寺田寅彦 『金米糖』 岩波書店『寺田寅彦随筆集』第2巻「備忘録」より 1964

渡邊義弘@大阪の憩いの場、スターバックス御堂筋本町東芝ビル店からお送りします。

さて、2012年最初に読んだ本、『金米糖』寺田寅彦著(岩波書店『寺田寅彦随筆集』第2巻「備忘録」より)1964。

物理学者であり、随筆家、俳人としても知られる寺田寅彦の随筆の一つ。
金平糖の角が生まれる過程に起こる「偶然な統計的異同 fluctuation」(=フラクタル)に注目して、
物質と生命の間に橋を架ける「生命の起源」まで文字通り随筆を走らせている。

発表された当時(1927年)と比べて、今となっては不適切な表現もあるけれど、
科学的テーマを横断的に、そして軽やかに随筆する文章はわくわくしながら読むことができた。

特に・・・
「物理学では、すべての方向が均等な可能性をもっていると考えられる場合には、
対称(シンメトリー)の考えからすべての方向に同一の数量を付与するを常とする。
現在の場合に金平糖が生長する際、特にどの方向に多く生長しなければならぬという理由が”考えられない”、
それゆえに金平糖は完全な球状に生長すべきであると結論したとする。
しかるに金平糖のほうでは、そういう論理などには頓着なく、にょきにょきと角を出して生長するのである。」
・・・というところは、夏目漱石の愛弟子としても知られていて、
『吾輩は猫である』の水島寒月や『三四郎』の野々宮宗八のモデルとなった著者のキャラクターが
かいま見えるようで読んでいて微笑んでしまった。

ちなみに、この随筆は昔ながらの製法を守る緑寿庵清水さんの金平糖をいただいた去年の10月からずっと気になっていたのだけど、
「なるべく心の忙しくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という著者の意向にそって、
気持ちを落ち着く時を探していたら、年を越した元旦の今ようやく読むこととなった。
公共の仕事にたずさわることは、気持ちの切り替えが課題となりますね、てへっ。

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2012 1/1
随筆
まろまろヒット率4

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