杉山公造・下嶋篤・梅本勝博・橋本敬・永田 晃也 『ナレッジサイエンス―知を再編する81のキーワード』 近代科学社 2008改訂増補

渡邊義弘@ダイエットのために黒烏龍茶を愛飲中です。

さて、『ナレッジサイエンス―知を再編する81のキーワード』杉山公造・下嶋篤・梅本勝博・橋本敬・永田 晃也編著、北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科監修(近代科学社)2008改訂増補。

ナレッジサイエンス(Knowledge Science、知識科学)に関連する81のキーワードを集めた解説書。
まだ体系化の途上であるものの、話題になることが多いナレッジサイエンス関連領域をそれぞれコンパクトにまとめられている。
僕は通読したけれど(この読書日記は通読したものだけ記録)、辞書としても使えるようになっているのが便利な一冊。

以下はチェックした箇所(一部要約含む)・・・

○組織は単に人間を管理し機械的に情報を処理する手段ではなく、個人が自己の成長を達成するための自己超越の場
<01 知識創造企業>

○知識創造における場の本質は「相互関係」
→知識は文脈から切り離しては存在できず、文脈とは相互関係
<03 場>

○先行者の優位性=技術的リーダーシップ、利益の先取り、ブランドイメージの確立、希少資源の占有
後発者の優位性=先行者の開発した技術にただ乗り、不確実性の減少
<11 企業の技術戦略>

○政策という知が創造されるプロセス
1:体験から生まれる知覚データの集合としての思い(暗黙知)=データ
2:議論によって表出された断片的な情報としての政策コンセプト(形式知)=情報
3:総合化された知識としての政策(形式知)=知識
4:政策実行から生まれた知恵としての実践知(暗黙知)=知恵
<22 政策知>

☆情報は、状況と状況との間の性質の相関に依存する
<23 情報と知識>

☆情報が知識であるための条件=主体の存在、相関への適応、行動の統制
<23 情報と知識>

☆当事者は必ずしも自らの行為の理由や原因を分かっているわけではない
→主観(意識)の反省を逃れるのが日々の実践(practice)の特徴
<28 フィールドワーク>

○ハビトゥス=文化的な規定によって形成されるが、社会環境の変化に応じて実践に転調を加える柔軟性を部分的に併せ持つ
→完全に自由ではないが、文化的規範に操られる人形でもないというのがブルデューの考える習慣的行為者
<29 実践とハビトゥス>

○言語的表現の意味
1:意味=言語を理解するために必要な文法的知識
2:内容=文が表現している状況と話者・聞き手に関する情報
3:効果=発話から聞き手が導き出す結論
→しだいに文脈依存度が強くなっていく
<34 意味論>

○方法論=技術ほどの詳細さは持たないが、哲学よりは詳しい行動のガイドライン
<42 システム方法論>

○カオス理論による決定論であるが予測不可能なシステムは、予測可能性を追究してきた古典科学の終焉を告げている
<44 カオス>

☆アフォーダンスは、内面に作り上げられた外界の像は存在しないと主張する点でデカルト主義と相対立する
→デカルト的アプローチは感覚ではとらえられない世界を探求するのに適し、
アフォーダンスは普段あまり考えないで行っている日常的な行動を説明するのに向いている
<61 アフォーダンス>

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2012 6/27
ナレッジサイエンス、学問一般
まろまろヒット率3

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