佐倉統 『科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点』 講談社 2020

渡邊義弘@2年ぶりに石垣島に来ました。

さて、佐倉統 『科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点』 講談社 2020。

「科学技術とどうつきあっていけばいいのか?」という問いに、専門家と一般人という2つの枠組みを越えて、答えようとする一冊。

読んでみると、紹介されるエピソードやトピックスはどれも面白く、また考えさせられるものがあった。
科学に不信感を持つ反知性主義とも、妄信する権威的専門家主義とも違う違う、より良い立場を模索する著者の姿勢に深く感銘を受けた本でもある。

以下は、チェックした箇所(一部要約含む)…

○専門家か一般の人たちかという二者択一が、もはや実情にあっていないのだ。
専門家とも一般の人たちともつながる場で、どちらの意見も取り入れて問題を解決していくしかないのである。
<はじめに>

○科学知を日常生活場面でどのように使うかは、その人それぞれだ。
いいかえると、誰もが、科学知を自分の日常知にどのように変換するか、自分で決める必要があるということだ。
わけあり物件を借りるかどうか。それはあなたが決めることだし、あなた以外の人には決められない。
<第5章 科学知と生活知ー科学技術の飼い慣らし方・理論編>

○科学は、使いようによっては、ぼくたちの日常生活における無意識の偏りや気づかないことを、あらためて意識的に気づかせてくれる力をもっている。
<第6章 「二正面作戦」を戦い抜くためにー科学技術の飼い慣らし方・実践編>

○順番が逆なのである。何が善かは、ぼくたちが決める。
その際に考慮すべきさまざまなー実にたくさんの、しかも多様なー条件や要因のひとつとして、科学的知見があるのだ。
<第6章 「二正面作戦」を戦い抜くためにー科学技術の飼い慣らし方・実践編>

○最新の科学的知見を取り込んで人生観や社会観をアップデートしていく作業も、現代社会に大きく貢献する実用的な作業のはずである。
(中略)自然観、人生観を、科学的知見をもとに描き直すのは、基礎科学でなければできない社会的貢献である。
<第7章 「今」「ここ」で科学技術を考えること>

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2021 3/18
科学論、科学コミュニケーション、科学技術社会論、STS
まろまろヒット率4

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