するから→苦悩する=苦痛を感じる×抵抗する
(これは倍数的関係ではなく、指数関数的関係)
<第5章 現実に対してマインドフルでいる>

○(自己批判の感情が生まれたら)「これらは、いまこの瞬間に自分の意識的な気づきの中に浮かんできいる思考と感情だ」というように、
ただ事実のみに言及して、非難はいっさい添えないことが重要
→それらを正当化したり、強化したりする筋書の中で自分が迷子にでもならない限り、それらは自然に消えていく傾向にある
<第5章 現実に対してマインドフルでいる>

☆辛い感情から逃げることは現実的に不可能なため、最善の選択肢は、今あるがままのつらい感情をはっきりと、ただし、思いやりをこめて体験すること
→辛い感情は本質的に一過性なので、抵抗や回避によって長引かせたり増幅させたりしなければ、時が過ぎるにつれて弱まっていく
<第6章 感情のレジリエンス(立ち直る力)>

…と、苦痛や困難を感じる感情をありのまま受け入れることを強調しているのは印象に残った。
また、それに関連して…

○次に困難に遭遇したときはダーク・チョコレートという言葉を思い出すようにしてほしい
→あなたに必要なインスピレーションが生まれ、苦い痛みは愛に満ちた甘い芳香の思いやりで包まれるかもしれない
<第12章 蛹から蝶へ>

…と表現しているのは、ちょっと笑ってしまった。

以下は、その他にチェックした箇所 (一部要約含む) …

○思いやりには、人間のもつ共通性ーどのような人にも欠点や弱点があるという事実ーをありのままに認識することも必要
<第1章 セルフ・コンパッションを見つける>

○私たちが心から望んでいるのは、ありのままの自分を受け入れてもらうこと、
小さな自己より遥かに大きなものの不可欠な一部になることである
→制約を受けることなく、測り知れない存在として自由になることである
<第7章 自尊感情ゲームをやめる>

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2022 1/7
セルフコンパッション、心理学、心理療法、カウンセリング
まろまろヒット率4

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